最後の審判 Doomsday

これから発売される、ある商品のカードが、今とても話題になっている。

目次
1.問題のカード
2.「わからない」で済ませていいのか
3.そもそも、なぜこのカードは問題なのか
4.「歴史は勝者が書く」という話
5.原爆投下という事実について
6.だからこそ、このカードは看過できない

問題のカード

それがこれだ。

まともな日本人であれば、
これを見て怒らないほうがおかしい。
私はそう思っている。

Wizards of the Coast(WotC)はこれまでにも、
馬鹿げたコラボ商品、
意味不明なブラケット制度、
禁止カードの乱発など、
数々の愚行を繰り返してきた会社だ。

だが今回のこれはその中でも
「悪ふざけ」という言葉では済まされない
レベルだと感じている。

何が問題か。
説明はほとんど不要だろうがあえて言葉にしよう。

カード名は《最後の審判》。
そしてイラストは、誰がどう見ても原爆のキノコ雲を想起させる図だ。

この組み合わせを見て、
「日本人を侮辱している。」
と感じない方がむしろ不自然ではないか。

実際、MTGを知らない人にこの画像だけ見せると、返ってくる反応はほぼ一様に

「なにこれ?こんなことが許されるの?」

というものだった。
これが、余計な文脈を持たない人間の率直な反応だと思う。
また、アメリカ人の友人達も心を痛めていた。
その一人が
「ホビーの世界で悪意あるブラックユーモアが許容させられるきっかけになる」
と警鐘を鳴らしていた。

「わからない」で済ませていいのか

この件について、あるインフルエンサーが動画で、
いや、ここまで書くのなら名前を出そう。
開封大好きよしひろ氏だ。
彼は、

「自分は知らない」
「祖父母は戦争に行っていないからわからない」
「YESともNOとも言えない」

という主旨の発言をしていた。

私はこれにはっきりと呆れている。
歴史を知らないなら、せめて少しは調べてから発言してほしい。
知らないなら、黙っているという選択肢もあったはずだ。

祖父母が戦争に行ったかどうかは関係がない。

私たちのご先祖様には、
国のために戦い、名前も残らずに死んでいった日本人が大勢いる。
そして、落とさなくてもよかったはずの原子爆弾によって、
死ななくてもよかったはずの人々が大勢亡くなった。

この事実の重さを、あの態度は明らかに軽んじていた。
靖国神社に眠る人達をなんだと思っているのか。
広島や長崎で犠牲になった人達をなんだと思っているのか。

彼はニヤニヤとした表情でその動画を出していた。
MTGプレイヤーとして恥ずかしいだけでなく、
日本人として恥ずかしい態度だと私は思う。

アメリカ人の友人達が知っている事を日本人が知らない。
それだけでも恥だと言わざるを得ない。

インフルエンサーとして失格である。
歴史に関し、全容を知れとは言わないが、
概要は知ってコメントすべきものである。

そもそも、なぜこのカードは問題なのか

WotCは過去に、
Invoke Prejudice
Cleanse
Stone-Throwing Devils
プラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies
Jihad
Imprison
十字軍/Crusade
 

という7種のカードを
人種差別や宗教への配慮を理由に
「存在しなかったもの」
として禁止指定にしている。

つまりWotCは、
「特定の民族・宗教・歴史的悲劇を連想させる表現には配慮する」
という姿勢を、
少なくとも一度は明確に示している会社だ。

それにもかかわらず今回はこのカードを世に出そうとしている。
このダブルスタンダードに、ネットが荒れるのは当然のことだと思う。
私もこの件に関するネット上の批判の多くに同意している。

Doomsdayは直訳すれば「終末の日」だが、
日本語版のカード名は《最後の審判》だ。
これがまた事態を悪くしている。

「最後の審判としてアメリカは核を使用した」

とも読める。
まるでアメリカが人類を裁く側であるかのような解釈すら可能にしてしまっている。
この名前とイラストの組み合わせは、偶然だとしても悪すぎる。

「歴史は勝者が書く」という話

歴史というものは国によって語られ方がまったく違うものだ。
日本の教育制度は、アメリカにとって不都合な事実を積極的には教えない傾向がある。
だから、これから書くことを知らない人も多いと思う。

「歴史がいかに国の都合で書き換えられるか」
を理解するには、私の経験では韓国の例がわかりやすい。

伊藤博文と聞いて、多くの日本人は

「日本の初代内閣総理大臣であり、幕末の志士の一人」

と答えるだろう。
少し詳しい人なら、
「安重根に暗殺された」
ということも知っているはずだ。

これを韓国に持っていくと、
語られ方はまったく変わる。
私は実際に韓国の戦争記念館で、こう書かれているのを見た。

「賊である伊藤博文を、
 英雄・安重根が倒した。
 しかし安重根は非業の死を遂げた」

どちらの記述が事実に即しているかといえば日本側の記述だろう。
しかし韓国では、そうは教えられていない。
反日教育の一環だ。
歴史というものは、その国の都合によって書き換えられるのが常であり、
客観的に語ることは想像以上に難しい。

これはアメリカも例外ではない。
アメリカ先住民の視点に立てば、
コロンブスをはじめとする「開拓者」たちは、
ただの侵略者に過ぎない。
歴史は多くの場合、勝者と権力者の都合で書かれる。

だからこそ「知らない」「わからない」で済ませていい話ではないのだ。
それなら黙っていたほうがまだよかった。
それくらい今回の件は重い。

原爆投下という事実について

私自身の乏しい歴史知識で語らせてもらうが、
第二次世界大戦(大東亜戦争/太平洋戦争)は、
本来「無条件降伏による終戦」という話だったはずだ。

しかし実際には、
戦勝国側の都合で多くの日本人が東京裁判にかけられ死刑となった。

この判決に対し、
インドのパール判事だけが最後まで「日本無罪」を主張し、
東京裁判を
「戦勝国による私刑に等しい復讐」
だと批判し続けたことはもっと知られてよい事実だと思う。


裁く側が常に正義とは限らない。
その視点は、原爆投下という行為にもそのまま当てはまる。

そして原爆投下について言えば、
アメリカ側の公式な説明は
「戦争の早期終結のため」
というものだ。
しかし
「開発した核兵器の威力を実戦で試したかったのではないか」
という見方も、歴史家の間で根強く存在する。

少なくとも、2発目の投下(長崎)には
軍事的な必然性が薄かったという指摘は多い。
広島投下からわずか3日後で、
日本側が事態を把握し対応を検討する時間さえなかった。
正確には対応を検討する時間すら与えていない
という言い方が正しいだろう。

広島・長崎の時点で、
日本にはすでに戦争を継続する余力がほとんど残っていなかった
という分析もある。
加えて、
原爆は京都に落とすという計画もあったのだという。
その理由たるや、
「京都は全く爆撃を受けていないから」
というものだったと言われている。

そう考えると、
原爆投下は「終戦を早めるための必要悪」というより、
「実験」に近かったのではないかとすら思えてくる。
そしてそう分析する歴史家も多い。

これらを踏まえて、私はこう考えている。

「アメリカは、非人道的な兵器を実際に人間へ向けて使用した、
 歴史上もっとも罪深い国の一つである。」

と。
そして、この件について、
アメリカが国際的に裁かれたことは一度もない。
これらの情報や教育は日本では封殺されがちだ。

だからこそ、このカードは看過できない

これほどセンシティブな歴史に、
MTGが軽々しく触れるべきではなかった。
これは、過去に人種差別や宗教上の理由で禁止されたカード群と同等か、
それ以上に重い問題だと私は思っている。

最後の審判/Doomsday》というカード名や効果自体には、何の問題もない。
だからこそ今回のイラストは、擁護のしようがない愚行だと私は考える。

「ただのキノコ雲で、日本への原爆投下を意識したものではない」

という言い分は、いくらでも出てくるだろう。

だが、それが通用するなら
過去に禁止されたカードたちも同じ理屈で擁護できてしまう。

それらは禁止され、こちらは容認される。
この非対称性こそが、今回
「ダブルスタンダードだ」
と批判されている理由だ。

私はWotCに対して、この判断を見直すことを求めたい。
出来る事なら発行を取りやめるべきだ。

ではまた。

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