Candelabra of Tawnos(2026年6月30日禁止改定)
《Candelabra of Tawnos》
最近突然に値上がりした古き良きアーティファクト。
ここ1~2年で
メイン1だけ採用、
メイン1、サイド1だけ採用
メイン4採用・・・と、
随分と株を上げたカード。
だったのだが、
突如2026年6月30日にレガシーで禁止。
20年以上禁止されていなかったカードが禁止。
一体どういう事が起きているのか。

2026年6月30日禁止改定
その理由たるや
「《Candelabra of Tawnos》は
長期的に見て問題を起こす可能性が最も高く、
メタゲームの循環の中で楽しくない部分となる可能性が最も高い
と私たちは見ています。
私たちは今後もエキサイティングな土地やドロー・エンジンを作っていくつもりであり、
土地をアンタップするカードについては極めて慎重に取り扱います。
《Candelabra of Tawnos》特有の問題として、
普段はめったに姿を現さないのに
問題になるほど強力なコンボ・デッキにおいては
他で代替できないほど高い価値を持つ点があります。
《Candelabra of Tawnos》を取り巻くカードを禁止しようとしても、
今後同じような状況が訪れることを懸念しているのです。
私たちは、レガシーにおけるカードの禁止を極めて重く見ています。
禁止措置が必要になるたびに、
長期的に見て禁止カードの総数を可能な限り少なくできるよう尽力しています。
もし今回の禁止後も
《Candelabra of Tawnos》なしの「トロン」が成功を続けられるなら、
それは素敵なことだと思います。
《次元の結節点》がウルザランドを強化していますし、
決して不可能なことではないと私たちは確信しています。
以上の理由から、
《Candelabra of Tawnos》 は禁止となります。」
となっている。
要約すると、
「今後なんか危なそうだから禁止!」
である。
(ちょっと飛躍しすぎた要約かもしれないが。)
ただ禁止理由はこの際どうでもいい。
(結構どうでもよくないんだけどね。)
普通の禁止改定と今回の禁止改定は明確に違う。
今回の禁止改定はかなりマズい事をしたと思う。
改定による余波

前述の話のように、
《Candelabra of Tawnos》はここ1~2年で
メイン1だけ採用、
メイン1、サイド1だけ採用
メイン4採用・・・と変遷してきた。
そのたびに値段が上がり、
10万円行かなかったカードが10万円を超え、
メイン1、サイド1になった時あたりで20万円台が見えてきて、
メイン4採用となった時の最高値(つまり禁止改定前日)では、
NM価格で最大70万円もの値段になっていた。
だが、禁止発表と同時に値段は一気に下落。
20万円まで下がってしまった。
競技シーンで使えていたものが禁止されるというのはよくある事だが、
70万円もするカードが禁止になったのは前代未聞の出来事だろう。
(フォーマット制定時に最初から制限や禁止されているものは別。)
MTG史上初と言って間違いない。
今回の改定の問題点
1つめの問題として、
WotCは二次流通の客層の事なんてどうでもいい、とでもいうような裁定を下したという事。
競技だから仕方ないと言えなくはないが、
そうまでして潰すほどトーナメントを席巻していたとは思えない。
トーナメントでのトップ8での採用枚数なら、
間違いなく
《意志の力/Force of Will》
《渦まく知識/Brainstorm》
のほうが上のはずだ。
この2つのほうがトーナメントを席巻していると言えるだろう。
(この2つ禁止しないだろうけどね。)
本当にこの禁止は正しかったのだろうか?
2つめの問題のほうが大きい。
2つめはどう言ったら伝わるだろうか。
「再録禁止カードで、
なおかつずっと禁止されていなかったカードを禁止した。」
という言い方でニュアンスが伝わるだろうか。
再録禁止だから禁止カード指定されないとは一度も言われていないし、
そういう事も無くはないのは理解はしている。
2011年1月1日に《適者生存/Survival of the Fittest》が禁止されている。
しかしそれとて今から考えれば15年半も前の話だ。
15年以上前と今ではカードプールも全然違う。
そのうえでまだ《適者生存》が安い時代に禁止を食らっただけだ。
《Candelabra of Tawnos》はハッキリ言ってしまうと、
あまり見向きもされて来なかった古代のカードだ。
たまに面白い使い方あるよね、とか、
《満潮/High Tide》のデッキで使われるよね、とか、
比較的ニッチ需要に近い状態だったところから、
一転してレガシーのトロンタイプのデッキに採用されるようになっただけだ。
《適者生存》が禁止された時のような理由とは明らかに違っているし、
加えて、
ここまで値上がった事を認識したうえで禁止したのは異例だろう。
この禁止の恐ろしさはそういった意味で
「前例がほとんどないものを平然と禁止してきた」
という点だと思っている。
我々は明日にでも、
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》を禁止されるかもしれない。
《厳かなモノリス/Grim Monolith》を禁止されるかもしれない。
そう言われたのと同義なのだ。
そのカードがいくらになっていようと、
そのカードが活躍していなかろうと、
WotCという神の判断で環境をぐちゃぐちゃにされるのだ。
今までの30年だってそうだっただろうって?
確かにそうだ。
ただ、市場で70万円まで育ったカードを禁止し、
24時間以内に20万円まで落とした。
こんな前例はさすがにない。
株価のストップ安でもここまでは1日では下がらない。
(そりゃあ株じゃないからそうなるんだけどね。)
WotCが落としたものは《Candelabra of Tawnos》の価格ではなく、
WotCという会社の信用ではないだろうか。
WotCは我々にとっては神に等しい存在だ。
逆らう事は出来ないし、競技をやる以上従う義務がある。
だからといってこんな暴挙が継続されていいのだろうか。
ああ、難癖をつけられると嫌なので先に書いておこう。
Cardshop Serraはたまたま在庫が無かったし、
店主個人は昔から持っているのでノーダメージだ。
高値掴みをしたから感情論でこれを書いていると思われたくないのでね。
別に《Candelabra of Tawnos》の値段が下がろうと知ったこっちゃない。
どんなカードの高騰も下落も全く興味がない。
そういう次元でこの話をしていませんよ、という事。
強いて感情論を述べるのなら、
「せっかくレガシーで《Candelabra of Tawnos》の居場所が出来たのに、
また《Candelabra of Tawnos》は居場所を失うのは悲しい。」
くらいかな。
パワーインフレをしている中、
古代からあまり活躍してこなかった1枚が、
こういう形でせっかく得られた活躍の場を失うのは残念だ。
ユーザーへの影響
話を戻そう。
新セットのカードが《Candelabra of Tawnos》で悪さが出来るとして、
その新セットのカードを禁止する分にはあまり問題が起きない。
市場のお値段が大したことがないからだ。
5000円まで高騰したものが禁止を食らって1000円になったとて、
4枚持っていた人の損害額は何十万円というわけじゃない。
しかし、今回は一瞬にして100万円以上損した人が出ている。
さすがにそのユーザーは可哀想だ。
心の底から同情する。
こんな仕打ちがあっていいのだろうかと思う。
それを我々は突きつけられた。
次は《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》か?
《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》か?
と怯えなければいけないのか。
そりゃあ《Candelabra of Tawnos》を4枚持っていた人なんて、
全世界のプレイヤーの1%未満の話だ。
残りの99%の人にとってはノーダメージだし、
そもそもレガシーをやらない人には関係の無い話だ。
WotCからすれば切り捨てるには楽な人数だったとも言える。
今後のレガシーの環境を見るに、
「もっと競技レガシーに入りやすい環境にするために、
再録禁止を殺してやれ。」
だったのかもしれない。
今回は間違いなくトロッコ問題で轢かれた人が存在したわけだ。
WotC
WotCは会社の信用と同時に、
MTGの伝統や歴史をもっと重んじるべきだ。
今回の禁止改定で失ったものは《Candelabra of Tawnos》ではない。
あるべきレガシー環境の未来を失った。
WotCはこう述べている。
「私たちは今後もエキサイティングな土地やドロー・エンジンを作っていくつもり」
と。
その未来に《Candelabra of Tawnos》との同居を一瞬でも許さないようだ。
プレイヤーは
「エキサイティングな土地やドローエンジンと過去のカードのコンボ」
を経験する事を望んでいるというのに。
前述の通り、新カードをそうして経験させた後、
新カードのほうを禁止するほうがこればかりは健全だろう。
レガシーやヴィンテージの競技プレイヤーの多くは、
「新商品のスタンダードやモダン環境のカードは、
時折ヴィンテージやレガシーでは制限禁止になる事は致し方がない。」
と理解している。
その範囲であればWotCは信用を失う事はない。
だいたいにおいて、
《苛立たしいガラクタ/Vexing Bauble》なんて制限禁止前提で刷ったとしか思えない。
既定路線だったからこそアンコモンで刷ったのだろう。
こういうマッチポンプみたいな事をしたり、
デザインに失敗したりしておいて、
ここで《Candelabra of Tawnos》を禁止するのか。
最後に
自分は今回の禁止改定について、
EDHの《宝石の睡蓮/Jeweled Lotus》の禁止並みに納得がいかない。
そして何よりもWotCが今後失うであろう信用を憂うばかりだ。
また、
ヴィンテージの世界でも同じ事をやりかねない。
それはそれで恐ろしい。
《Bazaar of Baghdad》
《Mishra's Workshop》
これらが1枚制限になる可能性を恐れなければいけないとは。
今回の《Candelabra of Tawnos》が最大70万円だった。
それを超えてくる記録は《Mishra's Workshop》くらいしか無いだろう。
そんな日が来ない事を祈ろう。
ではまた。









