暴君 董卓

今回のお題は《暴君 董卓/Dong Zhou, the Tyrant》。
ポータル三国志にあるレジェンドクリーチャー。
トーナメントに出てきた回数、おそらく0。
EDHで自分でつかってみるものの、
あまりに活躍しないため、デッキから即抜いた。

こんなカードだ。

Dong Zhou, the Tyrant/暴君 董卓
コスト:4赤
伝説のクリーチャー 人間(Human) 兵士(Soldier)
暴君 董卓が戦場に出たとき、対戦相手1人がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。
それはそのプレイヤーに、自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。
3/3
ポータル三国志:レア

三国志で随一の極悪人。
この董卓、中国の歴史の中でもトップクラスの悪党として名を馳せている。
カードの絵を見てもわかると言えるほど、
とても悪そうな顔をしている。
実際、三国志の漫画や本の挿絵等でも、
董卓がカッコイイ青年で描かれた事は無いだろう。
おおむね目つきの悪いデブのオッサンとして描かれる。
例外的にデブに描かれなかったのは横山光輝版三国志くらいのものだ。

生まれは不明。
没年は西暦で195年。
姓は董
名は卓
字は仲穎。

武力は強く、粗暴な性格。
馬上で右手でも左手でも弓を引くことが出来たらしい。
これ、相当器用でないと出来ない芸当のような気がする。
地方官として漢に仕えた。
が、
その邪悪さを表に出し始めるは184年以降。
(ここからあと11年で死ぬというのに)
黄巾賊の乱の緒戦では敗北を喫して免職となるが、
その後、面目を取り戻す活躍をする。
189年に霊帝(劉宏)が崩御し、宦官に何進大将軍が殺された時、
袁紹らの反撃を受けた宦官側の一人が少帝(新皇帝)の劉弁とその異母弟の陳留王を連れて逃げた。
董卓はこの2人を救出したところから、
三国志のメイン部分で登場する。

この時、少帝を廃して、陳留王(劉協)を皇帝に立てることを思いついた董卓。
邪魔な丁原を暗殺しようとするが、
呂布という武将がいたため、これに失敗。
言うまでもなく呂布とは《武芸の達人 呂布/Lu Bu, Master-at-Arms》であり、
この時代最強の武人と謳われた男。

「そのわりにMTGカードの《武芸の達人 呂布》は弱い」などと言ってはいけない。
あれは製作者の失敗の1つなのだろうから。
三国志とMTG好きな人にカードを作らせたら、
あんな面白くないセットには普通は作らない。
今、自分に作らせてくれたら…。
おっと話がそれてしまった。

丁原暗殺に失敗した董卓は、その最強の武将を買収する事を画策する。
正史ではただ「謀反の誘い」とされているが、
なんらかの買収工作であった事は想像に難くない。
呂布とは強いだけで、仁、義、礼、知、信という言葉からは程遠い男だった。
現代で言えば相撲の朝青龍のような粗暴な男だったと言えばいいだろうか。
酒癖が悪く、短気なところも似ている。
大きな違いは呂布は美丈夫であったと伝えられている点。

呂布の買収については、
三国志演義では《赤兎馬/Riding Red Hare》という名馬で買収されている。
演義、正史どちらにしても呂布は養父である丁原を裏切り、
その首を土産に董卓に寝返る。(その後董卓の養子となる。)
余談ではあるが、赤兎馬は三国志演義だけの存在ではなく、
三国志正史にもしっかりと登場している。

「人中の呂布、馬中の赤兎」
という一文が残っている。
呂布とともに並んで評され、
史書に残るほどの名馬だったようだ。
「そのわりにMTGカードの《赤兎馬/Riding Red Hare》は弱い」などと…(以下略
今、自分に作らせてくれたら…(以下略

ともかく、最強の武将を手に入れた董卓に怖いものはなくなった。
少帝を廃し、陳留王を皇帝にした。
これが後漢最後の皇帝、献帝となる。
ここからは暴君の名にふさわしい悪逆非道の限りを尽くす。
少帝とその母親を暗殺、歴代皇帝の墓から財宝盗掘、
富豪の家からは金品強奪、女性と見ればあたりかまわず、
村祭りの農民を虐殺するなど、
まさにありとあらゆるという言葉が相応しいほどに、
思いつく限りの行動に出る。
もちろん各地の武将がそれを黙認するわけもなく、
董卓討伐連合軍が結成される。

戦場として不利と見た董卓は、首都であった洛陽を焼き払い、
民衆を強制的に長安に連れて行き、
史上最も強引な遷都を実行する。
呂布の強さと連合軍の団結力の無さという2点から、
連合軍は瓦解し、結局董卓を討つ事は出来なかった。
この洛陽の焼き払いと強引な遷都は、
「首都であった場所を焼き払うこと」
「首都を自己都合で勝手に動かしたこと」
というあまりに大きい2点のため、
民衆から後世の歴史家まで多くの人に嫌われた。

長安にうつった董卓は、
経済にまで打撃を与えた。
貨幣に含まれる銅の割合を減らしたため、
この時代には似つかわしくない単語ではあるが、
インフレが蔓延した。
暴虐とインフレ、まるで現在のジンバブエのムガベのようだが、
董卓は時代を1800年ほど先取りしている上に、
歴代皇帝の墓暴きまでやっている。
言葉が適切ではないかもしれないが、格が違う。

そんな董卓の専横もいつまでも続かない。
西暦192年、王允の誘いに乗った呂布によって董卓は殺される。
原因は小さな失敗から董卓に殺されかけた呂布の怨恨からという説と、
董卓の侍女と呂布と董卓の三角関係という説が残る。
三国志演義では、この侍女の話を元に
籠絡の美女 貂蝉/Diaochan, Artful Beauty
を登場させている。
このカードの能力はその話を元に作られているのがよくわかる。
ただ、せっかく作るのなら「貂蝉以外のクリーチャー」と書いてもらいたかった。
なお、貂蝉は実在の人物ではない。
悪逆非道の董卓も、まさか自分が養子にした男に殺されるとは思わなかった事だろう。
とはいえ、自業自得である事は間違いない。

中国史の中でこの董卓は
「史上最も極悪な人ランキング」
の上位ランカー…というより殿堂入りに近い。

ただ、中国に多大な被害を与えている点だけを考えると、
建国の父などと呼ばれ英雄扱いされる毛沢東も、
第三者の視点では十分に悪に見える。
数値は明らかにされていないが、
彼の政策による犠牲者は数千万人にのぼると言われている。
また、「世界で一番人を殺した人は?」という問いに対し、
「直接でないのなら間違いなく毛沢東」と言われる程でもある。
最も、董卓を英雄扱いする記述は見つかっていないので、
違いがあるのも事実だ。

MTGの三国志のカードはポータルとして作られた面があるせいもあって、
どうも能力的に物足りないものが多い。
白枠で発売してしまったことを考えても、
作り直してもっと興味を引くセットにしてもらいたいものだ。

例えば、
呂布の「人中の呂布、馬中の赤兎」の名にふさわしくなるよう、
サンダーメア/Thundermare》と同じ、
「速攻。場に出たとき、他の全てのクリーチャーをタップ。」
という能力で単騎で戦場を駆け抜けるようなカードにしてもらいたいし、
董卓ならば、むやみにコストを上げて(デブという意味でも)
「場に出たとき、土地1つ、アーティファクト1つ、クリーチャー1体を破壊し、
あなたに4ダメージを与える。」
といった、彼の悪事をあらわすようなカードにしてもらいたい。

ポータル三国志が出た当時には、
装備品という概念も無かったし、
そもそもポータルシリーズにはアーティファクトが存在していない。
そのため、三国志の武将が持っていたとされる武器を、
装備品として作られることも無かった。
これも非常に残念だ。
今作り直せば、伝説の装備品として方天戟や七星剣が作られる事だろう。
いつか三国志2が出ますように。

ではまた。

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