Cardshop Serraが出来てからその7
Cardshop Serraが出来るまでではなく、
Cardshop Serraが出来てからの、
テキトーな時代のテキトーなお話をテキトーに語る。
ときにはリクエストにお応えしつつ、
ときには自分で思い出したお話を。
近所で火事
今から10年以上前のお話。
人生初の健康診断を受けたら、
甲状腺腫が見つかり、手術を受けた頃のこと。
退院1日前くらいだっただろうか。
母がお見舞いに来た。
母からは開口一番、
母「近所で火事があったよ。」
店主「おお?」
母「家を出てちょっと坂をあがって曲がったところ。」
店主「ん?なんだかそれは知り合いの家の方向・・・?」
母「そういえば近くに一人住んでるような事言っていたね。」
店主「まさか・・・。焼けたのは借家?」
母「借家だったね。」
再度場所を確認するように質問をしてみると、
どうも知り合いの家のように思えてならない。
退院して真っ先にその場所に行ってみた。
家からの距離で200m無いので、
本当にすぐの場所だった。
火事になったのはやはり知り合いのTの家だった。
お家は全焼だった。
隣の借家にも延焼していた。
たまたま消防署員の現場検証をしていたので、
T本人もいた。
店主「久しぶり。」
T「おう。」
当たり前だが元気は無さそうだ。
Tは年齢が店主と一緒。
MTGプレイヤーだったのだが、
いつの頃からかTは
・忙しい自慢
・寝てない自慢
・俺がいないと会社まわらない自慢
という、
大卒または高卒で就職した人の、
痛々しい三大自慢を言い出し、
そのあたりでMTGとしても友としても疎遠になっていた。
この三大無能発言が出てくる人は、
おおむね経営者または上司の立場と仕事を知らず、
自分が有能だと思っているお馬鹿さんである。
しっかりとしている人であれば、
「自分が会社に入って3年は赤字の人材に過ぎない。」
という事を知っているのである。
実際には3年でも赤字。
逆な言い方、3年程度で黒字出せる人は余程有能な人材だ。
なお、
この三大自慢をした人で有能だった試しは1度たりとも無い。
店主が見てきた人間達でこれを言った人の無能率は現状100%である。
Tの話
さて、家が焼けたTの話に戻ろう。
Tは借家に住んでいたのだが、
Tは片付けられない人というやつで、
家はまさにゴミ屋敷。
3部屋+キッチン、トイレと風呂別と、
一人暮らしをするに十分な広さだったが、
一切床が見えない程のお部屋、いや汚部屋だった。
誇張して書いているように思う人もいるだろうが、
「本当に冗談抜きに床が見えない」のである。
よく汚い部屋に向かって、
「足の踏み場もない。」
「床が見えない。」
という表現を使うが、
本当にその状態になっているケースは、
汚いお部屋の中でも稀なのだが、
Tの家は玄関の第一歩目からキッチンに至るまで、
全ての箇所において、
「床が見えない。」状態だった。
なお、これを確認したのは火事になる数年前だが、
家の前を通るたびに、片付けたようには見えず、
ガラス窓から透けて見えるゴミの量が増えていたので、
一度の片付けも掃除もしていなかったと思われる。
玄関の第一歩で新聞と雑誌が散らばり、
その上に靴やサンダルがあるような玄関。
玄関の時点で「足の踏み場もない」だったのである。
部屋と廊下はゴミ袋とゴミと雑誌と新聞が散乱し、
歩いて奥に行くのが難しそうな状態だった。
今思い出してみるとすごいなT。
なんとなくという程度に思い出せる範囲だが、
6畳(押入れあり)
6畳(押入れあり)
8畳(押入れあり)
キッチン
トイレ
風呂
の間取りだったはずだ。
一人暮らしにしては豪華過ぎないか?これ。
そしてトータル20畳を超える範囲を全て埋め尽くすのだから。
そんなTの家の出火原因は不審火。
ただし出火当時にT本人は会社に出ていて、
家に帰ったら、家は既に焼け跡だったそうだ。
そしてその火事は隣の借家まで焦がしてしまい、
隣の借家も使い物にならなくなってしまった。
前述した通り、TはMTGプレイヤーだった。
Tは古参プレイヤーでもあった。
店主同様、
DCIナンバーが6桁の日本のプレイヤーでは最古参。
そしてMTGから離れた後もカードを売るような事はしなかった。
そのカード資産はこのゴミ屋敷とともに燃えてしまったのだ。
何枚のデュアルランドが消えたのだろう?
Tは休眠するまでレガシー~スタンダードまでを触っていたので、
当時にしてもそれなりのカード資産を持っていた。
加えて、店主が知っている範囲では、
TはUnlimited版の《Mox Ruby》を持っていた。
それが確実にこの世から消えてしまった。
T本人からもこの日、
「《Mox Ruby》お前さんに売っとくべきだったな。」
という言葉を聞いている。
ここで問題となってしまったのは火災保険だ。
なんとTは火災保険に入っていなかったと言うのだ。
自分の住んでいた借家は全焼。
隣の借家の延焼で使い物にならず。
これに対して保険に入っていないとなると、
ゴミ屋敷とはいえ部屋にあった私物を含め、
どれほどの損害になったのか、見当もつかない。
ただ、
片付け、掃除、整理整頓が出来ない人である事、
人の忠告を受け入れない性格、
火災保険に入っていない事、
何もかも自業自得としか言えない状況だった。
(なお、部屋の片付けだけは注意した事があるが、
もちろん一切聞いてくれなかった。)
本日の教訓
そんなTは火事のあとに、
火事の賠償責任などがどうなったかを聞けないまま、
どこか別の場所に住む場所を探し、
いつの間にか連絡もつかなくなってしまった。
彼が今どこで何をしているかもわからない。
ただわかっている事は、
彼は今もお風呂で寝ているだろう。
いきなり何言い出したかわからないって?
うん、そうだね、話していなかったね。
このTはよくわからないが、
お風呂で寝落ちするんだ。
昔からずっと。
誰でも人生で数回程度なら風呂で寝かけた事はあるだろう。
Tの場合はほぼ毎日「寝る」のである。
寝かけるのではない。
朝までぐっすりだ。
よく死なないものだなと思うのだが、
何故か彼は死ななかった。
考えてみればわかる話だが、
蓋もしていない風呂は保温性は低い。
朝までとなれば相当に冷えるはずだ。
さらに恐ろしいのは、
この男は真冬でも無関係にお風呂で寝る。
理由はわからないが低体温症とは無縁なのだろう。
かなり前の話、
まだTのお部屋に足の踏み場があった頃、
12月に友達数人で集まって夜な夜なMTGをしていた。
T「俺、風呂行ってくるわ。」
皆「いってらっしゃーい。」
何の変哲もない会話だった。
ただしそのまま朝を迎えた。
皆は朝までMTGしているだけだった。
「あいつ遅いね。」
「また風呂で寝てるんじゃないの?」
「まぁ心配いらんだろ。」
こんな会話で朝を迎え、
本当に朝まで風呂で寝ていた。
この会話でもわかる通り、
冬なのに「また」とか「心配いらん」という言葉が飛び交う程、
彼にとっての「風呂で寝る」は日常だったのである。
そんな彼のあだ名は
「風呂で寝る夫」
や
「ロード・オブ・オフロンティス」
だった。
後者は《アトランティスの王/Lord of Atlantis》にかけてつけられた名だ。
大会に遅刻してきた事もあったが、その理由も
「風呂で寝ていたから。」
だった事がある。
その時の周囲の反応は、
「またかよ。」
だった。
特異体質なのだろうか。
Tは真冬でこの風呂で寝る癖があっても、
全く風邪を引かなかった。
Tはインフルエンザにもコロナにも罹らないだろう。
本人からは、
「さすがに冬は寒い」
という謎の台詞だけが出てくるだけで終わっている。
なんだか雪山で遭難しても平然と生きて帰れそうだ。
短期間コールドスリープでもしているのかと思うような男だった。
一度この男は学会で遺伝子を調べてみたほうがいいような気がする。
もしかすると医学の発展に繋がるのではないかと、
本気で思う程に変わった男だった。
彼の名が「風呂で溺死」というニュースで流れない事を祈ろう。
本日の教訓:風呂で寝るな。
ではまた。








