時には昔の話をその4
ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。
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はじめまして。いつも楽しくこらむを読ませていただいています。
私もミラージュ・ブロック~インベイジョン・ブロックで
マジックをやっていましたが、
加藤英宝さんのこらむをみて、
またやりたくなってきました。
そこでご質問です。
長らくマジックをやられてきた経験から
昔のマジックと今のマジック
それぞれの良い所を教えてください。
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昔のマジックと今のマジックの良いところをそれぞれ。
昔・・・っていつくらいの事をさせばいいんだろう。
今回はこの質問者様の時代くらいを目安くらいにしてみよう。
参考までに全てではないけれどもこの年に出たセットをちょっと書いてみよう。
1996年:ミラージュや日本語版第四版
1997年:ビジョンズやテンペスト
1998年:ウルザズ・サーガやエクソダス
1999年:マスクスやウルザズ・レガシー
2000年:インベイジョンやプロフェシー
今・・・これは2022年を基準に過去4年くらいの範囲でいいかな?
こちらも参考までに発売されたセットをちょっと書いてみた。
2022年:ネオ神河やニューカペナ
2021年:イニスト2種、ストリクス、フォーゴトン、カルドハイム
2020年:イコリア、テーロス還魂記
2019年:エルドレイン、灯争大戦
2018年:ドミナリア、ラヴニカのギルド
すごいなぁ。
何がすごいってこの年代の部分だけで20年もの開きがある。
この間の全てのエキスパンションを経験してきたプレイヤーなんてかなりレアなはずだ。
自分自身がそうなので、
言ってしまうと自画自賛になってしまうが、
これ全部経験している人って、
「MTGの生き字引」
って言える気がする。
1996年からMTGやっている人って、
「MTG歴が四半世紀を超えている。」
という人になる。
その人が仮に25歳からやっていたら人生半分、
25歳以下からやっている場合なら人生の半分をゆうに超える時間のMTG歴。
どのくらいMTGにどっぷり浸かってきたかはそれぞれだけれども、
MTG歴25年超えでかなりのどっぷりなら、相当な知識と経験の人のはず。
さて、本題に行こう。
1996年~2000年くらいのMTGの時代の良いところ。
そりゃもうこの時代と言えばインターネット黎明期。
この時代の面白さと言えば、
「ネットが普及していないから、わけのわからんオリジナルデッキが大会を制する。」
まずはこれだ。
これは大会だけの話ではなくて、
昔は情報の仕入先がないので、
今みたいにネットでデッキ探してとりあえずコピーという人が少ない。
結構みんなオリジナルのデッキをそれぞれに作ってくる。
そして謎めいたオリジナルデッキがいっぱい生まれて、
大会で優勝する事もあった。
今や見る事も無いと言ってもいいだろう。
60枚でデッキを組むのが基本ルールなのに、
《機知の戦い/Battle of Wits》さえ出ていない時代に、
デッキが500枚の奴とか。
(もちろん5色デッキだ。)
情報の少ない時代の個性は本当に面白さがあった。
次。
ファンタジーとしての良さ。
「旧枠っていいよね!」
の一言で終わりにしても良いのだけれども、
ミラージュ~テンペストあたりの時代+それより昔の時代は、
こうなんと言えばいいのか、
「次に入るダンジョン何があるんだろ?」
「あの宝箱開けたら何入ってるんだろ?」
って思うようなワクワク感があった。
これは思い出補正ではなく、
この頃の世界観の良さ。
第四版あたりだと
・「ネビニラルって誰?」
・「ミシュラとウルザってなんで兄弟戦争してたの?」
・「セラってセンギアと仲悪いの?」
というのがなんとなーくカードのフレーバーテキストでわかる。
このあたりのこういった雰囲気がたまらなく楽しかった。
ミラージュだと、
・「なんかいきなり南国っぽい世界が登場した。」
・「とりあえずケアヴェクが悪い事しているみたい。」
・「マンガラやアズマイラって誰よ?」
・「フレーバーテキストの夜と昼の恋歌がいい味出してる。」
という感じ。
こういう世界の中で、
色々なドラゴンは飛び交い、
《夜のスピリット/Spirit of the Night》
《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
のようなファンタジー感とロマン溢れるカードが登場。
もうファンタジー好きにはたまらない魅力があったと言っていい。
今は忘れ去られてしまっているが、
《夜のスピリット》は
同セット、ミラージュのコモン、
《アーボーグの豹/Urborg Panther》
《吐息の盗人/Breathstealer》
《残忍な影/Feral Shadow》
の3枚を並べて生贄に捧げると、
ライブラリーから直接場に出せるという特殊召喚モードがあった。
MTG史上初の特殊召喚カード。
《アーボーグの豹/Urborg Panther》
コスト:2黒
クリーチャー — 夜魔(Nightstalker)・猫(Cat)
(黒),アーボーグの豹を生け贄に捧げる:
アーボーグの豹をブロックしているクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
名前が《残忍な影/Feral Shadow》であるクリーチャーと、
名前が《吐息の盗人/Breathstealer》であるクリーチャーと、
アーボーグの豹を生け贄に捧げる:
あなたのライブラリーから名前が《夜のスピリット/Spirit of the Night》であるカード1枚を探し、
そのカードを戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
2/2
ちなみに上記の3種のクリーチャーはどれもコストは「2黒」で、
《夜のスピリット》のコストは「6黒黒黒」になっており、
ちょうど3種のクリーチャーのコストを足した数字になっている。
なお、パワーとタフネスもちょうど足し算した合計。
とても面白いデザインが成されていた。
この《夜のスピリット》はルール変更により、
現在クリーチャータイプは
「デーモン(Demon) スピリット(Spirit)」
になっている。
《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》でコストを踏み倒せるようになった。
もっともデッキに入れるには少々厳しいものがあるが。
この《夜のスピリット》は当時を経験している人ならほぼ誰もが知ると思う。
「夜スピ」の愛称で親しまれていた。
真面目に考えれば9マナ6/5飛行なんてものは、大して強くもないのだが、
「夜スピ」なんていう愛称までもらえるほど愛され、
そして、何人もの人が使おうと努力したカードでもあった。
ただ、笑える事に、プロテクション(黒)を持っているので、
当時の釣り竿、
《動く死体/Animate Dead》&《Dance of the Dead》

で釣る事が出来ず、多くの人が夜スピを使うために工夫を凝らしたという。
いかん、夜スピだけで長文を書いてしまいそうだ。
このままじゃインベブロックまで話が行かない。
次の部分にも話を持っていこう。
一部のカードのぶっとんだカードパワー。
これだけは別に今もぶっとんだカードが出てくるので、
今も今で楽しいのであまり話題にしてもしょうがないか。
でもなぁ。
《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》
《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
《時のらせん/Time Spiral》
《意外な授かり物/Windfall》
《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
《直観/Intuition》


あたりのイカれっぷりはすごかったしなぁ。
《神秘の教示者/Mystical Tutor》
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《水蓮の花びら/Lotus Petal》




あたりの初出もこの時期だし。
黎明期ならではのイカれっぷりがあったと言えばいいだろうか。
刺激的で楽しいカードが出たというのは間違いなかった。
あと、インベブロックで一気に爆発したのはマルチカラー。
それまでのセットでは
「なんかたまに出る」
程度だったマルチカラーのカードが一気に変化した。
スタンダードの環境も突然に単色は消え、
マルチカラー全盛の時代に入ったのも面白かった。
特にこの当時のスタンダードやブロック構築は人気があり、
今でもこの環境をプレイして懐かしむ人がいる。
そして、この当時のGP神戸は本当に盛り上がった。
あれほど熱いブロック構築は二度と見る事は無いかもしれない。
今では高額になりなかなか出来ないもので、
経験するのすら難しいのだけれども、
・インベイジョン
・プレーンシフト
・アポカリプス
でやるドラフトは本当に楽しかった。
最高の楽しめたブロックだった。
次。
DCIレーティング
そして最後にこの時代と今の差での面白さの1つといえば、DCIレーティング制度だ。
詳しくは以下のこらむに書いてあるが、
フォーマットごとで自分が県、日本、世界で何位かわかる制度だ。
いい制度であったのだが、移行先のプレインズウォーカー・ポイント制度も含め、
現在では廃止されてしまっている。
次からは今の良いところを。
市民権を得た事。
昔は「TCG?なにそれ?」だったものが大きく変わった。
MTGだけに限った話ではないけれども、
多くのTCGが世間一般にそれなりに知られるようになったのは大きい。
そのうえで楽しんでくれる人が増え、
遊び相手を増やせるチャンスも増えた事も良い。
面白いとはちょっと違うけれども、
面白さに繋がる要因なので最初に挙げさせてもらった。
フォーマットの普及
1996年~2000年と比べて面白いという点なら、
それはもう迷わず
・EDH
・オールドスクール
の2点を挙げたい。
1996年の時点でもオールドスクールのカードプールは確定しているのだけど、
この遊び方が生まれていたわけではなかったので。
EDH
EDHの良いところは、
「今まで見向きもされなかったカードに可能性が生まれる。」
という一点。
下位互換カードであっても考慮の余地が生まれる事はかなり面白い。
1対1とは違った形でのカードの需要は本当にMTGを面白くさせた。
ただ、何よりも、
これだけMTGを長くやってきて、
仕事にもしてきた立場としては、
「トーナメントで活躍出来ないで捨てられてしまう8割のカード達に、
使われる可能性を見出す事が出来た。」
という事が嬉しく、
そしてそれによって使われる事の無かったカードを使う経験が楽しい。
代表的な1枚を挙げると《艦長シッセイ/Captain Sisay》。

《艦長シッセイ/Captain Sisay》
コスト:2緑白
伝説のクリーチャー — 人間(Human)・兵士(Soldier)
(T):あなたのライブラリーから、伝説のカードを1枚探す。
そのカードを公開し、あなたの手札に加え、その後ライブラリーを切り直す。
2/2
レア
このカードの能力は最初は大した事が無かった。
(初出の時点での伝説カードが少なかったので。)
もちろんトーナメントシーンで活躍する事など無かった。
しかし、今はと言えば、
ルール改正によりプレインズウォーカーは伝説カード扱いになり、
さらには伝説のソーサリーなんてものも出てきた。
シッセイさんはなんでもかんでもサーチ出来るツワモノになった。
EDHでも「あいつは侮れない。」と目されるジェネラルとしての立ち位置を確立。
そしてそれに伴って、いくつもの伝説カード達がデッキで採用されるようになった。
このEDHの面白さはもう格別と言っても良い。
理由の1つとして、
「同じデッキを見る事がまず無い。」
という事。
競技レギュレーションではよくある事で、
「ネットで探してきたデッキをコピーするだけで、
皆同じデッキを使っている。
極論、状況次第では下手くそでも上手な人を負かしてしまうし、
多様性も個性もまったく無い。」
という情報化社会の弊害のような事がある。
実際のところEDHでも特定のアーキタイプは存在しているし、
単純にコンボを決めに行くだけのデッキでは全て同じ構成に出会う事も無いとは言えない。
けれどもEDHを楽しむ多くの人というのは、
「好きなカードで好きなように組んでいる。」
のようなケースは多い。
もちろんある程度戦えるように努力もしているはずだ。
この点が面白い。
「こんなデッキ見た事ねえ。」
「あのカードにこんな使い方があったのか!」
「あのジェネラル使ってこんな事が出来るのか!」
もう発見だらけだ。
これの面白さの最高の部分というのは、
まさにMagic the Gatheringだと思うところ。
Magic the Gatheringというゲームは
「あなたは魔法使い。
自分だけの魔法(デッキ)を持って戦いなさい。
世の中にはあなたと同じような魔法使いが沢山いる。
その中で最強の魔法使いを目指しなさい。」
という雰囲気で作られている。
EDHには
「ジェネラルという使い魔を従え、
数々の呪文や生物の魔法を1つ(99枚)にまとめあげ、
それを持ってして多くの魔法使いに戦いを挑む。」
という雰囲気がありありと出ている。
なんだかEDHを推し推しする文章になってしまったけれど、
昔は無かった面白さとして格別である事は間違いない。
オールドスクール
オールドスクールはそれとは逆で限られた世界での戦いではあるものの、
「昔はこんな時代だった。」
を経験しながら、
「過去のMTGのアドバンテージを得る事の難しさ」
を体感するのは面白い。
1枚のカードパワーで勝負が決まる事が少なく、
しっかりとプレイングを磨くには良い世界だ。
こちらはこちらで面白い。
「昔の印刷以外認めねえからな。」
という縛りはとても面白い。
太古の世界を味わう中でこのルールのおかげで、
非常に深みのある遊び方となっている。
皆のデッキを見ているだけでも楽しいのだが、
やはり何よりも大きい点は前述の通り。
アドバンテージを得る事が難しいという一点。
これをプレイングでカバーしなければいけないので、
必然、よく考えるようになる。
雑に強いカードを叩きつければ勝てる事があるレギュレーションとは大きく違う。
しっかりと丁寧なプレイングが出来るように心がける事で、
実力の底上げが出来る世界だと言える。
本当にMTGで強くなりたいのなら、
この世界を見ておいて損はない。
ついでにマジ○チの世界ではアルファ40がある。
これは面白いのだが、一般的ではない事は間違いない。
「αのカードだけで40枚のデッキを作れ。
制限はない。5枚でも8枚でも同じカードを突っ込めるぞ。」
という世界はあまりにも一般的ではない。
これを緩和して、
という「CSS(Card Shop Serra)ルール」というのを提唱し、
このルールでならやってくれる人が何人もいたが、
それでも狭き門だ。
現在、昔に無かった3つの遊び方を書いてみたが、
他にもいくつかの遊び方が増えた事はMTGの面白さを大きく変えた。
ちょいと辛口な言い方をすると、
昔のMTGは
「スタンダードにあらずは人にあらず。」
という雰囲気すらあった。
昔から
・ヴィンテージ(当時はType1と呼ばれた。)
・レガシー(当時はType1.5と呼ばれた。)
・エクステンデッド(今のモダンみたいなもの。)
・スタンダード
・リミテッド
・キューブドラフト(昔に無かったのにやっていたのだ、店主は。)
この全てをやっていた自分はかなりの異端だった。
いや、今も異端か。
ただ、異端が否定されなくなったのは嬉しい。
MTGが市民権を得た事で、
多くの楽しみ方が否定されなくなった事はとても喜ばしい。
とこんな感じに今と昔の面白さを書いてみたけれども、
お客様のご希望に添えられただろうか。
とりあえず質問者様、EDHやりましょ、EDH。
ではまた。
























