左慈
今回のお題は、
《嘲笑する仙人 左慈/Zuo Ci, the Mocking Sage》。
三国志では于吉仙人とともに、
不審人物デュオを結成している、
キングオブ怪しい人物。
(于吉仙人はカード化されていない。全く残念だ。)
こらむのネタとしては面白いが、
MTGを楽しむためにはいらない知識のオンパレード。

《Zuo Ci, the Mocking Sage / 嘲笑する仙人 左慈》
コスト:1緑緑
伝説のクリーチャー 人間(Human) アドバイザー(Advisor)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
嘲笑する仙人 左慈は、馬術を持つクリーチャーによってはブロックされない。
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レア
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英語発音というか中国語発音は
たぶん「ズォチィ」くらい。
姓は左
名は慈
字は元放
三国志正史に名が残っているくせに、
生没年不詳。
まず、正史と呼ばれる、
正式な歴史書のはずの書物に、
正常な事が一切書いていない左慈。
登場からしていきなりで、
曹操の宴席に招かれ、曹操が
「江東の鱸(スズキ)が欲しい」
と言うと、
突然、銅製の水盤から鱸を釣り上げた。
曹操は驚きながらも喜び、
「食べるの自分だけじゃないからもっと出せ」
と言ったところ、
たちまちのうちに2匹目を釣り上げた。
悪ノリしてしまったのか、
曹操は、
「巴蜀の生姜も欲しい」
と、さらなる無茶な要求をしてみた。
すると、左慈は突然席を外し、
すぐに巴蜀産の生姜を持って帰ってきた。
もう何を言っているのかわからない。
どうしてこんな意味不明な事を歴史書に記しておくのかも謎。
ある時、左慈は曹操の従者数百人に、
携帯していたお酒と干し肉を配りまくるという謎の行動に出る。
しかもいくら配ってもお酒も干し肉も減らない。
何処かの国の、石をパンに、水をワインに変化させる詐欺師のようだ。
曹操がこれを不審に思い、倉庫を調べてみると、
お酒と干し肉がすっからかん。
曹操はこれに激怒し、左慈を捕縛しようとするが、
左慈はふらふらと歩いて壁の中に消えたという。
その後、街中で左慈を見つけたというので、
行ってみると、街中の人々が左慈だったというこれまた怪しいストーリー。
またある時は、曹操は陽城(ようき)山の山頂で左慈に会ったという話を聞いた。
早速、兵とともに現場に向かったが、
左慈は羊の群れの中に逃げ込んだ。
曹操が
「待ってくれ。殺す気はない。貴方を試しただけだ。」
と言った途端、
羊のうちの一頭が二本足で立ち上がり、
「何故だ?」
と人語を話した。
曹操、間髪をいれずに
「捕らえろ!」
と兵に命令するが、
(どうみても殺す気満々の曹操)
周囲にいた羊が全て二本足で立ち上がり、同じように
「何故だ?」
と話した。
結局、曹操は左慈を捕らえる事が出来なかった。
このお話のように、
動物が集団で二本足で立ち上がり、
人語を理解するという奇怪な現象は、
現代ではエ○クトリカルパレードと言うらしい。
このエレクト○カルパレードを追いかけようとすると、
知らない間に原価30円以下のポップコーンを500円で買わされているという、
とても変わった怪奇現象に遭う人もいるとか。
また、
とある場所では、
ネズミや犬が二足歩行だけでは飽きたらず、
服を着て踊り狂うという狂気じみた行為が日常的に行われているとも聞く。
筆者はこれについては詳しくないのだが、
この狂気じみた行為を俗称ではサバトと呼ぶらしい。
もちろんこれも左慈の仕業に違いないだろう。
不思議な事にこのサバトに参加したい人は多いという。
と、ここまでが正史のお話。
正史だからと言って、
必ずしも真実が書いてあるわけではないとはいえ、
(今と違って科学が発達していない時代だからなぁ。)
こんなデタラメが書かれているのも不思議だ。
下記はさらにぶっとんだ演義でのお話。
峨眉(がび)山で30年修行をした後に、
石壁の中から遁甲天書(とんこうてんしょ)三巻見つけて、
方術が使えるようになったと、
いきなり仙人デビューをかます。
現代でこのような事を言い出せば、
高確率で鎖のついた病棟行きである。
左慈は、江東から華北に向けて蜜柑を運んでいた人々の前に現れ、
荷物が重いと愚痴をこぼす人たちに、
怪しい方術を使い、荷物を軽くした。
荷物が曹操のもとに到着後、
曹操がその蜜柑の皮を剥くと中身は空。
ところが、
左慈が剥くと果汁がこぼれ落ちるほどの果肉が出てくる。
この事をきっかけに左慈の方術に興味を持った曹操は、
左慈を宴席に呼んで酒と肉をふるまった。
すると左慈は酒5斗を飲んでも酔わず、
羊を1頭を食べても食べ足りないと言うし、
全く太らないときた。
左慈はその席で曹操に向かって、
「貴方が国を治めるよりも適した人がいる。
それは劉玄徳だ。
貴方は引退して彼に天下を譲り、
仙人になってはいかがか?
そうするのならば遁甲天書を譲りましょう。」
と言ったため、
曹操が大激怒。
(お酒と肉をごちそうになっているのに失礼な左慈。)
左慈は投獄させられてしまう。
しかし何度拷問しても全く苦しむ様子がなく、
むしろ拷問していた獄吏のほうが疲れてしまうという有様。
それから少しの時間が経ち、
左慈の様子を獄吏が見に行くと鎖が外れている。
それならばと今度は何日も食事を与えなかったが、
どういうわけか左慈は日に日に血色が良くなっていった。
その後も左慈は曹操により投獄され続けるが、
(それだけの回数捕まって、それだけの回数逃げ出しているのか、左慈。)
ある日、曹操が開いた宴に忽然と現れ、
巴蜀の地方で手に入る酒と肉を持ち込み、
鱸を絵に描いただけで取り出し、
杯に入っているお酒を、モーセの海割りのように、
真っ二つに割って、その片方を飲み干したり、
(残った半分は重力に逆らっているように綺麗に半分だけ縦に残っている。)
さらに燃やしたはずの孟徳新書(曹操の書いた兵法書)を
いきなり取り出してみたりと、
ここでも曹操の前で謎のショーを開催している。
曹操が半分だけ残った杯を不気味に思い、
「こんなものが飲めるか!」
と杯を左慈に投げつけるとお酒は一羽の鶴になって、
左慈はいつの間にか姿を消してしまった。
曹操は許褚(きょちょ)に命じて逃げた左慈を追跡する。
程なくして許褚は歩いている左慈を発見するが、
追いつこうとしても一向に距離が縮まらず、全く追いつかない。
やがて左慈は羊の群れの中に紛れ込んだが、
どれだけ探しても左慈の姿が発見できなかったので、
許褚は羊を皆殺しにした。
(動物愛護団体に怒られそうな許褚。)
その光景を見ていた羊飼いの牧童が泣いていると、
「首と胴をもう一度くっつけてみろ」
と左慈の声が聞こえたため、
牧童がその様にすると羊は全て生き返り、
平然と動き出した。
この報告を受けた曹操は似顔絵を撒いて左慈を探させ、
発見次第首を刎ねようと考える。
左慈はすぐに発見されるが、
同じ顔が200~300人も集まってしまった。
仕方なく曹操は全員の首を刎ねさせる。
すると斬られた首が青い煙となって天に昇り、
瞬く間に左慈の姿となり、左慈は白鶴を呼び寄せ、その背中に乗り、
曹操の死を予言したあと、
笑いながら何処かへと去っていった。
そして激しい突風が吹くと、
首を刎ねられた死体が一斉に曹操に襲いかかり、
曹操は昏倒して病に伏す事となる。
(襲いかかった死体がどうなったかは不明。)
これが演義でのお話。
正史以上の壊れっぷりである。
ただ、どういうわけか正史では捕まらない左慈は、
演義では「何度か捕まって、全て逃げ出す」という、
どこかの泥棒三世のような事をやっている。
と、思いきや、
後半はただのゾンビマスター。
何を思ったかゾンビでエレクトリカル○レードしている。
MTGの《嘲笑する仙人 左慈/Zuo Ci, the Mocking Sage》はハッキリ言って激弱。
3マナかけて1/2で呪禁。
馬術にはブロックされないと言っても、
そもそも馬術の生物などまず出て来ない。
つまり3マナ1/2呪禁で終わりに近い。
EDHでこれを使うクレイジーなデッキがあったら見てみたい。
ただ、
呪禁と馬術にブロックされない能力は、
「捕まえられない」
という正史や演義の記述に近いものを作ったのだろう。
「馬で追いかけても捕まえられない」
と言いたいのだろうが、いかんせん弱い。
で、左慈は仙人というお話なので、
パワーは無いだろうという事で1。
使えるかどうかとは別で、能力に納得は出来る。
ついでだから、
「対戦相手の呪文や能力で手札から落とされたら手札に戻る。」
という能力も追加しておけば面白かったのに。
この能力がついていたら、
《魏公 曹操/Cao Cao, Lord of Wei》の能力で手札から落ちても戻るだけに、
より左慈らしさが出る。
ところで、
理由は全くわからないが、
この左慈という怪しいジジイは、
曹操にだけ絡んでいる。
だいたい、曹操に向かって
「天下を治めるなら劉備のが適任」
なんて言おうものなら、
曹操が激怒する事くらい、
仙人じゃなくてもわかるはずだ。
こういう事をしておきながら、
何度も曹操の前に姿をあらわす。
どうみても曹操をからかって遊んでいるとしか思えない。
ただ、三国志の登場人物の中で総合力最強の曹操でも、
この左慈の扱いは難しかったのだろう。
もっとも、最初の時のように、宴会の席での飲み仲間で止めておけば、
こんなわけのわからないトラブルにはならなかったはずだ。
サジ加減を間違ったに違いない。
曹操の気持ちとしてはサジを投げたい気分だっただろう。
とはいえ、曹操は些事では済ませられなかったに違いない。
ではまた。








