MTGの歴史・再録禁止について。
今回は再録禁止リストについて。
再録禁止リストとは、
「Official Reprint Policy」
(オフィシャル・リプリント・ポリシー、各単語の直訳で公式・再版・方針)
に規定されている、
WotC社が公式に再版を禁止しているカードリストの事。
最初のセットであるリミテッド・エディションから、
ウルザズ・デスティニーまでのセットの一部のカードがこのリスト入りをしており、
強いカードも弱いカードも様々。
どうして弱いカードまで入っているのかというと、
この再録禁止リストの根本的な目的が、
「シングルカードの販売者や購入者に対して、
再版によって指定されたカードの価値が暴落する可能性が無いと約束する」
という姿勢を見せるためで、
ゲームバランスの調整や崩壊といった事とは無関係だから。
そのため使用用途不明のカードでも再録禁止は再録禁止。
時々そういうカードにおいては上位互換が出る事もあるかもしれない。
過去の優秀なカードの再版を望むプレイヤーにとって邪魔でしかないが、
逆にこれらのカードを扱うショップやユーザーにとっては重要な生命線でもある。
そのため、もしこれを撤廃した場合、
WotC社が社会的な信用を落とすことは間違いなく、
訴訟大国とまで言われるアメリカにおいて、
これの撤廃はWotC社にとって危険だという話が常識と言えば常識となっている。
●1993年のMtGの始まりから再録禁止リストの成り立ち(1993年から1996年)
最初のセットであるリミテッド・エディション・アルファ。
アルファでのミスやカットなどを直したリミテッド・エディション・ベータ。
リミテッド(限定)から限定解除を意味する第2版である、アンリミテッド。
この基本セットに加えて、
アラビアンナイトからザ・ダークあたりまでのセット。
これらのセットから再録の歴史が始まる。
再録のセットであるリバイズド、
その頃はMtGは大きな知名度は無く、
再録にもこれといって問題が起きる事が無かった。
しかし、第4版とクロニクルの発売で大きな変化が起きる。
レジェンドなどに収録された当時の高額カードが再録により暴落し、
それまでに高額カードを集めた人達が大打撃を受けた。
取り分け問題となった中の代表格は、
《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》ではないかと思われる。
当時としてはコストパフォーマンス最高級のクリーチャー。
これがクロニクルで簡単に入手可能になった事は、
賛否両論だった事だろう。
その結果として、
WotC社は
「Reserved List(再録禁止リスト)」
の制定を発表。
●最初期の再録禁止リスト(1996年3月から1999年9月)
最初に発表された再録禁止カードのリストは
「第4版に収録されなかったリミテッド・エディションの全カード」
「白枠(リバイズド、第4版、クロニクル)で再録された事が一度も無い、
アラビアンナイトおよびアンティキティのアンコモンとレア」
「白枠で再録された事が一度も無いレジェンドおよびザ・ダークのレア」
(厳密に言うとザ・ダークやアラビアンナイトやアンティキティにはレアの概念がないが、
アンコモン2等の出にくいレアリティのものをレアとして扱うものとした。)
また、今後の方針として
「クロニクルとフォールン・エンパイア以降のエキスパンションで、
最も稀少度が高いカードの白枠での再録は25%を超えないようにする。」
とされ、次の基本セットに収録されなかったそれらのセットのレアは、
再録禁止カードに追加されることが告知された。
●1999年の改定(1999年10月から2002年7月)
第6版発売に際し、再版ポリシーが改定された。
メルカディアン・マスクス以降のカードは元々のイラストのままで、
黒枠で再版する事もあると変更された。
Foilカードがポリシーの対象外として扱われるようになったのも同時期。
この改定で、第5版に再録されなかった、
フォールン・エンパイアおよびホームランドのアンコモン1と、
第6版に再録されなかったミラージュ・ブロックのレアが再録禁止カードリストに追加され、
それらのカードが再録禁止であることが明確化された。
しかし、アイスエイジのカードは2002年の改定までリストに追加し忘れた。
他にもアンソロジーギフトボックスで、
既に再録されていた《聖なるメサ/Sacred Mesa》など、
上記の基準に該当するにもかかわらず、
再録禁止カードリストから漏れたカードも存在していた。
さらに《フェロッズの封印/Feroz’s Ban》は、
上記の基準に該当しないにもかかわらず再録禁止カードリストに掲載されていた
(2002年の改定で《フェロッズの封印》は再録禁止リストから削除された。)
ついでに書いておくと、
《フェロッズの封印》は第5版と第7版に再録されており、
(第5版の発売は1997年3月、第7版の発売は2001年4月)
カードそのものが涙が出る程弱いので、
おそらく世界中の誰もが気にしなかった。
この《フェロッズの封印》はその後、
2004年頃の
「マジック歴代最悪カードランキング」
で36位という不名誉な賞をもらっている。
当時でも5000種はあったカードの中の下から36位をもらってしまう、
ガッカリなカードだったのだ。
このフェロッズというプレインズウォーカーは、
ストーリー上はそんなに弱くないのだが。
なお、フェロッズの名を冠したカードはこれ1枚のみ。
話を戻すと、
この時期の再録禁止リストは一言で表現するなら「ぐだぐだ」
だったわけだ。
条項が不明瞭で抜け道もあり、
しかも抜け漏れもあったという。
当然の事ながら、
「Foilは再録禁止の対象外」
は反発を招いた。
●2002年の改定(2002年7月-2010年3月)
2002年3月1日に
「リミテッド・エディションのコモンとアンコモンを再版できるようにするべきか?」
というアンケートを実施。
その後、2002年7月19日に再録禁止リストの改定が発表された。
この改定でこれまでの方針通り、
第7版に再録されなかった、
テンペスト・ブロックとウルザ・ブロックのレアの一部が再録禁止カードリストに追加された。
また、前述のアンケートで91%の賛成票があった事から、
リミテッド・エディションのコモンとアンコモンが再録禁止カードリストから除外された。
そして、カード枠に関する方針が廃止されるとともに、
今後再録禁止リストは更新されないことが発表された。
2002年9月発売のオンスロートで、
再録禁止カードから除外されたアンコモンだった《クローン/Clone》がレアで再録された。
この年の改定は今までの中でも非常に大きな改定だった。
第一版であるリミテッド・エディションから、
コモンとアンコモンは何であろうとも再録OKになった。
この改定により、
《心霊破/Psionic Blast》
《陥没孔/Sinkhole》
《新たな芽吹き/Regrowth》
といった優秀なカードが再録可能となり、
アンケートの結果からも喜ばれたという事だろうと思われる。
この時に再録可能になったカードは以下の通り。
・《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》
・《狂暴化/Berserk》
・《Camouflage》
・《クローン/Clone》
・《土地の聖別/Consecrate Land》
・《Copper Tablet》
・《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
・《ドワーフ爆破作業班/Dwarven Demolition Team》
・《Earthbind》
・《False Orders》
・《Guardian Angel》
・《Ice Storm》
・《不可視/Invisibility》
・《翡翠像/Jade Statue》
・《巨大戦車/Juggernaut》
・《Lance》
・《Living Wall》
・《Nettling Imp》
・《心霊破/Psionic Blast》
・《新たな芽吹き/Regrowth》
・《蘇生/Resurrection》
・《Sacrifice》
・《陥没孔/Sinkhole》
・《太陽の指輪/Sol Ring》
これらは統率者やマスターズシリーズ等様々なセットで再録されている。
リスト化するととてもわかりやすく、
このリスト内で、
現時点で英語名しか存在しないカードが再録されていないカード。
日本語名があるものは1度以上再録されたもの。
●2010年の改定(2010年3月-2020年現在)
Foilカードは再版ポリシーの対象外であることから、
Foilカード限定ならば再録禁止カードを再版することが可能であった。
この例外事項を適用した最初のカードは、
ジャッジ褒賞の《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》だった。
この例外事項が適用された商品は、
(商品と言った場合はジャッジ褒賞は除く。)
・デュエルデッキ:ファイレクシアvsドミナリア連合:
《ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator》
・From the Vault:Relics
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《記憶の壺/Memory Jar》
《マスティコア/Masticore》
《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》
の上記5枚。
この例外事項による再録禁止カードの形骸化を懸念する声から、
2010年3月にWotC社は
2010年中にFoil・カードで再版される再録禁止カードのリストを挙げた上で、
「2011年以降はFoil・カードのみによる再録も行わない。」
と発表した。
●2020年の今。
2010年から2020年まで、
再録禁止リストは一切の変更をしていない。
もうちょっと突き詰めて言うと、
2002年のコモン・アンコモンを再録OKにした変更がとても大きく、
2010年の変更は再録禁止リストの一覧のカードが増えたわけでも減ったわけでもない
「元の状態に戻した。」だけとも言える。
つまり、
再録禁止リストのカード一覧そのものが最後に変化したのは2002年であり、
そこから現在までの18年間は一覧に変化がない。
リストの変更は無いものの、
この長い時間の中、
今まであったレギュレーションの環境の変化と、
今までに無かったレギュレーションの発足により、
再録禁止リストに入っているカードの値段は大きく変動した。
その影響の強さ故か、
世界中のMtGプレイヤーの中で、
再録禁止についてどうあるべきかという事が、
カードの高騰が起きるたびに話題に上がる状態になっている。
また、
近年日本国内で見受けられる異例の事としては、
「MtGを知らない者が投機目的で高額カードを購入。」
という事も起きている。
以上が再録禁止の歴史。
お次はこれについての考察などを予定。
ではまた。











