アラビアンナイト7
アラビアンナイトのお話。
今回のお話は《黒檀の馬/Ebony Horse》。
《黒檀の馬/Ebony Horse》
コスト:3
アーティファクト
2、T:あなたがコントロールする攻撃しているクリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。
このターン、そのクリーチャーに与えられる戦闘ダメージと、
そのクリーチャーが与えるすべての戦闘ダメージを軽減する。
アラビアンナイト:アンコモン
ほとんどトーナメントで使われる事がないガッカリカードの1つ。
少なくとも自分はトーナメントで場に出された事はない。
出した事もない。出したいとも思わない。
コストが2、起動が1でも使わない。
アラビアンナイトが初出、
その後3rd(Revised)と4thに再録されている。
前回の《Ring of Ma’ruf》ほど長くはないものの、
相変わらず興味のある人だけ読んで下さいという内容。
むかーしむかし、ペルシャにサブールという名の王がいた。
王には3人の美しい王女と、
カマララクマールという名の1人の美しい王子がいた。
(なんて発音しにくい名前なんだ。)
ある春のお祭りの日、
3人の学者が各自、王に自慢の逸品を献上した。
インドの学者の献上品は「黄金のラッパを持った黄金の人形」で、
その人形は遥か彼方の敵を見つけラッパの音で追い払うものだった。
ギリシャの学者の献上品は「黄金の24羽の雌孔雀と1羽の雄孔雀」で、
24羽の雌孔雀は1日の24時間を表し、
雄孔雀が1時間ごとに別の雌孔雀の上に載り時を知らせる時計であり、
ペルシャ人の献上品は《黒檀の馬》で、
それに乗れば空を飛んでどこへでも行けるというものであった。
サブール王は喜び、学者たちの希望に従い、
3人の姫をそれぞれ結婚させることにした。
しかし、ペルシャ人の学者と結婚することになった末の王女は、
相手が非常に高齢な醜い老人だったので結婚を嫌がり、
「私はあのような者と結婚するのは嫌です。」
と泣き出してしまった。
相談を受けたカマララクマール王子はサブール王に結婚の中止を申し出たところ、
王は《黒檀の馬》のすばらしさを見れば、
王子も考えが変わるだろうと言ったので、
王子は《黒檀の馬》を試すことになった。
(《黒檀の馬》の素晴らしさと結婚相手の外見は別だろうに。
それに王子の考えが変わっても末の王女の気持ちが変わらない事には…)
ペルシャ人学者は結婚に反対した王子を快く思っていなかったので、
王子が《黒檀の馬》に乗った際に、まず上昇する栓だけを教え、
それを回した王子は《黒檀の馬》とともに上昇し戻ってこなくなってしまった。
(この学者は性格が悪いのはともかく、
意地悪したら間違いなく結婚できなくなるとわからないんだろうか。
だいたいそんな性格してるからその歳まで結婚出来なかったんじゃ…)
王は怒り、ペルシャ人学者を牢に入れた。
カマララクマール王子は遥か上空まで行き、死を覚悟したが、
下降の栓を見つけ《黒檀の馬》を制御することを覚え、空中の旅を楽しみ、
夜になってアル・ヤマーン(イエメン)の都サナの王宮の屋上に降り立った。
王子は王宮に忍び込み、
部屋の寝台で全裸で眠っている美しいシャムスエンナハール王女を見つけ、
そっと右頬にキスをすると王女は目を覚ました。
(住居侵入罪+強制わいせつ罪)
王子と王女は一瞬でお互いが好きになった。
(美男なら何をやっても許されるこの理不尽さ。)
その後、寝台の上で語らっていたが、
王子の進入に気付いた侍女と宦官が王に知らせ、
王は王女の部屋に来て王子をとがめた。
「明日、我が軍とお前が戦い、
お前が勝てば王女をくれてやる。」
と王様は言った。
翌日、戦いが始まると、王子は《黒檀の馬》に乗り空を飛んで逃げてしまった。
カマララクマール王子はペルシャの父王の王宮に帰り、
ペルシャ人学者を牢から釈放したが、
王女を忘れる事が出来なかった。
(やめておけばいいのに、何故学者を牢から解放するのか。)
王子は再び《黒檀の馬》に乗り、
アル・ヤマーンのサナの都の王宮に忍び込み、
王女と再会し、お互いの愛を確かめ、
王女と共に《黒檀の馬》に乗って、
自国の王宮の庭園に降り立った。
(文章では簡潔に書いているが、もちろん身体の関係があり、
やっている事はただのかけおちだ。)
王子は王女を王宮の庭園に置いてサブール王に報告に行ったが、
その隙にペルシャ人学者が庭園に入り、
《黒檀の馬》とシャムスエンナハール王女を見つけ、
王子の使いで王女を離宮に案内すると王女を騙し、
2人で《黒檀の馬》に乗って飛び立ってしまったため、
王子が庭園に戻った時には王女はどこにも見つからなかった。
王子は悲しみ、《黒檀の馬》とペルシャ人学者が消えていることから
ペルシャ人学者が連れ去ったのだと考え、王女を探す旅に出た。
(一男三女の王の家系で、簡単に人探しで旅に出られるような王家なのか。
そもそもこの王子、他国の王女をかどわかしてる時点で追われる身では?)
ペルシャ人学者はシャムスエンナハール王女を連れて《黒檀の馬》に乗り、
ルーム人の国に飛んで行き、
ある牧場に降り立ったが、ちょうどそのとき、その国の王が近くに来ていたため、
王の奴隷たちが学者を捕まえてしまった。
シャムスエンナハール王女が王にペルシャ人学者に誘拐されたと訴えたため、
ペルシャ人学者は土牢に入れられた。
王女は王の城に連れて行かれ、王から結婚を申し込まれた。
しかし、王女は、
カマララクマール王子と離れ離れになったことを悲しみ、
病気になってしまった。
王は数々の医者に治療をさせるが、
一向に王女の病気は治らなかった。
一方カマララクマール王子は王女を探す旅を続け、
ある町の宿屋で《黒檀の馬》とペルシャ人学者と美女の噂を聞き、
その町に行き、旅の医者と言って王に謁見し、
王女を診ることになった。シャムスエンナハール王女は、
カマララクマール王子を見るとすぐに病気が治った。
(それ、本当に病気だったんだろうか。)
王子は王に、《黒檀の馬》のジンが病気の原因で、
「再発を防ぐには、《黒檀の馬》が降り立った牧場に、
《黒檀の馬》と王女を連れて行きジンを封じる必要がある。」
と言って用意させ、
そのまま王女と《黒檀の馬》に乗って空を飛んで逃げてしまった。
(最初の頃にやらかした前科2犯に加えて、詐欺罪が加わる王子様。)
王は怒り、ペルシャ人学者を死刑にした。
カマララクマール王子はシャムスエンナハール王女と《黒檀の馬》に乗って、
ペルシャのサブール王の王宮に戻り、結婚した。
王子はシャムスエンナハール王女の父に手紙と大量の贈り物を送り、結婚したことを知らせた。
サナの王は喜び、カマララクマール王子は毎年贈り物を続けた。
(不法侵入とかけおちをするようなふしだらな男に対して、サナの王は寛大だ。)
サブール王は二度とこんな事が起きないように、
《黒檀の馬》を壊してしまった。
カマララクマール王子の末の妹は、サナの王の王子と結婚した。
カマララクマール王子、シャムスエンナハール王女をはじめ全員が幸せに暮らした。
(ルーム人の王だけないがしろにされているような気が。)
と、こんなお話。
一応めでたしめでたしで終わるお話なのだが、
簡潔に書くと、
「不細工が死んで、美男美女がくっついた。終わり。」
である。
よくよく考えてみると、
ペルシャ人の学者は贈り物をしたにもかかわらず、
何一つ恩恵をもらえなかったという状態。
不細工と高齢で結婚断られるのは仕方ないとしても、
サブール王は何か別なかたちで褒美を出しても良かったんじゃなかろうか。
アラビアンナイトに教訓は無いが
「不細工は損をする。」
という事なのだろうか。
実際、2000年前だろうが現代だろうが、
不細工が損をするのは間違いないのだが。
それはさておき、
《黒檀の馬/Ebony Horse》の能力は、
「自分の攻撃クリーチャーを戦闘から離脱させる」
という能力であり、
ちょうどこれが、
サナの王の軍と王子が戦い、
王子が逃げてしまうところが能力の由来になっている。
その後もジンを追い払うと言って、
王子が王女と逃げるところも能力的にはほぼ同じ。
アラビアンナイトのお話の中から、
どうしてこんな所からカードを作ったかは謎だ。
いや、作るのはいいとして、
ここまで使えないカードにする事は無かったんじゃ…と思ってしまう。
どこをどう考えても、
EDHでさえもこの馬を使う事は無いだろう。
このお話の中では王子は《黒檀の馬》を使って、
最終的には勝利している事になるが、
MTGの世界でこれ使って勝利出来るかと言ったら、
おそらく無理だろう。
そういえば、このカード、うちのお店で売れた記憶が無い。
ではまた。









