アラビアンナイト3

前回に引き続き、アラビアンナイトのスタート地点である《Shahrazad》のお話。

前回の終わりに書いた事ではあるが、
Shahrazad》(シャハラザド)とは女の人の名前。
アラビアンナイトの最初のお話は、こんな感じ。
あらすじを書くだけのわりに意外と長い。

昔、ある国に、シャハリヤールという名の王様がいたそうな。
この王様には弟がいて、弟は隣の国の王様。
ある時に弟が自分の国を訪ねてきたが、
随分落ち込んでいる。
その理由たるや、奥さんの浮気。
浮気をした奥さんの現場を見て、
その浮気相手の黒人ともども殺してきたというのだ。
そこで兄のシャハリヤール、
「気晴らしに狩りにいこう」
と誘うが、これを断り、兄のお城で鬱屈とする弟王。

兄は1人で狩りに行くが、
この隙を見計らい、兄王の奥さんも浮気を開始。
なんとこれが弟王の奥さんの浮気っぷりよりひどく、
女官や黒人奴隷なども含めた乱交パーティを開いている有様。
それを見た弟王は、
「なーんだ、自分の不幸はこれに比べたら・・・。」
とあっさり機嫌が治る。
(いいのか、それで。)

狩りから帰ってきた兄王、弟が元気になっているので、
理由を問い詰めた。
はじめのうちは沈黙を保っていた弟王も、
何度も聞かれるうちについ口を割ってしまう。
自分の妻の不貞を聞かされた兄王は、
「弟よ、旅に出るぞ。俺は自分より不幸な奴を見つけないとダメだ。」
と言って兄弟で旅に出る。
(これが国家の王たる人間の行動だろうか?この兄弟、王としての責任はどこへ・・・)

こうして旅に出た(無責任な)兄弟王。
旅をしてある時に、昼寝をしている魔人にを見つけた。
その魔人の傍らに棺おけが一つ。
なんと棺おけから綺麗なおねえさん(ゾンビじゃなく生身)が出てきた。
おねえさん、何を言うかと思いきや、
「私の伽相手をしなさい」
と、随分と大胆な発言。
魔人の女に手を出すなんて!と思った兄弟王は、
即座に拒否をするものの、
「私の相手をしないと魔人を起こして殺すわよ。」
と脅すので、兄弟は交互におねえさんの相手をした。

情事が終わってからこのおねえさん、2人に指輪を1つずつ渡した。
「この指輪は私と寝た人全てが持っている指輪です。
この魔人は私をさらって、支配下に置いているつもりですが、
女という生き物はどんな環境下にあっても自分の自由で生きるのよ。」
この言葉を聞いた兄弟王、
魔人でさえこの境遇、自分達の不幸なぞ、と思い帰国を決意した。
(キミタチはそんなに人の不幸が楽しいのか。)

さてさて、弟王はもう出てこないのでわからないが、
兄王シャハリヤール、帰国後にやった行動はまず、
自分の妻とその浮気相手の黒人奴隷、
乱交パーティに加わった全ての人を惨殺した。
そして、新しい奥さん(当然のごとく処女)を募る事だった。
しかし、シャハリヤール王、
夜伽が終わるとお相手の女の子をその場で殺すという、とんでもない行動に出た。
「人間不信、ここに極まれり」という感じだ。
ここまできているのに性欲は止められないあたりは、
人間とは業の深い生き物である。

後継ぎが生まれないんだが、それでいいのか?というツッコミはおいておくとして、
こんな事をやれば親は自分の子を守るために、
必ず国外脱出するに決まっている。
国内に若い女の子が激減し、
ついに大臣の娘が王の相手をすることになった。
(大臣、国外逃亡しないなんて忠誠心あるなぁ。)
この大臣の娘がシャハラザドである。

ここまできてやっとシャハラザドの登場だ。

大臣も殺されるとわかっていて、自分の娘を王になどやりたくない。
しかし、シャハラザド、
「大丈夫です、私は死にませんから。」
と意気揚々と王室に。
そして、いつものように夜伽が済むのだが、
ここでシャハラザド、
「最期の別れがしたいので、妹をお呼びしていいですか?」
と一言。
珍しく機嫌が良かったのか、王様これを承諾。

妹(名前はドニャザード)、
「お姉さま、いつものようにお話をしてくださいませ」
シャハラザドは知識教養が非常にあり、
文化や歴史など多くの物事に精通していた。
シャハラザドは王様と妹にお話を始めた。
話は大いに盛り上がり、
明け方になってしまったが、話はまだまだ終わらない。
多方面にわたる知者の話がつまらないわけが無い。
シャハラザドは若くともとても多くの勉強をした女性だった。

王様そこで一言。
「続きを聞かせろ。それまでは処刑しない。」
シャハラザドと妹は、
少なくとも次の日まで生き残る事に成功したのだった。

以降、夜のおつとめが終わるたびに何かしらお話を続けるのだった。
その間に子供も当然生まれ、約3年である1001日経った日、
シャハラザドは泣いて王に頼んだ。
「もうお話出来るお話がございません。
後継ぎも生まれましたし、処刑するのはご勘弁願えませんでしょうか」
長い3年の間に改心していた王はこれを快く承諾し、めでたしめでたし。
(過去に処刑された女の子が浮かばれないとか言ってはいけないし、
隣国の弟王はどうなったんだ?とかも言ってはいけない。)

このシャハラザドが1001日間お話をするのが、
「アラビアンナイト(千一夜物語)」であり、
アリババやシンドバッド、アラジン達は、
シャハラザドが話してくれる中の1つになっている。

マジックに話を戻すと、
Shahrazad》をうつと、
「《Shahrazad》(シャハラザド)のお話の世界」
につれていかれるという事。

シャハラザドの姉妹は「話がつまらなかったら片方が処刑」なので、
「《Shahrazad》のお話の世界」で勝てなかった人が、
同じように、「ライフが半分」。
これほど伝承を元にうまく作ってあるカードはなかなか無い。
同時にこれほどファンタジックなカードも無い。
このカードのデザインをした人は素晴らしいセンスしてると思う1枚。

マジックのアラビアンナイトのカードたちは、
このシャハラザド以外は全てシャハラザドのお話の中に出てくる。
ジンやイフリートの名前はスタッフの名前のアナグラムらしいが、
ジンやイフリートはアラビアンナイトの世界のそこらじゅうに出てくる。

話が長くなってしまったが、
これがアラビアンナイトのスタート。
「長いだけで話がつまらん!
店主は処刑だ!」
などと言わないように。

ではまた。

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