夏侯惇
今回のお題はポータル三国志より、
《隻眼の将軍 夏侯惇/Xiahou Dun, the One-Eyed》。
店主は三国志が大好きなので、
三国志カードばかりがこらむにあがるのはご愛嬌。
《Xiahou Dun, the One-Eyed/隻眼の将軍 夏侯惇》
コスト:2黒黒
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 兵士(Soldier)
馬術(このクリーチャーは、馬術を持たないクリーチャーによってはブロックされない。)
隻眼の将軍 夏侯惇を生け贄に捧げる:あなたの墓地にある黒のカード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
この能力は、あなたのターンの間で、攻撃しているクリーチャーが指定される前にのみプレイできる。
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レア
英語発音がわけわからない。
日本語と違って、英語版は中国語の発音をアルファベットにしただけなので、
非常にわかりにくい。
無理やりカタカナ表記すると「シャァホウ ドゥン」という感じらしい。
日本語の場合は「かこうとん」と読むのが一般的だが、
ものによっては「かこうじゅん」と書かれるものもある。
中国も日本も漢字という文化を持つため、
このあたりの読みには絶対は無いのでどちらでも問題はない。
三国志は日本では馴染み深い文化で、
武将名を日本語で音読みする事に慣れているだけに、
「シャァホウ ドゥン」は非常に違和感を覚える。
なお、曹操はCao Cao(カオカオ)で、
劉備はLiu Bei(リウベイ)、
孫権はSun Quan(サンクァン)。
発音のイメージだけだと、
知的でもなければ強そうでもない。
さて、お話は夏侯惇へ。
姓は夏侯、
名は惇、
字は元譲、
あだ名は盲夏侯。
三国志正史の主人公にして、魏の王様である曹操の従兄弟。
だいたいにおいてセット扱いされる夏侯淵とも従兄弟。
(三国志演義では夏侯淵が弟として扱われている。)
夏侯淵、夏侯惇どちらも曹操が挙兵した時からの将。
わかる人にだけわかるお話では、
夏侯淵、夏侯惇ともに武力80以上のツワモノ。
この夏侯惇が隻眼の将軍、盲夏侯と呼ばれる由縁は、
呂布との戦いの時、流れ矢が目に当たり、左眼を失った事から。
三国志正史ではその後、鏡で自分の顔を見るたびに怒って鏡を投げ捨てたと言われる。
かなりのコンプレックスだったようだ。
三国志演義ではこの左眼を失う記述がさらに脚色されている。
左眼を撃ち抜いた武将の名は呂布配下の曹性。(曹の姓でも曹操とは血縁関係はない)
夏侯惇は目に刺さった矢を引き抜き、
「父母からもらったものを棄てることが出来ようか!」
と怒号をあげ、矢に刺さっていた目玉を食べてしまった。
そして、その直後に目を射抜いた曹性に襲いかかり、
曹性は顔面を槍で突かれて絶命する。
MTGのイラストの夏侯惇はちょうど目玉を食べているところが描かれている。
夏侯惇本人は望まずとも、
夏侯惇と言えばこれ!という定着したイメージなのだろう。
正史には「左眼を食べた」という記述は無いため、
このお話は演義の完全な脚色と思われる。
夏侯惇は曹操の信頼が非常に厚い将の一人であり、
後年には曹操の寝室への自由な出入りが許されるなど、
他の将とは明らかに違った待遇をされている。
魏王となった後の曹操の配下としては唯一漢王朝の官位にもついている。
曹操が夏侯惇をただの配下ではない扱いをする事を目的として、
魏としての官位ではなく、漢王朝の官位を与えようとしたためではあるが、
夏侯惇はこれを「自分には過ぎた扱い」として固辞し、
魏の官位を求めたという。
曹操にこれほどの信頼を置かれる武将は非常に珍しい。
夏侯惇といえば、左眼を食べる気性の激しさからも猛将のイメージが非常に強いが、
日頃から学問にも精を出し、性格は清廉潔白で、
自身の財産の余りは人に配るほどの優しさと努力を兼ね備えた、
まさに文武両道の人間だったという。
現代では「人材コレクター」と揶揄される曹操の信頼が特別厚い事からも、
強いだけの武将とは明らかな違いがあった事は想像に難くない。
清貧にして高潔な武将として非常に評価の高い人だったようだ。
今の日本の政治家に見習ってもらいたい。
とある首相が能力も支持率も「スッカラ菅」では困る。
そのうえ本人は「あっけら菅」としているのだから始末に終えない。
さて、MTGのお話に移ろう。
MTGの夏侯惇の能力は、
自分が知る限り、正史や演義の記述のどの部分を元にしているか一切わからない。
「黒のカードを手札に戻す」
という能力は他のカードには似た能力がない。
非常に変わったカードだ。
《基底スリヴァー/Basal Sliver》
《ブラッド・ペット/Blood Pet》
《合成ゴーレム/Composite Golem》
《クローシスの従者/Crosis’s Attendant》
《モルグのヒキガエル/Morgue Toad》
などの、生け贄に捧げてマナを出すクリーチャーと《生ける屍/Living Death》、それと夏侯惇で、
無限ループ可能というちょっと変わったコンボが出来るが、
あまり実用的ではないものだろう。
レガシーやヴィンテージではこんな悠長なコンボを決めている余裕はない。
EDHでやろうとしてもそこまで強い決め手にもならなそうだ。
夏侯惇をジェネラルに指定出来るところだけは悪くないのだが、
いかんせん条件が結構厳しい。
夏侯惇をジェネラルにしてしまえば必然黒単になってしまうからだ。
《血の臣下/Blood Vassal》
《ブラッド・ペット/Blood Pet》
《基底スリヴァー/Basal Sliver》
あたりの黒マナが必須条件で、
無限マナにするには
《Su-chi》
《陰極器/Cathodion》
《戦慄の徒食者/Dread Drone》
を追加で場か墓地に置いておく必要がある。
それ以外では《アシュノッドの供犠台/Ashnod’s Altar》や《ファイレクシアの供犠台/Phyrexian Altar》が必要。
勝ちパターンは
《トリスケラバス/Triskelavus》
《トリスケリオン/Triskelion》
などで無限ダメージを狙えばよい。
一応、《生ける屍/Living Death》以外に《黄昏の呼び声/Twilight’s Call》でも同様の事が出来る。
《黄昏の呼び声/Twilight’s Call》の場合、
召喚酔いしていない
《血の座の吸血鬼/Bloodthrone Vampire》
《堕天使/Fallen Angel》
《吸血鬼の貴族/Vampire Aristocrat》
などがいれば、パワー5億以上のクリーチャーを作り出し、一撃で倒すことも可能。
墓地のカードを手札に戻すというカードそのものは、
黒であればおおむねクリーチャー限定であり、
クリーチャー以外を手札に戻せるカードは非常に少ない。
クリーチャー以外を手札に戻せるのは緑の専売特許という感じだ。
この変わった能力をどうして夏侯惇につけたのだろうか。
起動コストに
「夏侯惇を生け贄に捧げる」
と書いてあるので、
夏侯惇の死に関係があるかとも思えるが、
正史、演義ともに夏侯惇の死についての記述はほぼ同じで、
曹操の後を追うように病死するだけであり、
これまた一切無関係である。
自分の命と引換に曹操の命を救った事のある典韋という武将がこの能力であったのなら、
まだ納得する能力だっただろう。
しかし、何より納得がいかないのはやはり夏侯淵がいないことだ。
クリーチャー能力が今ほど強くないカードばかりなのは、
ポータル三国志としては仕方ない事なのだが、
有名武将があまりに少なかったことは残念極まりない。
そういった意味でも失敗作だったと言わざるを得ないだろう。
再度、三国志Ⅱとしてつくり直して欲しいものである。
制作をCardshop Serraの店長にやらせると喜んでカードを作るのだが。
ではまた。








