Balance/天秤

今回のこらむは《天秤/Balance》。
またセラの店主は変なカードでこらむ書いてるなと思っている人は正解。
安心?していただきたい。
内容もまともではない。

Balance
Balance/天秤
コスト:1白
ソーサリー
各プレイヤーは、
コントロールする土地の数が最も少ないプレイヤーがコントロールする土地の数に等しい数だけ、
自分がコントロールする土地を選ぶ。その後、残りを生け贄に捧げる。
同じ方法で、各プレイヤーはカードを捨て、クリーチャーを生け贄に捧げる。
レア

MTG初版から第四版までに存在した、
白の最強のリセット呪文である。
たった2コストで
土地、手札、クリーチャーに影響を及ぼすとんでもないカードである。
白がクリーチャーを全破壊する事は珍しくないが、
白で手札破壊まで出来るカードは相当に珍しい。

もう今は昔の物語・・・と語ってしまうくらいの時代のお話。

この《天秤》というカードは
1995年4月19日、
ヴィンテージ(この頃はタイプ1と呼ばれた)で1枚制限
レガシー(この頃はタイプ1.5と呼ばれた)で禁止
スタンダード(この頃はタイプ2と呼ばれた)で1枚制限
という裁定を下された。
今のプレイヤーには何がなんだかわからない裁定だろう。

スタンダードで1枚制限って何?!
スタンダードで1枚制限なのにレガシーで禁止?!

と思うだろう。
この頃のスタンダードにはデッキに1枚制限というルールが本当にあったのだ。
他にも何枚かのカードがこの1枚制限を食らっている。

この頃のレガシーであるタイプ1.5のルールは、

「ヴィンテージ(タイプ1)で1枚制限のカードは全て禁止。
 それ以外は何使っても良い。」

だったので、こんな不思議な状態だった。

2004年9月20日にタイプ1.5から名称とルールが変更されたレガシーで当然禁止。
さらにEDHという遊び方が生まれてここでも《天秤》禁止。

このカードは知っている人はそれなりにいても、
これだけのレギュレーションで制限や禁止をされているので、
撃った事のある人は相当少ないカードだろう。

制限、禁止ばかりの《天秤》だが、
これほど白らしいカードも無いというくらい白らしいカードなのだ。

白の本来の特色の1つは平等。

キリスト教の教えのように、

「神の前では平等」

みたいなものだ。
天秤》を撃つと平等になる。
他のカードでもそうなのだ。

ハルマゲドン/Armageddon》→土地を0で均等にする。
神の怒り/Wrath of God》→クリーチャーを0で均等にする。

どちらも白の特色がある。
他のカードでもその特色があるものは多い。

白はコントロールにおいて青の最高のパートナーであるべきなのに、
最近はそういったカードデザインが減ってしまっている。
古参のプレイヤーとしてはこれが残念でたまらない。

さて、このお題になっている《天秤》、
店主の知っている人でこんなぶっとんだデッキを組んだ人がいた。

内容の全てがぶっとんでいて、
まず、

友人「よし!何でもありのデッキで一本勝負だ!
 負けた奴は大会のヘッドジャッジやれ!
 俺はヘッドジャッジやりたくねえからな!」


と、提案。
これを受けた“ヘッドジャッジをやりたくない”友人達がこぞってデッキを作った。
単純に言ってこの当時のカードプールで、
(せいぜいテンペストくらいまで)
しかも誰もパワー9なんて持っていない人達の「何でもあり」だ。
頑張って作るかわいいかわいいヴィンテージのデッキが出来上がる。
ウルザズ・サーガも出ていない時代なので、
それはもうカードプールの狭いこと狭いこと。
しかもMTG歴もそれほど無いプレイヤー達だ。
頑張ってもそんなに強いデッキなんて組めるわけがなかった。


はずだった。


この「何でもあり」でこんなデッキを作った人がいたのだ。

Balance_Zuran Orb
12《ウルザのガラクタ/Urza’s Bauble
12《水蓮の花びら/Lotus Petal
6《天秤/Balance
6《Zuran Orb
8《拷問台/The Rack
8《平地/Plains
4《Lodestone Bauble
4《Elvish Spirit Guide

4枚制限すら守っていない。

「デッキに同じカード5枚以上はずるいですよ!」


「悪辣さが足りんな。何でもありだと言っただろう。」



という会話がなされたとか。
ちなみに枚数についてはバランスもくそもあったものではなく、
(バランス(《天秤/Balance》)は入っているのだが。)
持っているカードを持っている限りで突っ込んだ構築だったそうだ。
もちろんこのデッキを作った人は負けなかった。

疑われる前に言っておこう。
このデッキを作ったのは店主ではない。
この「負けたらヘッドジャッジをやらされる」という賭けをしていたのは、
店主の友人達である。

このお話を思い出話のように話した際、
デッキを作った人から
「この条件かつ、現在のカードプールで、
 お前の力と資産で構築したらどうなる?」

とお題をいただいた。

以下、
このなんでもあり条件、
天秤》+《拷問台》で勝負するデッキを店主が作ったら2017年バージョン。

12《天秤/Balance
10《水蓮の花びら/Lotus Petal
8《拷問台/The Rack
6《Gustha’s Scepter
6《ウルザのガラクタ/Urza’s Bauble
4《オパールのモックス/Mox Opal
2《Ancestral Recall
2《Mox Pearl
2《Mox Jet
2《Mox Sapphire
2《Mox Emerald
2《Mox Ruby
2《Black Lotus
————————–
土地をデッキに入れる事すらしなかったので、
天秤》+《Zuran Orb》という往年のコンボも無視。
とはいえさすがにパワー9の枚数は限界があったので、
残念ながらこの枚数。
いずれ増やして再度構築してやろうかという野望が芽生えた。

このデッキの基本の動きは、
1ターン目に《天秤》を撃つ事。
可能な限り手札を0にして。
構成上よほどの事が無い限り、《天秤》を撃った時は手札0だ。
こちらが先手なら相手は《天秤》が通ったら手札0スタート。
拷問台》を置いてあったらいきなり3点ダメージも追加。

この状態で対戦相手は、一定手札を貯めないと拷問され続けてしまうので、
手札を貯めてダメージを防がなければならないが、
同時に攻めも考えなければならない。
と、相手が考えているうちに、
2発目、3発目の《天秤》。
あとは《拷問台》をべたべた置いておけば相手が勝手に沈んでくれる。

天秤》は相手の手札、土地、クリーチャーを、
少ないほうにあわせて生け贄に捧げさせるカードだ。
このデッキにはクリーチャーも土地も入っていない。

つまり、《天秤》は、

ハルマゲドン/Armageddon
神の怒り/Wrath of God
精神錯乱/Mind Twist

を同時に撃つようなものである。たった2マナで。
さすが、制限されるだけの事はある威力だ。

ふと思ったが、
このデッキは今のマリガンルールだとかなり強い。
とにかく1ターン目に《天秤》撃てるまでマリガンすれば良い。

理想→《拷問台》と《天秤》があり、3マナ出せる事。
ギリギリ→《天秤》+2マナ。

ちなみにデッキのキーカードはこれだ。
Gustha’s Scepter》。

Gustha’s Scepter》なんて知らない人のほうが多いカードだろう。
使われた事もほとんど無いはず。
こういうデッキを組む際に、
こんなカードが頭に思いつく奴のほうがどうかしているレベルのカード。
でも、このデッキのキーカードだ。

Gustha's Scepter
Gustha’s Scepter
コスト:0
アーティファクト
(T):あなたの手札にあるカードを1枚、裏向きで追放する。
それが追放され続けているかぎり、あなたはそれを見てもよい。
(T):Gustha’s Scepterによって追放された、
あなたがオーナーであるカードを1枚、あなたの手札に戻す。
あなたがGustha’s Scepterのコントロールを失ったとき、
Gustha’s Scepterによって追放されたすべてのカードをオーナーの墓地に置く。
レア

カードのテキストを読んでも、
「で、これ何に使うの?」
と思う人が多そうだ。
ちなみに今までの間使われた事がほとんど無いので、
「で、これ何に使うの?」
と店主も思っているくらいだが、
このデッキでは必須なのである。

このデッキでは《天秤》をとにかくぶっ放したい。
ぶっ放した時に手札が少ないほうが良い。
デッキに12枚も《天秤》が入っているので、
2枚以上手札に来る事もある。
天秤》を撃った時に手札に《天秤》がもう1枚あると、
その分だけ相手の手札を削れない。
そんな時に“このわけのわからん棒っきれ”をタップして、
自分の手札をそこに1枚隠しておけばいい。
天秤》を処理するときには手札は実質少なくなっているので、
相手は手札を捨てる枚数が増える。
自分は、次ターン以降にタップして手札に戻せるので、
実質は減っていない。
隠したカードは相手は見られない。
おおむね隠すカードは《天秤》。
隠してあっていつでも撃てる状態を保ちつつ、
相手の行動をゆっくりと見て、
必要を感じたら手札に戻して《天秤》。
これでほとんど動かなくなる。

なお、対戦相手に《意志の力/Force of Will》を撃たれても、
全く意に介す必要はない。
天秤》を連発していればいいわけで、
全部カウンター出来るわけがないのでいつかは通る。
ピッチでカウンターされ続けても別に構わない。
相手の手札は減らせるのだから、気にせず《天秤》連打。
むしろ危険なのは《外科的摘出/Surgical Extraction》のほう。
あと《虚空の杯/Chalice of the Void》X=0もアウト。
抵抗の宝球/Sphere of Resistance》などもってのほか。
もっとも、
なんでもありのデッキを作る場合、
大半の人は「自分がやりたい攻めのデッキ」を組むので、
こういったカードの採用率は減るのだが。

・・・と、古参は面白いと思ってくれるかもしれないこんなお話を書いたものの、
MTG歴一桁年数の人にはなんの事やらな文章かもしれない。

店主が言いたい事としては、
天秤》というカードは古き良きカードで、
白の特色を最も持っている魅力的な1枚であるという事。

白の本来の特色は、

・なんにでも対応可能。
・破壊出来ないものはない。
・柔軟性最強。


というものだった。
神の怒り》や《剣を鍬に/Swords to Plowshares》でクリーチャーを、
ハルマゲドン》で土地を、
解呪/Disenchant》でエンチャントとアーティファクトを対処できたことから、
そう言われていた。

しかし、
「環境にあるだけで存在できないデッキが生まれてしまうからダメ」
という理由で《ハルマゲドン》が消え、
「色の役割の変更」
という理由で《解呪》が消えてしまった。
だが、本来の白の良さは破壊にある。
天秤》のように名前とは裏腹にバランスを崩すカードを作れとは言わない。
けれども昔ながらの白らしさや立場は復活して欲しいものである。

ではまた。



記事作成日:2017/09/13



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