コレクター道
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本こらむは2010年11月11日以前に投稿されたものです。
現在の状況とは異なる部分もございますが、
当時の表現を残すためあえてそのまま掲載しております。
何卒宜しくお願い致します。
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コレクター道は修羅の道。
そして奥の深いもの。
このMTGの世界にどっぷりを足を踏み入れて10年以上。
色々なコレクターをこの目で見てきた。
エラーカードコレクター
コンプリーター
FOILコレクター
特定カードコレクター
珍品コレクター
サインカードコレクター
多言語コレクター
プルーフコレクター
Alpha、Betaカードだけコレクションしている人もいた。
今はどこで何をしているかもわからなくなってしまったが、
《Black Lotus》をコレクションしている人が知り合いにいた。
あの人の最終的な《Black Lotus》の枚数はいくつだったのだろう?
なお、自分は、
エラーカードコレクターであり、
コンプリーターであり、
特定カードコレクターであり、
黒枠大好き野郎であり、
珍品カードコレクターである。
そして、これらコレクターの最高峰的位置がPSAという茨の道である。
PSAとは、アメリカにあるカードを鑑定する会社の事である。
基本は10段階評価なのだが、
ここ数年で変化があり、PSAは8.5などの
0.5点の評価が出るようになった。
以前のこらむでも紹介をしているが、
だいたいの目安で、
PSA1~5→そのカードが偽物でない事を証明するだけの評価だと言っていい。
PSA6→一般的感覚のNMクラス。そんなにこれといった欠点はない。傷があったりする。
PSA7→日本人的感覚のNM。相場価格+鑑定料金くらいの値段だと思えば良い。
PSA8→相場価格にプラスアルファがつきはじめるランク。
PSA9→8よりプラスアルファが大きい。
PSA10→Gem Mintと呼ばれる。相場の2倍程度。物によっては数倍~数十倍に跳ね上がるものが存在する。
といったところだろう。
PSA以外にもBGSという鑑定もあるが、
BGSはPSAに比べて知名度が低い。
BGSのほうが厳しい評価を下すから価値がある!と言う人もいるが、
コレクターの世界である。
知名度の高さはとても重要なので、
BGSよりPSAのほうに軍配が上がると言って差し支えはないだろう。
ただ、ある人から聞いた話で、
「PSA10とBGS10なら、BGS10を評価する。
それほどBGSの10はつきにくい。
9以下ならPSAもBGSもそれほど変わらない。
変わらないなら知名度でPSAが上。
ただ、BGSの厳しさを通り抜けた10をつけられたカードは評価出来る。」
とのこと。
一長一短といったところか。
世の中にはこのPSA鑑定品だけでAlpha版やBeta版のコンプリートセットを作っているクレイジーが存在する。
一体いくらかけてコレクションしてんだ?と聞いてみたいレベルである。
MTGの初版であるセットは2つ。
初版なのに2つというのも若干変だが、
Alpha版とBeta版が存在するのだから仕方ない。
Alpha版とBeta版の違いは大きく2つ。
1つめはカドのカットの違い。
Alpha版は今のカードとカットが違い、カドがまるい。
Beta版は現在の印刷のカットと同じ。
2つめはAlpha版には存在しない(印刷されていない)カードがある。
例えば《Volcanic Island》はAlpha版が無い。
(つまり初版全てのレアの中で一番数が少ないカードは《Volcanic Island》。)
印刷枚数からすれば、Alpha版はBeta版よりも少ないため、
希少価値としての言い方であれば確かにAlpha版は貴重だ。
個人的には現在のカットであることと、
《Volcanic Island》のような高くて強いカードがミス無く印刷されている点から、
Beta版が好きだ。
そんなBeta版のカードたちのクレイジーな世界を紹介しよう。
以下はBeta版、PSA10のついたカードの、この世にある枚数。(2010年12月現在)
《Black Lotus》 7枚
《Ancestral Recall》 6枚
《Time Walk》 14枚
《Timetwister》 5枚
《Mox Pearl》 8枚
《Mox Sapphire》 8枚
《Mox Jet》 11枚
《Mox Ruby》 6枚
《Mox Emerald》 8枚
オマケ
《Time Vault》 5枚
《Sol Ring》 6枚
《セラの天使/Serra Angel》 7枚
世の中にPSA10はたったこれだけしかない。
普通に考えて、
転売したい、お金に困った、もうコレクターをやめる…などの理由が無い限り、
まず間違いなくこのカードの所有者はこれらを手放さないだろう。
残念ながら《セラの天使/Serra Angel》のPSA10は持っていない。
PSA9の《セラの天使/Serra Angel》ならば持っている。
PSA9の《セラの天使/Serra Angel》の枚数はこの世に16枚。
《Black Lotus》は単純に本当にこのくらいしかPSA10はつかなかったのだろう。
過去に1~2度だけ市場に出回っただけであとは一切出回ったという情報を聞かない。
《Time Walk》はなぜ多いのか?
これはこの絵を描いたイラストレーター、Amy Weberの人気があるからだろう。
そして何よりもTime Walkの絵は、絵として素晴らしい。
実際、自分もこのカードのPSA10の《Time Walk》は喉から手が出る程欲しい一品だ。
当店のカード博物館をご覧になった方は気がついているかもしれない。
《Mox Sapphire》8枚
《Sol Ring》6枚
のうちの1枚ずつは手元にある。
自分が何年も前に買ったこのカードを鑑定してみて、
まさかこんなにこの世に少ないものだとは鑑定してから5年近く知らなかった。
《Time Walk》のBeta版PSA10が約40万円で売られていたことなどを考えると、
《Mox Sapphire》のPSA10も同等かそれ以上だろうか。
さて、このPSA鑑定品、メリットとデメリットを書いておこう。
デメリットは簡単。
鑑定した品はプラスチックのケースに入ってしまうため、
デッキに入れて使用不可能になる。
デッキで使うにはこのケースを破壊する必要がある。
もちろん、一度ケースを破壊してしまえばそれは鑑定品でなくなってしまう。
あとはデメリットと考えるほどのものではないが、
鑑定料金がかかることだろうか。
メリットは
まず、自分のコレクションに傷がつかないよう保護される。
プラスチックのケースを壊してしまうほどの力や、
光で焼けてしまう事を除いて、カードはしっかりと守られる。
特に湿気に対しても保護が効くというところが非常に大きい。
つまりPSA鑑定品は暗室に保存しておけば、その状態をほぼ完全に保てる。
(Cardshop SerraのPSA鑑定品の商品は全て暗室で保存していますよ。)
コレクションを大切にしておきたい人にはとてもいい方法だ。
次に、自分のコレクションが世界で認められる鑑定社によって鑑定されるため、
その鑑定された品のレベルが一目でわかる点。
手に入れた以上は手放すつもりのないコレクションであれば、
PSA鑑定品を買って構わないということになる。
例えば、
鑑定されていない品を見た場合、
Aさん「これはEX+だね。」
Bさん「いや、これはNMだよ。少し厳しく見ればNM-かもしれないが。」
Cさん「いや、絶対NM。海外ではこれでNMだ。」
といったように1枚のカードに対して、人の意見は変わる。
しかし、鑑定されていればこのような事は起きない。
一個人のNMやEXといった私見的評価は一切通用しないのだから。
PSAで8がついていれば、
「ああ、8ってことはNear Mint-Mint(ニアミントミント=私見で言うNM+。)だね。」と言われる。
この安心感はとても重要だ。
当たり前なのだが、ここで、
「いやいや、私見ではこれはNM-ですよ。」
とのたまおうものなら、
「お前は何を言ってるんだ?」
と言われるだけである。
鑑定品でコレクションを始めると本当にコレクターとしては修羅の道、茨の道である。
PSA鑑定品でBetaコンプリートしようなどと思ったら、
宝くじでも当ててからのほうがいい。
ただ、一部のものだけをPSA鑑定品にしたいというならこれはおおいに有りだ。
自分はヴィンテージクラスの一部のカードだけ1枚ずつPSAにしている。
Power9はBeta版で全てPSAにした。平均値は8以上。
金額になおすとこれだけでも結構シャレにならない数字ではあるが、
実現不可能レベルの数字ではないし、
何よりも現在までの間、価値が下がっていない事がとても大きい。
コレクターの道は奥が深く、とても険しいが、
同時にとても楽しく、いろいろな事を知る事が出来る。
興味を持った人はPower9をPSAで集めてみてはいかがだろう。
余談。
自分はPSA鑑定のPower9をデッキに入れることはできないので、
別でUnlimited版のPower9をデッキで使う用に持っている。
「バカ?」
と言われた事もある。
間違いなく自分は「まじっくばか」である。
ではまた。