ねびにらる

今回のお題となるカードは、《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》。


Nevinyrral’s Disk/ネビニラルの円盤
コスト:4
アーティファクト
ネビニラルの円盤はタップ状態で戦場に出る。
1、T:すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
α~5th:レア

MTGの5thまで、
「基本のリセットカード」
として活躍した素晴らしいアーティファクト。

エンチャントに対処法0の赤、
エンチャントどころかアーティファクトにも対処法が無い黒、
この2色にとって、これ以上のカードは無いと言わしめたほどのアーティファクト。
黒はとくに自分で張ったネクロポーテンス/Necropotenceを破壊するためでもあった。
デッキ名もそのままに「ネクロディスク」と一世を風靡した。
また、今はそう感じさせないが、
昔は案外何も壊せなかった緑にとってもこのカードは大事だった。
昔の緑はアーティファクトを壊せるカードが、
砂漠の竜巻/Desert Twister》、《崩壊/Crumble》、《ゴミあさり/Scavenger Folk
の3枚くらいしか無かった。
エンチャント破壊も上記の《砂漠の竜巻》以外では、
平穏/Tranquility》と《Essence Filter》くらいしかなかった。
画期的な破壊方法が生まれたのはミラージュブロックからだった。
なんでも壊せる白、なんでも対処出来る青と言われた2色と違い、
この3色にとってこのリセットカードはとても大事なカードだった。
「メインデッキに入れないなら必ずサイドボードに入れとけ」
と言わしめる程、強力なカード。

今回はそんな昔からある1枚にまつわるお話。

ネビニラルはネクロマンサーであり、リッチでもある人の名前。
魔道士ネビニラルさんは、
MTGのカードやフレーバーテキストでもお馴染みの地名、
アーボーグのボスだった人。
アイスエイジの時代よりも前、
ネビニラルさんはアーボーグの支配だけじゃ飽き足らなかったのか、
それともそれ以外に理由があったのか、
やめとけばいいのに
ボガーダンに喧嘩を売った。(もしくは買った)
だいたいこの手の話はほとんどが勧善懲悪なのだから。
屍術だとか呪術を使う手合いが勝利するストーリーなんて滅多に無い。
でも、ネビニラルさん、若気の至りか激情派だったのか、
戦争をおっぱじめてしまった。

ボガーダンの統治者と戦争を始めたはいいが、
お約束のごとく大敗北。
お話の中では、ネビニラルさんはボガーダンの軍の罠にハマり、
噴火した火山の溶岩によってアーボーグの都市が呑み込まれる。
となっている。
「噴火した火山の溶岩で都市を呑み込むってどんな罠だよ?」
「溶岩くらい魔法でどうにかしようよ、ネビニラルさん」
「ボガーダンの軍ってそんなに強いのか?」
などという突っ込みをしたくなるものだが、
昔の事だからなのか、それ以上の記述は残っていない。
なお、下記の絵にあるように、
戦争の後、アーボーグのお城は溶岩に取り囲まれている。



敗北したネビニラルさんは、
「このまま自分の持っている財宝や魔法アイテムを誰がくれてやるものか!」
と、死ぬ間際に《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を起動。
自分とお城と魔法のアイテムを巻き込んで、アーボーグは滅びたそうな。
いい性格だ。
Black Lotus》とMoxシリーズはこの時に壊れたせいで、
この世にある現存枚数が少し減ったんだろう・・・と勝手に思っている。
おそらくネビニラルさんは激情的な性格だったんだろう。
最後に全部ぶっ壊してサヨナラしようとするあたり、
激しい気性の持ち主であったことがうかがえる。
それにしても、
イラストからわかる通り、《ネビニラルの円盤》は手のひらサイズの魔法アイテム。
しかし、
手のひらサイズのアイテムにしてはとんでもない威力の魔法道具だったようだ。
一人の魔道士としてのネビニラルさんは非常に強力な魔道士だったのだろう。
…やっぱり溶岩くらい魔法でどうにかなったんじゃないかな…?
と思ってしまうのは自分だけだろうか。

その後、アーボーグのお城はネクロマンサーやリッチが、
「あの城を手に入れればアーボーグの支配者となれる!」
と夢見て目指す象徴となったらしい。
ネビニラルさん→一流
それ以外→三流
なんて言っちゃいけませんよ。
言っちゃいけませんて。

第5版以降の《蠢く骸骨/Drudge Skeletons》のフレイバーテキストには

死者は兵士に絶好である。
命令に逆らうこともなければ、降伏することもありえない。
しかも、身体のどこかが取れたぐらいでは戦いをやめないのだから。
—ネビニラル「ネクロマンサーの手引き」

という言葉が出てくる。
ネビニラルさんには「ネクロマンサーの手引き」という著書があったようだ。
少なくとも自分の円盤起動した時に、
この著書はお城の中には無かったので残ったんじゃなかろうか。

さて、今、このカードが最も活躍する場はエルダードラゴンハイランダー(EDH)だろう。
普通に使ってもかなり強いので、
どの色のデッキに仕込んでも全く問題無いと言ってもいい。
面白い使い方としては、
ダークスティールの溶鉱炉/Darksteel Forge》を出して、
ネビニラルの円盤》を起動。
すると、自分のアーティファクト以外のクリーチャー、エンチャント、アーティファクトが綺麗に壊れてくれる。
ネビニラルの円盤》そのものが、
ダークスティールの溶鉱炉》のおかげで壊れないので、
何度でも起動可能なリセット技だ。
毎ターン起動出来るだけでなく、
相手は《ネビニラルの円盤》か《ダークスティールの溶鉱炉》のどちらかを、
手札に戻すかゲームから取り除くしか対処方法がない。
自分はアーティファクトクリーチャーを置いておけば壊れないまま対戦相手を攻められる。
非常に有効的な戦術だ。
ネビニラルの円盤》はカードタイプ:プレインズウォーカーを壊せないが、
このコンボ起動後にアーティファクトクリーチャーが殴りかかれるのであれば、
おおむねのプレインズウォーカーも破壊可能だろう。
なお、《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》まで置いておくと、
対戦相手の全てのパーマネントが破壊され、自分のパーマネントの全てが破壊されずに場に残る。
(対戦相手の場に破壊されないと書いてあるパーマネントを除いて)
決まればほぼ勝ちのコンボである。
あとは対戦相手が土地を置いたら《ネビニラルの円盤》起動で破壊してしまえばよい。
この状態になったものを止められる手段は、
1マナのカードに限定されやすく、
1マナの対処方法は、
真髄の針/Pithing Needle》や《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》くらいのもので、
他の手段ではかなり難しい。
もっともこの2種でさえ、
エルダードラゴンハイランダー(EDH)で採用されていない可能性が高いカードなのだが。

なお、ネビニラルさんの名前の由来は、小説家ラリー・ニーヴン/Larry Nivenから。
この小説家の名前を逆にしたものがネビニラル/Nevinyrral。
Larryniven⇔Nevinyrral
ということ。
このラリー・ニーヴンさんの小説の中に、
魔法を全て無効化する円盤が出てくるのだそうで、
それを元に《ネビニラルの円盤》が作られたんだそうな。
色んな意味でよく出来たカードだと感じさせてくれる。
初期のマジックのカードにはこういった今に無い魅力が沢山である。

ではまた。




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