ヤンキームーミン

今回のお題はヤンキームーミン。
いきなりこんなタイトル出されても何のことだかわからないだろう。
ウチが勝手につけたカードに対するあだ名だ。
絵と見た時からなんとなく…でつけただけのものだ。
カード名聞く前にこのカードが何なのかわかった人は歪んだカード知識をお持ちだろう。
このカードが何なのか教えると大概の人が納得している。
多くの人が「ムーミン」と呼ぶようになった。

こいつのことだ。

Kami of the Crescent Moon/三日月の神
コスト:青青
伝説のクリーチャー スピリット(Spirit)
各プレイヤーのドロー・ステップの開始時に、そのプレイヤーは追加のカードを1枚引く。
1/3
神河救済:レア

何故にヤンキームーミンかと言えば、見た目。
座り方と目つきはなんとなくヤンキー座り。
でもなんとなく見た目ムーミン。
身体青いし。
少々残念だったのはこいつはスピリット。
本当のムーミンのクリーチャータイプ?はトロル。
神河のカードだから仕方無かったのだろうが、
せっかくだからこいつはトロルにしてもらいたかった。

能力としては《吠えたける鉱山/Howling Mine》がイキモノになっただけ。
一度だけスタンダード時代にトーナメントに登場する機会があったが、
基本的にはうだつのあがらないレア。
イラストだけでもカスレア臭がする。
見た目だけで判断するな?
そいつは無理だ。
人間もカードも見た目で判断されるものはある。
仮にこんなイキモノが現実にいて、
「善か悪か?」
という質問されたら十中八九こいつは悪の部類。
もしMTGに「友達にしたくない伝説のクリーチャーランキング」があったら、
こいつは上位を《二の足踏みのノリン/Norin the Wary》と一緒に争う事だろう。
そんな感じのする見た目。

実はこいつはフレーバーテキストでも悪いと言われている。

「あの主無きちっぽけな神は俺によく似ている…
…偉いものに屈せず、悪賢いのさ。
—梅澤俊郎」

やっぱり悪いらしい。

そんなヤンキームーミンをデッキに入れて使おうと思った2009年6月。
周囲から「なんで?」と声も上がったのだが、
わざわざエルダードラゴンハイランダーのジェネラルに選んだ。
たまたまカード眺めていた時に目に止まり、
案外面白いと思って使ってみることにした。
もちろん誰かのライフを40点減らそうとか、
ジェネラルダメージを21点以上…なんて普通のことは出来ない。
99枚もあるデッキのライブラリアウト狙うしかない。

このヤンキームーミンにも利点はある。
・ほぼ必ず2ターン目に出せる。
・《》2枚さえあればキープハンド。
・多少手札が悪くてもどうせいっぱいドロー出来るから気にしない。
・殺されても4マナ、6マナくらいならすぐ出るので簡単に出せる。
・置いても誰からも嫌われないカードなので放置される。
・置くとみんな面白がる。

もちろん欠点もある。
・全てのプレイヤーのドローが増えるので危険が増す。
・誰か1人でもコンボデッキがいると即死率が大幅にUP。
・ジェネラルに《マローの魔術師ムルタニ/Multani,Maro-Sorcerer》でもいようものなら死が見える。
・長期戦とは言え、ライブラリが99枚もある。

実際デッキを組んでプレイしてみた。
どんな手札であろうと青マナ2つ出るなら必ずキープ。
あとは知ったことじゃない。
1ターン目、《》置いてエンド。
2ターン目、《》置いて「ヤンキームーミン出します、エンド。」みんな笑う。
5~10ターン目あたりになると展開してくる人が増えるが、
手札がパンクしてターンエンドごとに手札を捨てている人もいる。
目論みどおりだ。
ヤンキームーミンはタフネスが3あるので、
序盤の守りもそれなりにこなしてくれる。
あとは《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》などの、
万年ブロッカーで場を維持しつつ、
突然にして《ごみ引きずり/Junktroller》の能力を起動。
視野狭窄/Tunnel Vision》をぶっぱなして一番強そうな1人を瞬殺。
吠えたける鉱山》や《神話の水盤/Font of Mythos》も置き、
ドローは毎ターン5枚ドロー。
もう自分以外のプレイヤーはターン終了時に何枚もの手札を捨てている。
自分だけは《聖遺の塔/Reliquary Tower》のおかげで捨てないで済む。
このあたりで誰もが「あのヤンキームーミンはヤバい。」と気付き、
ヤンキームーミン、場に出てから15ターン以上経過してやっと殺される。
しかし、既に時遅く、
X=15の《繁栄/Prosperity》+《権謀術数/Wheel and Deal》で残りライブラリを削り切る事に成功。

別テーブルでもう1度プレイ。
最初のジェネラルをプレイヤーに見せた段階から、
「Serraさん、なんでそんなクリーチャー、ジェネラルに選んでるんですか?(笑)」
と笑われた。
OK、いい反応。その言葉を待っていた。
もちろんのこと2ターン目にヤンキームーミン。
ヤンキームーミン、殴ってジェネラル21点ダメージなんて明らかに無理。
それをやる間に全てのプレイヤーのライブラリが42枚は削れている計算だ。
どうみてもどっちが効率いいかは明白なので、
誰にも恨まれないためにも、
誰も殴らない平和的なヤンキームーミン。
このデッキにはクリーチャーが何枚か入っているが、
誰一人として殴りに行こうとしていない。
殴る気はさらさら無い。
手札に来たので《心の傷跡/Traumatize》で1人ライブラリを半分削り、
神話の水盤/Font of Mythos》を《Copy Artifact》。
ドローは毎ターン6枚。これで1人が倒れた。
残り2人を
スランの発電機/Thran Dynamo
精神力/Mind Over Matter
繁栄/Prosperity
で引き殺し。
「まさかEDHでMomaを決められるとは!」
と驚かれた。
案外笑っていただけたのでこれはこれでよし。
コンボ決めたらつまらないかと思っていたものの、
ジェネラルがジェネラルだけに笑って済まされたのだろうか。

最初からバレていると明らかに死が見えるデッキだが、
ヤンキームーミンそのものはあまり危険視されない。
タフネス3のおかげで序盤もそれなりに耐えてくれる。

こらむの内容とお題はヤンキームーミンだが、
ちょっとここでお話を脱線してEDHの話題も。

EDHでは「ヘイト値」などと通称されるものがある。
また難しい単語が出てきたなぁなんて思わなくて良い。
ヘイト値というものは、
「おいおい、あのカード、ちょっとまずいんじゃないの?」
「あれ、ほっとくと全員が倒せるカードじゃないか、危険だぞ!」
「あのカードは一方的に使った人だけが得するじゃないか、許せないな。」
と人に思わせている度合いだ。
例えば、
「十手ゲー」と言わしめたあの《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》。
これは置いた瞬間に自分以外のプレイヤーから憎悪(ヘイト)を買うと言っていい。
1度でもカウンターが乗ろうものなら危険度がさらに上がり、
「まずはこいつの十手をどうにかするか、こいつ自身を倒そう」
という空気になる。
このようなものをヘイトという。
EDHでは
「最後に立っていた者こそ勝利者である。」
というものなので、
恨み、憎悪を募らせないプレイやカード選びも大事になる。
このあたりには普段にはないマジックの楽しみが出てくる。
どちらかと言えば、
三国志や信長の野望のようなシミュレーションゲームの要素だろう。
騙し合い有り、同盟有り、共同作戦有り、
そして「最後に立っていた者こそ勝利者」というところまで同じだ。

さて、話をヤンキームーミンに戻そう。
このヤンキームーミンこと《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》は、
殴りに行かない、全てのプレイヤーに同じだけ恩恵を与える、という点から、
ヘイト値0のイキモノに近い。
実際、害が0か?と言われたら全然0じゃないと言い切れるものなのだが、
このクリーチャーのおかげで全てのプレイヤーは手札が増えていく。
つまり、このクリーチャーを殺そうものなら、
「なんで殺しちゃうんだよ。せっかく毎ターン手札が増えるのに」
と思う人が出る事もある。
そうなるとヘイトの矛先はヤンキームーミンを倒したプレイヤーに向く事も考えられる。

EDHの実戦の中では、
「ああ、あそこ殴ったら間違いなくヤンキームーミンでブロックだな。
ドロー減るの嫌だから殴らないでおこう。」
と言われて殴られなかった事もあった。
こちとらブロックする気0だったのだが、
相手がそう解釈してくれるならばそれはそれで上々である。

なんとか使い物になるという条件下で、
これほど恨まれない生き物はあまり無いのではなかろうか。
クリーチャーの見た目は明らかに悪そのものなのだが。

ヤンキームーミン、スタンダードにあった時代には、
トーナメントでほんの一瞬だけ出てくることがあった以外では、
全く相手にされなかったカスレアだった。
カードセットもカードセットで、
「救済されないカードセット」
と言わしめた神河救済だ。
別名ならば、紙側窮災。

EDHというものが生まれた今、こういったカードに目を向けて、
新しい楽しみを自分で生み出す事を全てのプレイヤーにお薦めしたい。

というわけで、今日も元気にレッツムーミン。

ではまた。




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