迷宮のミノタウルス

今回のお題は《迷宮のミノタウルス》。
一般的に普通にMTGをしている人が、
一般的にデッキに入れていることは無いであろうカードだ。
ホームランドのカードには絵柄が2種類あるものがあり、
この迷宮のミノタウルスは絵柄が2種類ある。



Labyrinth Minotaur/迷宮のミノタウルス
コスト:3青
クリーチャー ミノタウルス(Minotaur)
迷宮のミノタウルスがクリーチャーをブロックするたび、
そのクリーチャーは、それのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
1/4
コモン

わかりやすく言うと、ホームランドのガッカリコモン。
MTGのクリーチャータイプの中でも、昔からいる1種、ミノタウルス。
エルフやゴブリンと違ってトーナメントは出てこないが。
たまにはトーナメント話から離れて、
ファンタジー世界を楽しむ気持ちで読んでくれると非常に嬉しい。

この《迷宮のミノタウルス》にはしっかりと神話が存在するのだ。

そもそもミノタウルスとは、「ミノス王の牛」という意味。
ミノスとは固有名詞。
見た目は、
説明不要かと思われるが、牛頭人身のモンスター。
どうも古代の人間たちは「人間+何か」を作るのが好きらしい。
ケンタウルス(人+馬)
天使(人+鳥)
ハーピー(人+鳥Ⅱ)
フェアリー(人+虫)
マーフォーク(人+魚)
マジックの世界だけでも随分と「人+何か」が出てくる。
そんな中でもとりわけトーナメントで日の目を浴びないミノタウルスにスポットライトを当ててみた。

そもそものミノタウルスのお話は、前述のミノス王にまつわる。
ミノタウルスというステーキ屋でも焼肉屋でもお目にかかれないこの牛は、
望んでこんな姿で生まれてきたわけではなかった。

お話はギリシャ神話。
クレタ島(実在する島)を治めるミノス王に、
ある時に贈られてきた雄牛が一匹。
この雄牛は王位継承の証として天に生贄に捧げるために、
海神ポセイドンがミノス王に贈ったものだった。
しかし、あまりに立派な雄牛だったために、
欲が出たミノス王は生贄に使う牛を別の牛にしてしまった。

その後、この立派な雄牛にミノス王のお妃様のパシーパエーが恋をする。
この部分には海神ポセイドンが呪いをかけたという説もある。
牛と人、通常であれば恋中になることは無い。
が、そこはそこ、神話の世界だ。
海神ポセイドンが呪いをかけた説からの、

「王妃様にはそーゆー性癖があった」

というほうがお話としては面白い。
自分としてはこちらの説を推したいところだ。

どちらにせよ、王妃パシーパエーはこの牛に夢中になった。
考えあぐねた末に、伝説の大工と呼ばれるダイダロスに、
「人間が中に入る事の出来る牛の模型」
を作らせた。
言うまでもない。
なんというか、
これ以上書くとピーとかズキューンなんていう擬音が鳴って、
放送コードに引っかかっちゃうようなことをするためだ。

けものですよ、け、も、の。

にしても、
その雄牛もその気になったってことは、
それなりに出来のいい雌牛だったんだろう。
ちなみに、ダイダロスとは
「勇気一つを友にして」という曲で有名なイカロスの父親。
ダイダロスもイカロスもこのクレタ島の住民だった。
いくら命令とはいえ、こんなもの作っているあたり、
ダイダロスも少し頭がおかし…いや、なんでもない。

表現方法はともかく、
王妃パシーパエーと雄牛は結ばれた。
「え?待ってよ、人間の体にアレ入るの?」
等の質問は、
動物愛護協会を敵に回すのが怖い当店では受け付けない。

しばらくして、王妃パシーパエーは妊娠した。
「え?待ってよ、人間の体にアレ入れたの?」
等の質問は、
動物愛護協会を敵に回すのが怖い当店では受け付けない。

「え?待ってよ、人間と牛で子供って出来るの?」
等の質問も、もちろん受け付けない。当店がわかる事ではありませんゆえ。

産まれてきたは、牛の頭と人の身体を持つ怪物だった。
それが「ミノタウルス(ミノス王の牛)」。
星を意味するアステリオスと名づけられたこの怪物は、
成長するにしたがって、粗暴な行いが目につくようになり、
ついにはミノスの王の手に負えなくなった。
…血が繋がっていなくとも、息子と認知したわけだ。
ミノス王、意外に寛大だ。
王妃パシーパエーが2匹目のミノタウルスを産んだという記述は、
どの本にも載っていない以上、
この1匹が唯一のミノタウルスなのだろう。

ミノス王の手に負えなくなった乱暴ミノタウルスは、
大工、ダイダロスの手によって作られた迷宮に幽閉される事となる。
この迷宮は「ラビリンス」と名づけられた。
もちろん迷宮を意味する「Labyrinth」の語源はこれである。

ミノス王はミノタウルスの食料として、
9年ごとに7人の少年、7人の少女の合計14人を生贄として、
アテナイの地から迷宮へ送り込んだ。
9年で14人、食料としてそれで十分なのか、
それとも他のものを捕食していたのかはわからない。
(そもそも牛って草食じゃないのだろうか。)
3度目の生贄の時に、英雄テセウスが子供達に混じり、ミノタウルスを討伐する。
一度入ったら出られないと言われていたラビリンスを脱出するにあたり、
ミノス王とパシーパエーの間に出来た娘(人間)アリアドネの糸玉を、
迷宮の入り口からずっともってきていたため、
糸をたどってテセウスは無事ラビリンスから脱出する。

このお話により、迷宮のミノタウルスの能力は、
「迷宮に入ってきたもの(攻撃してきたクリーチャー)を、
ミノタウルスが捕まえる(次のターンアンタップしない)」
というかたちにしたのだろう。

また、この《迷宮のミノタウルス》は、
クリーチャータイプ・ミノタウルスの中では珍しい青のクリーチャーである。
その理由は海神ポセイドンの呪いだからこいつだけ青にした、とまで考えるのは、
想像のしすぎというものだろうか。

余談として、
テセウスは「無事戻ってきたら貴女を妻にする。」とアリアドネと約束をしていたが、
あっさりと約束を破り、一人でクレタ島を脱出。
なかなかにろくでもない男だ。
また、
3度目の生贄時はどう短く見積もっても幽閉から19年目だ。
妻にするという単語からもアリアドネは未婚だった。
想像するに、ミノタウルスよりもあとにできた、
ミノス王とパシーパエーの娘だったのだろう。
ミノタウルスはアリアドネにとっては「義理の兄」にあたる、ということになる。
アリアドネは義理の兄が嫌いだったのだろうか。
それともよほどテセウスという男に惚れ込んでいたのだろうか。

言い方を変えれば、
親の不祥事によって産まれ、
約束を破る不実な男と、
男を見る目のない義理の妹に殺されてしまうかわいそうなストーリーだ。

そんなかわいそうな牛に日の目を浴びさせてあげるために、
みんなでデッキの中にミノタウルスを入れて構築してあげよう。

クリーチャータイプ・ミノタウルスだけでデッキを組めば、

「牛タン」

であり、

Sowing Salt/塩まき
コスト:2赤赤
ソーサリー
基本でない土地1つを対象とし、それをゲームから取り除く。
それのコントローラーの墓地、手札、ライブラリーから、
その土地と同じ名前のカードをすべて探し、それらをゲームから取り除く。
その後そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
アンコモン



Rain of Salt/塩の雨》  
コスト:4赤赤
ソーサリー
土地2つを対象とし、それらを破壊する。
アンコモン

の2枚を入れておけば、

「牛タン塩」

である。
ミノタウルスを場に出して、ハルマゲドンを撃つデッキならば、

「牛丼」

である。

レッツ、ミノタウルス。
さ、焼肉屋にでも行こうかな。

ではまた。




記事のカテゴリー

他の「カードこらむ」記事