東海道VintageIV参戦記・前編
東海道VintageIV参戦記・前編
今回は自分には珍しく、
大会前日まで全くデッキ構築をしていなかった。
それどころか、
今年1年、あまり公式大会に出る事が出来なかった。
話すと長くなる事情のため、今は割愛。
別な機会に話せる事があればと思う。
ともかく、前日まで頭の中だけのデッキ構築以外何もしていなかった。
この1年に出たカードセットの中で、
Vintageの世界に大きい影響を与えたカードが1枚。
自分が何よりも注目したカードである。
この1年に出たルール裁定の中で、
Vintageの世界に大きい影響を与えたカードが1枚。
自分がプレイしたことの無かったカードである。
この2つのカードが組み合わさるだけでゲームに勝てる。
カンのいい方ならこれだけでも何のカードかお解かりだろう。
前者が《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
後者が《Time Vault》である。
この2枚だけで無限ターンが可能なのだ。
この2つを使ってみようというのが、構想にあった。
大会前日、名古屋から参戦の藤井氏が我が家に泊まる事になり、
夜10時過ぎにデッキ構築を開始した。
カードアルバムやカードの束を見ていると、
なんと、
仲間にしてほしそうにこちらを見ている!
仲間にしますか?
→はい
いいえ
《Darksteel Colossus》は嬉しそうにデッキにかけこんだ。
ついに仲間にした《ダークスティールの巨像/Darkseel Colossus》。
どんな活躍を見せてくれるのだろう。
デッキ内容は下記。
クリーチャー4枚
3《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》
1《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》
インスタント16枚
4《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
1《Ancestral Recall》
1《渦まく知識/Brainstorm》
4《Force of Will》
1《荒残/Rack and Ruin》
3《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《神秘の教示者/Mystical Tutor》
1《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
ソーサリー8枚
3《物読み/Thoughtcast》
1《Time Walk》
1《修繕/Tinker》
1《商人の巻物/Merchant Scroll》
1《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
1《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
アーティファクト15枚
1《Black Lotus》
1《Mana Crypt》
1《魔力の櫃/Mana Vault》
1《Mox Emerald》
1《Mox Jet》
1《Mox Pearl》
1《Mox Ruby》
1《Mox Sapphire》
1《精神隷属器/Minddlaver》
1《Sol Ring》
1《Time Vault》
2《通電式キー/Voltaic Key》
2《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
プレインズウォーカー2枚
2《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
土地15枚
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《教議会の座席/Seat of the Synod》
1《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
3《Underground Sea》
3《Volcanic Island》
1《島/Island》
サイドボード
3《強迫/Duress》
3《残響する真実/Echoing Truth》
3《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
1《荒残/Rack and Ruin》
2《紅蓮破/Pyroblast》
2《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1《再建/Rebuild》
Contorol Slaver(コントロールスレイバー。略称ではCS)と呼ばれるデッキに少々近いが、
これはオリジナル。
CSは《Mana Drain》が4枚、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》、《隔離するタイタン/Sundering Titan 》、
《トリスケリオン/Triskelion》、《映し身人形/Duplicant》、《世界のるつぼ/Crucble of World》、
《白金の天使/Platinum Angel》、《トリスケラバス/Triskelavus》、《嘘か真か/Fact or Fiction》、
などがメインカードに選ばれる事が多い。
これらは完全に無視した。
《ゴブリンの溶接工》の仕事は、
・《精神隷属器/Minddlaver》の使いまわす。
・《Time Vault》が墓地に落ちた時に戻す。
・対戦相手のアーティファクトをいじる。
この3点でおおむねは十分だ。
CSのように多くの仕事を《ゴブリンの溶接工》に任せなくても負けない。
また、
他人と明らかに構築の仕方が違うのは、
《赤霊破》がメインに3枚
というところだろう。
自分の構想の中では、4枚入れても問題ないと判断したが、
このうちの1枚を削って別の勝ち手段、《ダークスティールの巨像》を選択。
この《赤霊破》を選択した理由はいたってシンプル。
「大会で青い人は多い。Power9のうち3枚が青なんだし。
赤マナ1つ残して自分の通したいカードプレイするのは楽。」
「待ちの《Mana Drain》より攻撃の《赤霊破》。
撃てない《Mana Drain》より撃てる《赤霊破》。」
この2つ。
実際に相手の《Ancestral Recall》、《知識の渇望》、《修繕》を、
赤1つでカウンター出来ることはとても大きい。
それどころか、場に出された《求道者テゼレット》も破壊出来るし、
《翻弄する魔道士/Meddling Mage》も破壊出来る。
このデッキ構成で、《翻弄する魔道士》の禁止するカード名に《赤霊破》を指定する人はいない。
仮に《赤霊破》を禁止するなら素直にコンボを決めに行けばいいだけの話である。
考えてみると、この有用性は《Mana Drain》以上だと判断した。
《Mana Drain》は確かに強いカードだ。
ハッキリ言って撃たれると最悪なカードだ。
この《求道者テゼレット》+《Time Vault》を決めるデッキや、
CSやストームようなデッキの一般的なものにはかなりの確率で投入されているだろう。
が、このカードは待ちのカードである。
コンボを攻撃的に決めたいとしたらどうしたらいいか?
「相手の撃ってくるカウンターを潰せる」
「相手が手札を揃えるための呪文を潰せる」
「コストが軽い」
の3点をクリアするカードがこの《赤霊破》だった。
もし青くないデッキに当たったら、
何の事は無い、ただ、
《強迫/Duress》
《残響する真実/Echoing Truth》
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
の3種のどれかに変えれば問題無いのである。
次に、
《通電式キー/Voltaic Key》と、《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》。
この2つ、実はとんでもなく相性がいい。
両方1枚ずつ並べてあれば勝手にカードが1枚引ける。
やり方は簡単。
A:《師範の占い独楽》でカードを1枚引く能力を起動、
B:これにレスポンスして《通電式キー》で《師範の占い独楽》をアンタップ。
そして、《師範の占い独楽》でカードを1枚引く能力をもう1度起動。
すると、Bのほうが先にスタック処理されるので、
まずカードを引いた後に《師範の占い独楽》がライブラリのトップに乗る。
Aのほうを処理する時には、
ライブラリのトップに乗る《師範の占い独楽》が、既にライブラリの上にあるので、
カードを1枚(《師範の占い独楽》)を引くだけである。
なお、
マナに余裕があったり、状況の変化をもう少し望む場合は、
《師範の占い独楽》のもう1つの能力である、
1:ライブラリの上3枚を見て好きな順番に並べて戻す。
をスタックの間に交えると良い。
たった2枚で、しかも両方とも1マナという軽いアーティファクトで、
これだけの事が出来るという素晴らしいコンビネーションである。
追記しておくと、
《師範の占い独楽》のカードを引く能力を起動、
レスポンスで《ゴブリンの溶接工》で《師範の占い独楽》と墓地のアーティファクトを入れ替えても、
無条件にカードが引ける。
これも非常に強い。
これらの組み合わせに加えて各種のマナアーティファクトまで揃えるデッキならば、
最も相性の良いカードは《物読み》だった。
これも一般的なCSやストームなどのデッキには見られない傾向のカードだ。
このカードは「小さな《Ancestral Recall》」なのだ。
このカードが真価を発揮してくれるのは、《ヨーグモスの意志》を撃った後だ。
《ヨーグモスの意志》を撃った後に墓地からプレイする時に、
コストが青1つでない事などまずありえない。
墓地に2枚あれば、青が2つでカードが無条件に4枚も引ける。
素晴らしい効率のカードである。
《物読み》は場にあるアーティファクトに影響はされるが、
おおむね青1つで撃てる。
悪くても1青くらいで留まる。
このカードが弱い事はありえないと言っていいくらいだ。
ここまで構築し、ある事に気付く。
《ゴブリンの溶接工》
《師範の占い独楽》
《通電式キー》
《赤霊破》
これらの説明をしたカードたちが全て1マナである。
《虚空の杯/Chalice of the Void》のX=1が怖い。
が、デッキの軽さはとても重要だ。
似たようなタイプのデッキのいくつかに比べ、遥かに軽く、そして重厚に攻められる構成であろう。
少々厳しい相手は《虚空の杯》や《無のロッド/Null Rod》を置いてくるデッキ、
ないしは《血染めの月/Blood Moon》や《月の大魔術師/Magus of the Moon》。
申し訳程度に入れてある《島》1枚や《荒残/Rack and Ruin》1枚では、
対策というには無理があるというものだろう。
が、全てにおける対策が出来るほどマジックは甘くはない。
当たった場合はサイドボードに賭ける、と割り切った。
あまり《血染めの月》や《月の大魔術師》を置く人はいないと思うが。
構築時間たった1時間で、それ以降デッキ内容を一度もいじっていない。
ただ、頭の中にあったものをそのまま目の前に持ってきただけだった。
テストプレイから1時間後、
藤井「これ、強いね。デッキ、完コピしてもいい?」(完コピ=完全コピー)
Serra「いいよ。これでうちらが勝てたら面白いね。」
大会には同じデッキレシピの人間が1人いることが確定した。
後編に続く。
ではまた。