Chalice of the Void/虚空の杯

今回のお題は、
《虚空の杯/Chalice of the Void》。
ミラディンの数あるアーティファクトのうちの1つ。

ミラディンというエキスパンションが出た時、
《精神隷属器/Mindslaver》には
「夢がかなったカード」
「自分の全ての夢をかなえるカード」
と評したものだったが、
この《虚空の杯》は、
「このカードセットで一番強いカード」
だと思った。

カードの効果は、

《Chalice of the Void/虚空の杯》
コスト:XX
アーティファクト
虚空の杯はその上にX個の蓄積(charge)カウンターが置かれた状態で場に出る。
プレイヤーが、この上に置かれている蓄積カウンターに等しい、
点数で見たマナ・コストを持つ呪文をプレイするたび、その呪文を打ち消す。
レア

スタンダードに《虚空の杯》の活躍の場は無く、
このカードはスタンダード時代100円レアだった。
親和と呼ばれる、
「クリーチャーデッキなのに、コンボデッキのような速さ」
を持つとんでもないデッキがあった事もあり、
《虚空の杯》は日の目を浴びる事は無かった。

が、考えてもみれば、
「自動的に呪文をカウンターするカード」
なんて他にほとんど存在しないのだ。
これを置かれてしまったら、
まずはこのカードを破壊しないと指定されたコストの呪文は唱えられないのだ。
弱いわけがない。
当時、こういった思考をする人がおらず、
このカードはトーナメントには出てこなかった。

世界選手権に初めて出たのは、このミラディン+オンスロート時代。
その世界選手権のサイドイベントでヴィンテージがあった。
《虚空の杯》を使っていた人はいなかった…と思う。
少なくとも自分が観戦した限り、
このカードを場に置いている人はいなかったし、
入っていそうなデッキも見なかった。
ミラディンが発売して約1年の時でこの評価だったのだ。

さすがに自分の判断を疑いかけた。
「実は自分はカードを見る目が無いのかなぁ…?」
と心の中で一度ならず思った。

ちょうどこの後くらいからだった。
《虚空の杯》が評価されはじめた。
Staxというデッキが世に出始め、
ヴィンテージの世界が変わり始めた。

ヴィンテージの世界で完全な茶単(色のついたカードをいれていないデッキ)を作ったのは、
おそらく自分が一番最初なのだと思う。
どこかの海外のページで、
「Serra Affinity」という名で紹介されていた。
ちょっとこれは嬉しい。
(間違ってもデッキに《セラの天使/Serra Angel》が入っていたわけではない)

このヴィンテージでAffinityを作ったとき、
自分はこの《虚空の杯》を採用した。
自分のデッキなら引っかかる数字はおもに0、1、2、3だ。
0は言うまでもないMoxシリーズをはじめとする制限カードたちだ。
コスト1は《頭蓋骨締め/Skull Clamp》《魔力の櫃/Mana Vault》《Sol Ring》がひっかかる。
コスト2は《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》や《マイアの回収者/Myr Reriever》、
コスト3は《からみつく鉄線/Tangle Wire》や《金属細工師/Metal Wokrer》である。
1ターン目に0マナカードを展開し、
自分から《虚空の杯》、X=0を指定すれば、
速度で相手を勝る事は多い。
《頭蓋骨締め》を1枚でもいいので置いてから、
《虚空の杯》でX=1を指定すれば、
状況的に厳しくなるのは相手方である事は多い。
X=2はあまり指定しない。
X=3以上の数字はマナが出ても滅多な事では使わないだろう。

このデッキの良いところは、
《電結の荒廃者》さえあれば、
《虚空の杯》が邪魔になった時に、
自分の手で破壊出来る点にある。
《マイアの回収者》で回収して、
好きな数字に指定しなおす事も可能だ。
このカードはスタンダードでは親和との噛み合いを発揮されなかったが、
ヴィンテージの世界では驚くほどにその力を示してくれた。
対戦相手によっては、
《虚空の杯》、X=1を1ターン目に置き、
3ターン目には投了を宣言した人もいたほどだった。
実際にX=1は恐ろしいほどのカードがストップする。
ここにそのカードを列挙したとしたら、
簡単に100種のカードが出てくることだろう。

《虚空の杯》は使いこなす事が非常に難しいカードでもある。

状況次第で指定する数字がいくつであるかを問われるからである。
自分のプレイの経験では、
あえてX=0で出してカウンターさせ、
(《Mana Drain》させた)
別のカードを通した事もあれば、
手札に《虚空の杯》が2枚あった時にX=0で出してカウンターさせ、
実際に通したいX=1を通した…という事もあった。
相手の動きや心理を見据えて使うことを求められるカードでもある。
間違えれば自分の首をしめることにもなりかねない、
そんなカードでありながら、
決まれば相手を仕留める事が可能なカード。
上級者向けカードとも言えるだろう。

とはいえ、ヴィンテージの世界ではいくつもの方法で対処方法が存在している。
《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》、《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》、
《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》、《再建/Rebuild》
《荒残/Rack and Ruin》、《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》
数多くの対処方法によってこのカードも万能ではない。
Xの数字次第で苦しめられる事には変わりがないが。

今、(2008年11月)このカードはヴィンテージとレガシーの両レギュレーションで、
一線の活躍をしているカードとして認識されている。
出世するのに随分な時間がかかったカードだ。
今後、ヴィンテージやレガシーをやる人、既にやっている人、
このカードには気をつけてヴィンテージやレガシーに挑んでもらいたい。
また、興味があればこれを使ってみるもいいだろう。
MTGの面白さを知る1枚となりえるだろうと自分は思っている。

ではまた。




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