Cardshop Serraのできるまで其の四

時代はオデッセイ時代からオンスロートへ、
この頃にはもう地盤らしい地盤が出来、
オンラインショップではなく、
自営業としてCardshop Serraは税務署に登記した。

別段難しい話ではない。

税務署に行って、
「今日から俺、商売するから。」
と言って、
名前や住所、印鑑…という銀行の口座1つ作る事とあまり変わらない作業だ。
違うのは年度末までに確定申告という会計報告をする事だけだ。

屋号(社名or店名)は説明不要の「Serra」だ。
ちなみにCardshop Serraではなく「Serra」だけが屋号。
たまたま好きになった、たった1枚の絵は自分の人生を変えてしまった。

書くのが遅れてしまったが、
この頃には既に

Douglas Shuler版《セラの天使/Serra Angel》原画
Rebecca Guy版《セラの天使/Serra Angel》原画

の両方を手に入れていた。
この2つの原画が1人の日本人の手にある事を知っているMTGプレイヤーは少ないのではなかろうか。

言葉のままの意味になりそうな「看板娘」を手に入れ、
自営業、屋号:Serraである、
Cardshop Serraがスタートした。

これといった問題事を抱える事無く、
(売り上げが上々だったとも言えないが)
1年が経過した。

時代はミラディンブロック。
人によってウルザズサーガの再来とさえ呼ぶ、
とんでもない強さを誇るアーティファクトエキスパンションの時代だ。

アーティファクトが大好きだった自分は、
このカードセットがとても気に入った。

そして、この年、1度目の世界選手権に出場した。
親和と呼ばれるクリーチャーデッキなのに異常な速さと強さを誇るデッキは、
世界選手権の中でも大暴れをした。

親和の面白いところは、
「初心者、中級者が使っても弱くないが、
上級者が使うと何倍も強い。」
ところにあった。

親和デッキは自分にとって、
「手や足を動かす事と同じ」
と言えるほど楽しくも自由に使えるデッキだった。
《金属ガエル/Frogmite》というカードが大好きだった。

この世界選手権の後に、オンラインショップをスタートさせる。
最初は本当にこじんまりとしたHP。
これ、本当にお店?と言えるほどの在庫量。
今ほどPower9も持っていなかった。

とはいえ、せっかく自営業、そしてオンラインを始めたのだから、
何よりも、誰よりもMTGの楽しみ方を教えられるお店にしようと考えた。

当時HPの作成等をし、絶大な信頼をよせていた1人と相談し、
カード博物館とこらむをコンテンツとして用意し、
他店とは違う!と言わせる面を作る事を目標とした。
Power9も同様。
おそらく当店よりPower9を置いてあるお店は滅多に無いはず。
実はこれには理由は多くある。
Power9とは商材としては非常に厄介な代物だ。

・利益率が悪い。
・仕入れてもすぐに売れていかない。
・売れてしまうと次を仕入れるのが難しい。
・単価が高いため、資金を食いつぶす可能性がある。
・薄利多売商品ではないだけに、値崩れした場合のリスクが大きい。
・偽物が存在する。
・状態であまりに値段が変わるので扱いが難しい。
・オンラインで買うにはお客様も不安になりやすい。

これらはPower9を扱わないお店にありがちだ。
スタンダードからエクステンデッドまでしか取り扱わないショップもあるだろうが、
利益優先の薄利多売狙いの可能性が高い。

商売としては間違っていないが、長くは続きにくいやり方だ。
また、
Power9という商材を理解していないディーラーもいる。
こうなるともうディーラーとして論外と言ってもいい。

自分はこういったお店にはしたくはないし、
ただ売るだけのやり方も好まない。

開始した時からあれこれと考え、
全てのカードセットの取り扱い、
Power9を何処よりも扱う事、
定期的なカード博物館とこらむ、
これらが他店とCardshop Serraの違いを出す点になると考えた。

自分はMTGが大好きなのだから、
その楽しみをプレイヤーに多く知ってもらったうえで、
Cardshop Serraを利用してもらいたい。

MTGは
プロツアーを目指すも面白い。
世界選手権の世界はそれは良い面、悪い面両方あるが、とてもいい経験が出来る。
エラーカードを知ってみるも悪くない。
オフィシャルカードじゃなく、セミオフィシャル(ミドルエイジ等)のカードの世界も興味深い。
各エキスパンションのコンプリート目指すのも面白い。
カジュアルなネタデッキやファンデッキは競技志向には無い楽しさを持つ。
ドラフトの面白さは構築デッキとは世界が違う。
神話の世界とMTGの世界の共通点を見つけるのも楽しい。
デッキを古いカードで揃える楽しみもある。(例:デッキの基本地形は全てベータ版)
イラストをアートとして観るも一興。
たまにはフレーバーテキストを読むも一興。
特定カードコレクターになってみると見えてくる楽しさも付き合いもある。
(自分は人生を変えてしまうほどだったし、原画も手に入れられた。)

自分はこれらに加えて、ショップを経営する楽しみもある。

せいぜい出来ていないのは、
自分がカードデザイナーになる事くらいだ。
自分よりプロツアーに行き、自分より賞金をもらっている人はいる。
が、
言わせてもらえば賞金額なんてゴミみたいなものだ。
世界選手権で優勝したとしても、
せいぜい2年間生活が出来る程度の賞金額だ。

楽しみとはお金では買えないもの。
でもお金も必要なもの。
競技志向にだけ偏れば、コレクターの楽しみはわかりにくい。
コレクターに偏れば、競技志向の楽しみはわかりにくい。
かと言って、競技やコレクションだけがMTGの楽しさではない。
自分は10年ほどMTGをプレイし、
相当な楽しみ方を経験出来たものと思う。

これだけMTGを楽しめている人は世界にどのくらいいる事だろう。
そのMTGでの楽しみをCardshop Serraが発信出来たらと思っている。
大事なのは、お金を得る事ではなく、楽しみを得る事だ。
Cardshop Serraはそうやってスタートした。

終わり。
1から4まで全て読んでくださった方ありがとうございます。

ではまた。




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