EDHデッキ紹介その89(Zurgo Helmsmasher/兜砕きのズルゴ)
記事作成日:2016/11/03 執筆:加藤英宝
当店のお客様に無類のズルゴ好きがいる。
週末によく遊びに来てくれるM君である。
ズルゴとは《兜砕きのズルゴ/Zurgo Helmsmasher》のことだ。
このお客様のズルゴ好きは相当なもので、
「PSAで鑑定されたズルゴのFOILが欲しい。」
なんて事を言い出したのは序の口で、
「最近ズルゴで2つデッキ組みました。」
「周囲の友人からズルゴって呼ばれるようになりました。」
「ズルゴのデッキのために《The Abyss》買います。」
と、そんじょそこらのズルゴ好きではない。
(そんじょそこらのズルゴ好きなんて見た事がないが。)
こんなにズルゴが好きな人、
他にいないだろうなぁと思っていたある日のこと。
Cardshop Serraにこんなメールが届いた。
「いつも楽しくEDHデッキ紹介のコラムを閲覧させていただいております。
もしよろしければ私がMTGを始めるきっかけとなった
迅速vs狡知デッキ収録の一目惚れカード
《兜砕きのズルゴ》
でコラムを作ってはいただけませんか?
7/2速攻、自ターンのみ破壊不能というジャイアンのような性能で、
ジェネラル21点3パンを基本勝ち筋として、
私自身ズルゴのEDHを製作しております。
《ティムールの激闘》や《病的な憤激》による二段攻撃付与、
《伍堂の大槌、天鎖》や《大薙刀》によるトランプル付与、
《審問官のフレイル》によるダメージ倍など殴ることにのみ特化できること。
自分で唱える《神の怒り》や《冒涜の行動》に破壊不能なので巻き込まれないこと。
そもそも7/2速攻という前のめりすぎて、
顔面スライディングしてしまいそうなスペックも気にいっております。
(改変後に鐘突きにされてしまったのも可愛いと感じます)
セラさんの「青は殺せ!青から殺せ!」は、
ズルゴEDHを使用していて毎回感じておりました。
戦闘民族ズルゴ君の喧嘩上等!単騎特攻!コラムを
よろしければお願いします。
~ズルゴに栄光あれ~」
3回くらい読み直して、
M君の名前があるかどうか探した。
どうも別人らしい。
世の中には「相当なズルゴ好き」が2人はいたという事だ。
文章からもかなりのズルゴ愛が伝わってくる。
M君といいこのお客様といい、
そんじょそこらのズルゴ好きではない。
こんなに熱いメッセージをいただいて、
こらむにしなかったらCardshop Serraの店主の名がすたる。
誰だ、すたるほどの名じゃないだろなんて言っている奴は。
この熱いメッセージをもらった後、
こらむにする事を考えた店主は、
「自分が作るより、
ここは同じズルゴ大好きなM君のデッキを紹介したい。」
と思い、M君にデッキリストをもらって、
今回のこらむにする事にした。
《Zurgo Helmsmasher/兜砕きのズルゴ》
コスト:2赤白黒
伝説のクリーチャー オーク(Orc) 戦士(Warrior)
速攻
兜砕きのズルゴは、可能なら各戦闘で攻撃する。
あなたのターンであるかぎり、兜砕きのズルゴは破壊不能を持つ。
このターンに兜砕きのズルゴによってダメージを与えられたクリーチャーが1体死亡するたび、
兜砕きのズルゴの上に+1/+1カウンターを1個置く。
7/2
神話レア
5マナ7/2と珍しいパワーとタフネスの数字。
彼の二つ名は「ミスター前のめり」で決定。
5マナと少し重めだが、
パワー7で速攻と合格ライン。
自分のターンだけでも破壊不能持ちは相当大きく、
白、黒、赤にある多くの大量除去との相性が良い。
速攻のおかげとパワー7でジェネラルダメージ21点は狙いやすい。
能力が完全に武闘派、脳筋と言われるタイプだが、
ここまで特化していると戦いやすい。
3つ目の吸血鬼能力は別にあってもなくても、といったところ。
一度でも強化出来ると《紅蓮地獄/Pyroclasm》系で死ななくなる程度。
ジェネラル:《兜砕きのズルゴ/Zurgo Helmsmasher》
-クリーチャー7枚-
《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》
《ルーンの母/Mother of Runes》
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》
《銀刃の聖騎士/Silverblade Paladin》
《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》
-インスタント8枚-
《電弧連鎖/Arcbond》
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
《ボロスの魔除け/Boros Charm》
《摩耗+損耗/Wear+Tear》
《苦渋の破棄/Anguished Unmaking》
《完全なる終わり/Utter End》
-ソーサリー13枚-
《汚損破/Vandalblast》
《横揺れの地震/Rolling Earthquake》
《Wheel of Fortune》
《焦熱の合流点/Fiery Confluence》
《今を生きる/Seize the Day》
《チャンドラの灯の目覚め/Chandra’s Ignition》
《壊滅/Devastation》
《神の怒り/Wrath of God》
《ハルマゲドン/Armageddon》
《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》
《夜の囁き/Night’s Whisper》
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
《滅び/Damnation》
-エンチャント13枚-
《煙幕/Smoke》
《前哨地の包囲/Outpost Siege》
《締め付け/Stranglehold》
《シガルダの助け/Sigarda’s Aid》
《領事の権限/Authority of the Consuls》
《盲従/Blind Obedience》
《安らかなる眠り/Rest in Peace》
《疑いなき権威/Unquestioned Authority》
《命運の掌握/Grasp of Fate》
《法の定め/Rule of Law》
《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
《The Abyss》
《致死の蒸気/Lethal Vapors》
–アーティファクト26枚-
《魔力の墓所/Mana Crypt》
《Jeweled Amulet》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《金属モックス/Chrome Mox》
《オパールのモックス/Mox Opal》
《魔力の櫃/Mana Vault》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
《探検の地図/Expedition Map》
《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
《精神石/Mind Stone》
《ラクドスの印鑑/Rakdos Signet》
《ボロスの印鑑/Boros Signet》
《オルゾフの印鑑/Orzhov Signet》
《耽溺のタリスマン/Talisman of Indulgence》
《友なる石/Fellwar Stone》
《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
《連合の秘宝/Coalition Relic》
《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》
《伍堂の大槌、天鎖/Tenza, Godo’s Maul》
《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
《突撃鎧/Assault Suit》
《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》
《殴打頭蓋/Batterskull》
《世界薙ぎの剣/Worldslayer》
-プレインズウォーカー1枚-
《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
-土地31枚-
《Badlands》
《Plateau》
《Scrubland》
《血の墓所/Blood Crypt》
《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
《神無き祭殿/Godless Shrine》
《硫黄泉/Sulfurous Springs》
《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
《偶像の石塚/Graven Cairns》
《岩だらけの大草原/Rugged Prairie》
《悪臭の荒野/Fetid Heath》
《湿地の干潟/Marsh Flats》
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
《乾燥台地/Arid Mesa》
《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
《汚染された三角州/Polluted Delta》
《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
《統率の塔/Command Tower》
《マナの合流点/Mana Confluence》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
《古えの墳墓/Ancient Tomb》
《家路/Homeward Path》
1 《平地/Plains》
1 《山/Mountain》
1 《沼/Swamp》
——————————
デッキ名は勝手に命名。
「ズルゴ好きの
ズルゴ好きによる
ズルゴのためのデッキ」
いかにしてズルゴで勝つか、という事に特化している。
おそらくズルゴを3~4回除去されたら、
追加マナが払えずにプレイできなくなるだろう。
特筆すべきはこれ。
《Assault Suit/突撃鎧》
コスト:4
アーティファクト 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+2/+2の修整を受け、速攻を持ち、
あなたやあなたがコントロールするプレインズウォーカーを攻撃できず、
生け贄に捧げることもできない。
各対戦相手のアップキープの開始時に、あなたはターン終了時まで
そのプレイヤーにその装備しているクリーチャーのコントロールを得させてもよい。
そうしたなら、それをアンタップする。
装備(3)
アンコモン
これをズルゴが装備するととても面白い事が起きる。
自分から時計回りにA、B、Cとプレイヤーがいたとして、
自分のターンを終了。
↓
プレイヤーAのアップキープにズルゴのコントロールをAに渡す。
ズルゴのコントロールはAになるので、ズルゴは破壊不能を持ち、
《突撃鎧》の効果でBかCを殴る。
↓
その後、
プレイヤーBのアップキープにズルゴのコントロールをBに渡す。
ズルゴのコントロールはBになるので、ズルゴは破壊不能を持ち、
《突撃鎧》の効果でAかCを殴る。
↓
言うまでもなく、
プレイヤーCのアップキープにズルゴのコントロールをCに渡す。
ズルゴのコントロールはCになるので、ズルゴは破壊不能を持ち、
《突撃鎧》の効果でAかBを殴る。
一周してくる間にズルゴは自分のターン含めて4度も殴るのである。
状況次第では一人沈む事もあるだろう。
ズルゴのための装備品と言っても過言ではない装備品だ。
それから、
M君がズルゴデッキのために買った高額な《The Abyss》も重要。
《The Abyss》
コスト:3黒
ワールド・エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、
そのプレイヤーが選んだ自分がコントロールする
アーティファクトでないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
それは再生できない。
レア
各プレイヤーのアップキープに、
そのプレイヤーの生物が奈落に吸い込まれていく、
黒の最強エンチャントと名高い1枚。
ズルゴは「自分のターンだけ破壊不能」なので、
《The Abyss》の対象にしても全く問題がない。
昨今のEDHでは「ジェネラルありき」で構築している事が多いので、
このカードが刺さる刺さる。
ジェネラル単体だけが着地している場合、
そのジェネラルが
・アーティファクトクリーチャー
・プロテクション
・呪禁
・被覆
・破壊不能
でない限りは倒せる。
ジェネラルでなくても必ず生物が1つ沈むと考えれば、
相当なアドバンテージが約束されているようなもの。
そして、
自分のズルゴには全く影響がない事が強み。
《兜砕きのズルゴ》は50円レア
《The Abyss》は英語版で軽く2万はするレア
と、文字通り桁違いの差はあるが、
それは、溢れんばかりのズルゴ愛でカバーである。
ズルゴ愛といえば、
M君にこのデッキリストをもらった際に、
Serra「このリスト《完全なる終わり》抜いて、
《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》じゃない?」
と言ったところ、
M「《完全なる終わり》が入らないのはわかります。
ただ趣味なんです。ズルゴが描いてあるから。」
と返答がきた。
脱帽である。
まさかそんな返答が来るとは想像もつかなかった。
え?そうだったっけ?と《完全なる終わり》を見てみる。
確かにズルゴ。
フレーバーテキストにも出てきている。
この一言をM君から言われて、
「やはり、自分がデッキを組むものではなかった。
このズルゴ愛、
店主ごときが及ぶものではないわ。
M君にデッキを依頼して良かった。」
と、店主は思った。
熱いメッセージをくれたお客様とM君、
いつか2人が対戦する光景を見てみたいものである。
ではまた。