EDH必須カードについて3。
記事作成日:2015/02/24 執筆:加藤英宝
以前に
EDHの必須カードについて。
というこらむを書いた。
あのこらむを書いてから年月が経ち、
新しいカードが増え、
さらに伝説ルールも変更された。
あのEDH必須カードについてを書いた頃と今では、
伝説ルールの変更はあれど、
多くのカードの強さはそれほど変わらない。
《幻影の像/Phantasmal Image》は
ジェネラル対策カードでは無くなったが、
充分に強いカードである。
あのこらむの内容は2015年になった今でも、
十分役に立つものだろう。
今回は新しく出たカードたちに焦点を当て、
オススメのカードたちを紹介したい。
今回は少々マルチカラーカードにも触れている。
マルチカラーカードは以前に触れなかった話題だったので、
また別な機会にさらにオススメカードを紹介したいとも思う。
-白-
・《安らかなる眠り/Rest in Peace》
白の最高の墓地対策カード。
EDHでは墓地を使う人が多い。
自分も墓地を使えなくなるが、
開き直りも大切である。
2マナとコストも安くとても優秀な1枚。
白以外の色は墓地からコンボを決めに来る事があるので、
それを封殺してしまう事は重要である。
-青-
・《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
プレインズウォーカーでさえコピー出来る面白い1枚。
デッキに入れておいて無駄になる事が少ない。
対戦相手のパーマネント、自分のパーマネント、
どちらでもコピー可能なため、選択肢が多いのが魅力。
・《白鳥の歌/Swan Song》
特定呪文のみのカウンターで、
相手に2/2の飛行トークンを渡してしまうが、
EDHにおいては2/2飛行くらいはプレゼントしてしまっても支障は無い。
確実にカウンターが出来る事のほうが大切なケースは多い。
1マナという優秀さから採用率は高くなる1枚。
・《僧院の包囲/Monastery Siege》
基本的にはカンのモードを選ぶ。
やっている事は《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》に似ているが、
手札が回転する事の大きさから、
こちらのほうが使い勝手が良い事が多い。
墓地を肥やす事にメリットがあるデッキならば、
なおさらに採用しておきたい1枚。
・《宝船の巡航/Treasure Cruise》
なんでこんなカード作ったんだろう?1号。
このカード、先日モダンで禁止、
レガシーも禁止、ヴィンテージで1枚制限になった。
ただでさえEDHでは青が強いと言われるところに、
たかだかコモンカードが拍車をかける事になっている。
お手軽にアドバンテージをくれる凄まじいカードだ。
青いデッキを組むなら
100-(ジェネラル+《宝船の巡航》)=残り98枚からデッキを作れ。
と言い切れるくらいの強さである。
もっとも青いデッキの場合、
「残り90枚からデッキを作れ。」
と言いたくなるくらいに凶悪必須カードが何枚もあるのだが。
・《時を越えた探索/Dig Through Time》
なんでこんなカード作ったんだろう?2号。
墓地を6枚消して、青青だけ払って、
ライブラリーの上7枚から2枚好きなカードが手札に。
弱いわけがない。
コモンの《宝船の巡航》のほうがシンプルな強さはあるが、
どちらも凶悪なカードである事には変わりはない。
-黒-
・《無慈悲な処刑人/Merciless Executioner》
《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》が別名になったもの。
対戦相手が多いという事は影響力も大きくなる1枚。
序盤にジェネラルだけ展開したプレイヤーのジェネラルを除去する1枚。
相手が呪禁や被覆を持っていても除去出来るメリットも強い。
もちろん《肉袋の匪賊》と併せて採用で。
・《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
単色ではインスタントの対応力に乏しい黒なので、
こういった柔軟性あるカードは重要。
プレインズウォーカーにインスタントで対応可能な珍しい1枚。
指定コストの黒黒が重たい事もあるが優秀。
・《毒の濁流/Toxic Deluge》
特定マナ1つの合計3マナでリセットが出来るカード。
EDHのようにライフ40点スタートでは、
ライフの支払いのリスクも少ない。
序盤の展開力が激しいエルフやゴブリンデッキへの最高の回答と言える。
-赤-
・《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
ほとんどジェネラル:《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》専用。
とはいえ、置くだけでも相当な攻撃力と制圧力を持つので、
EDHでも侮れない1枚。
・《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
2枚目の《熱情/Fervor》として使おう。
一応アーティファクトでもあるので、
金属術成立のための条件にもなる。
トークンを出す能力はあまり使わない。
・《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》
ジェネラルとして使うもよし、
クリーチャーやトークンを並べるデッキでも大活躍。
飛んで行くダメージが「各対戦相手」と書いてあるので、
ダメージ効率がとても良い。
《ゼンディカーの報復者/Avenger of Zendikar》や、
《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》と組み合わせよう。
とても愉快なダメージが飛んでいく事だろう。
・《前哨地の包囲/Outpost Siege》
基本的にはカンのモードを選ぶ。
能力が《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》の0能力と同じ。
《紅蓮の達人チャンドラ》と点数で見たマナコストは同じ。
ダメージで壊れないプレインズウォーカーだと思えば強い。
他のカードでアドバンテージを稼ぎにくい場合は採用。
他のカードでアドバンテージを稼げる場合は不要。
-緑-
・《ケイラメトラの侍祭/Karametra’s Acolyte》
信心次第とはいえ、
10マナ以上を出す事もある危ない生物。
速攻をつける方法があれば、
一気にマナ加速出来る事も多い。
欠点はクリーチャータイプがエルフではないことくらい。
エルフだったら評価が倍になったかもしれない。
・《開拓地の包囲/Frontier Siege》
カンのモードがあまりに使いやすい事と、
龍のモードがあまりに使いにくい事があいまって、
青や赤の包囲と違って、カンしか選ばない。
戦闘前メインフェイズにマナ加速、
戦闘後メインフェイズにもマナ加速。
ジェネラル:《マナの座、オムナス/Omnath, Locus of Mana》ならば必須。
他の緑ジェネラルでも使わない理由がないくらいに強い。
土地やクリーチャーのリセットを食らってもマナが出る点も強い。
・《ラノワールの憤激、フレイアリーズ/Freyalise, Llanowar’s Fury》
柔軟性高く、マナ加速にもなるプレインズウォーカー。
-6の能力も単色ならば相当に使える。
緑のデッキでスロットが余っていれば採用!と言える有用性がある。
忠誠度の初期値は低いが、
+2能力で1/1トークンが出るため、防御力も高め。
・《再利用の賢者/Reclamation Sage》
《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》のタフネスを下げたら、
エンチャントも破壊出来るようになった。
破壊も任意になっていて、
タイプもエルフのままで優秀なことこの上なし。
誰もが《太陽の指輪/Sol Ring》を入れてくるようなEDHでは、
このカードが活躍しないわけがない。
・《ドライアドの歌/Song of the Dryads》
どんなパーマネントも《森/Forest》に出来る。
プレインズウォーカーであろうと
クリーチャーであろうと効くという点が強い、
《内にいる獣/Beast Within》のようなカード。
こちらはエンチャントであるため、
ジェネラルに貼り付けると再度プレイが難しくなる点が優秀。
-アーティファクト-
・《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》
単色では意味がないが、
3色以上であれば活躍の場は大きい。
5色になると色マナを一切気にしなくなる事がとても大きくなる。
単純な強さでは《連合の秘宝/Coalition Relic》だが、
色と土地配分次第ではこちらに軍配が上がる。
-無色-
・《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
リセットを内蔵したプレインズウォーカー。
8マナと重いが、使い勝手は良い。
ほとんどのアーティファクトは壊せないが、
奥義を含めてかなり強力。
相手が置いてきたらすぐにでも倒そう。
必須、というには少々語弊がありそうな1枚ではあるが、
間違いなく強いカードであり、
無色であるがゆえにどんな色のデッキにも入る点からランクイン。
-土地-
・《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
2枚目の《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》という呼び名もある。
2枚目の《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》という呼び名もある。
信心次第で相当なマナが出るので、
どちらかと言えば単色専用機に近いが、
2色程度であればかなりのマナが出せる構成に出来る。
3色以上では不要な事のほうが多い。
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ここからはマルチカラーカード。
マルチカラーカードはEDHの特色上、
通常の60枚構築と違って、
少しだけ使いにくさがある。
同じ色でもジェネラルが違うだけで、
あるカードは使いやすく、
あるカードは使いにくくなる事もある。
それだけに評価も一定ではない事を前提で読んでいただきたい。
また、
カードそのものは単色であっても、
起動コストを含めると多色扱いになるカードや、
ハイブリッドカードもこちらに羅列した。
-マルチカラー-
・《ラル・ザレック/Ral Zarek》
どの能力もそれなりにやってくれる。
+1能力は2マナ以上出るパーマネントのアンタップが効果的だが、
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》アンタップなど、
使い道はとても多い。時々ブロッカーを消せる点も馬鹿には出来ない。
-2能力は説明不要の《稲妻/Lightning Bolt》。
-7能力も期待値としては《時間の伸長/Time Stretch》以上。
・《ダク・フェイデン/Dack Fayden》
相手の《太陽の指輪》を奪い取るために存在している。
奥義は無いと思え。
+1能力と-2能力だけが全て。
それだけで十分に戦えるプレインズウォーカー。
コストも3と軽くて優秀。
・《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》
ストーム、カウンター、マナアーティファクト展開を防げる、
とても優秀な生物。
100%防ぐというわけではないが、
40ライフあったとしてもクリーチャーでない呪文は7回唱えられない。
制限がかかる事はとても大きい。
相手の展開力に制限をかけている時間で押し切ろう。
・《魂火の大導師/Soulfire Grand Master》
起動能力が非常に面白い。
《時間操作/Temporal Manipulation》のような追加ターン呪文で、
簡単に無限ターンが決まる。
簡単と言っても起動コスト+呪文コストなので軽くはないが。
他のカードでは1マナのドロー呪文や1マナの除去呪文を戻すと強い。
合計コストが相当かかるが、
《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》を超過して手札に戻せるとほぼ勝ち。
欠点は最低3色からであること。
・《クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix》
《種子生まれの詩神/Seedborn Muse》に似ているが、
クリーチャーが瞬速を持つ点が優秀。
ドロー呪文やタップ能力との組み合わせで、
対戦相手のターンで大展開出来る事も。
・《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》
ジェネラルダメージを狙うタイプのデッキならば、
これを入れない理由はどこにもない。
ジェネラル次第では攻撃1回で1人が沈む。
毒殺狙いのデッキでも心強い1枚。
・《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
有用性は《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》並み。
マナ加速にいたってはガラクを超える事もしばしば。
奥義は滅多に使わないが、
一応使えなくはない。
ほとんどの場合はマナ加速で使うプレインズウォーカー。
・《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
探査能力のおかげでコストも踏み倒せる事が多く、
能力でアドバンテージも得られる。
墓地を増やす事をメリットに出来るデッキならば、
なおさらに強い。
・《戦慄掘り/Dreadbore》
ソーサリーではあるが、
クリーチャーかプレインズウォーカーを破壊出来る柔軟性は評価出来る。
序盤のジェネラルへの対抗策になるという点では、
インスタントの《終止/Terminate》とどちらをとるか?という話にもなるが、
両方採用でも支障はない。
・《ラクドスの魔除け/Rakdos Charm》
前述の《終止》と《戦慄掘り》と同じコストだが、
役目は全然違うものになっている。
墓地消し、アーティファクト破壊を選べる事がかなり大きい。
3つ目の能力は《群衆の親分、クレンコ》をジェネラルにしている相手なら、
悲鳴を上げてくれる事だろう。
・《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》
4マナにしては重たい一面はあるが、
+1能力はジェネラルダメージを狙うクリーチャーにはよく効く。
-1能力はアドバンテージと加速として申し分無し。
奥義は無いと思っていい。
欠点は忠誠度の初期値の低さ。
このカードが3マナだったら忠誠度初期値2でも文句なしだった。
・《概念泥棒/Notion Thief》
対戦相手の《Wheel of Fortune》に対応して着地させたい。
他のドロー呪文でもおおむね対戦相手のプレイに対応すれば、
一方的にアドバンテージを得られる。
天敵は《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》のみ。
これを置かれると自動的に死ぬ。
・《突然の衰微/Abrupt Decay》
なんでこんなカード作ったんだろう?3号。
デュアルランド《Bayou》を高騰させた要因1号。
カウンターされないうえに、インスタントでパーマネント破壊。
デメリットらしいデメリットが見当たらない。
EDHでは黒緑か黒緑を含む3色以上専用だが、
色が合えば必須に近い1枚。
・《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
なんでこんなカード作ったんだろう?4号。
デュアルランド《Bayou》を高騰させた要因2号。
1マナで1/2なうえに能力が3つ。
しかも黒で起動する能力が、各対戦相手と書いてあるので、
EDHでは対戦相手3人のライフを損失させるときた。
デメリットは一切書いていないカードだ。
もう一度言うが、なんでこんなカード作ったんだろう?
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久しぶりに書いてみても、
やっぱり青いカードはランクインするカードが多い。
今回のこらむに出てきた中では、
《宝船の巡航》が特筆すべき1枚。
《宝船の巡航》はタルキール覇王譚のコモン。
タルキール覇王譚の発売日は2014年9月26日。
2015年1月23日には、
モダン、レガシーで禁止、ヴィンテージで制限である。
スタンダードは禁止にならなかったものの、
たった四ヶ月でこの状態である。
発売からこの短期間で禁止や制限を受けたコモンカードは珍しい。
このカードがコモンで良かった。
アンコモン以上であったらいくらになっていたかを考えるだけで恐ろしい。
EDHでは前述のとおり、
100-(ジェネラル+《宝船の巡航》)=残り98枚からデッキを作れ。
というくらいに優秀。
コモンである事から値段が安い事から、
低額のデッキから高額のデッキまで、
幅広く使える素晴らしいカードだ。
副次的な強さでは、
《宝船の巡航》のコストで不要なカードだけを追放し、
その後に《Timetwister》を撃った場合、
追放した不要カードを引かなくて済むので、
《Timetwister》の7枚ドローでより有効的なカードを引く確率が上がる。
もちろん、この副次的効果は他の探索カードでも同じだが、
単純な使いやすさで見ると《宝船の巡航》を超えるものはない。
それほどこの1枚は優秀な1枚だ。
最後に。
前回、前々回に続き、
読んでいる方のデッキ構築の参考になれば嬉しい。
また、読みたいという人も案外と多いので、
EDH必須カードについては今後も書きたいと思う。
※前こらむにも書きましたが、
ここに羅列したカード達が無ければデッキが組めないというものではありません。
そして、ここに載らなかったカードが弱いということもありません。
ではまた。