Rasputin Dreamweaver

今回のお題は《Rasputin Dreamweaver》。
過去に一度書いた事のあるお話だが、
もう少し掘り下げてみたいと思い、
再度このヘンテコレジェンドにスポットライトを当ててみた。


Rasputin Dreamweaver
コスト:4白青
伝説のクリーチャー 人間(Human) ウィザード(Wizard)
Rasputin Dreamweaverはその上に夢(dream)カウンターが7個置かれた状態で戦場に出る。
Rasputin Dreamweaverから夢カウンターを1個取り除く:あなたのマナ・プールに(1)を加える。
Rasputin Dreamweaverから夢カウンターを1個取り除く:このターン、Rasputin Dreamweaverに与えられる次のダメージを1点軽減する。
あなたのアップキープの開始時に、Rasputin Dreamweaverがターンの開始時からアンタップ状態であった場合、
その上に夢カウンターを1個置く。
Rasputin Dreamweaverは、その上に夢カウンターを8個以上置くことができない。
4/1
レア

仮訳:夢の紡ぎ手ラスプーチン。
このラスプーチン、ロシアの実在の人物である。
フルネームではグリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン。
一般的にはグリゴリー・ラスプーチン。
死に様や股間のイチモツの大きさなどのエピソードから、
「怪僧ラスプーチン」という呼び名が最も一般的という、
とてもとても変な人である。
仮訳の「夢の紡ぎ手」という単語とは程遠い破戒僧として歴史に名が残っている。

生年:1869年1月9日
没年:1916年12月30日

歴史的にはつい最近の人だ。
没年から約100年程度しか経過していない。
そのわりにエピソードが2000年くらい前のお話かと思う程創作じみている。
没後100年程度の人間であることもあり、
しっかりと写真が残っている。

これが実在のラスプーチン。

カードのイラストと比べてどうだろうか。
眼力の強さは写真のほうが遥かに強い感じはあるが、
髭はそっくりだ。

さて、そんなラスプーチンの生い立ちを追ってみよう。

1869年1月9日、ラスプーチンはシベリアの寂れた村ポクロフスコエ村の農夫の息子として生まれた。
12歳で母死去、家が全焼、兄と姉が溺死という悲惨な少年時代を送る。
18歳の時に修道院に入るが1年で逃げ出した。
20歳で結婚したが、息子が生まれるがすぐに死んでしまう。
その後、突然に父や妻に「巡礼に出る」と言い出して村を飛び出し、
聖地エルサレムに向かう。
巡礼後、帰郷したラスプーチンは、
妻ですら見分けがつかない程に見た目が変化しており、
神秘的な能力を身につけていたという。

1904年、サンクトペテルブルクに出たラスプーチンは、
多くの人に病気治療を施して信者を増やし、
「神の人」「イエス・キリストの再来」と言われるようになり、
皇族ニコライ・ニコラエヴィチ大公の妻アナスタシヤ大公妃に取り入った。
後にアレクサンドラ皇后に紹介され、
血友病患者であったアレクセイ皇太子を治療して皇后の信頼を得た。
(血友病ってそんな簡単に治療出来ないと思うのだが。)

1905年11月1日にロシア皇帝ニコライ2世に謁見し、
以後、皇太子の病状が悪化する度に宮廷に呼び出された。
ラスプーチンが祈祷を捧げると、皇太子の発作が治まって症状が改善した。
ラスプーチンの治療法は催眠療法の一種ではないかと推測されているが、
詳しい事はわかっていない。
こうして皇帝夫妻から絶大な信頼を勝ち取り、
「我らの友」とまで呼ばれるようになったラスプーチンは、
皇帝夫妻の権威を背景に政治に干渉するようになった。

その後、ラスプーチンは皇后はじめ宮中の貴婦人や、
宮廷貴族の子女から熱烈な信仰を集めるようになる。
彼が女性たちの盲目的支持を得たのは、
彼の巨根と超人的な精力によるという噂が当時から流布しており、
実際に彼の生活を内偵した秘密警察の捜査員が呆れはて、
上司への報告書に「醜態の限りをきわめた、淫乱な生活」と記載するほどだった。
ここから察するに相当な数の女性に手を出していたという事だけは間違いない。
(いつの世も性欲は人生や国を狂わす事が多いなぁ。)

なお、ロシア語で「放蕩」や「自堕落」を意味する形容詞に「rasputnii」という言葉がある。
この言葉はラスプーチンが由来という説もある。
ロシア語で書くと
ラスプーチン「Распутин」
放蕩「распутно」
となる。
淫蕩生活の代名詞のようなラスプーチンだが、
肉は食べず、魚と卵と果物と黒パンがメインで、
お酒については晩年に嗜む程度だったという話も残っている。
加えて、相当な甘党なだったうえに歯を磨かない人で、
虫歯だらけだったという話も。

第一次世界大戦が勃発してニコライ2世が首都を離れて前線に出るようになると、
内政を託されたアレクサンドラ皇后は何事もラスプーチンに相談して政治を動かした。
前線から届く不利な戦況から、敵国ドイツ出身であった皇后とドイツの密約説が流れ、
皇后とラスプーチンの愛人関係までが噂されるようになった。
(火のないところに煙は立たないというやつだろうか。)

皇后の信任を背景にラスプーチンが宮廷人事や政治を左右しはじめた事に、
宮廷貴族たちは危機感を抱き、ついに暗殺計画が立てられた。
1916年12月29日、皇帝の姻戚であるユスポフ公と皇帝の従兄弟のドミトリー大公は
共謀してラスプーチンを晩餐に誘い、彼の食事に青酸カリを盛った。
しかし、ラスプーチンは毒入りの食事後も態度に変化を示さず、周囲を驚愕させた。
毒の量は5~6人分の致死量だったという。
普通なら死んでいるはずの量である。
その毒の食事後に祈りを捧げていたラスプーチンは背後から鉄製の重い燭台で
頭蓋骨が砕けるまで激しく殴打され、
大型拳銃で2発の銃弾を撃ちこまれた。
そのうち1発は心臓を狙われた。
ラスプーチンは起き上がって反撃に出るがさらに2発、計4発の銃弾を受け、
倒れたところに殴る蹴るの暴行を受けて窓から道路に放り出された。
それでもラスプーチンには息が残っていたので、絨毯で簀巻にされ、
局部を切り落とされ、
凍りついたネヴァ川まで引きずられた後、
氷を割って開けた穴に押し込まれた。
3日後にラスプーチンの遺体が発見され、
警察の検視の結果、
肺に水が入っていた事から死因は溺死とされた。
川に投げ込まれた時もまだ息があったのである。
(ここまで徹底的に殺るあたり、よほど嫌われていたんだな…。)

余談だが、ミステリー創作物のお約束である青酸カリ。
実はこの青酸カリで人を殺す事は非常に難しい。
特に口から摂取の場合。
青酸カリは強烈に苦味があるため、
普通は摂取した途端に吐き出してしまう可能性が高い。
注射した場合は致死量ならばほぼ確実に死亡するらしい。
致死量は成人で150mg~300mgと言われている。
5~6人分の致死量となれば750mg~1800mgである。
確実に味がおかしくなっているのではないだろうか。
果たしてラスプーチンはどのようにこれを経口摂取したのだろうか。

なお、殺され方については、
毒入り菓子&毒入りぶどう酒
心臓に銃弾1発
背中に銃弾4発
銀の燭台で殴打1回
簀巻で川にポイ1回
という説もある。
どちらにしても壮絶で、ラストが川にポイなところは同じだ。
普通の人なら1回目で死ぬのだが。

この逸話からカードの能力が作られている。
神秘の力を持っていたとされる。(マナを出す能力)
一般人をタフネス1と考えて7回まで耐えられる能力。(自身のダメージを軽減する能力)
がそれに当たる。
魔人やら魔術師やらと色々と言われた人なので、
マナが出せるほうはそのままの能力という感じだ。
自身へのダメージを軽減のほうは、
毒1回
殴打2回
銃弾4回
簀巻で川にポイ1回
合計8回という、普通の人ならどれか1つで死んでいる殺され方を表現している。

また、実在のラスプーチンの職業?からもMTGのラスプーチンの色が決まっている。
白:聖職者、祈祷僧
青:魔人、魔術師
という感じだ。
全くもってよくここまでうまく作ったものだなぁというカードである。
ただし、何故パワーが4もあるのかは謎。
全然世界観の違うカードだが、
夏侯惇や孫策よりパワーがあるのである。

MTGの世界でのラスプーチンはそれほどトーナメントカードではないが、
Cardshop Serraの店主はヴィンテージの大会でこいつに殴られた事がある。
殴られた後に《Rasputin Dreamweaver》から4マナが出て、
氷の干渉器/Icy Manipulator》が出てきた。
なかなかにぶっとんだ奴だなぁと思った。

現在の戦場はヴィンテージよりはEDH。
これをジェネラルに据えるととても面白い。
ルールのおかげで無限コンボまで出来るのである。
必要パーツもそれほど難しくなく、

Rasputin Dreamweaver
屍賊の死のマント/Nim Deathmantle

クローン系の生物。
クローン/Clone
ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph
Vesuvan Doppelganger
ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter
など、どれでもOK。

手順もとてもシンプル。
Rasputin Dreamweaver》と《屍賊の死のマント》を出す。
Rasputin Dreamweaver》から無色7マナ出してから《クローン》プレイ。
クローン》は当然《Rasputin Dreamweaver》になる。
伝説ルールによりどちらかを墓地に置かなければいけないので、
Rasputin Dreamweaver》を墓地に置く。
屍賊の死のマント》の能力が誘発。
クローン》が化けた《Rasputin Dreamweaver》から7マナ出して、
屍賊の死のマント》の4マナを払い、墓地から《Rasputin Dreamweaver》復活。
またも伝説ルールによりどちらかを墓地に置かなければいけないので、
今度は《クローン》が化けた《Rasputin Dreamweaver》を墓地に置く。
屍賊の死のマント》の能力が誘発。
以下繰り返しで無色の無限マナが成立。
威圧の杖/Staff of Domination》でもあれば、
あとはやりたい放題になる。

また、無限にはならないが面白いネタがもう1つ。
狙い澄ましの航海士/Deadeye Navigator》との組み合わせだ。
こちらも手順は簡単。
狙い澄ましの航海士》と《Rasputin Dreamweaver》で組になる。(以下、結婚)
Rasputin Dreamweaver》から7マナ出して1青払って消える。(以下、離婚)
この後、結婚と離婚を繰り返すたびに無色マナが増えていく。
青マナある限り無色マナが増やせるという不思議なコンボ。
1青払って無色7マナなので、
差し引きで青マナ1つにつき5マナ増えるという計算。
エルドラージ生物でも《時間の伸長/Time Stretch》でも好きなようにプレイ出来るだろう。
「結婚→離婚→慰謝料が入る」
(1青払って離婚→この時はまだ青臭さが残っている→離婚後は色気がなくなるが慰謝料が入る。)
という事である。

どちらのコンボも《Rasputin Dreamweaver》でなければ成立しない、
面白い組み合わせである。
さすがは怪僧と呼ばれるだけの事はあるカードだ。

回数は限られているが、
修復の天使/Restoration Angel
一瞬の瞬き/Momentary Blink
などで消し飛ばしても強い。
また、
妖術師の衣装部屋/Conjurer’s Closet
滞留者ヴェンセール/Venser, the Sojourner
ならば、毎ターン7マナ使い放題である。

ちなみにこのラスプーチンの切り取られたアソコは、
サンクトペテルブルクの博物館に保管されているそうな。
(店主はこのブツの名前をラスプーチ○コと呼んでいる。)
ただし偽物ではないかという話もある。
大きさは約33センチ。
でかすぎ。
ラスプーチンの身長と体重が気になるところだが、
残念だが記録が残っていない。
しかし、この巨根ラスプーチンの血筋は絶えておらず、
最低でも2005年の時点で血族が残っている事が確認されている。
(曾孫のロランス・イオ・ソロヴィヨフ60歳、女性。)
それから、ラスプーチンの生まれ故郷にはラスプーチン博物館がある。
博物館と言ってもただの民家の大きさなのでとても小さい。

また、ラスプーチンはあまりにエピソードがぶっとんでいるので、
小説、映画など、多くの作品の題材になっている。
興味のある人はそちらを調べてみるのも面白いだろう。

ではまた。



記事作成日:2014/07/07



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