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MOMA

今回のお題はMOMA。

海外はわからないが、
日本のMTGプレイヤーの中では伝説的なイメージのあるもの、MOMA。
知らないプレイヤーも多くいることだろう。

MOMAとはカード名の略称である。

そのカードとは、
精神力/Mind Over Matter
という名前のカード。

英語名の
MindのM
OverのO
MatterのMA
を取ってMOMA。

カードの効果は、


Mind Over Matter/精神力
コスト:2青青青青
エンチャント
カードを1枚捨てる:アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。
それをタップまたはアンタップする。
レア

このカードを起点とするコンボデッキのことを通称でMOMAと呼んでいる。

そしてそのコンボデッキの鍵となるカードが下記、
史上最強の土地カード、
トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
時のらせん/Time Spiral
意外な授かり物/Windfall
の3枚だ。


Tolarian Academy/トレイリアのアカデミー
伝説の土地
T:あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき、あなたのマナ・プールに(青)を加える。
レア


Time Spiral/時のらせん
コスト:4青青
ソーサリー
各プレイヤーは、自分の墓地と手札を自分のライブラリーに加えて切り直し、その後カードを7枚引く。あなたは土地を最大6つまでアンタップする。
時のらせんをゲームから取り除く。
レア


意外な授かり物/Windfall
コスト:2青
ソーサリー
各プレイヤーは自分の手札を捨て、その後この方法でプレイヤーが捨てたカードの枚数のうち最も大きい値に等しいだけのカードを引く。
アンコモン

何をするかと言えば、
まず、アーティファクトを並べる。

可能な限りマナの出るアーティファクト、コストの低いアーティファクト、
カードを引く事が出来るカード等が望ましい。

このMOMAが使われた時代で言うと、

通電式キー/Voltaic Key
魔力の櫃/Mana Vault
モックス・ダイアモンド/Mox Diamond
水蓮の花びら/Lotus Petal
巻物棚/Scroll Rack

などが代表的だ。

これらを展開し、《トレイリアのアカデミー》から出るマナとアーティファクトマナから、
時のらせん》をプレイ。
手札を7枚に補充し、《トレイリアのアカデミー》をアンタップ。

可能ならば、引いてきたカードから、
アーティファクトを並べ、《精神力》をプレイ。
意外な授かり物》か2発目の《時のらせん》をプレイ。
このあたりまでプレイできたのであれば、
トレイリアのアカデミー》1枚から5~8マナ出る。

トレイリアのアカデミー》からマナを出し、《精神力》で手札を捨てて、
トレイリアのアカデミー》をアンタップして、またマナを出す。
これを繰り返すと簡単に20以上のマナが出る。
(5マナ出るのなら、手札5枚で25マナ、8マナ出る場合なら手札3枚で24マナ)

赤マナが1つでもあれば《火の玉/Fireball》で一撃、
(《モックス・ダイアモンド》か《水蓮の花びら》から赤マナが出せる)

青マナだけれあれば、《天才のひらめき/Stroke of Genius》を一度自分に撃ち、
(上記が一例ならばX=20程度で撃てる)
大量になった手札を捨てて《トレイリアのアカデミー》をアンタップし続け、
60マナ程度出たところで、対戦相手に《天才のひらめき》をX=60くらいで撃てば勝ち。
(正確には相手のライブラリー合計枚数+1の数字)

応用やプレイングのコツを抜きにして、これが基本的なMOMAの動きである。

1998年、このウルザズサーガが発売された頃、
このデッキタイプが全てのレギュレーションを席巻した。

対戦相手からすれば、ただ座っているだけでゲームが終わりかねないという意味では最悪、
デッキの作りと動きという意味では最強、いや、芸術とさえ言えるものだった。

このデッキに勝てるデッキは当時存在しなかったと言って過言ではなかった。

スタンダードからヴィンテージにいたるまで、
全ての大会がMOMAだったのだ。

知らない人は多いが、当時のヴィンテージのMOMAの恐ろしさは群を抜いていた。

当たり前である。

デメリットなど全く無いに等しい、恐ろしき10枚のカードがある。

・《Black Lotus
・《Time Walk
・《Timetwister
・《Ancestral Recall
・《Mox Pearl
・《Mox Sapphire
・《Mox Jet
・《Mox Ruby
・《Mox Emerald
・《Library of Alexandria

の10枚である。当時この10枚はPower10と呼ばれていた。
Power9がこのデッキにどれだけ噛み合うかは説明不要だろう。

10枚目のカードは《精神力》と非常に面白い組み合わせとなった。


Library of Alexandria
土地
T:あなたのマナ・プールに①を加える。
T:カードを1枚引く。この能力は、あなたの手札にカードがちょうど7枚ある場合にしかプレイできない。
アンコモン

無色マナが出る事などこのMOMAデッキにおいてハッキリ言うとどうでもいい。

下の能力こそが求められた能力である。

手順を説明しよう。
精神力》を置く。
時のらせん》か《Timetwister》を撃つ。
あなたはゲームに勝利する。
意味がわからない人に一応説明。

手札が7枚になる。《Library of Alexandria》の能力を起動。
手札が8枚になる。《精神力》でいらない手札のカードを1枚捨て、
Library of Alexandria》をアンタップ。
手札が7枚になる。《Library of Alexandria》の能力を起動…
おわかりだろうか。
自分の手札は思いのままである。

こんな場をもし対戦相手が作り出したのなら、
「と」から始まって、「う」で終わる言葉を発する事をお奨めする。
そう、投了だ。

また、それだけではない。
ヴィンテージには《精神力》抜きで「無限マナ」を出す手段さえあった。
必要な条件は下記。

転覆/Capsize
Candelabra of Tawnos
9マナ以上出る状態の《トレイリアのアカデミー

だけ。


Candelabra of Tawnos
コスト:1
アーティファクト
(X),T:土地X個を対象とし、それらをアンタップする。
アンコモン


Capsize/転覆
コスト:1青青
インスタント
バイバック3
(あなたはこの呪文をプレイするに際し、追加で3を支払ってもよい。
そうした場合、その解決に際し、このカードをあなたの手札に加える。)
パーマネント1つを対象とし、それをそのオーナーの手札に戻す。
コモン

トレイリアのアカデミー》から9マナ(別に10以上でもOK)出す。
Candelabra of Tawnos》で《トレイリアのアカデミー》をアンタップ(残り8マナ)
転覆》をバイバックで《Candelabra of Tawnos》に撃って、
Candelabra of Tawnos》を手札に戻す。(残り2マナ)
Candelabra of Tawnos》を場に出す。(残り1マナ)
トレイリアのアカデミー》から9マナ出す。(残り10マナ)
Candelabra of Tawnos》で《トレイリアのアカデミー》をアンタップ(残り9マナ)…

これを繰り返すと1マナずつ増えていく。

莫大なマナを出した後に、
もし手札7枚で《Library of Alexandria》が場に出ているのであれば、
今度はアンタップし続けるランドを《Library of Alexandria》に。

引いたカードか手札のカードを1枚消費して7に戻せばカードを引き続ける事も出来るという、
オマケのコンボも書いておこう。

Candelabra of Tawnos》と《Library of Alexandria》は元々が弱くないカードなのだが、
このデッキにおいては最高のパーツとなった。
Candelabra of Tawnos》はただ単純に1度だけ《トレイリアのアカデミー》をアンタップでも十分なのだ。
Candelabra of Tawnos》そのものがアーティファクトである事も含めて、
非常に役に立ってくれる1枚である。
さすがはアンティキティ最高のアーティファクトだ。

しかし、スタンダードからヴィンテージまでを席巻できたこのデッキの息は短かった。
さほどの時間を必要とせず、
スタンダードではそのデッキパーツの多くが禁止カードに、
ヴィンテージでは制限カードに指定された。

マジック史上、これほど1つのデッキがトーナメントを支配する事は無かった。
マジック史上、これほど対戦相手に何もさせずに倒す速度を持ったデッキも無かった。
禁止や制限をされて当然だった。
スタンダードで禁止カードが存在するというのはよほどの事なのだ。
この時も「スタンダードで数年ぶりに禁止カード」と言って話題となった。

このあまりのデッキの強さから、禁止されたインパクト、
そして、カジュアルでこのデッキを作って強さを実感した人のイメージなどから、
「MOMAは1ターン目に相手を倒すデッキ」
「ヴィンテージはMOMAばっかりでやる価値がない」
「MOMAが倒せないならヴィンテージをやるな」
などの馬鹿な噂さえ存在する。

当時のスタンダードで1ターン目にMOMAが相手を倒せた確率は5%を超えたとは言われるが、
10%は超えなかった。
仮に5%だとして、それはトーナメントに5人のプレイヤーがMOMAを使用していたのなら、
5人のうち誰かが2マッチのうちに1回出る程度である。
(5人×2マッチ×約2戦=約20戦のうち1回)
その当時のスタンダードのサンプルデッキは以下。

クリーチャー0枚

インスタント12枚
1《転覆/Capsize
3《直観/Intuition
3《魔力消沈/Power Sink
3《天才のひらめき/Stroke of Genius
2《紅蓮破/Pyroblast

ソーサリー9枚
4《時のらせん/Time Spiral
4《意外な授かり物/Windfall
1《火の玉/Fireball

エンチャント3枚
3《精神力/Mind Over Matter

アーティファクト18枚
4《水蓮の花びら/Lotus Petal
4《魔力の櫃/Mana Vault
4《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond
3《巻物棚/Scroll Rack
3《通電式キー/Voltaic Key

土地18枚
4《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
4《不毛の大地/Wasteland
4《島/Island
3《古えの墳墓/Ancient Tomb
3《真鍮の都/City of Brass
———————————–
こんなデッキだ。
理論上でなら1ターンキル不可能ではないが、
毎度毎度1ターン目に相手を倒すなどということは、
ヴィンテージのデッキでさえ不可能だったのである。
噂には尾ひれが付き物。

トレイリアのアカデミー》が制限カードとなったヴィンテージの世界でも、
この噂は残り続けた。
トレイリアのアカデミー》がデッキに4枚の時でなら、
1ターン目のキル率10%超えがヴィンテージで出せただろう。

しかし、
デッキに1枚制限のカードは1/60である。
初手にある確率はそんなに高いものではない。
まして《トレイリアのアカデミー》だけがあってもダメなのだ。
コンボに繋がっていくカードが揃っていなければならない。

トレイリアのアカデミー》等のMOMAパーツが制限カードとなった後、
筆者は幾度となく《トレイリアのアカデミー》1枚状態のMOMAをヴィンテージで作成した。
が、その統計をとっても1ターン目に対戦相手を倒せる確率は1%を超える事は無かった。

根も葉もない噂、とは言い切れないものだ。
根と葉っぱくらいはあったが、噂は真実には程遠かった。

だが、現在(2008年6月)の段階で、
トーナメントにMOMAを持ち込む人はほとんどいない。

作って弱いわけではない。
が、優勝出来るか?と言われるとほぼNO。
いまだ工夫をして可能性あるデッキとしては残るが、
主流とは言えないものなのだ。

もしこのこらむを読んで、MOMAへの誤解がなくなった人や、
ヴィンテージに興味を持った人、
一度ヴィンテージの世界を見てみたらどうだろうか。

持てるカード資産をフルに使って遊ぶ世界。
それは「本当の実力の世界」でもあり、
「本当のマジックの世界」でもある。
魔法使いの戦いとは知識の戦いであり、
自分の研究した魔法同士が制限もなくぶつかり合う事こそ、
マジックの本質だと自分は思っている。

余談だが、
もし1ターンキルを目的に、制限カードを無視してMOMAデッキを構築した場合、
下記のようなデッキになるであろう。

クリーチャー0枚

インスタント10枚
4《Ancestral Recall
4《Force of Will
2《天才のひらめき/Stroke of Genius

ソーサリー16枚
4《Time Walk
4《Timetwister
4《悪魔の教示者/Demonic Tutor
3《Wheel of Fortune
1《ケアヴェクの火吹き/Kaervek’s Torch

アーティファクト26枚
4《Black Lotus
4《Mox Pearl
4《Mox Sapphire
4《Mox Jet
4《Mox Ruby
4《Mox Emerald
2《Candelabra of Tawnos

土地8枚
4《Library of Alexandria
4《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
———————————–
精神力》は入らない。

こんな構成だったら邪魔になるくらい。
入れても1枚。
悪魔の教示者》があるので必ず手札に入れられるので、
2枚以上入れる必要性がどこにもない。

この構成であれば、
ゲーム開始時に対戦相手に《虚空の力線/Leyline of the Void》を置かれてもそのまま勝てるだろう。

お金と暇と快くサンドバッグになってくれる友人をお持ちの方だけが作れるデッキだが。
一生に一度くらいは作ってみたい、文句無しの最強デッキであろう。
少々組み替えればストームで勝つタイプにも変更可能である。
もしこのデッキを組もうと思った方、
是非、Cardshop Serraで全てのパーツを買うように。

ではまた。



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