デッキ診断 Heroes of Kamigawa編

記事作成日：2025/07/31 執筆：加藤英宝

店主のデッキ診断、という企画を考えてみた。
いつまで続くかわからないし、
希望者がいるかも不明だけれども、
他に希望者がいたらやってみようと思う。

デッキ診断の方針

今後もデッキ診断をしていくにあたり、
だいたいの方針を書いておこう。

●デッキはバランスを重視する
「上振れたら強い」のような診断は絶対にしない。
例えば、土地を２９枚以下にする等の構築。
一度フリーマリガンが出来るからといって、
そのフリーマリガンをある程度利用するような構築は、
プレイヤーとして最低であり、やるべきではないから。
マリガンをして時間をかけている＝他人の時間を奪っている事になるため。
ゲームをして悩む時間やプレイの中でのコミュニケーションはEDHにおいてあっても良いが、
無茶苦茶なマナバランスでフリーマリガン前提のゴミバランスの構成は、
この観点からも正しいとは言い難いため、診断の際にはバランスを重視する。

●デッキは安定した戦い方が出来る事を考える
前述の話は土地のバランスなどに近い話。
こちらは戦略と戦術の話。
例えば「自分がやりたい事だけをぶち込んで除去は入れません！」のようなデッキは、
根本的に前述同様の「上振れたら強い」であり、個人的に推奨しない。
「対戦とは対話でもある」を重視する。
ジェネラルを活かし、可能な限り、
「平均的勝率を高めるように診断をする」
という事を目的とする。

●カード資産がどうこうというワードは一切書かない
レベル帯だのブラケットだのゲームチェンジャーだのと言う人のデッキは見ない。
そういうワードを出す事がトラブルの元になるから。
TCGとは持てるカードで全力で戦うゲームであり、
資産差があるのは資本主義社会において当然であり、
それも踏まえたうえでのデッキ診断以外は自分はしたくない。

—–
別にこんな事を書かなくてもいいんだけどね。
わざわざこらむを読んでくれているとてもとても優秀なアンチ君が、
「このデッキに◯◯が入ってないとかセラ屋の店主はEDHエアプ」
とか
「実力もないのにでかい事を言ってやがる」
とか言ってくるのがめんどいから最初に書いておこうと思ってね。
EDHに限った話じゃないんだけども、
「上振れたら強い」とか一瞬だけ強いのなんてのは価値がないの。
１００戦、２００戦、もっと言えば一万戦した際の勝率見るのが大切。
そして、１つのデッキの勝率だけでなく、
自身の生涯の勝率を高める試行錯誤が重要。
有り体に言ってしまうと、
戦略と戦術のなんたるかもわからん馬鹿にケチをつけられたくないだけ。
なので９９％の読者には一切関係がないので気にしないで。

過去に何度もあったの。
「このデッキに◯◯が入っていないとか・・・」
ってやつがね。
こっちはそのカードをデッキに入れて何度もプレイうえで、
最終的に不要と判断して抜けたんだよって話を、
毎度毎度書いても意味ないから書かないだけで。

一例を出すと、

ジェネラル：《野生の心、セルヴァラ/Selvala, Heart of the Wilds》のデッキに、
《残虐無道の裂け目ワーム/Ravaging Riftwurm》を入れていなかったら、
ネットで文句書かれた事が過去にあったのよな。

この《残虐無道の裂け目ワーム》は消失２を持っている事で場に残りにくく、
安定して使うには無理があると判断したためデッキから抜けた。
このカードをデッキに入れての試行回数は１００を超えたし、
自分の勝率にも一定量自信があったものをリスト化して紹介した。

ケチをつけた人間は、経験も浅くただ文句を垂れているだけのような感じだった。
机上の空論を並べてネットにこちらの悪口を書いていただけだ、と断言してもいい。
いるのだ。
人のデッキにあれこれとケチをつけ、
実際はデッキを回した事もない経験不足野郎が。
ネットなどそういうおバカさんの情報で溢れかえっているとも言える。
人にケチをつける前に、孫子の兵法書と学問ノススメくらい読んでこいと言ってやりたい。

ま、
そんな人の一言をいちいち気にもしていられないのが自分の立場でもあるから、
あれこれとここで言う事でもないのだが、
上記のような事を先に述べておくほうが良いと思って。

こらむを読んで楽しくMTGしてくれる人には関係の無い話だから、
ほんとに気にしないでほしい。

《Heroes of Kamigawa》デッキ診断

さて、始めよう。
その記念すべき初回は《Heroes of Kamigawa》という超特異なジェネラル。

《Heroes of Kamigawa》は、
WotCが1年間の従業員の功績を称えるために製作したカード群、
「Heroes of the Realm」のうちの一枚。
詳しくはこらむ「Heroes of the Realmとは」を参照。

カードの効果は以下だ。

《Heroes of Kamigawa》
コスト：１白青黒
伝説のプレインズウォーカー 魁渡(Kaito) Wanderer

あなたが唱える神河(Kamigawa)エキスパンションにて印刷された名前を持つ呪文のコストは(１)少なくなる。

[+2]：封をされたままの神河のブースターパック最大１つを開封し、
それらのカードをあなたのブースター束に加えて切り直す。
あなたのブースター束の一番上からカード４枚を見る。
そのうち２枚をあなたの手札に、残りをあなたの墓地に置く。

[-3]：あなたの墓地から神河(Kamigawa)エキスパンションにて
印刷された名前を持つクリーチャー・カード１枚を戦場に戻す。

Heroes of Kamigawaは統率者として使用できる。
初期忠誠度：４
レアリティ：Heroes

今回、これを持っているAさんから、
《エアリス・ゲインズブール/Aerith Gainsborough》の日本語版サージFOILをいただいたので、
お礼に！という話から。

記念の第一回目が
「ほとんど誰も持っていないジェネラル」
というところが面白くもある。

元のデッキリスト

変更後のデッキリスト

このデッキを下記のように変えてみた。
デッキはわかりやすくするために、
神河セットのものはカッコでセット名を書いてある。
(意味はないけど土地まで)

デッキリストの変更内容

デッキの大きな変化としては、
２マナアーティファクトの採用や、ジェネラルと関係のないコンボ要員を抜いた事。

《Heroes of Kamigawa》を早めのターンに着地させたいといっても、
元が４マナ＆指定コスト多めなので、
白青黒に関する３種印鑑の採用。
これによって２ターン目印鑑、３ターン目《Heroes of Kamigawa》の確率をアップ。
また《Heroes of Kamigawa》の効果によって別の色マナが必要になる可能性を鑑みて、
《金粉の水蓮》や《虹色のレンズ》や《彩色の灯籠》を採用。
反面、一瞬しか輝けないので《水蓮の花びら》はデッキから抜く。
土地にも多少変化を加え、
《産業の塔》
《大瀑布》
《風変わりな果樹園》
などで他色を出せるようにしておく。
パックから何出るかわからないからね(笑)

３ターン目のマナをもう少し安定させたいのなら、

《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》
《発展のタリスマン/Talisman of Progress》
《聖列のタリスマン/Talisman of Hierarchy》

の３種も考慮。

基本の勝ち筋はデモコンタッサ・・・というべきか、
《Heroes of Kamigawa》タッサ。
《Heroes of Kamigawa》の能力がまさにそこにあり、

《Heroes of Kamigawa》
《師範の占い独楽》
ライブラリーのトップからカードをプレイ出来るカード。

この条件が揃えばライブラリーを全部引き切れるので、
これを目指していくのがメイン手段となる。
全部引ききって《タッサの神託者》または《神秘を操る者、ジェイス》さえ出せれば勝ち。
ライブラリーのトップからカードをプレイ出来るカードは、

《現実チップ/The Reality Chip》
《神秘の炉/Mystic Forge》
《未来予知/Future Sight》
《イスの遠眼鏡、クリスタル・スカル/Crystal Skull, Isu Spyglass》

が該当する。
言うまでもなく単体でもそこそこ仕事の出来るカード達なので、
これらは積極的に採用だが、
《未来の大魔術師/Magus of the Future》までは入れなくても良いだろう。

このコンボの強いところは、
《Heroes of Kamigawa》
ライブラリーのトップからカードをプレイ出来るカード
の２種が揃ったら、
《吸血の教示者》か《伝国の玉璽》か《悟りの教示者》で一発であること。
もっと言うと、《Heroes of Kamigawa》が場に無い場合でも、
ライブラリーのトップからカードをプレイ出来るカードがあると、
《師範の占い独楽》さえ持ってくれば、
１マナで《師範の占い独楽》プレイしてタップ。
１マナでライブラリーのトップから《師範の占い独楽》プレイしてタップ。
を繰り返すだけでアドバンテージを稼げる点が強い。
マナある限りドローしまくれるわけだ。

・・・と読んでいる人のために書いたが、
持ち主であるAさんには釈迦に説法。

最速でそこまで行ければもちろん理想的だが、
EDHはどんなカードが飛び出してくるかもわからず、
また、いくつもの大量破壊やカウンター、バウンス、単体除去、
多種多様に飛んでくる事に対応しなければいけない。
せっかく
「神河セットのカードはコスト１減る」
「神河セットのクリーチャーを墓地から釣る」
の能力があるのなら、
最初にAさんが採用している
《真夜中の空、殉至》(神河：輝ける世界)
《夜明けの空、猗旺》(神河：輝ける世界)
《潮の星、京河》(神河物語)
《渦巻く空、開璃》(神河：輝ける世界)
を活かすためにも、
また使い回すためにも、
《ファイレクシアの供犠台》
《アシュノッドの供犠台》
この２種の供犠台を採用。
加えて、
《明けの星、陽星》(神河物語)
も採用。

実はこの陽星くんの能力はナメてはいけない。
死亡時の能力は確かに対戦相手一人にしか意味がないが、

《Heroes of Kamigawa》
《明けの星、陽星》
供犠台のどちらか

とあれば、
《明けの星、陽星》をまず供犠台でサクる。
《明けの星、陽星》能力で一人止める。
《Heroes of Kamigawa》で《明けの星、陽星》を釣る。
もう一回供犠台でサクる。
《明けの星、陽星》能力で別の一人を止める。

とやった場合は追加ターンにも等しい行動がとれるし、
これをやった時に相手がカウンターを構えている場合、
タッサを決める際にも有利に事を運べる。
《Heroes of Kamigawa》に向かって殴ってくる生物達を一時的に完全ストップさせる手段にもなる。

また、
個人的には他のカードでは、

《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
《通電式キー/Voltaic Key》

の２つも採用を考えたいところ。
前者は《師範の占い独楽》を持ってくる以外にも、

《イスの遠眼鏡、クリスタル・スカル》
《神秘の炉》

の２つも持って来られる。
そして両者とも、
《一つの指輪》《魔力の櫃》《金粉の水蓮》
《太陽の指輪》《開闢機関、勝利械》
などのアンタップにも使える。
あって無駄になりにくいカードだ。

《Heroes of Kamigawa》は出るとプレインズウォーカーゆえに、
なんだかんだで狙われてしまう。
(仮に場が危なくなくてもコンボ要員だと知られていれば狙われるだろうし)
うまくコストを下げた神河シリーズの生物達でブロッカーになってもらうのがベスト。
盤面をうまくコントロールしながら、
ここぞと思ったらコンボを狙うプレイが正攻法。

こんな感じでいかがでしょ、Aさん。

最後に

次回また誰かのデッキ診断をする事になったら、
こういうの書くかもしれない。
どこかで募集してみようかな。
EDHのデッキ診断。

ではまた。