コレクター道29
記事作成日:2025/03/03 執筆:加藤英宝
店主は一応2025年の現在日本一のMTGコレクターを名乗っている。
その軌跡をちょっと書いてみよう。
日本一のMTGコレクターというのは
他に名乗る人もおらんから名乗ってみたというのもあるが、
「なんとなく自分より質の高いコレクション持っている人はおらんのでは?」
という感じで名乗ってみたものだ。
おそらくなんだけどね、
値段で上っていくらでもいる気がするんだよね。
以前に聞いた話では、
名探偵コナンの作者、青山剛昌さんはMTGをやっていたという話もあるし、
HUNTER×HUNTERの作者、冨樫義博さんは、
「HUNTER×HUNTERのグリードアイランド編を見る限り、
あれ、MTGから構想得てない?他のTCGだとあそこまで作り込まないよね?」
なんて思ってしまうところを見るともしかしたらMTG触った事があるかもしれない。
仮にこの二人のどちらか片方が本気を出したら、
1日でカードの資産額で自分は負けるだろう。
そもそも資産額も人が思っている程は持っていない・・・と思う。
ただ、唯一無二のようなものを持っている事があって、
「量では負ける事があっても質は勝てるんじゃない?」
というだけだ。
ついでに言えば、
「ああ、これは負けたな。」
と思ったらこの称号はいつでも誰かに譲るよ。
我こそはと思う人がいたらいつでも名乗り出てね。
そしたら日本で二番手のMTGコレクターを名乗ろう。
なんだかルイージみたいだ。
実際のところ過去にお会いした人の中には、
「こんな小さなショップのオーナーでは到底敵わない」
という財力の人は何人もいた。
中には間違いなくカード資産額が軽く億に到達する人も。
こういう人の合計額は自分では勝てそうにないなと思っている。
根本の財力はどうにも出来ない。
100円のカードを5000枚くらい買って、
それを20倍にしてから全て売る・・・みたいな事を何度も起こさない限りは。
んじゃそれが出来るのかって言えば、
まず無理だ。
最近カードのパワーインフレが激しいため、
これが強いと思っていても簡単にいろいろな意味で裏切ってくる。
しかもだいたい悪い意味でしか裏切って来ないから困る。
純粋に頭脳と労力と勉強で投資に成功させないと財力は築けない。
とりあえずそれは置いておこう。
店主はどうしてこんなMTGコレクターになったのか、
というきっかけがある。
今回はそんなきっかけのお話。
もともとコレクター気質だったのは否定しない。
子供の頃からいろんなものを集めるの好きだったし。
MTGを始めて一年目だと思う。
今はもう無くなってしまったショップ、
フューチャービーが水道橋にあった。
ちょっと気になって調べてみた。
1997年に水道橋にフューチャービーが開店らしい。
最初は株式会社フューチャービーだったが、
その会社は途中で
「株式会社未来蜂歌留多商会」
(かぶしきがいしゃ-みらいばち-かるた-しょうかい)
になっている。
そうそう、未来蜂歌留多商会。
懐かしい名前だ。
いいセンスの名前だったよなぁ、これ。
このフューチャービーはゲーム開発で有名なハドソンの別事業として発足。
ハドソンと言えば
高橋名人
高橋名人の冒険島
ボンバーマン
Bugってハニー
桃太郎シリーズ(伝説、電鉄その他を含む)
スターフォース
などの単語を出すだけで覚えている人も多い会社だ。
ハドソン自体は経営がBugってハニって、
冒険島した後にボンバーマンしてしまい、
現在はコナミの完全子会社となっている。
自分で書いてて何言ってんだろうと思うけれども、
だいたい言いたい事は伝わるだろう。
で、ある日フューチャービーに自分は行った。
そういえば何しに行ったんだろう。
大きな大会があったわけでもないし。
自分の頭もBugってハニっていた可能性もあるな。
覚えているのは、
この日、フューチャービー店内でトレードをしていた。
《セラの天使》信者である自分はあるカードが欲しかった。
それは《Moat》というカードだった。
とてもシンプル。
「《Moat》を置いて《セラの天使》で殴ればいいじゃん!
最強じゃん、これ!」
というのを思っていた。
《Moat》というカードがある事は知っていた。
ただ、手に入る手段なんて無かった。
この店内のトレードで知らない誰かがアルバムで持っているのを見つけた。
「これ欲しいんですが」
と話をしたところ、
「お前のアルバムに欲しいものはない。
《Moat》が欲しければ、
最低でも《The Abyss》か《Nether Void》か《Sinkhole》持ってこいよ。」
と言われた。
もちろんどれも持っていない。
《Sinkhole》は《陥没孔》のこと。
今は再録されてしまった事で安くなったが、
当時は結構高かったカードなんだよ。
相手の言い分は正しい。
オールドカードはオールドカードとトレードしたいものだろう。
要求するカードもそれなりのカードだから、
実際のところぐうの音も出ない程に反論不可。
そうは言うものの感情はそうは行かない。
「なんだこいつ!
むかつく!!」
と思ったわけだ。
で、相手の要求は至極当然なので、
トレードなんてどう頑張っても成立するわけもなく。
ただ悔しかった。
めちゃくちゃに悔しかった。
確かに自分が無力なのが悪い。
カード持っていない自分が悪い。
が、
相手の態度がむかつくのも事実だ。
そこで思った。
「この誰だかわからん奴より上に行ってやるからな。
覚えていろ。」
覚えてろも何も相手がこっちの事なんて歯牙にもかけないのだから覚えているわけがない。
もっと言うと今になって考えてみれば、
こっちも相手の事なんて顔も名前もわからない。
今でもMTGやってるかどうかだって当然わからないし。
ただ、その誰かよ、ありがとう。
あの悔しさのおかげで自分はここまで登ってこれたよ。
もう20年以上経っているし、
お互いに誰だったのかなんてわからないはず。
これ読んでて、
「あ、それ俺だわ」
って思う人いたら名乗り出て欲しいけど無理でしょ(笑)
自分で言うのもなんだけど、
執念深いのか、
ただの負けず嫌いなのか、
異様な程MTG好きなのか、
こういう気持ちをバネにして自分はコレクターとプレイヤーをやってきた。
思い返してみると面白い。
不思議なもので悔しい気持ちが、
いつの間にか感謝の気持ちだ。
「韓信の股くぐり」
の逸話の最後のところみたい。

「韓信の股くぐり」とは、
太古の中国で韓信という武将がまだ武将でなかった頃のお話。
韓信はその日食べるのも困っているような人だった。
一応言っておくが、
韓信は兜をかぶってメガネをかけたデブではないぞ、FGO民よ。
同時代にいる項羽も四本脚のメカじゃないからな、FGO民よ。
その項羽の妻の虞美人も何度も生き返らないからな、FGO民よ。
さて、
そんな韓信は若い時に町でならず者に言いがかりをつけられ、
「お前はただの臆病者だろ?
悔しかったらその剣を抜いてみろ。
出来ないのなら俺の股をくぐれ。」
のような事を言われ、韓信は斬り殺す事も考えたが、
その場を耐えてその股をくぐったというお話。
大望を持つ者は目先のつまらないことで人と争ったりしない事の例えとして使われる。
韓信はその後大出世をした後、
この股くぐりをさせた男を見つけ出し、
今で言うと市の警察署長くらいに取り立てたという話。
韓信はこの股くぐりちゃん以外にも、
・メシめぐんでくれたおばあちゃん
・居候してた家の夫婦(途中で相当韓信への扱い悪くなるけども)
も見つけ出してそれぞれお礼を渡している。
ちなみに股くぐりちゃんは
「ヤベエ、あの韓信がこんな出世すると思わなかった。
俺、絶対殺されるわ」
と怯えていたら、
いきなり出世させられたので相当驚いたらしい。
メシめぐんでくれたおばあちゃんには
「これで余生を」
と生涯困らないお金を渡し、
居候していた夫婦には、
「お前らな、俺を居候させてくれたのはありがてえんだけどさ、
面倒見るならもうちょいしっかりすべきだぞ。
後半マジ放置じゃん」
みたいな事を言った上で巨額じゃないけどお金あげた。
なんだかんだで韓信めちゃくちゃいい奴。
ホントにこの当時の誰かが、
今もMTGプレイヤーで特定出来たのなら自分は韓信のように、
この人に《Nether Void》でも《The Abyss》でもプレゼントしてもいい。
もちろん英語版を。
さすがに特定難しそうだけどね。
その時の店主のカードアルバムにあったカードを覚えているかどうかくらいしか、
特定方法無さそうだしなぁ。
ちなみに自分はその時のアルバムのカード内容を覚えている。
よく考えると異様な記憶力だなぁ、これ。
そういえば、
MTGを始めた時の学校の後輩も見つからないままだ。
彼らどうしてんだろうなぁ。
いつの間にか自然消滅的に縁が切れてしまった。
彼らにもお礼を言いたいんだけどな。
いつか声をかけてきてくれる事を祈ろう。
自分の名前が珍しいから、
時折「久しぶり!」ってSNSで声かけてくれる人いるんだよね。
(あとたまにお店に来てくれる。)
10年くらい会ってない多くの誰か、
MTGを教えてくれた後輩二人、
それと店主に悔しい思いをさせた誰か、
これ見たら連絡してくるの待ってるぞ。
ではまた。

