コレクター道27
記事作成日:2024/08/19 執筆:加藤英宝
「βで一番鑑定されていないカードって何か知ってる?」
というお話を出した。
答えは《賦活/Instill Energy》というカードで、
その内訳は
PSA10:6枚
PSA9:11枚
PSA8.5:1枚
PSA8:4枚
PSA7:1枚
PSA6:2枚
合計25枚
これ。
この話は、
βのコンプリートをPSAでやろうした場合、最大でどれだけの人がコンプリート可能なのかの最大値として出たものだった。
じゃあαはどうなんだろう?
と思って調べてみた。
こちらは《Sedge Troll》というカードだった。
Revisedまでに収録されていて、オールドスクールで人気のある赤のレアだ。
PSA10:0枚
PSA9:8枚
PSA8:14枚
PSA7:2枚
PSA6:2枚
PSA5:1枚
合計27枚
なんとPSA10がこの世に存在していないときた。
珍しい。
PSA10が存在していないとなると、だいたいチャレンジャーなコレクターが探しては鑑定、探しては鑑定しそうなものだが。
次点は《孤島の聖域/Island Sanctuary》で、
PSA10:0枚
PSA9:10枚
PSA8.5:1枚
PSA8:12枚
PSA7.5:1枚
PSA7:3枚
PSA6:1枚
PSA5:1枚
PSA4:1枚
合計30枚
これまたPSA10がこの世に存在していない。
不思議なもんだ。
最初から諦めているという事だろうか。
たまにあるのだ
「絶対にPSA10がつかないカード」
というやつが。
MTGの世界で有名・・・と言っても、
「知らねえよそんなもん。」
と言われちゃうような知識の話なんだけども、α版のカードだと《Mox Sapphire》が有名。
カードの右下部分に白点が印刷されており、これのせいでPSA10がつかないと言われている。
「全カードに印刷されてんだからそもそもそれを加味してPSA10つけてくれよ!」
と言いたいところだけども、一度そういう決まりになった以上、PSA10をつけないのだろう。
こういう異例のケースだけでなく、α版はカードのカットがズレやすくなっているカードがあり、その影響でPSA10がつきにくいカードがある。
実はこの《Sedge Troll》と《孤島の聖域》はそれに該当する。
これまた
「知らねえよそんなもん。」
と言われちゃうような知識の話なんだけども、
カードというのはシートで印刷され、その後各カードに裁断される。
裁断されていない状態のシートのことをアンカットシートと呼ぶ。
時々大きなイベントの賞品になる事もあるが、MTG黎明期のアンカットシートはまず出回らない。
店主はβ版のアンカットシートを生で一度見た事がある。
アメリカのコレクターのお家で見せてもらった。
そのコレクターはまさに、
「PSAでαのコンプリートを狙っている人。」
だった。
で、
このアンカットシートの四隅に該当するカードは裁断が偏りやすく、PSA10が出にくい。
専門用語を使うとセンタリングが合っていないカードが多いということ。
センタリングとは、
「カードがしっかりと中央に印刷されているかどうか」
という鑑定基準だ。
今のカードでも時々見る事があるだろう。
左に寄っていたり、上に寄っていたりというカード。
もうおわかりだろう。
《Sedge Troll》と《孤島の聖域》はアンカットシート上、四隅のカードだ。
普通知るわけの無い話だ。
常識だと思っているような奴は間違いなくマジキチ(マジックキ◯ガイの略)だ。
というわけでαのPSAコンプリーターでも、この2枚は最初から諦めていた2枚なのかもしれない。
とはいえ全く出ないと決まったわけでもなく、同じような四隅でもPSA10が出ているものもある。
例えば《鬼火/Will-o’-the-Wisp》というカード。
世界に1枚だけα版PSA10が存在している。
他にもこういうカード達があり、
《Wheel of Fortune》α版PSA10は0枚。
《夢魔/Nightmare》α版PSA10は1枚。
《精神錯乱/Mind Twist》α版PSA10は1枚。
《魔法改竄/Magical Hack》α版PSA10は0枚。
《不明の卵/Dingus Egg》α版PSA10は1枚。
《Darkpact》α版PSA10は1枚。
《Chaos Orb》α版PSA10は1枚。
《動く壁/Animate Wall》α版PSA10は1枚。
これら全てが四隅のカードだ。
もちろんそれ以外でもPSA10が世界に0枚または1枚のものはある。
βでもαでも、
この「PSAでコンプリートする」というコレクションはいかにハードなコレクションかが伺い知る事が出来るお話だ。
そういえばアンカットシートを持っていたコレクター、確かPSAコンプリートの平均値9を超えていたはずだ。
よく考えてみたら、こういうPSA10がつかない部分以外全部PSA10だったんじゃないか?
彼のコレクションはすごかったな。
《Black Lotus》
《Mox Pearl》
《Mox Sapphire》
《Mox Jet》
《Mox Ruby》
《Mox Emerald》
《Timetwister》
《Time Walk》
《Ancestral Recall》
《Time Vault》
この10枚中、PSA10が出ない《Mox Sapphire》以外全部PSA10だった。
(もちろん《Mox Sapphire》はPSA9。)
これが揃っているのを生で見る事が出来ただけでも眼福と言えるだろう。
彼は数年前に一部を残してコレクションを手放したような話を聞いたが、どうなったのだろう。
さて、お話を戻そう。
α版《Sedge Troll》の合計鑑定枚数は27枚、
β版の《賦活/Instill Energy》の合計鑑定枚数は24枚。
αのほうが鑑定された最低の枚数が多くとも、PSAコンプリートする難易度はαのほうが難しい。
βでも24人もPSAコンプリート作れる人はいないだろうから、実際のところαなんて27人どころかその半分もいないはず。
鑑定されていないαコンプリートを持つ人もいるだろうし、もしかしたらBGSでコンプリートしている人もいるかもしれない。
αやβのコンプリートを作る事はPSAでなくても難しい。
未鑑定だったりBGSだったりであったとしても、コンプリートセットなんてこの世に50セットもあるかどうか怪しい。
なかなかこのコレクションに手を出せる人はいないのはわかっているが、それでも目指してみて欲しいコレクションではある。
αないしβはMTGの最初のセットだ。
そのコンプリートは揃えられたら壮観である事間違いなし。
たとえPSA平均が低かろうとも、揃えられるだけでも多大な価値となる。
コンプリートとは王道コレクションの1つで、PSA品でそれを揃えるというのはコレクターの極みと言える。
王道のコレクションで到達出来た人の少なさからも、称賛に値するコレクションだ。
今からでも目指してみてはいかがだろう。
ではまた。

