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ゆびわのおはなし

記事作成日:2024/07/04 執筆:加藤英宝

指輪のお話。

たまには1枚のカードについて語ろう。
指輪のお話と言えばもうおわかりだろう。
一つの指輪/The One Ring
のことだ。
指輪物語の神話レアにしてほぼトップレア。
世界に1枚しかないバージョンも存在し、発売以来話題に事欠かないカードだ。

一つの指輪
The One Ring/一つの指輪
コスト:4
伝説のアーティファクト
破壊不能
一つの指輪が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、
次のあなたのターンまで、あなたはプロテクション(すべて)を得る。
あなたのアップキープの開始時に、
一つの指輪の上にある重荷(burden)カウンター1個につき1点のライフを失う。
(T):一つの指輪の上に重荷カウンター1個を置く。
その後、一つの指輪の上にある重荷カウンター1個につき1枚のカードを引く。
神話レア

色々なところで話題になるこの指輪、ヴィンテージの世界では無茶苦茶なのだ。
今回はコレクター的なお話よりも、このカードがいかにヴィンテージでぶっとんでいるかを書こうと思う。

まず、他の世界と明らかに違うのは、
「他レギュレーションより高確率で1ターン目に出る。」
という事。
1ターン目に指輪の無敵状態である事はあんまり意味がないのだけども、
(後手1ターン目だと十分に意味がある相手も。)
その後のほうに問題がある。

指輪の真骨頂はドローエンジンのほう。
このカードのとんでもないところは、
「ライフを失うのはアップキープ。」
という点にある。

単純な前提条件では、

置いて1ターン目:合計0ライフ損失、合計1枚ドロー
置いて2ターン目:合計1ライフ損失、合計3枚ドロー
置いて3ターン目:合計3ライフ損失、合計6枚ドロー
置いて4ターン目:合計6ライフ損失、合計10枚ドロー
(5ターンまで行ったら普通は負けているか勝っているかどちらかだ。)

となる。
普通なら。

しかし、
皆様、
通電式キー/Voltaic Key》《多用途の鍵/Manifold Key
をご存知か。

Voltaic Key

もう何をしたいかおわかりだろう。
ヴィンテージの世界では《Time Vault》と一緒に使われる無限ターン装置だ。
これが指輪ともとてつもなく相性が良い。

1ターン目指輪!
指輪で1枚ドロー!

2ターン目1ライフ失う!
指輪で2枚ドロー!

鍵使って指輪アンタップ!
指輪で3枚ドロー!

たった2ターンで合計6枚ドロー
いいのかこんなにドローがザルで。
そのうえ、この次のターンがまたタチが悪い。

3ターン目3ライフ失う!
指輪で4枚ドロー!
鍵使って指輪アンタップ!
指輪で5枚ドロー!

ここまでに指輪で失ったライフの合計は4点。
指輪で得たドロー数の合計は15枚。

3ターン目で先手、マリガン無しだったとして初期手札は当然7枚。
ドローステップは2回なので合計2枚ドロー。
指輪のドローは合計15枚。

誰だ、こんな危ないカードをデザインした奴は。
このカードのタチが悪い点は他にもある。

上記条件だと60枚のライブラリーから24枚引いている。
仮にデッキに指輪が4積みだったとすると、いくらなんでも2枚目の指輪を引いているはず。
さもなくばヴィンテージのデッキでは下記のカードが採用される事が多い。

ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》だ。

ファイレクシアの変形者
Phyrexian Metamorph/ファイレクシアの変形者
コスト: (3)(青/Φ)
アーティファクト クリーチャー ファイレクシアン(Phyrexian) 多相の戦士(Shapeshifter)
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
あなたは
「ファイレクシアの変形者は、これが他のタイプに加えてアーティファクトであることを除き、
戦場に出ているいずれかのクリーチャーかアーティファクトのコピーとして戦場に出る」
ことを選んでもよい。
0/0
レア

このカードはファイレクシアマナゆえに、2ライフ+《Mishra’s Workshop》の3マナでプレイ出来る。
指輪をコピーすると下記の事が起きる。

・伝説ルールによりどちらかを墓地に置かなければならない。

・指輪として出た際に、唱えているので、
「一つの指輪が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、
次のあなたのターンまで、あなたはプロテクション(すべて)を得る。」
この無敵モードが誘発する。

どっちもとても悪い事をしよる。
前者は重荷カウンターを乗せすぎた邪魔な指輪を消し飛ばせる。
後者は再度1ターン無敵状態になれる。
もちろんここでまた《通電式キー》や《多用途の鍵》で、通常のライフ支払いとは速度の違うドローがまたスタートする。
この《ファイレクシアの変形者》もだいたい4積みが多い。
追加でひどいなぁと思うのは、このカードは手札にある状況では「青いカード」なのだ。
Mishra’s Workshop》で出せるくせにブルーカウント。
意志の力/Force of Will》のピッチコストにもなれるという事。

しかもこの指輪、破壊不能って書いてある。
指輪物語のストーリーに照らし合わせてそうしたのだろうけど、これ、対戦相手側から見たら壊せない事も相当困る。
こんな危ないドローエンジンに手を出せないのだから。

なお、

・コスト2以下
・インスタント
・アーティファクトを追放出来る

という条件で執筆時点で、

羅利骨灰/Tear Asunder》:1緑
再造形/Resculpt》:1青、ただし4/4をプレゼント
冥途灯りの行進/March of Otherworldly Light》:X白
火の中へ投げ捨てる/Cast into the Fire》:1赤
破壊的一撃/Shattering Blow》:1(赤/白)

このくらいしかないのだ。
指輪をプレイされた際にカウンターしなかったら上記呪文か手札に戻すかくらいしかない。
3マナ以上だったり、ソーサリーだったら他にも選択肢はある。
例えば、
神聖なる計略/Divine Gambit
塵は塵に/Dust to Dust
古代への衰退/Fade into Antiquity
鉄大工の浄化/Ironwright’s Cleansing
存在の破棄/Revoke Existence
など。
が、トーナメントの環境として適切とは言い難い。

つまりどういう事か。

「指輪は可能な限りカウンターしろ。」

である。
アーティファクトを破壊出来るかつ、一番採用率の高いであろう《活性の力/Force of Vigor》では、このカードが破壊出来ないだけに打ち消すより他はない。

MTGの環境の青を助長してない?このカード。
ただでさえヴィンテージの世界は青になりがちなのに。
そして青いデッキが指輪持って襲ってくるから困りもの。

実際に指輪をトーナメントでも使ってみた。
おおむねヴィンテージのデッキでは《多用途の鍵/Manifold Key》1枚だけを採用しているのだが、ンなケチくさい事はしなくていい。
通電式キー/Voltaic Key》も採用だ!
と両方1枚ずつにしてみた。
多用途の鍵》を2枚にしない理由は、《真髄の針/Pithing Needle》で止められないため。
で、これがかなり正解。

当然の事ながら60枚中の1枚か60枚中の2枚かでは引く確率も違うし、時には2枚とも並ぶ事も・・・
というより2枚並べる方法も簡単にあった。
ウルザの物語/Urza’s Saga》という回答が4枚積みになっている。
現状ヴィンテージでそこらじゅうで採用されるフィニッシュ兼アーティファクトサーチ。
このおかげで指輪のアンタップはさらに容易。
前述のような連続指輪アンタップで負け知らず。

この記事を書くまでに指輪を使っての対戦は6マッチ。
勝敗は6勝0敗。
その6勝も一戦たりとも落としておらず。

ついでに2024年6月の禁止改訂でも制限にならず、まだ当分の間は指輪で遊んでいられるようだ。
ただ個人的に見て、制限がかかっている《神秘の炉/Mystic Forge》よりも、どうみてもこの指輪のほうが強いような気がするのだが、このカードをヴィンテージで放置しておいて良いのだろうか。

なお、このカードの世界に1枚バージョンはカナダでパックから出て、その後PSA鑑定にかけられPSA9がついたのだそうだ。
そして260万ドル(約3億7000万円)で取引されたとのこと。
パックから引いた人もPSAに鑑定にかけたところからも、PSA社の信用は世界的に大きなものである事がさらに裏付けられた。
PSAを推すCardshop Serraとしても嬉しい限りだ。

ではまた。



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