【お題】フォーマットの隆盛 ~MTGの歴史~
記事作成日:2024/04/16 執筆:加藤英宝
お題
Twitterでお題いただきました第五号。

多人数戦での評価、参入のし易さ(チャレンジジャーデッキの有無)、カードがいつまで使えるかなど評価するポイントがあるかと思います。
禁止改訂などによる競技人口の減少や外部コラボによる新規の獲得。
おお、また面白そうなお題を。
フォーマットの隆盛とな。
とりあえずとりとめもなく書いていこう。
1993年
まず1993年にMTGは発売。
アラビアンナイトの発売が同年12月17日。
1994年
1994年は
アンティキティー
レジェンズ
ザ・ダーク
フォールン・エンパイア
リバイズド
ここまでが俗に言うオールドスクールの範囲。
ちなみに世界選手権が最初に開催されたのは1994年だ。
この時の構築環境がまさにほぼこれで、
アンリミテッド・エディション+アラビアンナイト~ザ・ダーク
わかりやすく言って、フォールン・エンパイアが入っていないオールドスクール。
優勝したのは白青コントロール。
この時代はスタンダードもなんにも無い時代。
ただ、パワー9クラスの一部のカードは1枚制限だったようだ。
1995年
1995年は、
第四版
クロニクル
ホームランド
アイス・エイジ
が登場。
この年の世界選手権からスタンダードが存在し、
第4版+フォールン・エンパイア+アイスエイジ
のみで構築される環境。
そして同時代に
・使っていいのは基本セットのみ
・サイドボード無し
というクレイジーにも程がある構築環境が存在した。
この時、まだ第四版もクロニクルも発売されておらず、使って良いカードセットはβ、Unlimited、Revisedのみ。
(αはカードのカットが違うので他と併用出来ない。)
これってつまり、
β(Unlimited)に無くて、Revisedにあるカードという差分だけが、βから増えているというだけの異常な環境だ。
これ店主は一瞬で言える変人だが、βに無くて、Revisedにあるカードは多分以下で合っている。
(抜け漏れあったらゴメン。)
《Jandor’s Ring》
《ジャンドールの鞍袋》
《Dwarven Weaponsmith》
《ミシュラの戦争機械》
《Mijae Djinn》
《オニュレット》
《羽ばたき飛行機械》
《黒檀の馬》
《エル・ハジャジ》
《粉砕の嵐》
《魔力流出》
《セレンディブのイフリート》
《アーグの盗賊団》
《目には目を》
《魔術師の女王》
《島魚ジャスコニアス》
《象牙の塔》
《ティタニアの歌》
《Rocket Launcher》
《Reverse Polarity》
《スレイマンの壺》
《拷問台》
《ドラゴン・エンジン》
《ハーキルの召還術》
《アラジンのランプ》
《空飛ぶ絨毯》
《アラジンの指輪》
《終末の時計》
《エイトグ》
《真鍮人間》
《踊る円月刀》
《砂漠の竜巻》
《Reconstruction》
《原初の土》
《不安定性突然変異》
《密林の猿人》
ところでこれ、オールドスクールみたいに
・再録カードは同イラストの旧枠のみOK。
・同イラスト、旧枠でもFOIL禁止。
・一定の1枚制限、禁止を設ける。
といったルールで構築戦やってみても面白そうだ。
なにせ一度は「公式」だったのだから。
この1995年1月1日、スタンダードが制定され、
Type1(現ヴィンテージ)
Type1.5(現レガシー環境に近い)
Type2(スタンダードの呼称)
が生まれた。
Type1.5とType1の違いはレガシーと違ってシンプルで、
「Type1で制限と禁止されている全てのカードは、Type1.5で禁止とする。」
というだけ。
日本でこの当時のType1.5やType1を経験した人は非常に少ない。
MTG史上最初のスタンダードは
リバイズド
ザ・ダーク
フォールン・エンパイア
という3つだけというおっそろしい環境。
むしろこの環境でスタンダードやってみたいぞ。
とはいえ、この環境だと、
《精神錯乱》
《惑乱の死霊》
《トーラックへの賛歌》
が積める環境なので黒が強そうだ。



当たり前の話なのだが、Type1とスタンダードの差がこの制定以前には無かった。
1993年の8月にαが発売。
この時点で1993年の後半だ。
スタンダードと呼んでもType1と呼んでも
「使えるセットが変わらない環境」
だったのだろう。
そこから2年経過せずにスタンダードを作っただけでも結構異例の措置だと言える。
レジェンズ以前のセットは一度もスタンダードという世界には存在しなかった。
かといってType1でも無かった世界なのだろう。
1996年
そして1996年。
特に大きくこれだというフォーマットは生まれていないが、この年はMTGが世界に大きく羽ばたいた年。
日本語版、中国語版、韓国語版、スペイン語版、ポルトガル語版の5ヶ国の言語が登場し、スタンダード熱が一気に加熱。
店主がMTGを始めた年だ。
ミラージュが出てスタンダードはさらなる変遷を遂げる。
ああ、そういえばこのミラージュあたりから販売形式が固定化され、ブロック構築というものが生まれたんだった。
・大エキスパンション1つ
・大エキスパンションに準ずる小エキスパンション2つ
これだけでデッキ組みなさいというフォーマット。
グランプリやプロツアー以外で一切プレイされず、何年もの間存在し続けたが、最終的にブロック構築はプロツアー等でも使用されなくなる。
(ちなみに2018年までは制度が存在していた。)
1997年
1997年。
世界はほとんどスタンダード一色と言いたいところだが、この年にエクステンデッドというフォーマットが制定。
モダンの原型となったフォーマット。
当時は、
リバイズド、第四版、第五版、
ザ・ダーク、ホームランド、フォールン・エンパイア、
アイス・エイジ、アライアンス、ミラージュ、
ビジョンズ、ウェザーライト、テンペスト
だけの構築環境。
これも経験した人など少ないだろう。
なお、言うまでもないが店主は経験者だ。
この時期で前述のType1.5とエクステンデッドは両方ともプレイしていた。
このエクステンデッドはType1.75という呼ばれ方もあった。
1997年以降の停滞期
1997年から先は結構長い時間、ある意味で「停滞」の時間がある。
簡単に言えば、制限、禁止、新セットの販売などでの変化はあれども、
「スタンダードに非ずは人に非ず。」
と言われてもおかしくないほど、スタンダード一強時代。
ただし、しっかりとやっている競技プレイヤーはリミテッドもよくやっていた。
地方ではリミテッドの開催は少なく、多少乱暴に言ってしまうと、地方のプレイヤーはリミテッドに弱く、スタンダードだけプレイしてちょっとだけ強くなって天狗になっている人は多かった。
地方にいてリミテッドまで強かった人は限られていた。
また、Type1、Type1.5、エクステンデッドをプレイする人はほぼおらず、DCIレーティングの上位プレイヤーリストにはそれらをプレイする環境のあった静岡県のプレイヤーだけがずらずらと載るという時代もあった。
(一部関東圏のプレイヤー+静岡県プレイヤー)
オマケで書いておくと、エクステンデッドでは店主は日本三位くらいにずっといた。
Type1とType1.5は日本で二桁順位になることすら稀だったくらい上位にいた。
2004年
数年飛んで2004年。
Type1.5とType1は廃止され、ヴィンテージ、レガシーの呼称に移行。
ヴィンテージは特に大きく変わらなかったが、レガシーになった際にType1.5とは大きく異なり、独自の禁止カードを制定した新しいフォーマットとして生まれ変わる。
何にしてもこの頃もまだ、
「スタンダードに非ずは人に非ず。」
は続いており、これが変わって影響を受ける人の数はとても少なかった。
生まれ変わったところで、レガシーやヴィンテージの人の数は少ないまま。
とにかく世界はスタンダードだらけ。
エクステンデッド、ブロック構築はグランプリがある時だけプレイという人は多く、レガシー、ヴィンテージに至ってはほとんど異端扱い。
シールド、ドラフトはやる人はやるが、嫌う人はとことんやらない。
シールド、ドラフトはその場のパックで即プレイ可能であるがゆえに、普段練習しなくともグランプリに出場することは可能なだけに、記念受験のように出場する人はいた。
2008年
2008年。
このあたりで店主がEDHに出会う。
おそらくではあるが2007年の時点でEDHはアメリカで生まれていたものと思われる。
この出会いは店主にとっては大きく、今後のMTG人生が変化した遊び方だったと思う。
ここから店主は日本中にEDHを広めていくことになる。
が、
まだ世の中はスタンダード一強時代は変わらずだったが、一度下落したデュアルランドの値段が少しずつ少しずつ上がっていった。
少しだけレガシープレイヤーが増えているという背景があったからだろう。
「《Underground Sea》が5000円?たけえよ!」
などと言われた時代である。
平和である。
2011年
2011年、モダン制定。
これによりエクステンデッドがほとんど立場を無くす。
その後、2013年にエクステンデッド廃止。
モダンはエクステンデッドと変わらず、
「グランプリがある時だけプレイ」
の人は数多くいて、プレイされている環境はごくわずかだった。
むしろレガシーに目を向け始めたプレイヤーのほうが多かったかもしれない。
モダンマスターズの一番最初は2013年に発売されるが、この当時もある程度はレガシー需要のイメージがあった。
そしてこのあたりで一度再録禁止の話題が出る。
2010年を最後に再録禁止のポリシー変更が行われた。
このポリシー変更は
「今までは再録禁止をジャッジ褒章などでFOIL再録してしまったが、2011年以降はそれもしないと約束する。」
というよりポリシーを厳しくするものだった。
が、
古き良き時代を愛する有志達はWotC社を信用しなかったのか、
「一歩間違ってWotC社が再録禁止ポリシーを撤廃して、下手なものを再録し始めた時のため。」
としか思えないような遊び方、オールドスクールを独自で作り出す。
それが作られたのはちょうどこの頃からだ。
このオールドスクールは非公式ながらもEDH同様、少しずつ少しずつユーザーに浸透していく。
再録禁止について知りたい方はこちらの記事もお読みください。
2014年
2014年。
タルキール覇王譚発売。
スタンダードに友好色フェッチランドが再録されたことに加え、多色環境は人気があったことも相まって、スタンダード熱はまだ熱い時代だったと言える。
が、
MTGの歴史も長くなってきたこともあり、プレイヤーの年齢層の変化を感じ始めたのもこの頃から。
いわゆる「復帰組」が増え始める頃だ。
このくらいの時代になると、
「MTGはいつ滅びるのか?」
という話題が減り、MTGは滅びないという意見が強くなっていった。
それが故か、スタンダード以外の遊び方として、EDH・レガシーに目を向ける人が増えてきた。
日本国内で言えばEDHを布教しまくった店主の影響もあったのかもしれない。
結構お客様の意見でもこれはあった。
「英宝さんの記事の影響でEDH始めました。」
「英宝さんの記事を見て復帰してEDH始めました。」
「英宝さんの~以下略~レガシーを。」
「英宝さんの~以下略~オールドスクールを。」
この10年くらいでこんな声を沢山聞けた。
嬉しい限りだ。
2019年
2019年。
パイオニア制定。
パウパー制定。
どちらもスタンダードよりは人口は少なめといったところ。
パウパーは特に人を選ぶ傾向が強い。
そしてこのあたりが制定された時期、言うまでもない、コロナ禍の時代に入る。
人と会う方法がコロナによって減らされ、MTGAの存在が大きくなっていく。
この影響もあってか、
「スタンダードは紙でやらなくてもいい。」
の風潮が出始めた。
そして前述の2014年からさらに5年が経過しているため、復帰組や年季の入ったユーザーは増え、スタンダードの変化についていくにはキツい人達が増えた。
そのため、
モダン
レガシー
パイオニア
パウパー
EDH
の5種から自分のやりたいものを選択する人が増えた。
少ないながらも
オールドスクール
ミドルスクール
ヴィンテージ
の3つも選択肢にあり、
「多様性の時代」
となる。
そしていつからあったのかは謎だが、この頃に店主はα40という魔界のような環境にも出会う。
さすがに多様性の時代と言えども、このα40を選ぶ人は非常に少ないが、この選択肢に加えてリミテッド、つまり
モダン
レガシー
パイオニア
パウパー
EDH
オールドスクール
ミドルスクール
ヴィンテージ
α40
スタンダード
リミテッド
この10種もある選択肢が存在している中、プレイヤーは自分に合ったプレイスタイルを選択出来る。
全部やっている人はなかなかいないだろう。
仮に全部やっていると強さがブレてしまうに違いない。
え?ブロール?
双頭巨人戦?
ああ・・・そんなのもあったね・・・(遠い目)
2024年
2024年。
世界中が一定量はコロナ禍からは脱却した現在、特に新しいフォーマットは無いがスタンダードは大きく廃れた。
本場アメリカのイベントに行ってみてそれはかなり感じた。
スタンダードを真剣にやっている人は少ない。
EDHはカジュアル、ガチどちらも多い。
EDHは本場アメリカに行っても皆知識があるわけではなく、
「そのカードは何?」
は当たり前のように飛び交う。
言い方変えれば、
「楽しくみんなでEDHしている。」
という感じが強い。
ショップをやっている感覚では
注文に
「XXXX:1枚
XXXXXX:1枚
XXX:1枚
XXXXX:1枚」
と1枚が並ぶ注文の多さを見ると、
「ああ、EDHが強いのだろうな。」
と感じる。
また、モダン、レガシーのカードの購入ではないか?
と思われるものも多い。
正直なところ、レガシーとEDHは区別がつかない注文もある。
例えば
《Underground Sea》1枚
《意志の力》1枚
だけの注文はEDHかレガシーかは判別出来ない。
が、
どちらにせよモダン、レガシー、EDHといった古いカード達が使える環境に人が流れている。
言ってみればパウパーもそうなのだ。
いくら「コモンだけの構築」とはいえ、使えるカードセットで言えば「全て」なのだから。
ヴィンテージに至ってもそうだ。
先日の横浜でヴィンテージの出場者が88人。
昔では考えられない参加人数だ。
昔も今も店主の言うことは変わっていない。
「スタンダードはお金がかかりすぎるし、追いかけていくのは時間とお金の両面でつらくなる。ヴィンテージやレガシーの方が楽だよ。それに強くなりたかったらスタンダード以外もやるべき。」
この言葉のままに、ある程度の人はスタンダードを追いかけていくことが厳しくなってしまったのだろう。
社会人にとっては、
「新しいカードを買うのは全然嫌じゃない。でもデッキ作って試す前に次のセットが出てしまう。スタンダード環境の変化に対して追いかける時間だけはない。だからスタンダードをやめざるを得ない。」
となるだろう。
あとは個人の資産というかお財布の問題だ。
ヴィンテージに行ける人、レガシーに行ける人、モダンに行ける人、EDHに行ける人、それらは様々だ。
TCG業界は独身が多いのは間違いないが、プレイヤーの中には現在家庭を築いた人もいる。
これもまたプレイするフォーマットに影響を及ぼしていると言っていい。
家族の理解を得てプレイする人、
家族の理解を得られずにプレイする人、
息子や娘と一緒に遊ぶ人、
家族全体でプレイする人、
こういった環境もプレイするフォーマットを選ぶ要因になる。
どちらにしても「家庭のための時間」が存在する以上、スタンダードは選びにくいことも多い。
今後もこの部分は変わらないだろう。
そして、エクステンデッドのように廃止されるフォーマットも今後出てくるだろう。
滅びることの無い構築環境としてては、
レガシー
ヴィンテージ
オールドスクール
EDH
パウパー
(あと普通の人がやらなくてもα40も)
の5つは変わらないのではないかと思う。
モダン・パイオニアあたりはもともとの存在がエクステンデッドのような環境なので、いつか何らかの変化が来てもおかしくはない。
いつか滅ぶ環境を楽しむも一興ではあるものの、長きに渡って愛される環境こそ長きに渡って楽しめる環境でもあると思う。
それゆえに店主としてはレガシー、ヴィンテージ、EDH、オールドスクールの4つを推したい。
最後に
お題をくださった方、ありがとうございます。
この話題は今後も時間経過とともに追記出来る良い話題だと思いました。
いつかまた誰かにこのお題の続きを!と言われたら書きたいと思います。
ではまた。
