アルファ40参戦記-今年の〆 後編
記事作成日:2023/12/31 執筆:加藤英宝
アルファ40の会場は大阪。
久しぶりだ。
MTGのプレイのために関西まで遠征なんて。
しかもそれがアルファ40ときたもんだ。
持ち歩くのは怖いものの、アルファ40を対戦出来る刺激的な機会だ。
そのワクワク感はやっている人にしかわからない。
前編を読んでいない方は前編からお読みください。
アルファ40参戦記-今年の〆 後編
いざ、深淵杯
大会名は深淵杯。
名前の由来は後述で。
ちなみに今月のKからは
「お前は全勝以外は負け。」
などと煽られている。
いくら強い自信があろうと事故ったら負けるのと、CSSルールで襲いかかってくる相手は意外と強いのだぞ、K。
とりあえず大会の形式をば。
- 総当たり戦
- 勝ち負けに関係なく三戦する
- 勝ち星の数の多い人が優勝
- 制限時間無し
- サイドボード無し
少しでも多くアルファ40を楽しもうという、主催者の意向が感じ取れる素晴らしいルール。
何回戦目というのも特に無いので、デッキを紹介しながら対戦を語っていこう。
この日、どういうわけかほぼ全てダイスロールに負け、先手を相手にとられている。
まずはCSS(CardShopSerra)ルールの人達から。
CSSルール対戦
1戦目 Mono Lightning
「セット山、本体!」
以外の単語はほとんど聞こえてこないデッキ。
アンリミ混じり。
ただし《天秤》の敵ではない。
手札と土地が先に無くなってしまえば全く問題ない。
3勝。
2戦目 UB Control
突如参加する事になったドイツ人の方。
おそらく自分の持っている在庫をデッキにしてきたと思われる。
ベータ、アンリミ、アルファはバラバラだが、とんでもないデッキだ。
4《Black Lotus》
4《Ancestral Recall》
が最低でも見えるうえに、モックスだらけと来たもんだ。
ちなみにMTG人生初《Forcefield》を貼られる。
《セラの天使》と《巨大戦車》で5回殴ったのに、相手のライフ10点しか減らないとかいう面白い状況。
普通なら合計45点ダメージで確実に終わっている。
2勝まで簡単にとったものの、この謎のアーティファクトで耐えられ長期戦に。
こちらが《Wheel of Fortune》を撃った途端に相手から《Ancestral Recall》連打でライブラリーアウトで1戦落とす。
立っている《島》2枚、手札2枚の状況から、そのまま《Ancestral Recall》2枚飛んでくるとは思わなかった。
2勝1敗。
3戦目 Izet Burn Control
土地1枚以外全部アンリミ。
今回とにかく参加してみたかったとのこと。
その姿勢素晴らしい。
飛び込むのとても大切。
なお、2勝まで簡単に取ったが、マリガンも無いルールで事故ったためここで1戦落とす。
手札の初手が、
2《Timetwister》
2《Time Walk》
1《Plateau》
1《Mox Emerald》
1《Mox Ruby》
で、その後いくら待っても青マナ引かないまま負け。
2勝1敗。
4戦目 Sol Fire
アンリミの《太陽の指輪/Sol Ring》いっぱいのデッキ。
ここからX火力が飛んでくるのだが、《天秤》はそれを問答無用で潰してしまう。
理由は簡単で、こっちは土地を置かずに《天秤》を撃つから。
相手は赤マナや青マナが止まってしまうと動きがとれない。
その上手札も1~2枚に落とされる。
普通そんな事想定しないから仕方ないよね。
3勝。
純正アルファ40対戦
ここから先が紹介すべき真の漢達。
アルファ純正で組んである真のアルファ40プレイヤー達。
真のクレイジー(褒め言葉)達である。
前回のこらむの言葉を使うなら、滝登りを完遂し、鯉から竜になった猛者達。
1戦目 Primitive Black
デッキの意味は「原初の黒」
非常に良い名だ。
会場でアルファ版《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》を購入し、その場でデッキに投入する漢気。
《暗黒の儀式/Dark Ritual》7枚というぶっとび構成。
1ターン目《暗黒の儀式/Dark Ritual》2連打から《センギアの吸血鬼》を出されるも、返しに問答無用の《天秤/Balance》を叩き込む。
デッキがデッキなので、マナアーティファクト展開からの《天秤》で常に大勢は決する。
3戦とも《天秤》連打しながら
《セラの天使/Serra Angel》
《巨大戦車/Juggernaut》
《分解/Disintegrate》
の3枚でゴリゴリっと削って勝利。
3勝。
2戦目 Crazy Channel Beast
デッキ名からしても《チャネル/Channel》から《機械仕掛けの獣/Clockwork Beast》を出したい気持ちが感じられる。
なんとなくいずれ《チャネル》の枚数を増やすのだろう。
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》5枚積みが光る。
この方のデッキもまた
フィニッシャーには
《機械仕掛けの獣/Clockwork Beast》
《巨大戦車/Juggernaut》
の2つを採用。
X火力もふんだんに投入してあり、デッキとしては十分なほどに仕上がっている。
が、
《天秤》以下略。
3勝。
3戦目 RG Channel Fireball
自分の次くらいに気合の入ったデッキ。
自分の次にパワー9が入っている純正。
《Mox Emerald》3枚+《Mox Ruby》1枚。
かなりのデッキだ。
そして相当な手札に恵まれた場合にのみ、1ターンキルもある。
1《チャネル/Channel》
1《Mox Emerald》or《森/Forest》
1《山/Mountain》or《Mox Ruby》
1《Mox Emerald》
1《太陽の指輪/Sol Ring》
1《火の玉/Fireball》
初手がだいたいこんな感じであればいける。
ザックリと言うと
1ターン目に《チャネル》→《太陽の指輪》+赤マナ+《火の玉》が条件。
自分と対戦時は1ターン目《チャネル》から、
《黒曜石のゴーレム/Obsianus Golem》
《機械仕掛けの獣/Clockwork Beast》
が着地。
返しで《天秤》から以下略。
3勝。
4戦目 Dio Permettendo
青単。
すごいの一言。
《Chaos Orb》や《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を持っている。
ちなみに先手《島/Island》置いてエンドから、こちらの後手のモックスを《呪文破/Spell Blast》でカウンターされた。
予想していなくて面白かった。
一度《ネビニラルの円盤》を置かれ、
「これディスク起動されたらパーマネント8枚飛んで、
土地2枚しか残らないな、どうしよう?」
という状況に追い込まれるも、
《Timetwister》&《Time Walk》でアドバンテージを取り、ディスク起動になる前に《セラの天使》と《分解》で削り切る。
3勝。
5戦目 Marche au Supplice
この大会の主催者。
《黒騎士/Black Knight》
《黒の万力/Black Vise》
《暗黒の儀式/Dark Ritual》
が各5枚、そして《Mox Jet》や《悪魔の教示者/Demonic Tutor》まで持っている。
最初に紹介した黒単とはまた違った構成で非常に面白い。
開幕から《黒の万力》を置かれて結構なライフを削られるが、
結局は
《天秤》以下略。
3勝。
戦績
全27戦、25勝2敗。
ほとんどプレイングよりデッキパワー。
もちろんアルファとはいえデッキをデザインする力もあっての勝利だけれども、それでも明らかにパワーの差、パワー9の差。
1ターン目に《天秤》はやっぱり強さが違う。

各プレイヤーは、コントロールする土地の数が最も少ないプレイヤーがコントロールする土地の数に等しい数だけ、自分がコントロールする土地を選ぶ。
その後、残りを生け贄に捧げる。同じ方法で、各プレイヤーはカードを捨て、クリーチャーを生け贄に捧げる。
自分が先手だったらもっとひどいゲームだったんだろうなと思う。
加藤英宝のデッキ
ちなみに自分のデッキはというと、
人から見れば悪夢のようなデッキだと思う。
もう少し理想に近づけるなら、
《巨大戦車/Juggernaut》→《Ancestral Recall》
《島/Island》→《Mox Sapphire》or《Black Lotus》
《島/Island》→《Mox Sapphire》or《Black Lotus》
《Mox Emerald》→《Mox Sapphire》or《Black Lotus》
《Braingeyser》→《Ancestral Recall》
もう何言ってんだと思われそうなデッキ変更希望。
賞品エピソード
優勝として、Alpha40と書かれた魔導書のような形をした特製デッキケースと、オリジナルカード。
このオリジナルカードは裏側はMTGじゃないもの。
カード名は「Load of The Abyss」
このカードの元になったのは自分とある親しい友人との会話が元。
私「アルファ40やろう。」
友人「いつか、なんとかします!」
↓
友人「ある程度資産なんとかなってきたんで絶界行(ラストダイブ)します。」
私「奈落の底で待つ。」
というメイドインアビスのネタから来たのだと思われる。
友人は、
・アルファ40の世界
MTGという奈落の中の最果てのような世界からアビスのようだと解釈
・アルファ40に挑む事
一度挑んだら二度と生きて戻る事の無い事からラストダイブと解釈
というところからこんな話をしたのだろう。
ちなみに
「奈落の底で待つ」
は、主人公の母、殲滅卿ライザと思われる人が地上に向けて書かれた手紙の一文。
(劇中でライザが書いたと現時点では完全に明かされていない。)
(C)つくしあきひと/竹書房
殲滅卿ライザは現状最もアビスの最奥にいるというイメージも含め、店主は殲滅卿扱いされる事がある。
デッキが《天秤》連打で周囲を殲滅しちゃうのも事実なので、ある意味間違っていないのかもしれない。
今回、自分は自身のデッキ内容から周囲を殲滅して終わると思っていたので、優勝賞品を受け取る事は一度辞退したものの、主催者の方を含めた皆から、
「英宝さんがいなかったらアルファ40の世界に足を踏み入れなかった。」
「最初のイベントの勝者として受け取って欲しい。」
「英宝さんこそ初代魔王に相応しい。」
と様々なお言葉をいただき、この2つの品をいただく事となった。
最後に
主催したNigさんを含め、皆、よくこんなぶっとんだ遊び方に足を踏み入れてくれたものだなぁと。
最初に記事を書いた時から、
「誰がやるんだろう、こんな遊び方。」
とずっと思っていたし、今も思っているくらい。
自分にとっては
「アルファ40はMTGの究極の形であり、自分が目指すべきもの。」
「いつかダニエル・チャンと戦う。」
という意味不明な目標だ。
さすがに他の人はこんな事考えているとは思えない。
でも、今回の参加者の人達は、
「ダニエル・チャンが来日するが、来る?」
と言ったら喜んで来そうな人達だった。
なお、今回参加出来なかったものの、自分の周囲の友人でも片手で足りないくらいはプレイしている人がいる。
意外にいるから驚きだ。
一体どのくらいぶりだろう。
時間を忘れてMTGをしたと言える程の刺激的な時間を過ごしたのは。
許されるのならあと8時間くらい遊びたかった。
実のところ
「フリープレイでオールドスクールもやる。」
と言っていたものの、
ほとんどプレイする事も無く終わった。(一応何戦かはプレイ出来た)
皆思った以上にアルファ40に夢中だった。
遠征してきた意味があったと言える程に良い時間を過ごせた。
惜しむらくは参加希望の友人達が日程合わずで来られなかった事くらい。
また、参加した人の何人かは、
「アルファで染まっているデッキを見て、自分もいつかこの領域に行きたいと思いました。」
と言ってくれている事も嬉しかった。
40枚集めるだけでも大変な世界なのに、そこに飛び込もうとしてくれる人達はありがたいなぁと心から思った。
そして皆様、来年もやろうという話になり、関西か、関東か、それとも静岡か。
場所は未定だけれどもどこかではやろうという話に。
店主は西でも東でも予定が合えば行く。
まだアルファ40の世界に足を踏み入れていない人も、いつかはこんな奈落の世界に!
店主からは一言だけ。
「奈落の底で待つ。」
主催のNigさんが対戦動画を作ってくれています。
奈落の底を覗き込んでみてください。
これにて2023年のこらむはおしまい。
ではまた。
1 件の投稿
素晴らしいの一言!
今にして思えば
セラちゃんはプレイヤー
私はコレクターで名を残したかったなぁ
気が付いたら両方とも持っていかれた(笑)