アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie

2006年7月、突然何を思ったのか、
Ice Ageの3番目のエキスパンションが発売。
一体なんで今頃になって太古のブロックに手直し入れたくなったのかは謎だが、
プレイヤーとしてもお店としてもひたすらに嬉しい。
Ice AgeやAlliancesはともかく、このエキスパンションだけスタンダードで使えるのも面白い。

数年間継続されてきた、
基本セット×1、ブロック×2
というスタンダードの図式をわざわざ壊しにいく理由もわからないと言えばわからない。
とはいえ、
Magicとは何が起きるかわからないという面でも非常に面白い。
ン年ぶりにスタンダードに「冠雪」「累加アップキープ」なんてルールが投入されるとは。

今回のお題はそんなコールドスナップの人気クリーチャー、
アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie》。


カードの効果は、
Adarkar Valkyrie/アダーカーの戦乙女
コスト:4白白 
氷雪クリーチャー・天使
飛行、警戒
T:アダーカーの戦乙女以外のクリーチャー1体を対象とする。
このターン、それが墓地に置かれたとき、
そのカードをあなたのコントロールの下で場に戻す。
4/5
エキスパンション:Coldsnap、レア
フレーバーテキスト:彼女は死者を天国へと導くことはしない。
蘇らせて戦わせ、再び死へと導くのだ。

セラの天使/Serra Angel》にコスト+1したらタフネス1上がって危険な能力がついたというべきか、
賛美されし天使/Exalted Angel》と同じコスト同じパワータフネスで、別能力になったというべきか。
それにしても初めて見る能力だ。

非常に興味深い。
今までこんなカード無かったと言っていい能力。
今までなら「こいつがタップ状態で場にある限り・・・」などの制限がついてる感じなのだが、
このカードにはデメリットらしいものが書いていない。

仮に、
場にこの天使1体、対戦相手の場に5/5クリーチャー+アルファがいたとしても、
攻撃してから能力起動、Wrath of Godで何故か状況を制する事ができてしまう。
不思議なカードだ。

この天使だけ2体並べてお互いを対象にとり、Wrath of Godを撃つと、
相手だけクリーチャーが全部消し飛ぶという状況にもなる。

・・・その前に殴り勝て・・・と思わなくも無い。
が、しかし、プレイヤーとして目を向けるよりも、
自分はValkyrieという単語に目が行ってしまった。
この単語がMTGで出てくる事が嬉しいと思うくらいだった。
Valkyrieは英語をカタカナ表記すればヴァルキリー。

ドイツ語(Walkure)ならばワルキューレ。
北欧神話やワーグナーの曲に出てくるワルキューレである。
筆者は北欧神話もワーグナーも大好き人間なので、
こんなカードが出た日にはそっちに目が行ってしまうのは必然。
入手する方法は無いが、ドイツ語版《アダーカーの戦乙女》が欲しくもなる。

北欧神話の中では、
主神オーディンの命令により、
戦死した者を天上のヴァルハラ宮殿へ迎え入れ、
北欧神話のクライマックス、ラグナロクの戦いのために備える役を担う。
ラグナロクはもともと「神々の運命」の意味があったが、
現在はワーグナーの「神々の黄昏」という言葉が一般化されている。
どちらにしても北欧神話の終幕の部分であることには変わりはなく、
主神オーディンをはじめとした多くの神々がここで滅びる。

この決定づけられた神々の運命を変えるべく、
ワルキューレたちは戦死者をもう一度戦場へと復活させようとするのだが、
オーディンも他の神々も決定された運命に逆らう事は出来ず、
ラグナロクの引き金とも言えるロキとその息子たちと戦って滅びていく。

ちなみにこのワルキューレ、単語そのものは、
「戦死者を選ぶ者」
という意味から成るもので、
この言葉からも北欧神話での役割をあらわしているのがよくわかる。
カードの能力とも合致していて非常に面白い。

フレーバーテキストの
「蘇らせて戦わせ、再び死へ」
のくだりもとてもよく出来ている。

ワーグナーの楽曲の中では9人のワルキューレが登場するものの、
ほとんど主役はブリュンヒルデ一人だけ。
あとはオマケみたいなもの。
彼女だけはストーリーの中でも重要な役割を担い、
悲劇のヒロインのように描かれる。
(内容を知っている人、「ただの親父のご都合主義に翻弄されるだけだろう」なんて言ってはいけない。)

多くの人はブリュンヒルデくらいなら聞いた事もありそうだが、
残り8人の名前は知らない人のほうが多いんじゃなかろうか。
別に知っておいても何の得にもならないなどと言ってしまうとみもふたもないが、

一応9人の名前は下記に。

・ブリュンヒルデ
・ワルトラウテ
・ゲルヒルデ
・オルトリンデ
・ロスヴァイセ
・シュヴェルトラウテ
・グリムゲルデ
・ジークルーネ
・ヘルムヴィーゲ

ここまで書いてふと思った。
アダーカーの戦乙女》をデッキに入れるとしたら何枚入れるのだろう?
1枚?2枚?まさか4枚ってことはあまりなさそうだ。
マナコスト6のクリーチャーカードをデッキに4枚は中々に難しそうだ。

少なくとも実際場に出るのは1枚程度だとは思うと、
これもまたお話に合っていると言うべきか。
ワーグナーの話も北欧神話からきているので、
結局のところルーツは一緒なのだが、

このカード、こんな観点から見ても面白い1枚だった。

ついでに
「《アダーカーの戦乙女》をデッキに9枚まで入れてもよい」
と書いてあれば文句無しだったのに。

一度ねずみでやってしまっている今、 (やってしまった結果)

この程度の一文、ゲームバランスにさえ支障も無かっただろうに。
・・・仮に書いてあったとしても9枚入れる人はおらんだろう。

ではまた。




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