スタンダード、いくらかかる?
記事作成日:2023/02/28 執筆:ウィンター
※本記事の執筆は2023年2月下旬です※
皆さんこんにちは、ウィンターです。
「ファイレクシア:完全なる統一」がリリースされ、しばらくの時が経ちました。
3月にはプレイヤーズコンベンション:横浜も開催されるとのことで盛り上がりを見せています。
今回のプレイヤーズコンベンションではモダンとスタンダードのイベントがメイン開催されています。
特に「ファイレクシア:完全なる統一」参入後のスタンダードは非常に面白いと感じており、
自分もスタンダードを久しぶりに構築することにしました。
横浜での結果については未来の自分に託すとして、
今回はプレイヤーズコンベンションに向けて本腰で調整を行うためにかかった
「費用」に注目したいと思います。
特にカードのお値段は、これからスタンダードを始めたい人にも気になる部分だと思いますので、
こちらで書いていければと思います。
今回の使用デッキは?
今回自分が気になったのは、新メカニズムである「毒性」です。
自分はマジック歴が浅いので、「感染」がスタンダードにいたころのことを伝聞でしか聞いたことがありません。
その頃と似たようなことが出来そうな「毒性」に非常に興味を持ちました。
《敬慕される腐敗僧/Venerated Rotpriest》
コスト:緑
クリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ドルイド(Druid)
毒性1(このクリーチャーから戦闘ダメージを受けたプレイヤーは追加で毒(poison)カウンター1個を得る。)
あなたがコントロールしているクリーチャー1体が呪文の対象になるたび、対戦相手1人を対象とする。
そのプレイヤーは毒カウンター1個を得る。
1/2
《ふくれた汚染者/Bloated Contaminator》
コスト:2緑
クリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ビースト(Beast)
トランプル
毒性1(このクリーチャーから戦闘ダメージを受けたプレイヤーは追加で毒(poison)カウンター1個を得る。)
ふくれた汚染者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、増殖を行う。
(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、すでにそこにあるカウンター1種類につき、
そのカウンターをもう1個与える。)
4/4
特に緑の「毒性」持ちクリーチャーは、今回の緑強化に合わせて強力なクリーチャーが多く
「是非とも使ってみたい!」となりました。
また、フルスポイラーが出てからスタンダードのカードを調べたのですが、
相性のいいカードが青と緑に集中しており
青緑でキレイに組むことが出来ることも大きかったです。
《陽気な呪文盗み、アイヴィー/Ivy, Gleeful Spellthief》
コスト:緑青
伝説のクリーチャー — フェアリー(Faerie) ならず者(Rogue)
飛行
プレイヤー1人が陽気な呪文盗み、アイヴィーでないクリーチャー1体だけを対象とする呪文を唱えるたび、
あなたはその呪文をコピーしてもよい。
そのコピーは陽気な呪文盗み、アイヴィーを対象とする。
(オーラ(Aura)呪文のコピーはトークンになる。)
2/1
特に《陽気な呪文盗み、アイヴィー》は《敬慕される腐敗僧》と非常に相性がいいです。
呪文で対象をとった時に、《陽気な呪文盗み、アイヴィー》を対象に呪文をコピーできますが、
この時にも《敬慕される腐敗僧》の効果が誘発します。
2枚がそろうと恐ろしい速度で毒カウンターが溜まっていきます。
さらに青が入ることで、自分が使いたいもう一つのクリーチャーを取り入れることが出来ました。
《気まぐれな呪文踊り/Mercurial Spelldancer》
コスト:1青
クリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ならず者(Rogue)
気まぐれな呪文踊りはブロックされない。
あなたがクリーチャーでない呪文を唱えるたび、気まぐれな呪文踊りの上に油(oil)カウンター1個を置く。
気まぐれな呪文踊りがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、
あなたはこれの上から油カウンター2個を取り除いてもよい。
そうしたなら、このターンにあなたが次に
インスタントやソーサリーである呪文を唱えたとき、その呪文をコピーする。
あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
2/1
ブロックされず、油カウンターをためる能力と油カウンターを利用して
インスタントかソーサリーをコピーする能力をもちます。
油カウンターを乗せる条件が「クリーチャーでない呪文を唱えること」なので、
自分のクリーチャーを守るインスタントを打つだけでカウンターが乗っていきます。
さらに、このデッキはコピーして嬉しい呪文がいくつかあるので、
後半のコピー能力も生かすことが出来ます。
ブロックされない能力も重要で、今回のデッキに採用されている《戦闘研究》との相性が非常にいいです。
《戦闘研究/Combat Research》
コスト:1青
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントしているクリーチャーは
「このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カード1枚を引く。」
を持つ。
エンチャントしているクリーチャーが伝説であるかぎり、
それは+1/+1の修整を受け護法(1)を持つ。
(それが対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、
そのプレイヤーが(1)を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。)
エンチャントされたクリーチャーが戦闘ダメージを与えると1ドローできます。
クリーチャーでない呪文なので《気まぐれな呪文踊り》の油カウンターを乗せることが出来、
対象を取ることで《陽気な呪文盗み、アイヴィー》のコピーが誘発可能です。
更に、ブロックされないことで確実に1ドローを稼ぐことが出来るので、
アドバンテージを獲得しやすいです。
これらのシナジーを使いたいこともあり、
「ポイズンアイヴィー」と呼ばれている青緑の「毒性」デッキを組むことにしました。
実際の調整はどうやったの?
発売と同時に新規カードはすぐに購入しましたが、
現行のスタンダードにもともとあったカードはすぐにそろえませんでした。
理由はシンプルで、調整に主に使っていたのがMTGアリーナだったからです。
テーブルトップで調整できるのが一番だと思いますが、
現状のスタンダードはアリーナの方に人気が集中しているため、
デジタルの方がやりやすいと思ったからです。
ただ、自分のMTGアリーナの運用はシールド戦がメインで、
現行スタンダードのカードがほとんどそろっていませんでした。
そのため、いくらかの課金を行い、パックを購入しデッキの作成を行いました。
余談ですが、この時1ドル130円だったので多少はましな金額で課金出来ました。
アリーナのスタンダードはメインのみのBO1とサイドも含めたBO3があります。
自分が主に使っていたのはBO1の方で、BO3はたまに利用する運用でした。
BO1は回転が速く、メインデッキの細かい調整がしやすいので非常に優秀でした。
しかしデメリットもあり、BO1でのみ運用されているデッキやカードの採用があるため、
テーブルトップの環境と若干変わっているような気もしました。
特に赤単と当たることが多く、非常に苦戦したこともありました。
「ファイレクシア:完全なる統一」の時点の赤単は
・《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
・《火遊び/Play with Fire》
があり、プールに恵まれたデッキになっています。
BO1だと無類の強さを誇る赤単は、MTGアリーナでの使用者も多く調整が難航しました。
プレイヤーズコンベンションが近づくと、スタンダードの大会にもちらほらと人が増え始めます。
この頃にはアリーナからやや離れ、テーブルトップの環境でBO3の練習を行っていました。
早めにBO3の練習が出来たので、サイドボードも含めて調整を行うことが出来ました。
実際のデッキは?
それでは実際のデッキリストを見ていきましょう。
スタンダード:ポイズンアイヴィー
メインデッキ
-クリーチャー 15枚-
4 《敬慕される腐敗僧/Venerated Rotpriest》
4 《陽気な呪文盗み、アイヴィー/Ivy, Gleeful Spellthief》
4 《気まぐれな呪文踊り/Mercurial Spelldancer》
3 《ふくれた汚染者/Bloated Contaminator》
-インスタント 19枚-
2 《芽吹く生命の行進/March of Burgeoning Life》
4 《渦巻く霧の行進/March of Swirling Mist》
4 《とんずら/Slip Out the Back》
2 《タイヴァーの抵抗/Tyvar’s Stand》
4 《実験的占い/Experimental Augury》
3 《血清の罠/Serum Snare》
-ソーサリー 2枚-
1 《渇き根/Thirsting Roots》
1 《カエル声の写し身/Croaking Counterpart》
-エンチャント 4枚-
-土地 20枚-
2 《夢根の滝/Dreamroot Cascade》
4 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
1 《スパーラの本部/Spara’s Headquarters》
1 《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
7 《森/Forest》
5 《島/Island》
サイドボード
2 《終焉よ来たれ/Bring the Ending》
3 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 《腐れ花/Cankerbloom》
1 《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》
2 《強情なベイロス/Obstinate Baloth》
2 《消えゆく希望/Fading Hope》
1 《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》
1 《ふくれた汚染者/Bloated Contaminator》
1 《熟練の魔術師、ハーキル/Hurkyl, Master Wizard》
今回のリストは《気まぐれな呪文踊り》を強く使うことを意識して構築しました。
「増殖」効果が付いたインスタントやソーサリーを採用し、呪文倍化効果を使いやすくしています。
《渇き根/Thirsting Roots》
コスト:緑
ソーサリー
以下から1つを選ぶ。
・あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。
その後、ライブラリーを切り直す。
・増殖を行う。
(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、その後すでにそこにあるカウンター1種類につき、
そのカウンターをもう1個与える。)
《実験的占い/Experimental Augury》
コスト:1青
インスタント
あなたのライブラリーの一番上にあるカード3枚を見る。
そのうち1枚をあなたの手札に、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
増殖を行う。
(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、
その後、すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。)
《血清の罠/Serum Snare》
コスト:1青
インスタント
土地でないパーマネント1つを対象とする。それをオーナーの手札に戻す。
そのパーマネントのマナ総量が3以下であるなら、増殖を行う。
(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、
すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。)
特に《実験的占い》は個人的なオススメカードで、
最低限《予期/Anticipate》としての仕事があるので潤滑油になります。
更に《気まぐれな呪文踊り》と組み合わせることで、
増殖2回に手札が2枚増えるカードに化けます。
増殖自体は「毒カウンター」のギミックとも相性が良いため、タイミングを選ばず使用可能です。
《血清の罠》は土地でないパーマネントを手札に戻しつつ条件付きの増殖ができるカードです。
このカードも《気まぐれな呪文踊り》と組み合わせて、2枚戻し増殖2回のクロックアドバンテージを獲得できます。
また、《敬慕される腐敗僧》がいる時に自分のクリーチャーを対象にとるとさらに「毒カウンター」を追加できます。
状況によってはエンドカードになりうる強力な1枚です。
このデッキの動かし方は?
基本的にはクリーチャーを各種インスタントで守りながら
「毒カウンター」を10個ためることを目指します。
《ふくれた汚染者》や《とんずら/Slip Out the Back》が絡むと20点削り切れることもあるので、
ライフにも毒にも気を配りましょう。
《とんずら/Slip Out the Back》
コスト:青
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。
それはフェイズ・アウトする。
(次のそれのコントローラーのターンまで、
それやそれについているすべてのものは存在しないかのように扱う。)
基本的なプレイの方針で心がけたいのは島を1つ立てることです。
これを意識することでクリーチャーを守る圧をかけることが出来ます。
上手く相手にカードを使わせて、自分のクリーチャーを守りましょう。
特に《敬慕される腐敗僧》は重要カードです。
対象を取って守るだけで「毒カウンター」を増やすことが出来るので、意地でも守りましょう。
逆に、《陽気な呪文盗み、アイヴィー》や《気まぐれな呪文踊り》は若干優先度が下がるので、
場合によっては除去のエサとして使ってしまいましょう。
また手札の青いカードの枚数管理も重要となります。
このデッキに採用されている《渦巻く霧の行進/March of Swirling Mist》は青いカードをコストに使用できます。
《渦巻く霧の行進/March of Swirling Mist》
コスト:X青
この呪文を唱えるための追加コストとして、
あなたはあなたの手札にある望む枚数の青のカードを追放してもよい。
この呪文を唱えるためのコストは、これにより追放されたカード1枚につき(2)少なくなる。
クリーチャー最大X体を対象とする。それらはフェイズ・アウトする。
(フェイズ・アウトしている間は、それらは存在しないかのように扱う。
それらはそれぞれ、次のそれのコントローラーのアンタップ・ステップ中にアンタップする前に
フェイズ・インする。)
たった1つでも青マナがあれば守ることが出来るクリーチャーの数が増えるので、
場に出すクリーチャーの数は考えながら展開していきましょう。
ちなみに《渦巻く霧の行進》は相手のクリーチャーもフェイズアウト可能です。
最後に押し込みをかけたいときに有効な1枚となり得ますので、
毒計算・ダメージ計算には気を配りましょう。
かかった経費は?
実際の結果については、当日の自分にまかせるとして気になる経費を見ていきましょう。
アリーナ課金100ドル=13000円
-クリーチャー 15枚-
《敬慕される腐敗僧/Venerated Rotpriest》 1600×4=6400
《陽気な呪文盗み、アイヴィー/Ivy, Gleeful Spellthief》 50×4=200
《気まぐれな呪文踊り/Mercurial Spelldancer》 1000×4=4000
《ふくれた汚染者/Bloated Contaminator》 600×3=1800
-インスタント 19枚-
《芽吹く生命の行進/March of Burgeoning Life》 100×2=200
《渦巻く霧の行進/March of Swirling Mist》 100×4=400
《とんずら/Slip Out the Back》 300×4=1200
《タイヴァーの抵抗/Tyvar’s Stand》 300×2=600
《実験的占い/Experimental Augury》 200×4=800
《血清の罠/Serum Snare》 50×3=150
-ソーサリー 2枚-
《渇き根/Thirsting Roots》 50×1=50
《カエル声の写し身/Croaking Counterpart》 50×1=50
-エンチャント 4枚-
《戦闘研究/Combat Research》 50×4=200
-土地 20枚-
《夢根の滝/Dreamroot Cascade》 500×2=1000
《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》 もともと持っていたので0
《スパーラの本部/Spara’s Headquarters》 1600×1=1600
《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 3300×1=3300
《森/Forest》 もともと持っていたので0
《島/Island》 もともと持っていたので0
サイドボード
《終焉よ来たれ/Bring the Ending》 100×2=200
《呪文貫き/Spell Pierce》 100×3=300
《腐れ花/Cankerbloom》 300×2=600
《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》 3200×1=3200
《強情なベイロス/Obstinate Baloth》 100×2=200
《消えゆく希望/Fading Hope》 100×2=200
《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 2200×1=2200
《ふくれた汚染者/Bloated Contaminator》 600×1=600
《熟練の魔術師、ハーキル/Hurkyl, Master Wizard》 100×1=100
合計金額:42550円
何とは言いませんがゲーム機が1つ買えそうな金額になりましたね・・・
一つの趣味にかかる金額としては大きい金額だと思います。
僕はMTGが好きなので、この金額を払うことに抵抗はありませんが、
これから始める方はそうではありません。
実際にデジタルでMTGデビューをして、テーブルトップの環境に参入しようとしたら
金額の大きさに驚くという話も聞いたことがあります。
MTGアリーナという入りやすい入口があるにもかかわらず、
金額が障壁となってしまうのはもったいなく感じます。
まとめ
今回は新しいアーキタイプのデッキを組んだおかげで
ある意味でお値段は控えめで済んだのかと思っています。
これが環境最前線のグリクシスコントロールやエスパーミッドレンジを組んでいたら、
この金額で済まなかったでしょう。
もちろん金額がすべてとは言いませんし、
強いカードに値段がつくのも自然の摂理なので否定はしません。
しかし、この金額が参入障壁になりかねないことも事実です。
特にスタンダードはMTGアリーナがあるので、余計その影響は大きいでしょう。
少しずつでもいいのでカードが手に入りやすくなり、
初心者の人が始めやすくなる環境が来ることを願っています。