ヤバいキーワード能力
記事作成日:2023/03/22 執筆:加藤英宝
ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。
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探査とストームと初代相棒と続唱と発掘とファイレクシアマナの中で
やばいキーワード能力の順位をつけるとしたらどうなりますか?
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単純に順位と回答なら
6位:続唱
コスト踏み倒しシステムだし、
待機呪文のコストの書いていないものを無理やり唱えたりと、
結構な悪さをするものの、
通常使用では運否天賦。
EDHでは昔からある《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》が人気だが、
最強クラスの強さにまでは至っていないのも事実。

《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》
コスト:5緑青赤
あなたがコントロールするクリーチャーは速攻を持つ。
続唱、続唱
(あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、
コストがより低い土地でないカードが追放されるまで追放する。
あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
追放されたカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
その後、それをもう一度行う。)
7/5
なんだかんだでそんなに邪悪な存在でもない。
トーナメントでも続唱は見かけるが、環境トップではないので罪は軽い(笑)
5位:探査
かなり強い能力ではあるが、
極端なバランスブレイカーにはなっていない。
ハッキリと言ってしまうと
《宝船の巡航/Treasure Cruise》
《時を越えた探索/Dig Through Time》
《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》
この3枚がぶっとんでいるだけ。
(他にも強いカードがあるのだけど、
この3枚は明らかにぶっとんでいる。)
能力的にも墓地から追放という条件のため、
際限なく使えるという能力でもない。
そのあたりからも案外とよく出来たシステムの範囲。
4位:ファイレクシアマナ
やりたかった事はすごくわかる。
探査同様にぶっとんでいるのが相変わらず青と黒と緑。
《精神的つまづき/Mental Misstep》
《外科的摘出/Surgical Extraction》
《有毒の蘇生/Noxious Revival》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
どれもこれも擬似ピッチスペルを作りたかったのだろう。
この4種、どれもヴィンテージでも出てくるし、
青の2種に至ってはレガシー禁止、ヴィンテージ1枚制限。
全くもって調整不足だったと言わざるを得ない。
3位:ストーム
強いスペルは限られているものの、
コンボを助長するためのシステムとしてはいただけない。
ただしストームの欠点としては、
ルール上で言えばストームが存在しているレギュレーションでは、
本来は毎ターン、ストームの数を数えねばならない。
が、当然の事ながら、
「ストームを数える必要がある時しか数えない。」
というのが現状だ。
数え間違いも起きるし、
「あいつ、ストーム数えてるって事は、
そういうデッキなのか。」
と余計な情報を与える事や、
本来必要としない行動を強制される事もシステムのデメリット。
特に厄介なのは《狼狽の嵐/Flusterstorm》だ。

《狼狽の嵐/Flusterstorm》
コスト:青
インスタント
インスタントかソーサリーである呪文1つを対象とする。
それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
ストーム
(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えた呪文1つにつきこれを1回コピーする。
あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
コンボとは無関係なカウンター呪文で1マナの呪文である手軽さ。
いつ撃たれるとも限らない呪文だけに、
「ストーム数を間違った時にトラブルの元になる。」
という事が非常に問題になる。
2位:発掘
作りたかったのはただの「墓地から復活させる方法」なのだろう。
しかし、実際の使われ方は、
「ライブラリーのカードを墓地に落とす方法」だ。
そして発掘を使うデッキはコンボが多く、
発掘したカードを有効活用するデッキではない。
発掘能力によって墓地に落としたカードを有効活用するデッキが横行している。
ヴィンテージともなると「マナレス・ドレッジ」と呼ばれるデッキまで登場する有様。
これは一切マナが出る事が無い発掘デッキの事を指すもので、
デッキの中には《Bazaar of Baghdad》以外の土地が無い。
MTGに本来存在すべきでない構成だ。
ゲーム上で言えばストームのほうが面倒事を増やすのだが、
環境破壊としての意味合いが強く、発掘が2位。
順位付けとして発掘を2位にしたが、どっちもどっちレベル。
同着2位でも構わない。
1位:初代相棒
論外も論外。
条件を満たす必要はあるものの、
初手を1枚増やすなど言語道断。
MTGの築いてきた歴史をなんだと思っているのかと思う所業。
そして結果的にゲームバランスは崩れ、
あまりにもそれが酷いという事で、
根本的に相棒ルールのテキストを変えるという改定が成される始末。
2位までのルールは根本的にゲーム内で起きるもの。
相棒ルールは構築段階またはゲームの初手の段階で影響が出ている。
「発掘は強いから止めるために対策しよう。」
「探査は強いから止めるために対策しよう。」
これらは可能だ。
しかし、相棒を使わせないための対策はとれない。
特に初期の改定前ルールでは、
「条件を満たしたらサイドボードから飛び出してくるカード」
というだけなので、対策方法がないし、手札破壊すら効かない。
どうしようもない最悪のシステムだった。
2位以下と1位ではハッキリ言って天と地の差。
MTG史の汚点中の汚点。
MTG史の恥。
と、こんな感じだろうか。
ところで、
「やばい」という言葉は人によって解釈も変わる。
頻繁に表現として使われるものの、
本来の意味としては「危険」に近い意味合い。
けれども日本語の乱れというべきか
流行りというべきか、
近年で「やばい」の意味は多様化してしまっている。
非常に嘆かわしい話ではあるが、
それは置いておくとして、
この質問者の方は、
「MTGのゲームバランス上、明らかなバランスブレイカーは?」
という意味だろうと思うので、
この回答で問題無かろうと思う。
ただ、
もっと広義で考えても面白そうなお話。
「MTGの全キーワード能力でロクでもないものは?」
という解釈だったら他のルールも入る。
それでも初代相棒がダントツの1位なのは変わらない。
変わるのは2位と1位の間にいくつかのルールが入ってくる。
発掘やストームなんてある意味では可愛いもんだ。
のんびりオマケで書いてみようか、1位と2位の間を。
逆の「好きなキーワード能力」については以前記事にしているので
今回は割愛させていただく。
両面カード(合体なども全て含む)
裏がMTGではないものを出すな。
スリーブが前提の状態で、
いちいち裏返す手間を考えても作るべきでないルール。
デザインした人にストレートに言ってやりたい。
馬鹿と。
ユーザーの手間を増やすんじゃない。
こちとら限られた時間にカードゲームを楽しみたいんだよ。
裏返す時間なんか毎回毎回やらせるな。
フリープレイでもトーナメントでも、
「裏返す時間が純粋なロス時間」
という点が最大のマイナス。
シンプルに純粋に手軽に楽しめる事こそがTCGの良さだ。
それを阻害するものはお世辞にも良いとは言えない。
ダイス振らせるカード
ゲーム結果をより運否天賦にするダメシステム。
「運」の要素があってはいけないわけじゃない。
だからと言って運要素を増やして良い理由にはならない。
本来カードゲームというものは手軽さが売りの1つ。
最初のMTGというものは、
「デッキとライフカウンターがあれば他はいらない。」
に等しいカードゲームだった。
いちいち他の道具を増やすな。
まして複数の種類のダイスを必要とするなんて、
正気の沙汰とは思えない。
さらに言うと、
「今まで商品についてきたライフカウンター用の20面ダイスは、
全ての面が均等に出る確率にはなっていないから、
それを公式トーナメントでは使わないで下さい。」
なんて言っている。
むちゃくちゃだ。
ダンジョンカード
前述の通り本来カードゲームというものは手軽さが売りの1つ。
最初のMTGというものは、
「デッキとライフカウンターがあれば他はいらない。」
に等しいカードゲームだった。
いちいち他の道具を増やすな。
昼夜カード
本来カードゲームというものは手軽さが売りの1つ。
最初のMTGというものは、
「デッキとライフカウンターがあれば他はいらない。」
に等しいカードゲームだった。
いちいち他の道具を増やすな。
共闘&背景
EDHにいらんルールを持ってくるな。
現状Tier1の環境の多くが共闘ジェネラルで、
共闘は固有色のためのカラーマーカーだ。
そしてEDHの基本は
ジェネラル:1
メインデッキ:99
だ。
ジェネラル:2
メインデッキ:98
だと当然の事ながら確率が変わる。
相棒同様に構築段階またはゲームの初手の段階で影響が出ている。
全くもって公平性を欠いている。
そしてそれがTier1になっているという事は環境破壊だ。
相棒にも言える事だが、
「それは本当に必要だったのか?
作らなくても良かったのでは?」
だ。
総じて。
オマケで書いたものは基本的にはバランスブレイカーではなく、
「TCGとして楽しむために不要なもの」
がほとんど。
実際のところどれもこれも
「無くてもプレイヤーは困らなかったのに、
わざわざこんなものを作りやがった。」
と言ってもいいものだ。
我々は皆、限られた時間でMTGをプレイしている。
競技プレイヤーもカジュアルプレイヤーも、
皆、各々に大切な時間を使ってMTGをプレイしている。
競技、カジュアル関係なく、
その時間を単純に、そして意味も無くロスさせるシステムなどいらない。
「少ない道具で最高の楽しみを。」
これがMTGの持つ魅力の1つだったはずだ。
今から30年程前の話、
ボードゲームは今まで数多くの道具を必要としてきた。
それを簡易的にしたのがMTGだ。
「お互いの持ち寄ったデッキがあり、
対戦相手が一人いれば時間潰しが可能なゲーム」
という画期的なエンターテインメント、
それがトレーディングカードゲームだった。
その始祖としてMTGは生まれたのに、
昨今はいらん道具を要求するようになってしまった。
手軽さこそ売りの1つだと言えるものを、
自社が壊しに行ってしまうのは残念でならない。
以上、
ではまた。



















