Cardshop Serraが出来てからその3
記事作成日:2022/10/17 執筆:加藤英宝
「Cardshop Serraが出来てから」
Cardshop Serraが出来るまでではなく、
Cardshop Serraが出来てからの、
テキトーな時代のテキトーなお話をテキトーに語る。
ときにはリクエストにお応えしつつ、
ときには自分で思い出したお話を。
ある日、とてもお世話になっているお客様であり友人Tさんから連絡があった。
その内容とは、
「カードを手放さなければならなくなった。」
と。
とても辛そうだった。
ひとまず状況を聞いてみる事に。

この友人Tさんの後輩Nさんがビットコイン詐欺に遭い、
500万円ものお金を失った事でとても困っていると。
そして、
そのお金の一部を工面してあげるという話だった。
ビットコイン詐欺ってなんだろう?
どんな手口だろう?
と思いつつ、
「待って下さい。その後輩Nさんは確かにかわいそうですが、
どうしてお金を渡そうとしているんですか?」
と質問をしたら、
「後輩N君は
『嫁にこの貯金が無くなった事がバレたら離婚される。』
と言っているので。
自分が犠牲になって離婚が避けられるのなら。」
と返ってきた。
うーん・・・それはいい人過ぎるのでは?
と思いつつ、
いくつかの説得を試みたが、
結局Tさんはコレクションの一部を手放し、後輩N君に渡した。
その額、なんと120万円。
それだけの金額を捻出するのにかなりのコレクションを手放した。
それで終わったと思っていた。
Tさんが後輩N君に120万を渡してから一ヶ月後、
もう一度Tさんは
「もう少しカードを手放さなければならないみたいです。」
と言ってパワー9にまで手をかけようとした。
さすがにこれは全力で止めた。
「もともと後輩Nさんの自業自得です。
それをTさんがかぶる必要はありません。
それに後輩Nさんの言っている事はかなり無茶苦茶じゃないですか。
後輩Nさんは貯金をビットコインに使い、詐欺に遭った。
これは確かに被害者ですよ。
ですが、
貯金が500万円から0になっただけです。
無くなったお金は痛いですが、
聞けば後輩Nさんは公務員というじゃないですか。
生活に支障が出る状態ではないはずです。
奥様への見せ金と言っても過言ではないお金のために、
Tさんがコレクションを手放すのはおかしいですよ。」
「確かにそうですが、頼られると・・・。」
「こういう形でお金を工面する事を何度かすると、
こういう時にいつまでもたかられる恐れもあります。
Tさんにとってのメリットは何1つありませんよ。」
「そうかもしれませんが・・・。」
この時、最終的にパワー9までは手をつけず無いものの、
Tさんは別のカードを手放し、そのお金を後輩Nさんに渡した。
その額60万円。
前回と合わせて総額180万円だ。
これだけの金額になるものは、
相応の苦労とお金の両方がかかった品だっただろうに、
Tさんは後輩Nさんのためにこのコレクションを手放した。
仮に買い戻すとしても相当な手間とお金が必要になる。
それから数ヶ月、この話題はTさんとの間に一切出なかった。
ある日Tさんから
「そういえば英宝さん、ちょっと相談がありまして。
以前にお話した後輩N君が
もうどうにもならない状況らしく
ちょっと英宝さんにアドバイスをいただけないかと。」
「それはどのように『どうにもならない状況』なのでしょう?」
「どうにもならない状況というのは端的に言いますと
借金で首が回らなくなったということです。」
「それはどういう事ですか?Tさん。
Tさんがお金を工面して解決したような感じだったのでは?」
「それがあのお金を含めて生活が回らないらしく・・・。」
「まさかTさん、また後輩Nさんにお金を・・・という話ですか?」
「いえ、さすがにそれは。」
「後輩Nさんは公務員なのですからお金が回らないなんて事は無いのでは?」
「しかし本人がそう言ってますので。」
「生活に支障が出るような状況では無かったと思いますが・・・。」
「話を詳しく聞いていませんが結構ピンチのようで。」
こんな会話をしている最中にふとある事に気づく店主。
「待って下さい。Tさん。
今、生活が回らないと言いましたよね?」
「はい。」
「どうしてです?後輩Nさんは公務員。
安定している収入のある人のはずです。
加えて、もともと彼の貯金がビットコイン詐欺に遭い、
そのお金を元に戻すためだけにTさんがお金を出したんですよね?
全額にではないにせよ。」
「はい。」
「なのに、『生活が回らない』というのはおかしくないですか?」
「言われてみれば・・・。」
「仮にですよ、公務員が手取り25万だとして、
Tさんの工面したお金が180万です。
この4ヶ月程度でそれが消滅するとしたら、
月の生活費が平均で25万+45万=70万もかかるって事ですよ。
そんな生活、普通の人がします?」
「何か・・・おかしいですね・・・。」
「後輩Nさんは何か隠してます。
私ならそれを暴く自信があります。
私、岐阜まで行きますよ。」
「お願いしていいんですか?」
「もちろんです。
それに私はTさんに恩もあるんですよ。」
「ありました?」
「ええ、それはもう。
以前に《Library of Alexandria》PSA10をお譲りしてもらっています。
あれほどの品を快くお譲りしてくれた事に対して、
無償で動く事など何の苦もありません。」
Tさんは過去に《Library of Alexandria》PSA10を
「英宝さんなら言い値でいい。」
と言って譲って下さった方だった。
参考:カード博物館《Library of Alexandria》PSA10
「そういえば、そんな事ありましたね。」
「私とTさんが親しくなるきっかけの1つだった大切な1枚ですよ。」
「ひとまず、自分では後輩N君の事を見抜ける自信がないので、
お願いします。」
「後輩N君を呼び出してお話を聞くだけで多分どうにかなります。」
店主は突然岐阜に行く事になった。
この話を岐阜に出発する前に親しい友人に話したら、
「お前は何屋なんだ?探偵か?」
「カードショップの社長の仕事じゃないと思う。」
「なんかお前は金田一少年みたいだな。」
と色々言われた。
確かにカードショップの社長の仕事ではない。
でも、気づいてしまったものを放っておくのは性に合わない。
というわけで岐阜に向かって出発。
岐阜についたらTさんと一緒に待ち合わせの喫茶店へ。
まずは店主から
「状況を聞かせてもらえますか?自分はほぼ何も知らないので。」
と言ったら後輩Nさんが喋り始めた。
「今回、Tさんのお世話になったのは、
私がFX詐欺に遭いまして・・・。」
ビットコインじゃなかったのか?
最初から変な事言い出してるぞ、この人。
まあいい、黙って聞こう。
ざっと1時間強、後輩Nさんのお話を聞いた。
要約するとこんな感じだ。
後輩Nさん:バツイチから再婚。
三十代後半の公務員。
後輩Nさんの奥様:バツイチから再婚。
三十代前半の専業主婦。
家族構成は奥様の連れ子が一人、二人の間に三人の子供。
つまり六人家族。
家のローン:4100万円
車のローン:600万円
がある。
これは少々金額が大きい感じはあるけれども、
大きく問題も無さそうな平和な家庭のように思える。
奥様はビットコインだとかFXといったものが嫌いなんだとか。
で、二人の貯金の500万円を全部FXで失ったようだ。
この500万円は子供のための積立金だったとのこと。
このお金を後輩Nさんの口座にまとめて入れて管理していたという。
なるほど、二人で貯めたお金を失ったら奥様が怒るというのはわかる。
バレたくない理由や過程も色々な事を述べてきて概ねは納得する話だった。
あまりに流暢に喋るので嘘に感じない。
最初のFXなのかビットコインなのかというところは怪しいが。
あと、積立金をわざわざ1つにまとめるだろうか?というのも若干疑問だった。
次に、詐欺の手口としては、
LINEの投資グループに所属していて、
紹介の紹介である人を紹介され、
その人にFXの口座の運用を任せたらお金を全部抜かれたという。
・・・え?
さすがにこれは聞き返した。
そんな馬鹿なと思った。
後輩Nさんは携帯の画面を見せながら話を始めた。
「このグループに入っていて、ここから人の紹介でこっちのLINE移動して、
その後、さらに人を紹介されて、その人に。」
「待って下さい。これおかしいと思わなかったんですか?」
画面にはカタコトの日本語ばかりが映っている。
まるで翻訳ソフトにかけたような文章だ。
これを信じたというのだろうか?
「はい。あまり疑わずに・・・。」
「あと、証券口座などは普通アカウントのIDとパスワードですよね。
それはどういう手口で相手は知る事になったんです?
やり取りがあればLINEの記録ありますよね。」
「いえ、電話で。」
「で、電話?!」
「はい。」
「LINEの無料通話で、
顔もわからない本名もわからない相手に、
FXのIDとパスワードを口頭で喋って教えたんですか?」
「はい。ですからこれ以上の記録が無いです。」
通話記録何分という画面を見せられた。
これを今日、店主を騙すために用意したものとは思えない。
信じがたいが本当なのだろう。
しかし・・・
普通、そんなカタコトの日本語の相手にIDとパスを渡すのだろうか?
疑問は残るがひとまず黙っていよう。
他にも聞くべき事もあるし。
「IDとパス教えてすぐお金が消えました?」
「いえ、最初はやり取りをしていたんですが、
2週間ほどで連絡がつかなくなり、
アカウントに入れなくなりました。」
うーん・・・それっぽい手口ではあるけど、本当かなぁ?
いや、ま、嘘か本当かはこのあたりは深く突っ込まないでおこう。
自分の目的のメイン部分ではないので。
その後も後輩Nさん色々喋るので必要な話を自分がする事に。
「とりあえず警察に被害届出しましたし、
弁護士先生にも無料相談をしました。」
「あの、後輩Nさんはそれでお金が戻ってくると思っていますか?」
「え?戻ってこないんですか?」
・・・戻ってくると思っているらしい。
甘い。
明らかに甘い。
仕方ない。
説明するしかないようだ。
「まず、この状態から余程警察が動くなら別ですけれども、
被害額的にもこの程度は警察から見たら大した金額じゃありません。
この被害額は個人としては大きいですが、
普通は警察が大きく動かない金額です。
まして、LINE電話とLINEのやり取りが少量しかないんですから、
情報が決定的に足りません。
犯人に行き着くなんて難しいですよ。
それと、警察は仮に犯人を捕まえても、
後輩Nさんにお金を取り戻してくれるわけではありません。」
「え?取り戻してくれないんですか?」
・・・警察をなんだと思っているのだろう。
「簡単に言って、
警察の仕事は犯罪者を捕まえて、刑事告訴するところまでです。
損害の賠償には関わりませんよ。」
「え・・・。」
「そして弁護士に無料相談したと言っていましたね?
その弁護士が動くと思っていますか?」
「動いてくれないんですか?」
「無料で相談を受けただけで、
正式に契約も交わしていない人が動く訳がないですよ。
仮に契約したとしても、
弁護士は探偵でも警察でもないので犯人は捕まえてはくれません。
まして今回のケースではまず犯人には行き着かないでしょう。
犯人と交渉が出来るなら弁護士の出番もあるでしょうけれども、
この状態で弁護士が動く事は難しいと言わざるを得ないです。」
「そんな・・・。」
「一応言っておきますよ。
犯人が特定出来て全額が返ってくるなんてありえないと思いますけど、
そうなったとしても弁護士費用と弁護士への報酬はかかります。
犯人特定はまず不可能ですし、
お金も相手側に返済能力があるとは限らないですから。
そのお金を使い果たしていたら無理なんです。
無い人から物を取る事は出来ません。」
「そう・・・なんですか・・・。」
「あと、多分ですがその弁護士さんではどっちにしても無理です。」
「どうしてですか?」
「無能な弁護士だから無料相談窓口にいるんですよ。
有能な弁護士だったら自立していたり、
力のある弁護士事務所に所属しているのではないでしょうか?
弁護士だってピンキリ、得意分野、不得意分野もありますよ。」
「・・・。」
希望を失ったような顔をしている後輩Nさん。
この人、本当に公務員なのだろうか。
警察や弁護士の仕事の内容などちょっと考えたらわかりそうなものだ。
言えば助けてくれるものだとでも思っているのだろうか。
警察は税金で動いているものだけれども、
弁護士は少なくとも報酬ありきで動くものだ。
タダで助けてくれるような甘い事は無い。
しかし、状況は自業自得としか言えないだろう。
自身で責任を取らない事、自身で学ぶ姿勢の無い事が招いた事だ。
「後輩Nさんは奥様にこれがバレるとまずいと言っていましたね。
それでTさんのお金で穴埋めをしたと言っていましたが、
Tさんのお金では500万になりません。
そのあたりはどうされました?」
「消費者金融でどうにかしました。」
「でもそれは当然返さなければならないお金ですよね。
どうしていくおつもりでしょうか。」
「今、かつかつになっていて、
別の消費者金融に審査してもらっていて、
先日その会社の審査60万がおりました。」
「しかしお金を返すためにお金を借りる、
これは俗に言う雪だるま式というやつでは・・・。」
「はい。」
「後輩Nさん、現在、
Tさんのお金も消費者金融のお金も今口座にあって、
それは500万円まるまるあるんですね?」
「はい。」
「なら、全て正直に話しましょう、奥様に。
このままではプラスになる要素がありません。
消費者金融に利子を払う分だけ必ずマイナスになります。
それにTさんのお金は本来そんな形で受け取って良いお金ではありません。
Tさんに返して下さい。」
「しかし・・・。」
「Tさんはコレクションを手放す時にとてもつらいと言っていました。
後輩Nさんから全額返ってきたとしても買い戻すのはもっとお金も労力もかかります。
そこを考えても返すべきですし、
何より夫婦間でこんな隠し事をしながら、
消費者金融でお金をごまかすなんて事は正しくないと思いますよ。」
「わかりました。妻に全て話します。」
「Tさんのお金、返してくれますね?」
「はい。」
よし、言質が取れた。
目的の半分までがここで達成されたようなものだ。
「Tさん、お金返してくれるみたいですが、
これからどうしますか?」
「後輩N君の家に行きましょう。
奥さんに話すとN君言っていますし。
そのままお金が回収出来れば。」
「そうですね、そうしましょうか。」
「あの、今日は・・・。
自分がしっかり妻に話しますんで。」
「いやいや、今日終わらそうよ。」
「私も何度も岐阜まで遠出できません。」
「そうですね、英宝さんに何度も来てもらうわけにも。
それに今お金があると言っているのですぐ返せるはずですし。」
どうも奥さんにバレるのが嫌のようだ。
この感じは話す気がないな、この後輩Nさんは。
これではお金が返ってくるかどうかも怪しい。
が、
Tさんがしっかり後輩の家に行くと言ってくれているので、
話が進みそうだ。
「Tさんもこう言っていますし、
消費者金融とTさんのお金で入手した貯金はゼロと一緒じゃないですか。
一度リセットされたほうが良いと思います。」
といった事を言っていたら、
後輩Nさんは突然に態度が変わった。
「すみません、皆さんに全てをお話します。
さっきまで話していた事はほとんど嘘でした。」
店主はいくつかの嘘がわかっていたので淡々としていた。
「とりあえず話を聞かせてくれ、後輩N君。」
とTさん。
「はい。
まず、貯金500万円は妻と私のものじゃないです。
全部私のお金でした。」
「それは問題のある話もないのでは?
後輩Nさんのお金で全部やっただけならなおのこと問題の無い話でしょう。」
だいたい予想がついているとはいえ、
一般的な返答をする店主。
「FXを始めたのは2年ほど前でした。
その時ですでに自分のお金を300万円程溶かしていました。」

予想はついていたがやっぱりか。
おかしいと思っていた。
いきなりFX投資で他人に口座を預けるわけがない。
何段階かあると思っていた。
「その時点でFXを辞めようとは思わなかったんですか?」
「はい。」
ギャンブル中毒と変わらないよくある状況だ。
負けがひどくなってくるとより博打に走るというやつだ。
破滅する人の典型と言っても過言ではない。
一発逆転を狙ったところで一発逆転出来る人などまずいない。
そういう事がわからないからこそ一発逆転の博打をやってしまうのだが。
「一応黙って聞きます。」
「FXを最初自分でやってみて上手くいかず、
自動運用ソフトを使ってみたんです。
それでも上手くいかず。」
自動運用ソフトで上手く行くくらいなら、
みんな使っているだろうよ、そんなソフト。
何よりも問題なのはソフトを使う事じゃない。
楽をしてお金を得ようと思っている姿勢のほうだ。
FXだろうが株だろうが真面目に学んで挑まなければリスクしかない。
そういう事を考えていない事のほうが問題だ。
「で、それでもFXを辞めなかったと?」
「はい。なんとか負け分を取り返そうと。
それで消費者金融にも手を出して。」
「どのあたりが嘘なのですか?」
「先程言った通り、妻と私の積立金ではないんです。
私のお金という言い方も間違っていました。
私の作った借金です。」
「最初のお金は自分のお金でFX。
途中からは借金してFXという感じですね?」
「はい。」
「で、奥様にバレたら云々という話はある意味本当で、
ある意味嘘という事ですね?」
「はい。妻がFXなどの投資系が嫌いなのは本当です。
ただ、FXがバレたら離婚ではなくて、
借金がバレたら・・・です・・・。」
「そうですよね。おかしいと思っていました。
では、先程おっしゃっていた借金を整理しましょう。」
「はい。」
「混乱しないように全ての借金を教えてください。」
「はい。
A銀行100万
B銀行100万
C消費者金融100万
D消費者金融100万
E消費者金融100万
F消費者金融80万
G消費者金融60万
これと家と車のローンで全部です。」
「金融系で7社のトータル640万円ですか。」
「はい。」

そりゃあ生活が苦しくなるわけだ。
・車のローン(2台分)
・家のローン
がある状態でこんな借金作っていたら、
毎月の返済だけでも楽じゃない。
ちなみに参考までに。
この640万円は全てではないけれども年利が18%近くある。
仮に5年返済で全額返すとして総合計返済額は1000万円くらいに膨れ上がる。
結構キツい数字なのだ、年利18%。
「で、これとは別でTさんの180万円ですよね?」
「はい。」
「どういう状況であれ、このTさんのお金だけは返済お願いしますよ。
いいですか?」
「はい。」
つまり、
車と家のローンを抜いて、
この後輩Nさんには820万円の借金がある事になる。
確認はしていないし、
する必要も多分無い。
820万円、口座には無いのだろう。
それどころか口座には50万円も残っていないはずだ。
こういうタイプは残っていたら全額博打につっこむ危ないタイプだ。
後輩Nさんの事を簡単にまとめよう。
・2年程前からFXに手を出して負け続けていた。
・その2年程前の時点で自分の貯金は溶かしている。
・借金は全部で820万円(Tさんのお金を含む)
・それとは別で家と車のローンがある。
・FXに詐欺にあったにせよそうでないにせよ全額失っている。
・Tさんのお金は当然騙し取った。
・これら全てを家族に黙っている状態。
色々と突っ込みたい事はあるが、
こちらも時間が限られている。
ここでTさんが話を始めた。
「N君、さすがにこれはもう黙っておけないよ。
せめて最初から嘘を言わずに話してくれたら酌量の余地があったよ。
でもこれだけ嘘を言ったという事は、
最初から俺を騙してお金を取る気だったって事だよね。
この状況で『妻に全てを話す。』と言っても信用は出来ない。
今から直接家に行こう。」
当然の言葉だ。
後輩Nさん、渋い顔をしながら皆を連れて家に行く事に。
向かう途中のTさんの車の中で。
「英宝さん、自分は口が上手くないので、
どう話したらいいか・・・。」
「Tさん、そのへんはお任せしてもらっていいですよ。
そのために来たようなものなので。」
「お願いします。」
というわけで、
後輩Nさんの家に行き、奥様に話す役目を仰せつかった。
「初めまして。
私、Tさんの代わりにお話を致します、加藤と申します。」
「あの・・・弁護士の方ですか?」
「いいえ、Tさんの友人であり、
カードショップを営んでおります。」
見た目や口調で弁護士だと思われたのだろうか。
いきなり代理で話し始めた人がカードショップの社長だと思う人はいないだろう。
どちらにしてもカードショップの社長の仕事じゃない事くらいは自分でも理解はしている。
あとは自分の予定していた展開のままに。
奥様に事情を話したら、
後輩Nさんのご実家に電話が行き、
最終的に後輩Nさんの実母もお家に来て、
Tさんのお金の借用書を書いてもらった。
後輩Nさんは最後、恨むような目つきでこちらを見ていた。
まあ、当然だろうし、
自分は恨まれるために来た。
Tさんに恨みの矛先が行かないために動いたのだから、
これも含めて覚悟の上だ。
ただ、他人を騙してお金を得ようとした自業自得である事を、
この期に及んで理解していないとなれば、
この人は同じ事を繰り返す可能性もある。
FX詐欺に遭った一面は後輩Nさんとて被害者だが、
楽してお金を得ようと思った事が根本的に間違いの始まりだ。
「徹底的に学び、真摯に行動しても、
それでもまだ試行錯誤が足りないというのが世の常だ」
と、わかっていないのはただの甘ったれだ。
その甘ったれと他人を騙したツケが回ってきた事で、
人を恨むような輩に成功はない。
そのくらいの事は今回の事で知って欲しいとは思ったが。
とはいえ、自分は予定通りの行動は出来た。
Tさんのお金も取り戻せた。
(正確には借用書を書いてから一週間後に返済された。)
自分としてはミッションはこれで終了。
帰りの車の中で、
「英宝さんはN君のどこが嘘とかある程度わかっていたんですか?」
「ええ、さほど難しくなかったですよ。
結構わかりやすかったのは奥様へお話の件ですね。
頑なに我々を家に入れたくないという感じがしませんでした?」
「確かに。」
「あれは隠し事がある態度だと思いました。
実際にあの場で我々が引き下がったら、
奥様に話す気は無かったでしょう。
話した内容の何割かは嘘だと言っているようなものでした。」
「あそこで引き下がらなくて良かったです。」
「それとは別で、
特にわかりやすかったのは
『別の消費者金融に審査してもらっていて、
先日その会社の審査60万がおりました。』
と言った時です。」
「え?あれで何がわかったんですか?」
「簡単です。
消費者金融に審査してもらっていて、
60万円の審査が降りたって言ったんですよ。
審査だけで借りない選択をする人がいますか?
審査する人はお金に困っているから審査するんです。
審査が通ったイコールそういう人はその時点で借ります。
我々のように消費者金融に縁がない人は、
そもそも審査しないでしょう?」
「ああ、なるほど。
あの一言からそんな分析を。
今回のN君の詐欺に気づけたのもそうですが、
よくそういう言葉の端々から気付けますね。」
「MTGの手札読むのと変わりません。」
「そういうところでMTGが役に立っているんですね(笑)」
「ええ(笑)」
こんな会話をしながら帰路についた。
一週間後、無事Tさんのところにお金は戻ってきた。
想像に難くないが、
実母の貯金からの返済だろう。
親が責任を取ってくれているのはある意味で運が良い。
後輩Nさんは自分が痛い目に遭っていないし、
「一度はもらった金をなんで返さなきゃならないんだ!」
なんて思っていそうな態度だった。
自分の行為が人を騙してお金をせしめたという認識をしていなそうだった。
これで後輩Nさんが反省するかどうかわからない。
こればかりは自分でもどうする事も出来ない。
Cardshop Serraが出来てから、
色々なトラブルはあったけれども、
こんな事が起きるとは思いもよらず。
周囲の友人達はのちのちこの話を聞いて、
「金田一少年の事件簿+闇金ウシジマくんみたいで面白かった。」
「ショップのお客様に絡んだ話とはいえカードショップの社長の仕事と関係ない(笑)」
「相変わらずやっている事が謎(笑)」
「お前、カードショップやめたら?(笑)」
と笑っていた。
Tさんや自分にしてみると笑い事じゃなかったのだけれども。
ただ、何はともあれ、
Tさんのお金が返ってきて一安心。
皆様も甘い言葉や取引には十分にご注意を。
それと、
困った時はどうぞ店主にご相談を。
カードではないお話でもダメ元の相談をしてみてくださいませ。
ではまた。


