ケン・マスターズ
記事作成日:2022/09/27 執筆:加藤英宝
今回のこらむは「Secret Lair x Street Fighter」から
一人のファイターの御紹介。
《Ken, Burning Brawler》
コスト:1赤赤
伝説のクリーチャー 人間(Human) ・戦士(Warrior)
果敢
(赤/白):ターン終了時までKenは先制攻撃を得る。
Shoryuken ― Kenが戦闘ダメージを与えるたび、あなたはあなたの手札から、
そのダメージの点数以下のマナ総量をもつソーサリー呪文を、
そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
4/2
本名、ケン・マスターズ。
スト2シリーズではリュウと基本的に同性能で登場する。
シリーズが増えていくにつれて、
リュウとの性能差が少しずつ出ていくキャラクター。
その性能の差別化の過程で、
リュウは波動拳
ケンは昇龍拳
にそれぞれ特化する部分が最も特徴的で、
のちのシリーズでは、
リュウ:真空波動拳
ケン:昇龍裂破
という超必殺技も双方のオリジナルになっていく点からも、
リュウは波動拳、ケンは昇龍拳の色合いが強くなっていく。
今回カード化されたケン、リュウの能力もそれにちなんだものと思われる。
すごくどうでもいい話をすると、
ケンの奥さんのイライザと、
ガイルの奥さんのユリアは姉妹なので、
ガイルとケンは義理の兄弟という事になる。
ユリアが姉、イライザが妹。
ケンから見るとガイルが義理のお兄ちゃん。
で、
原作をやっていた人からすると、
「昇龍拳の上昇中無敵」
は再現出来なかったのか?
と思っていたのだが、
実はこれ、結構頑張って再現している。
まず、
(赤/白):ターン終了時までKenは先制攻撃を得る。
これは攻撃時、ブロック時どっちでも、
先に攻撃を当てる事で、
相手に対する迎撃をする昇龍拳の一部を再現している。
加えて、
「Shoryuken」の能力は、
「Kenが戦闘ダメージを与えるたび」
という《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》と同じ条件で書いてある。
つまりは、
先制攻撃をつけてダメージを与えた時の誘発でShoryukenで何らかの呪文を撃つところまで、
Kenは一方的に何か出来る。
この部分を「昇龍拳の上昇中無敵」の再現としているのだろう。
どうしてもこのテの「戦闘ダメージを与えた時に誘発する能力」は、
「プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時」と勘違いしがちで、
「自分が攻撃して相手に戦闘ダメージを通さないとダメ」
と思ってしまう事が多い。
しかし、Kenはよく出来ていて、
前述の通り、《梅澤の十手》と条件が同じなため、
ブロック時であろうと誘発可能。
例えば、
「先制攻撃をつけてブロック!
先制攻撃のダメージが入ったところで、
Kenの能力が誘発するので、
《神聖なる報い/Divine Reckoning》を撃ちます!」
とやったとする。
《神聖なる報い》は
《Divine Reckoning/神聖なる報い》
コスト:2白白
ソーサリー
各プレイヤーは、自分がコントロールするクリーチャーを1体選ぶ。残りを破壊する。
フラッシュバック(5)(白)(白)(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、
そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)
レア
という効果。
仮に先制攻撃や二段攻撃を持たない5体に殴られていて、
そのうちの一体をブロックし、Kenに先制攻撃をつける。
(Kenが一撃で倒せる、もしくはKenが倒されないパワーのクリーチャー)
先制攻撃のダメージが入ったところでKenの能力が誘発。
その時に《神聖なる報い》を撃った場合、
対戦相手は
攻撃クリーチャーのほとんどは先にこの呪文が解決されるため、
ダメージを与える事ができない。
この《神聖なる報い》の効果で生き残っている1体が、
ブロックされていない場合のみダメージが入るという事になる。
と、こんな感じの使い方も出来る。
この先制攻撃+昇龍拳での「返し技」はなかなかの原作再現。
オマケで書いておくと、
昇龍拳は「対空技」であり、
上記のような状況の際に飛行クリーチャーから殴られていても、
地上クリーチャーブロック、先制攻撃からの昇龍拳で除去が撃てれば、
(例えば《チャンドラの灯の目覚め/Chandra’s Ignition》を撃つなど。)
まさに対空技になる。
個人的に熱いのは、
《燃える拳/Flaming Fist》
《炎の拳/Fists of Flame》
という2つのカード。
原作のケンはスーパーストリートファイター2から
昇龍拳を強パンチで出すと炎が出る仕様と、
多段ヒットする仕様が追加されている。
カード名もそのままに、
カードの効果までうまく昇龍拳の多段ヒットを再現している出来になっているのが面白い。
これらに加えて、
《連続突撃/Relentless Assault》などの追加戦闘カードを使うと、
かなりのダメージを叩き出せる。
ただし、面倒な制限があるので非常に厄介。
《連続突撃/Relentless Assault》:踏み倒す事は出来るが追加戦闘フェイズはこない。
《攻撃の波/Waves of Aggression》:踏み倒す事は出来るが追加戦闘フェイズはこない。
《大群の怒り/Fury of the Horde》:踏み倒す事は出来るが追加戦闘フェイズはこない。
《今を生きる/Seize the Day》:踏み倒す事は出来るが追加戦闘フェイズはこない。
《反応+反正/Response+Resurgence》:踏み倒す事は出来るが追加戦闘フェイズはこない。
《世界大戦/World at War》:条件付きで踏み倒した後、まともに戦闘フェイズが来る。
《追い討ち/Aggravated Assault》:エンチャントなので踏み倒し不可。
《凶暴な打撃/Savage Beating》:インスタントなので踏み倒し不可。
このようになっている。
どういう事なのかと言うと、
最初の5枚については、
カードの効果が、
「このメイン・フェイズの後に追加の戦闘フェイズ1つと、
それの後に追加のメイン・フェイズを1つ加える。」
という書き方になっており、
これらの呪文はメインフェイズ中に撃たないと効果が出ない。
(文章中に『このメインフェイズの後に』と書いてあるため。)
《世界大戦》は
「このターンの最初の戦闘後メイン・フェイズの後に、
追加の戦闘フェイズとそれに続く追加のメイン・フェイズを加える。」
というテキストなので、
最初の戦闘フェイズ中に撃つ分には問題ない。
2回目戦闘フェイズ以降ではダメという条件がある。
《追い討ち》と《凶暴な打撃》は単純にソーサリーでないだけで、
通常使用する事に問題があるわけではない。
という事で、
最も踏み倒したい呪文は有効ではないのがちょっと残念だが、
それでも追加戦闘系呪文は面白い。
例えば、
ケンのもとのパワーが4。
《燃える拳》プレイして果敢でパワーが5。
そのまま戦闘に入り、ケンは《燃える拳》で二段攻撃。
一発目の攻撃で5点ダメージ、ここで昇龍拳誘発。
何かソーサリーを撃ったら
二発目の攻撃が果敢誘発で6点。
その後に追加戦闘フェイズ呪文を撃つ。
果敢誘発でパワー7。
そのまま戦闘フェイズに入り、
7点+7点でも合計25点。
EDHでこれをやると、
ブロックされていないのならジェネラルダメージ21点が通り、
文字通り「必殺技」になる。
ケンの超必殺技である「昇龍裂破」と呼べる大技。
EDHでこれをやるのがスト2をプレイした者としては熱い。
決める時は
「行くぜ、昇龍裂破!」
のセリフを忘れてはならない。
戦闘ダメージを与えるごとに誘発し、
ソーサリーを撃つと果敢が誘発するので、
多段ヒットさせればさせるほど撃てるソーサリーの幅も増え、
与えられるダメージも増えていく。
なかなかに面白いカードにデザインされているのだ。
このデザインの中で追加戦闘系呪文を踏み倒しても効果が出ないのは残念だが、
そこは諦めてまともにメインフェイズに撃って戦おう。
デザインとしてはかなりEDH向きで、
レガシー、ヴィンテージではちょっと厳しそうだが、
そうは言ってもコストを踏み倒せる能力は、
今後のソーサリーの新カード次第ではまだ期待の持てるカードとも言える。
今はEDHで作ってみるのが一番面白いと思うので、
次回はケンのEDHデッキをご紹介。
ではまた。