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忘れていた物がある日お宝に

記事作成日:2020/08/16 執筆:加藤英宝

この記事は2020年8月16日にnoteで掲載された記事をこらむに移行したものです。

先日、お部屋を片付けた。
クローゼットの奥底から

「封印」

と書かれたノートの切れ端が張ってある箱が見つかった。
たぶん、何年も前に何かの未開封パックを入れた箱だ。
ガムテープの劣化からすると、
この箱は相当な時間が経過している事がわかる。
15年以上前である事は間違いない。
なにせこのクローゼットを片付けた事は一度も無い。
何を入れたのか入れた自分自身さえ忘れている。
何を入れたんだろう。
何を入れたかは忘れているが、
「封印」の意味は覚えている。

「開けたい衝動を抑えて、何年も先のために、
この中に入っているものは開封しない。」

という意味を込めて書いた。
この意味を覚えているから、
中身が未開封パックだという事だけわかる。

とりあえず開けてみる事にした。

中から出てきたものは結構驚きの品だった。

アンティキティ:15パック
ザ・ダーク:10パック
ホームランド:8パック
フォールン・エンパイア:8パック
ネメシス:8パック
ヴィジョンズ:8パック
ストロングホールド:8パック
ウルザズ・サーガ:1ボックス
アライアンス:1ボックス

・・・いつこんな箱を閉まったのだ、自分。
一番新しいセットがネメシスのパックか。
ネメシスの発売日っていつだろう。
調べてみる。

2000年2月14日。

この日付よりは後だが、
一体いつこれらの品を箱につめたんだろう。
8パック単位で残っているものが多いところから、
ドラフトを意識してパックを保存しておいた事だけはわかる。
ウルザズ・サーガ1ボックスって案外すごいアイテムのような。

そして思った事は、
「俺、何年経っても考えている事が変わらないな。」
だった。
この数年でも結構未開封ボックスのコレクションをしている。
そして同じようにクローゼットにその箱をぶちこんでは、
綺麗さっぱり忘れていく。

そういえば投資の話で、
こんな話を聞いた事をおぼろげに覚えている。

「世界最強の投資家と呼ばれる、ウォーレン・バフェット
この人は株を買ったら、
買った事を忘れるくらい持っているんだ。
で、気がついたらその会社の株が上がっている。
そんな感じの長期投資をする人なんだよ。」

と誰かに教わった。
このウォーレン・バフェットという人は、
世界富豪ランキングでトップ10に常にいる投資家。
世界最強というのも嘘ではない。
凄まじい記憶力と努力で、
1代でここまでのぼりつめた鬼才と呼べる人。
よく誤用されてしまう言葉を使うなら、

「破天荒」

という言葉が似合う人。
破天荒の意味は、

「今までだれもしなかったような事をすること。
前代未聞の偉業を成し遂げる事。
前人未到の境地を切り開く事。」

という意味、
誤用のほうだと、
「豪快、無茶、常識外れ、大胆」
という感じの意味で使われてしまうが、
正しい意味の方でこのウォーレン・バフェットさんは破天荒の人。
そして店主が尊敬する人の1人。

このウォーレン・バフェットさんの姿勢をいつ聞いたか忘れてしまったが、
自分はいつの頃からかずっとこんな長期投資の思考をしていた。
ただし投資対象は株ではない。
MTGだ。

どれほどの年月が経ったかも忘れてしまうほど、
このダンボール箱はクローゼットの奥底に眠っていた。
このダンボール箱と同じセットを、
だいたい1ボックスずつ購入して保存していたので、
このダンボール箱は手放しても構わない品になっていた。
この点も含めて、
何年経っても考えている事が変わらない店主。

どうしようかと考えたが、
とある品に目がいった。

α版の《Mox Sapphire》だ。

このダンボール箱から出てきたパックを売れば、
状態EXくらいのα版《Mox Sapphire》買えるんじゃ?
いや、買うべきだ。
アルファ40のデッキがまた一歩進化する。

アルファ40のデッキというのは、60枚のデッキとはわけが違う。
デッキの4枚を変えるだけで、デッキが10%も変化する。
1枚あたりの変化率は2.5%だ。
結構大きい。
ヴィンテージのような1枚制限どころか、
4枚制限すらも無いやりたい放題の世界だ。
デッキに《Mox Ruby》を5枚入れても文句を言われない。
40枚中に《Mox Ruby》5枚だったら、
デッキの1/8が《Mox Ruby》という事になる。
こんな普通ではない世界では、
デッキのカードの1枚の重みはとてつもないものだ。

店主は1年程前にこのアルファ40の世界を知り、
「これはMTGの究極の形の1つだ!」
と感じ、プレイしてみる事にした。
その究極の形をプレイする事は並大抵の事ではない。
この1年の中でも随分とカードを探し回った。
もちろんお財布の中が寂しくなった。
貯蓄すっからかん。
でもアルファ40の世界を味わいたい。

というわけで決断した。
よし、このパック達を売って《Mox Sapphire》買おう!
アルファ40のためだ!
我がMTG人生は常に高みを目指す!
(※危ないので決してマネしないで下さい。)

で、実際に買ってみて思った。

昔、このダンボール箱から出てきたパック達を買った頃、
たぶんこのパック達はアンティキティ以外は定価だったはず。
アンティキティは定価以上だったが、
合計金額で言えば当時の《Mox Sapphire》くらいじゃないか?
そう考えると、
大きく得もせず、大きく損もせずか。
ただ、これだけの時間が経って、
自分が真に必要な1枚に変わった事は十分にプラス。
そう見るとこれは勝ちの投資だったのだろう。

ちなみに、周囲の友人に、
「このパック群を今から15年以上前に購入したらどうする?
俺みたいにダンボールに入れて保存した?」
と聞いてみたら、
「むり。たぶん誘惑に負けて開封する。」
と言っていた。
みんなウォーレン・バフェットさんのように、
「買ったら忘れるくらい放置」
というのは難しいようだ。
投資というものは簡単ではないのがよくわかる。
自分も当時に開封したい気持ちがあった。
けれども、ダンボールの箱に入れて、
自分の目の届かない場所にしまいこむ事で、
無理やりその気持ちを抑え込んだ。
ダンボール箱にでも入れない限り、
誘惑に負けて開封していたかもしれない。

ウォーレン・バフェットさんのお言葉で、

「株式投資の極意とは、
いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、
いい会社である限りそれを持ち続けること。
これに尽きます。」

というものもある。
この言葉を、

「良いカードを見つけて、良いタイミングで買い、
MTGプレイヤーでいる限りそれを持ち続けること。」

と置き換えてみるとわかりやすいだろうか。
自分は何年もの時間が経って、
この数十パックが1枚の本当に欲しいものに変わった。
もうそう簡単に手放す事も無いと思う。

MTGへの投資の気持ちがある人は、
店主と同じように
「テキトーにブースターをダンボールに封印。」
をやってみると面白いと思う。
このやり方にはちょっとお楽しみがあって、
前述しているようにドラフトを意識しておくのが面白い。
忘れた頃にダンボールを開けてドラフト出来るという楽しみも加わる。
10年くらい寝かせておくだけで、
当然新しいエキスパンションが出ているので、
新しいセットとダンボールの中身を合わせたカオス・ドラフトが楽しめる。
もちろんのこと、
その当時を懐かしみながらそのセットでドラフトするのも悪くないし、
店主のように欲しいカード1枚へ変換するのも1つだし、
単純にお金に変えてしまうのも1つ。

何年も前の自分は欲しいカード1枚に変えるという選択や、
お金に変える選択は考えなかった。
ただ、
「何年もしてからこれでドラフトやれたら面白そう。」
「何年かしたらこのパック達は入手出来なくなるかも?」
くらいの気持ちで、パック保存を始めた。
そして案外と楽しい。
パックのコレクションもMTGの楽しさの1つ。
一人タイムカプセルだ。
タイムカプセルとは、

「後に掘り出される予想や予定のもとに、
時代を記録するような品を納めて地中に埋める記念の容器。」

漫画で学校卒業時にみんなでタイムカプセルに何か入れるシーンがあるが、
実際に一度たりともそんな経験をした事はない。
本当にそんな事やる学校があるのだろうか。
学校のタイムカプセルは代表者でもいないと開封出来なそうだが、
MTGの一人タイムカプセルは自分の自由。
でも、地中には埋めないほうが良いと思うので、
クローゼットの奥底へ。
そんなMTG一人タイムカプセル、興味を持ったら是非。
何年かした時にお宝になっていると喜び倍増。

ではまた。

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