ヴィンテージデッキ紹介その16。
記事作成日:2022/05/02 執筆:加藤英宝
今回のヴィンテージデッキ紹介は先日店主がヴィンテージ大会で使ったデッキを紹介。
何年ぶりかの《ドルイドの誓い/Oath of Druids》デッキ。
最後にオースデッキ使ったのいつだろう?
-クリーチャー2枚-
2《残虐の執政官/Archon of Cruelty》
-インスタント15枚-
1《Ancestral Recall》
1《渦まく知識/Brainstorm》
1《時を越えた探索/Dig Through Time》
1《否定の力/Force of Negation》
2《活性の力/Force of Vigor》
4《意志の力/Force of Will》
1《精神的つまづき/Mental Misstep》
1《誤った指図/Misdirection》
1《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
2《夏の帳/Veil of Summer》
-ソーサリー11枚-
1《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
1《ガイアの祝福/Gaea’s Blessing》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《思案/Ponder》
4《定業/Preordain》
1《Time Walk》
1《宝船の巡航/Treasure Cruise》
1《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
-エンチャント4枚-
4《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
-アーティファクト6枚-
1《Black Lotus》
1《Mox Emerald》
1《Mox Jet》
1《Mox Pearl》
1《Mox Ruby》
1《Mox Sapphire》
-プレインズウォーカー5枚-
1《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
-土地17枚-
2《Tropical Island》
2《Underground Sea》
1《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
3《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1《露天鉱床/Strip Mine》
1《島/Island》
-サイドボード-
3《青霊破/Blue Elemental Blast》
2《魔力流出/Energy Flux》
2《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2《自然の要求/Nature’s Claim》
1《セラの使者/Serra’s Emissary》
3《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
1《夏の帳/Veil of Summer》
—–
以前には無かった一番オースデッキを強化したのは、
言うまでもなく《王冠泥棒、オーコ》。
相手のアーティファクトを突然3/3鹿に変えてのオース起動。
厄介なクリーチャーだった場合、オースは起動出来るにしても3/3鹿に出来るのは大きい。
モックスシリーズをはじめとして、
数多くのアーティファクトが出てくるヴィンテージの世界で、
これ1枚からオース起動が出来てしまう事はオースデッキを桁違いに強くしたと言っていい。
加えて、
「別に《ドルイドの誓い》が無くてもオーコだけで勝てる。」
という自己完結型である事もタチが悪い。
オーコに向かって世界中で100回以上言われた言葉だろうけれども、
「なんでこのカード作ったの?」
という感想以外出て来ない。
別な角度でタチが悪いのは、
仮に《道化の帽子/Jester’s Cap》を使われたとしてもOKという点。
オーコ登場以前のオースでは《道化の帽子》を起動されたら普通は投了。
だいたいフィニッシャーが2枚入っていて終わりだったから。
ところが、オーコが登場してからはそうは行かない。
《道化の帽子》でフィニッシャー2枚とオーコ1枚潰されても、
まだフィニッシュ手段を持てるという事もこのカードの強みだ。
とりあえずもう1回。
「なんでこのカード作ったの?」
それから、
フィニッシャーが
《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
《グリセルブランド/Griselbrand》
から変わり、
《残虐の執政官》というカードに。
このカードは、
《残虐の執政官/Archon of Cruelty》
コスト:6黒黒
クリーチャー 執政官(Archon)
飛行
残虐の執政官が戦場に出るか攻撃するたび、対戦相手1人を対象とする。
そのプレイヤーはクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げ、
カード1枚を捨て、3点のライフを失う。
あなたはカード1枚を引き、3点のライフを得る。
6/6
という効果で、
場に出ただけで随分と悪さをしてくれる生物。
場に出て相手のライフを3削り、
殴った際にも同効果が発生するので、
1体出て殴れただけでも12ライフを持っていく高火力。
加えて、
「クリーチャーかプレインズウォーカーを生贄にしろ」
という能力があるため、
プレインズウォーカーさえ除去可能。
・自分は3点ライフゲイン
・相手は3点ライフロス
・クリーチャーかプレインズウォーカーを生贄にしろ
・自分はドロー
・相手に手札破壊1枚
黒らしい能力を全部セットにしてクリーチャーにしてみた!
という感じのとてもとても珍しい生物。
ここまでてんこ盛りの生物はMTG史上でも滅多に無い。
まして黒では本当にこれ1枚だろうという程の器用さ。
これで飛行6/6というのだから文句なしだ。
とはいうものの、
《王冠泥棒、オーコ》
《ダク・フェイデン/Dack Fayden》
が跋扈するヴィンテージの世界では、
ダクはともかく、オーコで無力化は避けられない。
サイドボードの《セラの使者》と《鋼の風のスフィンクス》は、
オーコ対策のために入っている。
それにしても、
時代を経てこんなふうにオースデッキが変わるというのは、
数年前(オーコ登場前)では予想も出来なかった。
これらに加えてひどいのは《夏の帳》。
青がやたらに強い環境化で、
それを対策出来る事はとても大きいのだけれども、
メインから入る色対策なうえに、
結局のところMTGの強い色が青と緑に偏る要因の1つになっている。
現状のMTG全体で見ると
白:スタンダードやモダンでの脳筋がメイン。
青:どの環境でも活躍するMTG最強色。
黒:コンボ以外ではどの環境でもそこまで環境トップにいないが弱くもない。
赤:白に近いが昔のようにバーンで活躍出来る時代ではない。
緑:どの環境でも活躍する青に継ぐ強力な色。
くらいの位置づけだ。
これがヴィンテージになると
白:タッチ色じゃないなら余程のデッキじゃない限り立場無し。
青:最強。
黒:コンボとチューター以外に立場無し。
赤:タッチ色じゃないなら余程のデッキじゃない限り立場無し。
緑:青に継ぐ強さ。
くらいに極端になる。
ヴィンテージはある種特殊な環境で、
バザー(色があんまり関係ないデッキ、一応メインカラーは緑、黒、青になる。)
MUD(ヴィンテージ特有のアーティファクト単)
という他の世界では拝めないデッキも活躍するが、
この2つを除くとどうしても青と緑ばかりが活躍しかねない環境だ。
もうちょっと白や赤にも立場を与えて欲しいものだ。
ちなみにヴィンテージの世界は最近はプレイしやすい環境になっていると言えなくもない。
確かにお金のかかる環境でもあり、一般的にはハードルが高いと思われがちだが、
モダンホライゾン2などのカードが強力で、
案外安い値段でヴィンテージの世界に入る事は容易になっている。
実際にこのデッキもパワーカードは入っているものの、
1《Ancestral Recall》
1《Time Walk》
1《Black Lotus》
1《Mox Emerald》
1《Mox Jet》
1《Mox Pearl》
1《Mox Ruby》
1《Mox Sapphire》
この8枚を抜いて別のカードへの差し替えでも戦える。
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
《活性の力》
《森/Forest》
《島/Island》
《大あわての捜索/Frantic Search》
《考慮/Consider》
《激しい叱責/Dress Down》
などなど、いろいろな選択肢がある。
取り分けこのオースデッキの場合、
《ドルイドの誓い》
《王冠泥棒、オーコ》
フィニッシャー2枚
の部分が肝になっているので、
ここさえ守れていれば、それ以外は乱暴に言ってテキトーでも良い(笑)
ここからヴィンテージに入ってみるのも1つだと思う。
ではまた。