Cardshop Serraが出来てからその1
記事作成日:2022/02/11 執筆:加藤英宝
「Cardshop Serraが出来てから」
Cardshop Serraが出来るまでではなく、
Cardshop Serraが出来てからの、
テキトーな時代のテキトーなお話をテキトーに語る。
ときにはリクエストにお応えしつつ、
ときには自分で思い出したお話を。
これは2022年から数年前のお話。
ある人が我が社に入社する時の変わったエピソード。
ある人の名前はA。
スタッフからの紹介で入社面接をする事になった。
店主「うちで働きたいという話だけれども。」
A「はい。現在都内で勤めていて、
収入がきつくて。」
店主「しっかり働いているのに収入がきつい?」
A「はい。生活全然回らなくて。
あと、会社辞めたいって言っても辞めさせてもらえなくて。」
店主「え?普通会社って辞めたいって言ったら、
それを止めてくる人の気持ちくらいは理解出来るけど、
それでも辞められないって事はないはず。」
A「それが、以前に辞めたいって言ったら、
無理だって突っぱねられて。」
店主「無理って突っぱねるって・・・。
そんな無茶苦茶な。」
A「はい。」
店主「それは一体どういう?」
A「そのままです。
『辞めたいんです。』と伝えたら、
オーナーからすごい形相で怒られて、
『駄目だ!』という感じで。」
店主「理屈も何もあったものじゃない・・・。」
A「ええ、それで辞められないのかなって感じで。」
店主「それだけ言われるという事は、
その会社では頼りにされている?」
A「わからないです。
ただ、店舗もオンラインショップも自分がほとんど回してます。
でも交通費出ないです。」
店主「交通費が出ない?」
A「それも生活が厳しい原因になっています。」
店主「ちょっと詳しく聞かせてもらっていいかな。」
A「はい。」
ちょっとここの部分は会話を省きたい。
単純な質疑応答なので。
かいつまんで聞き出した情報のみを書こうと思う。
・都内のファッション、小物を扱うショップで働いている。
・総支給で18万円。
・毎月給与を渡す際に「外注扱いの領収書」を書かされている。
・社会保険に入っていない。
(つまりAは両親の払う国民健康保険。)
・当然厚生年金でもない。
・オーナーのツテで契約した家賃9万円の場所に住んでいて家賃補助は無い。
・手取りから家賃を引かれるので残り9万円で生活しなければならない。
・残り9万円から光熱費と携帯代と食事代を引いたらほぼ残らない。
・給与明細書をもらった事がない。
・週休0.5日。
(週6で働き、さらに1日は半休という事。)
・1日12時間近い労働で残業手当一切無し。
・家には寝るために帰るだけに等しい。
・やめたいと言ったら激怒されて逆らえなかった。
・社から店舗への移動に関しても交通費が出ない。
・福利厚生一切無し。
なんだこの過酷な環境は。
時間をかけて死刑執行でもしているかのような環境だ。
あまりにひどすぎる。
人が生きていける環境ではない。
が、
感情論よりもまずは現実論。
店主「A。君はこの会社を辞めたいと言ったね。
それ、根本的に違うよ。」
A「どういう事ですか?」
店主「君は社会保険にも入れてもらっておらず、
給与をもらう際に外注の領収書を書いている。
つまり、このお店に正式雇用されている実態がないんだ。」
A「え?」
店主「このオーナーは多分個人事業主で、
A自身も個人事業主扱いとして外注先になっている。
そういう会計をしているとしか考えられない。」
A「え?」
店主「この形態で給与を支払ってもらっていると、
『残業代も込みでこの金額だからね?』
というのを勝手に了承している事にもなる。
毎月その外注書類に君がサインしている状態。
そして、外注相手だから交通費を払わなくても問題は出ない。
労働基準法でアウトになりにくいような事をされているね。
もちろん人道的、社会的にはアウトだが。」
A「本当にそうなんですか?」
店主「間違いない。その最大の証拠は健康保険と年金。
保険代と年金を両親が払っていないか?
しっかりと雇用されていて、
社会保険と厚生年金であるのなら、
その明細があるはずなんだ。」
A「無いです。保険は多分親が払ってます。」
店主「という事は正式な雇用実態は無い。
特にこの労働時間では考えられない環境だ。」
A「自分が辞めるにはどうしたらいいですか?」
店主「簡単だよ。
辞めるも何も雇用実態が無いのだから。
明日からお店に出なくても何の問題も無いって事だよ。」
A「でも都内の住んでいる場所の問題もありますし。」
とてもAはつらそうだ。
追い詰められている人の顔をしている。
この勤務先にもう一度辞めたいと言うのが精神的にきついのだろう。
店主「そうか。
A、ウチで働く気はある?」
A「あります。雇っていただけるなら。」
店主「わかった。今から東京に行こう。」
A「え?」
店主「ウチで働く気があるんだろ?無職から脱出するだけだよ。」
A「!」
店主「おーい、副社長ー。
俺、今から東京行ってAを引っ越しさせる。」
副社長「ハァ?!」
店主「言った通りだよ。今すぐ出る。」
副社長「本気?」
店主「うん。」
副社長「今、18時過ぎてるぞ。」
店主「だからいいんだよ。
帰るのは日が変わってると思う。」
副社長「そ、そうか。」
社員Y「社長はそういう事やる人だから、私は特に驚きません。」
副社長「まぁ、社長に任せておこうか。」
社員Y「そういう行動するような顔していないのに、
こういう時の謎の行動力と決断力があるんですよね。
そしてやると言ったらやっちゃうのがまた。」
副社長「俺でもこの決断は予想出来なかった。」
店主「悪い結果にはならんでしょ。
行ってきまーす。」
副社長「とりあえずAの今後住む場所探してやらんとな。」
店主「んじゃそっちは任せるね。」
副社長「ああ。」
東京に向かう道中。
A「大丈夫ですかねえ?」
店主「大丈夫!大丈夫!何があっても俺が対処するから!
99%無いと思うけど、
そのショップオーナー、Aの部屋に来る事ありえる?」
A「無いですね。」
店主「それならなお問題ない。
仮に実家に押しかけようと何しようと、
労働基準も満たしていない相手のほうが悪いから。
下手な場所に駆け込まれたら不利なのはそのオーナーさんのほう。
まずもって問題は起きないよ。」
A「英宝さん、なんか楽しそうですね。」
店主「ああ、俺?うん。楽しいよ。」
こんな会話をしながら東京着。
部屋を見て衝撃を受けた。
これは人が住む部屋じゃない。
いかにAがつらい生活をしてきたのかがよくわかる。
これは乱暴な言い方ではなく、本当にそう思った事で、
よく彼は自殺を選ばなかったなと思う程の生活状態だった。
が、
そこを飛び出すとなるとのんびりはしていられない。
急いで二人で荷物を運び出し、
その間に細かく説明もする。
店主「A、とりあえず今日はウチに泊まって。
んで荷物も置きっぱなしでいいから、
明日はまずご両親に連絡するんだ。
こういう事情になりましたって。
一回で積みきらない荷物は冷蔵庫とベッドだけだから、
後でもう1回動いてもいいし、
ご両親に動いてもらってもいい。
それとさっさと物件を解約してしまえばおしまいだ。」
A「わかりました。」←かなり生き生きしている。
店主「ゴミは可能な限り全て出し、
部屋の掃除もほぼ全て終わらせよう。
後は解約と残り物の運び出しだけで済むようにしよう。」
A「わかりました。」←かなり生き生きしている。
この時、運が良かったのは、
いくら部屋と車を必ずどちらかが行き来しているとはいえ、
マンションの真下の道路にそのまま路駐している車に対し、
パトカーが通りかからなかった事。
一応何度か警戒しながら車を動かしたりもしたが、
パトカーが来なかったのは助かった。
二人で荷物の運び出し、
出ていっても問題無いように部屋も徹底的に掃除した。
「初対面の人と会って数時間後に、
その人の引っ越しを決断させて、
出ていく物件の便所掃除する状況って中々レアだなぁ。」
なんて思いながらトイレ掃除していたのを覚えている。
たぶんこんな経験、人生で一度きりだろう。
「人生で一番汚い便所なのに、
人生で一番楽しい便所掃除。」
なんとも不思議な気分だ。
東京到着から数時間後、
運転席と助手席以外は荷物だらけの車が0時過ぎに出発した。
体力仕事はニガテな自分だが、
この日はなんだか楽しくて疲れを感じない。
帰りに二人でラーメン食べて静岡へ。
次の日はAは両親に状況説明をしに実家へ。
そしてさらに次の日は
店主がAのご両親とお話をして、
Aは無事当社に就職。
Aは現在まで何も問題無くCardshop Serraで仕事をしてくれている。
Aが強制労働させられていたお店はどうなったのか。
実は全く知らない。
Aが話す限りでは、
・お店を開けるのもA。
・お店のHP関連をいじるのもA。
だったので、突然いなくなって相当に困った事態にはなったはずだ。
が、
人でなしが困る事になろうとそんな事は知ったこっちゃない。
自業自得だ。
勝手なる第三者から言わせてもらえば、
「一度くらいAと同じ生活をしてみろ。」
と思っている。
そのくらいの事をAにしたのだ。
Aは今後の人生で十分に報われるべきであり、
このショップのオーナーは今後の人生で十分に罰を受けるべき人だ。
店主はこのオーナーの事は知らないし、一生顔を合わせないと思うが、
どこかで痛い目を見てくれている事を祈る。
そして、
Aにはうちの会社でその働きに見合う報酬を今後も出し続けたい。
それから、
「今の会社辞めたい。
Cardshop Serraで働きたい。」
という人がいたら是非ご相談を。
ではまた。



