EDHデッキ紹介その36(Jedit Ojanen)
記事作成日:2013/06/14 執筆:加藤英宝
お客様からのリクエスト。
Jedit Ojanen
コスト:4白白青
伝説のクリーチャー 猫(Cat) 戦士(Warrior)
5/5
レジェンド:アンコモン
フレーバーテキスト:猫族の戦士最強のジェディット・オジャネンは、
彼の種族の森を見捨て、ロバロン傭兵隊に入隊した。
そして、エフラヴァの戦いで彼らの名声を高めるのに貢献したのだ。
———————
7マナで5/5、能力は一切無し。
長ったらしいフレーバーテキスト書くくらいなら、
何か能力をくれてやる事は出来なかったのか。
頭痛がする程ガッカリな生物である。
次元の混乱の
エフラヴァの《ジェディット・オジャネン/Jedit Ojanen of Efrava》
の元ネタになった生物。
またの名を猫侍。
猫侍とはプレイステーションに存在するバカゲーの名である。
無駄に3枚組という意味不明な枚数のDisc枚数のゲーム。
見た目とあまりにバカバカしいコストから、
Cardshop Serraの店主が10年以上前に《Jedit Ojanen》につけたあだ名である。
無駄な容量とDisc枚数は《Jedit Ojanen》のコストにピッタリだと思っている。
「バカバカしいコストをかけてムービーばっかり作ってんじゃねえよ!
容量が大きいからっていいゲームとは言わないんだよ!
最後の幻想って言っておきながら何度も出すんじゃねえよ!
全くスクエニ…いや、救えねぇ。」
と言いたいわけではない。
ええ、決してそんなことは…。
(猫侍の制作はヒューマン。)
なお、Cardshop Serraの店主はこの猫侍を持っている。
もちろん後悔している。
店主には妹がいるのだが、
妹は今から何年も前にこの猫侍をプレイした事がある。
1時間もしないうちに
「お兄ちゃん、このゲームつまんないよ」
と突っ返された。
なお、我が妹はプレイステーションの伝説のクソゲーと呼ばれる、
「里見の謎」を二日でクリア
という、
普通なら絶対にやらない荒行さえもやってのける猛者である。
その猛者に「つまんない」と言わしめたゲームが猫侍である。
まさにこの《Jedit Ojanen》にふさわしい。
レジェンドのカードセットの時代はゲームバランスが怪しい。
なんだこれは?!と思うほど強いカードがあるかと思えば、
意味不明なほど弱いカードも存在する。
とりわけマルチカラーを一番最初に出したカードセットのためか、
マルチカラーカードに強いものがほとんどない。
この《Jedit Ojanen》も例外ではない。
だいたいこのテのクリーチャーを比較する時に、
よく《セラの天使/Serra Angel》を引き合いに出す。
《セラの天使/Serra Angel》は現代でこそトーナメントカードではないものの、
この当時は最強の一角を成すクリーチャーの1つだ。
ヴィンテージ最強デッキと言われた、
「The Deck」
に搭載された事さえあるのが《セラの天使/Serra Angel》だ。
《セラの天使/Serra Angel》は3白白で4/4。
能力は飛行と警戒。
コストパフォーマンスの良いカードだ。
この3白白のコストに1青を追加したら、
パワーとタフネスが1ずつ上がって5/5になり、
飛行と警戒を失った。
もうこれだけで意味不明。
コストが上がっているのに弱くなっている。
飛行か警戒どっちか残しても誰も怒らないだろうに。
《Jedit Ojanen》、当時から使われなかっただろう。
こいつをトーナメントでプレイした人がいたらお目にかかりたい。
《セラの天使/Serra Angel》を置いて、
《ハルマゲドン/Armageddon》を撃つ事を
セラマゲドンと呼ぶ事はあったが、
間違っても”オジャネンドン”した人などいるとは思えない。
そもそもオジャネンドンという呼び名からしてマヌケだ。
いや、オジャマゲドンか?
どっちもどっちか。
しかし、今は少しだけ事情が違う。
EDHという生きる環境がある。
とはいえ
白青限定のジェネラル候補は《Jedit Ojanen》以外に
《アーイシャ・タナカ/Ayesha Tanaka》
《Gosta Dirk》
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》
《成金、グヮファ・ハジード/Gwafa Hazid, Profiteer》
《航行長ハナ/Hanna, Ship’s Navigator》
《至高の審判者、イスペリア/Isperia, Supreme Judge》
《不可解なるイスペリア/Isperia the Inscrutable》
《高位の秘儀術師、イス/Ith, High Arcanist》
《雪花石を率いる者、ブルーナ/Bruna, Light of Alabaster》
《巣を守るものカンジー/Kangee, Aerie Keeper》
《Kasimir the Lone Wolf》
《Rasputin Dreamweaver》
《川の案内者、シグ/Sygg, River Guide》
《トバイアス・アンドリオン/Tobias Andrion》
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
《第10管区のラヴィニア/Lavinia of the Tenth》
これだけある。(2013年6月現在)
半分近くは《Jedit Ojanen》級にジェネラルに選ばれない奴らである事は間違いない。
最強は間違いなく《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》。通称:ヨン様。
対抗馬が《Rasputin Dreamweaver》か《雪花石を率いる者、ブルーナ/Bruna, Light of Alabaster》。
《第10管区のラヴィニア/Lavinia of the Tenth》もなかなかに面白い。
この中では《Jedit Ojanen》は《Kasimir the Lone Wolf》と並ぶ大穴。
《Jedit Ojanen》は普通なら選ばないのだが、
あえてこれを選んで戦ってみたい。
猫侍というあだ名を冠するくらいなので、
やはりこのオジャネンさんに活躍してもらわなければならない。
もちろんオジャネンドンも狙う。
他に勝ちパターンなんて作ってはいかん。
他のクリーチャーを入れるなどもってのほか。
間違ってPWで勝ってもいけないのでPWも入れない…と言いたいが、
オジャネンさんを強化するためと、
《正義の勇者ギデオン》の必殺技からのオジャネンプレイという狙いもあるので、
ちょっとだけPWも入れる。
《求道者テゼレット》みたいにデッキコンセプトから外れているものはダメ。
《求道者テゼレット》だと-5能力で40ダメージが出てしまう。
デッキは以下。
ジェネラル:猫侍
-クリーチャー0枚-
-インスタント19枚-
《隔離/Sunder》(オジャネンドン用)
《嘘か真か/Fact or Fiction》
《神秘の教示者/Mystical Tutor》
《Mana Drain》
《Force of Will》
《遅延/Delay》
《差し戻し/Remand》
《否定の契約/Pact of Negation》
《Arcane Denial》
《流刑への道/Path to Exile》
《剣を鋤に/Swords to Plowshares》
《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
《除外/Exclude》
《排撃/Repulse》
《解体の一撃/Dismantling Blow》
《誤った指図/Misdirection》
《乱動への突入/Into the Roil》
《渦まく知識/Brainstorm》
《呪文貫き/Spell Pierce》
-ソーサリー15枚-
《ハルマゲドン/Armageddon》(オジャネンドン用)
《戦の惨害/Ravage of War》(オジャネンドン用)
《カタストロフィ/Catastrophe》(オジャネンドン用)
《神の怒り/Wrath of God》
《審判の日/Day of Judgement》
《終末/Terminus》
《至高の評決/Supreme Verdict》
《連絡/Tidings》
《時のらせん/Time Spiral》
《意外な授かり物/Windfall》
《Timetwister》
《塵は塵に/Dust to Dust》
《塵への帰結/Return to Dust》
《思い起こし/Call to Mind》
《呪文ねじり/Spelltwine》
-エンチャント1枚-
《Copy Artifact》
-アーティファクト25枚-
《冬の宝珠/Winter Orb》(奥義:オジャネン珠)
《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
《Mana Crypt》
《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》
《スランの発電機/Thran Dynamo》
《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
《アクローマの記念碑/Akroma’s Memorial》
《発展のタリスマン/Talisman of Progress》
《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
《魔力の櫃/Mana Vault》
《厳かなモノリス/Grim Monolith》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《オパールのモックス/Mox Opal》
《金属モックス/Chrome Mox》
《ダークスティールの板金鎧/Darksteel Plate》
《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》
《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》
《連合の秘宝/Coalition Relic》
《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
《友なる石/Fellwar Stone》
《乳白色のダイアモンド/Marble Diamond》
《空色のダイアモンド/Sky Diamond》
《世界のるつぼ/Crucible of World》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
-プレインズウォーカー4枚-
《正義の勇者ギデオン/Gideon, Champion of Justice》(奥義:ギデオジャネン)
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
-土地35枚-
《Tundra》
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》
《氷河の城砦/Glacial Fortress》
《広漠なるスカイクラウド/Skycloud Expanse》
《秘教の門/Mystic Gate》
《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
《統率の塔/Command Tower》
《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
《雲の宮殿、朧宮/Oboro, Palace in the Clouds》
《永岩城/Eiganjo Castle》
《雨雲の迷路/Nimbas Maze》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《湿地の干潟/Marsh Flats》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
《乾燥台地/Arid Mesa》
8 《平地/Plains》
9 《島/Island》
—————————-
《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》は、
-6能力で勝ってしまうといけないのでクビ。
《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》と
《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel》のダブルエルズペスは、
トークンが簡単に出てしまうのでこれもクビ。
《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》は、
自身が6/6になるのでこれもクビ。
《正義の勇者ギデオン/Gideon, Champion of Justice》は、
能力でクリーチャー化するものの、
全力でマナ出して-15能力起動からオジャネンプレイで、
オジャネンドンが決まるので採用。
もちろん0能力起動は禁止。
《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》は、
-8能力など使うわけがないので採用。
意地でもオジャネンを強化するためだけに使う。
《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》は、
強さが論外。
オジャネン出さなくてもテゼレットで勝てるのでクビ。
《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage》は、
ブロッカーを消すためにも使いたいところだが、
-8能力起動するとどうしてもみんな投了するのでクビ。
《滞留者ヴェンセール/Venser, the Sojourner》は、
ブロックされない能力が欲しいところだが、
-8能力を起動するとやっぱりみんな投了するのでクビ。
ジェイスの採用については、
ジェイスは1対1ならともかく、
最終奥義で倒せるようなカードではないので採用。
さて、実際に戦ってみた。
弱い!
鼻血出る弱さ!
3回対戦した段階でデッキを壊したくなった程だ。
まず、相手が出すプレインズウォーカーへの対処法が厳しい。
火力が無い&クリーチャーが0枚なので、
相手の忠誠度をこちらから下げに行けない。
かと言ってコンボデッキでもないので瞬殺も出来ない。
《大変動/Cataclysm》でも入れておけば良かったのかもしれない。
《Moat》の1つも置いておけばどうにか戦いやすくなりそうなものだが、
これを置くと他者が他者のプレインズウォーカーを殴りにくくなるので、
よりプレインズウォーカーがどうしようもない状況ができやすい。
しかもオジャネンさんは飛んでないので、
アクローマの記念碑を引くまで殴れないというオチまでついてくる。
他の飛行する装備品でも入れるべきだろうか。
しっかり勝ちに行く事まで考えるなら、
《嵐潮のリバイアサン/Stormtide Leviathan》の採用も考慮すべきだったか。
オジャネンさん無しで勝ってしまうだろうけれど。
動きとしては、
クリーチャーと土地を全部破壊しながら、
相手が何もできなくなった時に、
無理やりオジャネンさんが殴りに行く以外勝ち手段0。
一度だけアジャニで強化して8/8になったオジャネンさんが、
生体融合外骨格を装備して毒殺に成功するも、
大半の戦いは土地破壊とクリーチャー破壊で、
他者のデッキの邪魔だけして、
あとは眺めているだけ。
ダークスティールの板金鎧なんてかなりの確率でただの置物。
これ装備して神の怒り系を撃てばOKなんて思った自分が馬鹿だった。
オジャネンさんの7マナというコストを甘く見てた。
ゴメン、オジャネンドンとか言い出した自分が馬鹿だった。
むり。
ノリと語呂だけでオジャネンドンとか言うもんじゃない。
調子に乗って、
冬の宝珠で奥義:オジャネン珠とか、
ギデオンだったら奥義:ギデオジャネンなんて言った自分が恥ずかしい。
勢いだけでデッキ作るもんじゃないなとよくわかる弱さ。
7マナ5/5で能力無しが、
EDHにおいていかに論外であるかを実感させられる。
これなら1マナ2/2無能力の《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》のほうが、
何倍もまともなデッキを組める気がする。
1マナ2/2のわんこに負ける猫侍。
しかも7マナ5/5なだけでも困るのに、
一度でも死のうものなら次は9マナ。
9マナもかけてもただの5/5。
ジェネラルダメージで張り倒すにも5回殴るか、
何らかの強化が必要。
トランプルも飛行もなーんにも無いので、
単純にブロッカーを出され続けるだけで無能ちゃんと化す。
(対戦相手にエルズペス出されるとほとんど終わり)
さらにプロテクション系が1つも無いので、
何色の除去魔法でさえ全部食らう。
これが2~4マナのジェネラルだったら
「ま、出し直せばいっか」
で済むけれど、素が7マナの時点で、
出し直しも難易度が上がっている。
そして、
ドラゴンの迷路で登場した赤緑の伝説生物である、
《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》を出されるとデッキが終わり。
デッキに1枚もクリーチャーを入れていないため、
呪文を唱える=6ダメージ。
ルーリクさん除去するためにも最低6ダメージ。
ルーリクさんが《魂の洞窟/Cavern of Souls》を介して出てきたら、ゲームオーバー。
呪禁だったり被覆だったり壊れなかったりしたら、これもゲームオーバー。
とどめにルーリクさんは到達と警戒持ちの6/6。
こっちは無能力の5/5。
確実に負ける猫侍。
今まで色々なデッキを紹介してきて、
ついにEDHデッキ紹介も30個目。
ジェネラルの弱さがこれ程際立っている奴はいない!
紹介してきた30個のデッキの中の
「ガッカリジェネラル王」
間違いなし。
皆様もこのデッキだけは真似しない事をお薦めする!
いや、書かなくても誰も真似しないか。
ちなみに、猫侍を制作したヒューマンは、
猫侍をリリースして1年足らずで倒産した。
ではまた。