EDHの必須カードについて。
記事作成日:2013/04/25 執筆:加藤英宝
お客様から、
EDHのデッキ構築における必須カード等
(どんな色で入るもの、この色を使うなら入れておきたいもの)
についてコラムで書かれてはいかがでしょうか?
というお問い合わせをいただいた。
EDHでの必須カードといえば、
1つ目は確定と言ってもいい。
統率者デッキセットにも入っている、
《太陽の指輪/Sol Ring》だ。
極論で言ってしまえば、
ジェネラルを決めて、
残り98枚+《太陽の指輪/Sol Ring》でデッキを作るようなもの。
さらに、
このカードの上位互換に近い《Mana Crypt》も、
持っているなら必ず入れたいところだが、
《太陽の指輪/Sol Ring》と違って高いのが難点。
とはいえ、爆発力が違うのは非常に大きい。
例えば、
1ターン目、
《Mana Crypt》か《太陽の指輪/Sol Ring》を置いて、
その後に印鑑などの2マナのマナアーティファクトを置いた場合、
2ターン目にはセットランドを含めて5マナにまでアクセス出来る。
これがあると無いとではかなり違う。
ジェネラル+97枚+《太陽の指輪/Sol Ring》&《Mana Crypt》
でデッキを作るようなもの。
しかしマナばかりではない。
個人的にはEDHで禁止してもいいんじゃないかと思うカードが1枚。
それは、
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》だ。
1マナのアーティファクトで、
ライブラリーのトップ3枚をいじれて、
必要とあらば手札にも入るこの強さ。
入らない理由などほとんど無いだろう。
つまり、
ジェネラル+96枚+…以下略である。
ちなみに禁止してもいいんじゃないかと思う理由は、
強すぎるからではなく、
「プレイが遅くなるから」
である。
《統率の塔/Commant Tower》は単色なら不要。
2色以上なら必須。
と、ここまでは言うまでもないようなお話。
色ごとの場合、
–白–
・《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1マナでジェネラルを消し飛ばすカードが弱いわけがない。
仮に相手のライフが40から50になろうと、
あまり気にならないはずだ。
・《流刑への道/Path to Exile》
1マナでジェネラルを消し飛ばすカードが弱いわけがない2号。
こっちは相手のマナが増えてしまう欠点はあるが、
ハイランダーというルール上、
入れない理由はない。
–青–
・《渦まく知識/Brainstorm》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか1号。
説明不要のドロー呪文。
フェッチランドと組み合わせは強力無比。
・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか2号。
《渦まく知識》より説明不要。
欠点は値段が高い。
対戦相手が置いてきたら真っ先に倒せ。
さもなくば自分が死ぬと思え。
・《Force of Will》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか3号。
《大渦の放浪者》のような特殊な場合を除いて、
これが入らないデッキなんて考えられない。
・《Arcane Denial》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか4号。
コスト2で確定のカウンター呪文、
しかも指定コストは1つ。
相手もドローしてしまうものの、
自分もドロー出来る。
文句なしに使いやすいカウンター呪文。
安く買える事まで加味すると最高の1枚。
・《Mana Drain》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか5号。
マナバーンのルールが無くなった時から無敵の呪文と化した。
6マナ以上をカウンターして、
《時間の伸長》につなげられたらほとんど勝ち。
欠点は値段が高い。
・《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
これがいらない青いデッキがあるのだろうか6号。
置いておけば相手が精神ジェイスを置けない。
自分は-1、-1、+2、-1、-1、+2…と起動していれば、
基本的なアドバンテージが確定する。
もちろん状況を見て+2が優先される事もある。
コストが3である事も優秀。
・《差し戻し/Remand》
これまた2マナでカウンター出来る優秀カード。
と言っても戻すだけなので、
再度プレイされてしまう事もあるが、
これによって得られるタイムアドバンテージと、
ドロー1枚は十分に仕事をしてくれる。
・《遅延/Delay》
《Arcane Denial》のほうが優先度は高いが、
こっちはこっちでかなり優秀。
普通の呪文に撃つ分には「ちょっと待ってて」なのだが、
ジェネラルに撃った場合を考えてみよう。
撃たれた人はどうなるかという事。
待機カウンター置いて我慢?
それとも、再度ジェネラル領域に置く?
結構な確率でジェネラル領域に置く人が多い。
つまり、確定カウンターカードになる。
確定にならない場合は、簡単な話である。
その呪文が待機されている間に対処法を模索するか、
その相手を倒してしまえば良い。
使ったことがない人、騙されたと思って使ってみてほしい1枚。
・《粗石の魔道士/Trinket Mage》
《太陽の指輪》、《Mana Crypt》、《師範の占い独楽》という、
必須御三家を持ってくる事が出来る時点で、
入れない理由はほとんど無い。
アーティファクトランドを入れておくとさらに強い。
アーティファクト枚数が多いなら《オパールのモックス/Mox Opal》も。
他にも《頭蓋骨絞め/Skullclamp》、《バジリスクの首輪/Basilisk Collar》、
《通電式キー/Voltaic Key》、《魔力の櫃/Mana Vault》
など、1マナ以下の優秀アーティファクトは結構多い。
・《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
+1能力のアンタップはガラク並かそれ以上。
-X能力は、X=0でアーティファクトランドや《Mana Crypt》、
X=1で上記の《粗石の魔道士》の欄に書いてあるものが持って来られる。
これだけでも相当強いが、
状況次第で他のアーティファクトにも融通が効く事が強い。
-5能力はあまり使わないが、アーティファクトの枚数さえあれば、
ライフ40点を一撃で削り切る事もある。
プレインズウォーカーは《ジョークルホープス》などのリセットで残る事が多いので、
リセット系と組み合わせた際も強い。
土地破壊系リセット呪文を撃った後、
テゼレットでアーティファクトランドをサーチ、
次ターンにアーティファクトアンタップでマナを伸ばし、
必要とあらば-5能力でとどめを刺す。
文句なしに強いプレインズウォーカー。
相手が置いてきた時にジェイスが置かれていないなら真っ先に倒せ。
さもなくば自分が死ぬと思え。
–黒–
・《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
これがいらない黒いデッキがあるのだろうか1号。
EDHで黒かったら真っ先に入れておけという1枚。
EDHで黒いデッキを作りたい人の入門条件みたいなもの。
・《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
これがいらない黒いデッキがあるのだろうか2号。
チューターが弱いわけがない。
説明不要。
–赤–
・《Wheel of Fortune》
このカードを入れないなら、
デッキは赤くなくていい。
このカードが撃てるからEDHの赤は楽しいんだ!
と言い切っていい1枚。
・《赤霊破/Red Elemental Blast》
この必須リストを見てもお分かりだろう。
青いカードは強いカードが多いので、
これを入れておくメリットは多い。
・《紅蓮破/Pyroblast》
名前が違うだけで赤霊破と役目は変わらない。
青くて凶悪なジェネラルへのカウンターにも使えるので、
活躍の場はそれなりに。
–緑–
・《新たな芽吹き/Regrowth》
以前にこらむで書いた気がするが、
これは緑のたしなみ。
持っていない人は値段もお手頃なので、
Cardshop Serraで買おう。
・《自然の要求/Nature’s Claim》
上に同じ、緑のたしなみ。
白なら《剣を鍬に》、
緑ならこれ。
というくらいの立ち位置。
ライフ40点スタートの戦いで、
相手に4ライフプレゼントしても痛くも痒くもない。
・《永遠の証人/Eternal Witness》
《新たな芽吹き》が生物になりました。
持っていない人は値段もお手頃なので、
Cardshop Serraで買おう。
これと《新たな芽吹き》は単色でなくても使える優秀な回収呪文。
入れておけば必ず活躍する場がある。
・《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》
文句なしに全能力が使い物になる。
エルフ特化のデッキ以外の全てに入ると言って過言ではない。
エルフ特化でも邪魔にはなりにくい。
とにかく+1能力が優秀。
・《森の知恵/Sylvan Library》
置いた次のターンには8ライフ払え!
払わないならライブラリーシャッフル手段を!
次のターンには8ライフ払え!
以上、説明終わり。
(本当はもっと精密に使うべきなんだが。)
・《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》
厳密には緑ではないのだが、
単色ならこれ必須。単色でなくても使う事は多い。
あまり用途が無くても緑なら入れておいて損無し。
相手に張られるよりマシだからという理由で。
–アーティファクト–
・《魔力の櫃/Mana Vault》
爆発力があるので、これもあると無いとではかなり違う1枚。
《求道者テゼレット》でアンタップすると凶悪。
・《厳かなモノリス/Grim Monolith》
《魔力の櫃》ほどではないが、あれば結構強い1枚。
《求道者テゼレット》でアンタップすると凶悪。
・《連合の秘宝/Coalition Relic》
単純に3ターン目に置いて、4ターン目には5~6マナにアクセスは大きい。
それに色マナが好きなように出せるため、
指定コストの高いカードがプレイしやすくなるメリットも大きい。
《求道者テゼレット》で…以下略。
とはいえ、緑単のようなデッキであれば不要。
・《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
出るマナは1つだけなのだが、
壊れないという強さがありがたい。
コンボばかりの環境ではただのマナアーティファクトだが、
リセット呪文に対する耐性は最高。
《ジョークルホープス》だろうが《ネビニラルの円盤》だろうが残ってくれる。
これまた緑単のようなデッキでは不要。
・各種印鑑シリーズ
色が合うなら入れない理由はほぼ無し。
緑が絡む色のデッキでは不要な場合も。
・《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
入れる理由はダークスティールの鋳塊とほとんど変わらない。
自分が《ハルマゲドン/Armageddon》を撃つ場合も、
撃たれる場合も残ってくれる強みがある。
《粗石の魔道士》で持ってくる事もあるので、
《ダークスティールの鋳塊》より優先度は高い。
《求道者テゼレット》の能力で0を宣言して場に出せる事も大きい。
これまた緑単では不要。
・《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
初手にロケットスタートを切るための手段の1つであり、
単色から多色まで幅広くサポート出来る優秀カード。
「7枚カードを引く」系のカードとも相性が良い。
《ハルマゲドン/Armageddon》や《壊滅/Devastation》、
それから《死の雲/Death Cloud》という、
土地破壊系リセット呪文とも相性が良い。
2マナのジェネラルならば、1ターン目に降臨させる手段にもなる。
–土地–
これについては話がとても難しい。
単色については言う事があまりない。
基本地形入れて、
《不毛の大地/Wasteland》と《露天鉱床/Strip Mine》入れるだけなんて事もある。
多色の場合はマナバランス上、上記2種を入れない事も多い。
とはいえ、1枚だけ結構必須に近いカードがある。
それが下記。
・《古えの墳墓/Ancient Tomb》
2マナ出して2ダメージ。
痛いと言えば痛いのだが、40ライフもあると余裕がある。
指定の色コストばかりのデッキでは役に立たないが、
(一例では緑単エルフ特化のデッキ)
普通のデッキではだいたい速度アップにつながるので、
持っていて損の無い1枚。
1ターン目に置いて、印鑑置くだけでも違いが出る。
残りの土地に関しては多色についてのお話。
・各種デュアルランド
色さえ合っていればこれほど必須なカードは無い。
高くても1枚ならという気持ちで購入をすすめたい。
・各種ギルドランド
これも同様。
ラヴニカへの回帰、ギルド門侵犯で再録されているので、
値段も手が出しやすい。
全10種揃えておきたい。
・各種フェッチランド
デュアルランドとギルドランドを持っているならGO。
片方しか色が合っていなくても強い。
ただ、デュアルランドとギルドランドが揃っていないと、
あまり強くないのが欠点。
・各種M10ランド
上記3種が無い人は最低でも入れておこう。
たまにタップインするのはご愛嬌。
上記3種がある人はこれ入れておくとさらに強い。
ほとんどの場合でアンタップインしてくれる。
全10種揃えておいて損無し。
・各種ダメージランド
上記4種以外でタップインしなくて済むランドは優秀。
1ダメージなど40ライフのEDHでは気にならないはず。
全10種揃えておいて損無し。
・各種フィルターランド
オデッセイ版、シャドウムーア版、イーブンタイド版など、
合計15種が存在している。
色が合っているなら結構活躍する。
オデッセイ版は値段がお手頃なので、
気軽に買って揃えられる。
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マルチカラーカードについては、
ジェネラル次第、戦略次第であまりに変わる事から除外。
以上、いくつかのカードを挙げたが、
挙げていないカードも多い。
特に黒。
黒は選んだジェネラルや戦略次第で必須カードが変わる。
例えば、釣竿御三家と言うべきかリアニメイト御三家である、
《動く死体/Animate Dead》
《Dance of the Dead》
《ネクロマンシー/Necromancy》
の3枚は、必須ではないデッキがある。
とはいうものの、
この3種はコストが安いので、
黒いデッキにとりあえず入れておくだけで活躍してしまうほど強い。
《再活性/Reanimate》も似たようなものなのだが、
上記3種はリスクが無いという強みがある。
また、同様にとりあえず入れておくだけで強いというのなら、
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
《ルーン傷の悪魔/Rune-Scarred Demon》
の3種も文句無く活躍する。
《ルーン傷の悪魔》は、
前述のリアニメイト御三家で釣る対象としても優秀。
白も個人的には、
《ハルマゲドン/Armageddon》
《戦の惨害/Ravages of War》(ハルマゲドンのPO3版)
の2種は白いデッキには必ずというくらい入れたい。
このリストを見てもらってもわかると思うのだが、
青とアーティファクトに必須カードが多い。
MTGの色の中で最もアーティファクトと相性が良い色は青で、
青は単純に柔軟性のあるカードが多い。
そのため、他の色に比べて必須カードが増える。
EDH最強カラーは青で間違いないだろう。
他の色は柔軟性という意味では青には敵わない。
他の色は特化型のデッキを使う場合の強いカードが多い。
青はクセの強いカードもそれなりにあるが、
他の4色のほうがクセの強いカードは多い。
クセの強いカードはデッキを選ぶので、
どうしても必須カードのリストにランクイン出来ない。
赤なら
《ジョークルホープス/Jokulhaups》
《抹消/Obliterate》
《燎原の火/Wildfire》
《血染めの月/Blood Moon》
緑なら
《歯と爪/Tooth and Nail》
《適者生存/Survival of the Fittest》
《壌土からの生命/Life from the Loam》
《自然の秩序/Natural Order》
などがそれにあたる。
どう考えても弱くないのだが、
使いどころが限定されたりするカードたちである。
《血染めの月》などはわかりやすいだろう。
赤単でこれを使うなら自分にはほとんど影響無しだが、
2色以上で赤がらみの場合、
デュアルランドやギルドランドが全部山になってしまうのだから、
自分の首を絞める事になってしまう。
こういった特定状況で強いカードは黒、赤、緑にはとても多い。
以上、EDHのデッキを構築する際に、
多くの人の参考になれば嬉しい。
※必須という単語は使っているものの、
ここにあるカードが無ければデッキは作れないというものではありません。
EDHに限らず、MTGは自分の資産で楽しくやるものですので、
無くても気にするような事ではありません。
ではまた。