貸金庫のお話その2。
記事作成日:2021/02/02 執筆:加藤英宝
今から5年とちょっと前、
貸金庫を借りたというこらむを書いた。
あれから現在まで、
随分とカードの値段は高騰した。
特に2020年12月から2021年1月で、
一部のカードは2割以上の高騰をしている。
それと、2020年には、
SNSで転売の実績を自慢した転売屋さんが、
家を留守にした時に全部持っていかれたという話もあった。
軽くこの話を書いておくと、
この転売屋さんは
・トレーディングカードゲーム
・ブランド物
・フィギュア
・時計
と多岐に渡る転売をやっていたようで、
その転売に転売を重ねて入手した品を、
自宅にショーケースを買ってディスプレイしていた。
それをSNSで自慢しただけではなく、
転売で入手した現金の札束まで写真に撮ってSNSで自慢。
その後泥棒に入られて全てを失ったとか。
「悪銭身に付かず」
を絵に描いたような出来事だった。
(盗んだ人も悪銭なのだが・・・。)
この事件が非常に異例だったのは、
被害者がこれをネットで盗まれたと言ったところ、
同情の言葉は少なく、
逆にとても非難されたという。
「自業自得だ。」
「ざまあみろ。」
「これだけ自慢していれば盗んでくれと言っているようなもの。」
「稼いだ金の一部でもセキュリティにあてようと思わなかったのか?」
「馬鹿が自慢気にSNSで拡散してこの結果。当然だ。」
といろいろな角度で言われていた。
個人的な疑問としては、
この人はおそらく個人事業主として登記していないはずで、
こういったものは当然所得税を収めていない。
盗まれてしまった以上は利益は全て無くなるとはいえ、
もし盗まれていなかったら一体どのくらいの所得税になったのだろう。
ちょっとこのニュースは気になったので、
どんなものが盗まれたか調べてみたところ、
MTGのカードもその中にあった。
ただ、それを見て個人的に思ったのは、
「この人MTGプレイヤーじゃないんじゃない?」
だった。
カードのディスプレイされているものが、
《Scrubland》Revised
《Underground Sea》Revised
《Tropical Island》Revised
《裏切り者の都/City of Traitors》
《森/Forest》Guru Land
《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》
《Plateau》Revised
《Volcanic Island》Revised
《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》日本語版絵違いFoil 2枚
《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》日本語版絵違いFoil
だった。
なんとも一貫性がないというか、
「これが好きだから飾ったんだ!」
という感じがない。
高いカード並べてみました感しかない。
もしかしたらプレイヤーかもしれないけれども、
この写真にそれを感じなかった。
本当にただ転売をしていただけなのかもしれない。
この被害者の方の話がメインではないのでこのへんで置いておくとして、
こんな話と高騰の件が重なり、
「うーん。家にカードを置いておくの怖いなぁ。」
という気持ちになった。
家に何気なく置いてあるカードというか、
以前はそんなに高くなかったカードがこうも値上がると、
家に置いておくのもなかなかに危険を感じた。
この点については危ないのは盗難だけではない。
水害、火災といった自然災害も十分に考えられる。
また、ひょんな事で知り合った資産家のおじいさんが、
「資産っていうのはね、
その資産を守るのにもお金が必要なんだよ。
そのお金をケチったらダメなんだ。」
と言っていた。
一代で財を成した方の言葉だった事もあり、
この言葉にはとても説得力があった。
と、こんな色々な事を踏まえて、
貸金庫に高騰したカード達を入れたりしたのだが、
貸金庫がいっぱいになってしまった。
紙って思った以上に場所をとる。
特に未開封ボックス。
無駄にスペースを食ってくれるので、
なかなかに困ったさんだ。
しかし、よくある貸倉庫はさすがに使いたくない。
火災くらいなら守れそうだが、
セキュリティと火災以外には不安がある。
というわけで、
貸金庫2つ目を契約してカードを保管してきた。
貸金庫というやつはお金がかかるとはいえ、
別にそんなに高いものでもない。
以前にも書いたけれど、年間3万程度。
1日100円だと思えばOK。
1日100円なんてリスク回避のためなら痛くもない。
以前に貸金庫についてのこらむを書いたのが5年程前なら、
店主は既に15万円は払っているわけだが、
貸金庫に入れてあるカードの高騰化がすすみ、
差し引きしてもマイナスになるとは思えない。
「5年間安心して放置しておけた。」
としか思っていない。
「お金で買える安心なら買ってしまえ。」
と言い換えてもいい。
1日100円なんてそのくらいの金額だ。
それなりのカード資産を持つ方々なら余裕で払えるはず。
絶対保証ではないにせよ、
・空調設備がある。
・盗難の心配無し。
・普通の家より火災の確率が下がる。
・貸金庫内は当然暗室。
・家族等に勝手に破棄、売却される恐れ無し。
という条件は1日100円ではむしろ破格ではないかと。
一応貸金庫の欠点?を述べておくと、
中身に対する保険はかけられない。
当たり前の話なのだが、
銀行側は顧客が貸金庫に何を入れているかを知らないので、
その中身に対する保険というものは無い。
また、これはトレーディングカードゲームに一切関係ないが、
貸金庫の中に生き物とナマモノと危険物は入れられない。
当たり前と言えば当たり前だし、
入れる奴がいるとも思えない。
「貸金庫に食べ物を入れて醗酵食品を作るぜ!」
などと言い出す輩がいたら、
銀行に行く前に病院に行ったほうがいい。
あとは欠点らしい欠点といえば、
銀行が空いている時間でなければ取り出す事が出来ないという点か。
日常的にコレクションを見てニヤニヤしたい人や、
コレクションの写真をSNSでアップしたい人にはちょっと向かないかもしれない。
しかし、
理解の無い家族に破棄、売却の恐れや盗難の心配を考えたら、
日常的に置いておくほうが危ない。
こうして考えてみると、
1日100円のコストで得られる安心は大きいと言って良いだろう。
コレクションを安全に保管してもらって、
その高額なカード達はだいたいが値上がりする傾向にある。
失ってからでは遅い。
それに、
貸金庫を開けるには、
・本人確認
・銀行と本人が持つ鍵の両方
・契約時の印鑑
が必要で、
家族が無断で開ける事も出来ない。
契約者が死亡した時などの例外時でも、
しっかりとした手続きをとらないと開けられない。
結構万全に近い体制だ。
これだけ貸金庫というサービスはある程度安全なので、
高額の資産を持つ人にはおすすめしたい。
今回店主はこの1~2年で高騰したカードを入れてきた。
普段それほど金額をチェックしていないだけに、
自分の持っているカードの値段をチェックしてみて、
「え?こんな金額になってるの?!」
と思ったものもいくつかあった。
いつの間にGuruの《島/Island》はこんな値段になったんだ。
1枚15万円程する基本土地になっているとは。
1デッキで1000万円なんて事もおかしくない時代になってきている。
だんだんデッキを持ち歩くのも怖くなりそうだ。
ちなみに、
銀行員の人と軽く雑談をした際に、
「お客様がどんなものを貸金庫に入れているかわかりませんが、
トレーディングカードを入れるという人は聞いた事がありませんでした。」
と言われた。
そういえば一切計算していないけれども、
貸金庫内のカードの現在の相場価格はいくらなんだろう。
「たぶんそれなりに高い。」
くらいの認識で貸金庫に入れてあるだけなので、
全くわからない。
いつか計算してみても面白いかもしれない。
ではまた。