偽物対策その1。
記事作成日:2021/01/21 執筆:加藤英宝
今回のお題は偽物対策について。
「MTGの偽物対策して下さい!」
という相談は質問箱や問い合わせで結構来ている。
友人とのお酒の席でも出る事がある。
これを簡潔に済ますのであれば、
「偽物への対策は個人取引を一切しない」
の一言に尽きてしまう。
※画像は2011年のこらむ「贋物。」より、偽物の《Mox Emerald》。
どこから話すかが難しいけれども、
ゆっくりとお話をするので、
誤解無い様に文章を読んでもらいたい。
まず、昨今の問題の1つとなっている転売屋問題から。
転売はいけない事なのか。
転売という単語だけの話なら、
Cardshop Serraも転売屋だし、
ブックオフだろうが中古ゲームショップだろうが
質屋だろうが果物屋さんだろうが転売屋だ。
「なんらかの方法で品物やサービスを手に入れ、
それに利益を乗せて売る。」
という事を転売というのなら、
経済というものは全てにおいてその意味で転売だ。
じゃあ転売ってOKなの?
といったらそれはNO。
世間的に「悪い転売」と呼ばれるものには条件がある。
・その営利行為は登記をしていない。
個人でも組織でも、
悪い転売の人達は
「私は今から商売をします。」
とお役所に届け出を出さずに転売をしている。
これがまずダメ。
そして当然の事ながら転売の大半は中古業。
中古業を営むのであれば、
「古物商許可証」
が必要になる。
これが無いなら違法なので二重でダメ。
ちなみにライブチケットの転売についても、
ダフ屋行為はだいたいの条例で禁止されているが、
この古物商許可証の所持と条例次第では、
全くダメというわけでもない。
・利益に対し税金を払わない。
これも前述の通り、届け出を出していないという事は、
得た利益をしっかりと国に報告し、
税金を払うという行為を一切しない人がほとんどだ。
納税は国民の義務の1つ。
利益を得ておいて納税をしないのは当然違法だ。
この日本国にいる以上、
日本の法に従わなければいけない。
その中で納税をしない利益を持つものは完全に悪だ。
これは150年以上も前に、
福沢諭吉が「学問ノススメ」の中で言っている。
税金とほぼイコールの話だが、
利益のある者は確定申告が必要だ。
これはアルバイト、正社員などに区別無く、
働いていている人は当たり前にしている事。
これを行わない人はやはりダメ。
この2つが、
俗に言う転売屋の最も悪いところだ。
そしてこの2つを守りもしない社会性だからこそ、
次の問題が出てくる。
これがユーザーにとって問題であり、
偽物問題にも話がリンクする事。
責任。
この二文字。
・登記しない。
・古物商許可証がない。
・税金を払わない。
こんな社会的にアウトな人と個人取引をした際に、
そのカードが偽物だった時にどれだけの人が責任を取ってくれるだろう。
ヤフオク、メルカリなど、
個人で売買する手段は沢山ある。
そういう中でどれだけの人が所得隠しをして、
どれだけの人が責任を無視して物を販売しているのか。
所得と税金の話がメインではないので、
ちょっとこのあたりを省いてしまうけれども、
起業していない相手との取引にはリスクが伴う。
これに対し、起業している所はリスクが減る。
企業は必ず責任をとるとは限らない。
また、企業が全てにおいて責任をとるべきでも無い。
企業だから善であるというわけでもない。
けれども、
登記も納税もしない人間達より社会的責任を背負っているし、
社会的信用を大切にしている。
それゆえに、
偽物を販売する事を平然とするような事は普通はしない。
偽物を販売する者というのは、
「失うものが大してない者」
「失うものが大きいとわかっていない者」
が行う。
こういう手合の人間と取引をする事はとても危険だ。
そしてこういう人間は無くならない。
だから、
「偽物対策」
はハッキリ言ってしまうと出来ない。
偽物対策は個々人の価値観に委ねられてしまう。
お手軽だから、安いからという理由で、
顔もわからない個人取引をしてリスクを背負う?
それとも、
少々高くとも、
信用と責任のある相手と安全に取引する?
という二択は誰もが後者を選ぶとは限らない。
店主はカードショップのオーナーだ。
オーナーだから後者を推すのではない。
年にいくつもの被害者を見ていると、
後者を選べとしか言えない。
考えてみて欲しい。
メルカリやヤフオクで1万円で売っているカードがあるとする。
そのカードがCardshop Serraや晴れる屋やBIG MAGICで1万2千円だった。
「誰が1万2千円出して買うかバーカ!」
と思う人がメルカリやヤフオクで1万円で買った。
それが偽物だったり、思った以上に状態が悪かったりした時、
返品、返金、同じものを再度入手する手間、
相手とのトラブルで失われる時間、
それらは2千円で済むだろうか?
貴方の失われる時間は2千円以下の価値だと思うか?
そんな事は無いはずだ。
貴方の時間はなにものにも代えがたい価値のはず。
たった2千円の差で、
1時間以上の時間を失い、
不愉快な気分になるのなら、
最初から安心した取引をするほうが安い。
この考え方というのは、
火災保険や生命保険などの保険の考え方と同じ。
「保険は掛け捨て」
と言われる通り、
火災保険に入って、家が一生火災に遭わなかったら、
ただ火災保険のお金は払い損だ。
しかし、
だからといって火災保険に入らない人なんて少数派だろう。
今、実名として晴れる屋、BIG MAGICの名を出した。
これには理由がある。
この2つもCardshop Serraも看板を掲げて商売をしている。
この3社のどこであろうとも、
間違って偽物を売るような失態を犯したら、
必ず責任をとるだろう。
Cardshop Serraは当然、
代表である加藤英宝自身が今ここでそう言っているのだから責任をとる。
その店主が晴れる屋やBIG MAGICなら責任をとるだろうと言うのは、
この2つのショップを信用出来るだろうと思うから名前を出した。
(名を出さなかったショップを信用しないと言っているわけではない。)
これが理由の1つ。
2つ目は最低でもこの3つは個人事業主ではないからだ。
晴れる屋:株式会社晴れる屋、代表:齋藤友晴
BIG MAGIC:株式会社ホビーズファクトリー、代表:渋谷篤人
Cardshop Serra:株式会社英宝、代表:加藤英宝
とネットを調べればすぐに出てくる株式会社だ。
株式会社化しているところは個人事業主より立場がきつい。
わかりやすく言うと簡単に逃げられない立場だ。
この記事を書くにあたり、
ほぼ「お店」という表現を使わずに、
「企業」という表現を使っている理由でもある。
企業の立場はそう簡単に逃げられない。
信用と社会的立場を大切にしているからこそ企業。
少なくとも店主は、
株式会社晴れる屋、株式会社ホビーズファクトリーを信用している。
だから、
Cardshop Serraが嫌いでも構わない。
Cardshop Serraで買い物したくなくても構わない。
偽物を掴みたくないなら、
(または偽物を掴んだ際にトラブルや手間が少なくて済みたいなら)
せめて同業の社長が信用出来ると言っている同業他社で買い、
少しでもトラブルや被害のリスクを減らすべきだと思う。
こういう事を多くの人にわかってほしい。
だいたいにおいて、
店主の立場からすれば、
「俺んとこが嫌いなら晴れる屋やBIG MAGICで買えよ!」
なんてビタイチ得しない話だ。
立場だけで言えば、
「信用できるとこと言えば、
俺んとこに決まってんだろ!
他店とか信用してんじゃねーよ!
個人取引なんてもっての他だよ!」
と言う方が得だ。
が、そんな事を望んでのお話ではない。
今、MTGの世界はそういう小さな争いの世界ではない。
パワー9だけに限らず、
いくつものカードに巨額のお金が動く世界になっている。
1枚30万円、1枚50万円、1枚100万円、
ちょっと前まで想像もしなかった金額だ。
一部のカードは300万円すら超えてくる。
大きな金額が動く取引において保険をかける事は、
先程も書いたように火災保険や生命保険と同じだ。
「もしも」
が恐ろしいからこそ保険には意味がある。
保険とはこのMTGの世界において、
「信用出来る企業でカードを買う事。」
だと思う。
そのくらいにMTGのカードは今高額になってきている。
こんな例え話はどうだろう。
今、貴方が《Black Lotus》や《Timetwister》を買いたいとする。
どんな品なら買いたいと思うか?
「使えりゃどんな状態でも本物ならなんでもいい。」
と言ったとしても、
状態が悪くても札束が飛んでいくようなカードだ。
1枚100万円超えの買い物に対して、
一切の警戒も無しに買える品はどんな品だろうか?
その答は信用出来る企業が取り扱っている品であるかどうかだ。
100万円ものお金が動く買い物をする際に、
信用の無い相手に100万円を払う事はとても大きなリスクだ。
「もし偽物だったら?」
を信用ある企業相手なら心配しなくても良い。
結局のところは消費者側が信用ある企業の品を買う事で、
偽物は少しずつ少しずつ駆逐出来る。
しかし偽物を作る人がいる以上、
こういう話はいつまでもいつまでも終わらない。
偽物を作る側もどんどん技術を向上させるので、
偽物対策はイタチゴッコだ。
いつか大手カードショップでも見分けがつかない偽物が出るかもしれない。
そういう日は来て欲しくないが、
それでも最後に頼る事が出来るのは、
信用ある企業だと思う。
お客様にはこういう事を理解していただき、
その上で危険な取引には手を出さない事が望ましい。
「安物買いの銭失い」
という諺の通りなのだから。
そして、Cardshop Serraもそれ以外のショップも、
偽物を掴まされるリスクや、
それ以外にも沢山のリスクを背負って仕事をしている。
(今ならばその大きなリスクの1つはコロナ。)
人間であるからこそ必ずどこかで失敗をする事もある。
その失敗を大きく責めないで欲しい。
それらも理解した上で、
信用、信頼していただければ嬉しい。
最後に。
偽物を掴まされた事のある人、
今後そういう被害に遭ってしまった場合、
店主に遠慮なくご相談ください。
また、偽物の情報やカード等の提供があれば、
記事にて紹介する予定です。
ではまた。