Frankenstein’s Monster

今回のお題は《Frankenstein’s Monster》。


《Frankenstein’s Monster》
コスト:X黒黒
クリーチャー ゾンビ(Zombie)
Frankenstein’s Monsterが戦場に出るに際し、
あなたの墓地にあるクリーチャー・カードをX枚、追放する。
そうできない場合、Frankenstein’s Monsterを戦場に出る代わりにオーナーの墓地に置く。
これにより追放されたクリーチャー・カード1枚につき、
Frankenstein’s Monsterはその上に+2/+0カウンター1個か+1/+1カウンター1個か+0/+2カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
0/1
アンコモン

The Darkのアンコモン。
このこらむを読んでいる人が、
今後マジックをするにおいて、
このカードを知らなくてもマジックを楽しむ事が出来るであろうカード。
知る限りでは、
このカードがトーナメントで使われた形跡は無い。
自分がプレイした事も無い。
多くのカードが使われるEDHで出てきた事もない。

能力はどう表現したらいいものか。
《縫合グール/Sutured Ghoul》の元になったカードというべきか。
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》のようでもある。
もっとも《Frankenstein’s Monster》のほうが何倍も弱い。
《ゴルガリの墓トロール》も《縫合グール》も、
場に出る前に墓地を全て消されてしまえば弱い事には変わりがない。
ただ、《Frankenstein’s Monster》の場合、
Xの数値から1でも墓地のクリーチャーを減らされてしまうと、ダメ。
その場合は場に出る事なく墓地へ落ちるという、
とても困ったちゃんだ。
画像ではクリーチャータイプがMonsterになっているが、
ルール改正によってゾンビになっている。

実際のところ使えるのか?と言われれば、
間違いなく強い部類のカードには属さない。
ゴルガリの墓トロールと比べた場合、
同じ点数のコストで比較すると、
《Frankenstein’s Monster》はX=3。
パワーとタフネスはまず負ける。
《ゴルガリの墓トロール》は5マナであなたの墓地にあるクリーチャーの数の+1/+1カウンターが乗って出る。
墓地のクリーチャー数が3であれば、
パワー、タフネスの合計平均値は同じだが、
それ以上になれば負ける。
そのうえ、《ゴルガリの墓トロール》は、
1マナで+1/+1カウンターが1つ減るが再生。
そして発掘6。
使われ方としては発掘ばかりとはいえ、
素で出したとしても《Frankenstein’s Monster》より強い。

《縫合グール》と比べた場合、
《縫合グール》は場に出るに際し望む数だけクリーチャーカードを追放して、
そのパワーは追放されたカードのパワーの合計、
タフネスも追放されたカードのタフネスの合計。
仮に、《Frankenstein’s Monster》をX=5にすると、
《縫合グールと同じ点数のコストになる。
この数値で比較しても、
《縫合グール》で追放されたクリーチャーカードが相当に弱くない限り、
《縫合グール》のほうがパワーもタフネスも上になる。
そしてトランプル持ち。

どちらと比べて見てもガッカリな程の下位カードである。

カタカナ表記すると
「フランケンシュタインズ モンスター」
フランケンシュタインと名を聞いたら、
多くの人がツギハギだらけの四角い顔の巨体の男を想像するだろう。
お気づきの方や知っている方もいるとは思うが、
フランケンシュタインという名は、
西洋妖怪の名前ではなく人の名前である。
和訳すれば「フランケンシュタインの怪物」であり、
フランケンシュタインはモンスターの名前ではない。

元は、
「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」
という小説に出てくるスイス人科学者の名前がフランケンシュタイン。
この小説の中でフランケンシュタインは人造人間の製造に成功する。
日本では、藤子不二雄先生の作品、怪物くんに出てくる人造人間が、
フランケンという名前であるため、
フランケンシュタイン=モンスターの名前と思う人もいるだろう。
小説の中で、
フランケンシュタインはこの人造人間に名前をつけなかったため、
フランケンシュタイン=モンスターの名前
というものが、
一般的イメージとして定着したのだろう。

カードの効果はこの小説にちなんでいる。
科学者フランケンシュタインは生命の神秘と永遠の命に魅せられ、
研究に研究を重ねた末にたどり着いた方法が、
人間の死体をつなぎ合わせて作る人造人間だった。
彼は墓を掘り起こして人間の死体を手に入れ、
それをつなぎ合わせて1人の人造人間を作り出した。
その人造人間は、
普通以上の腕力、体力を持ち、
人並みの知性と心を持ち合わせていたが、
容姿だけは醜かった。
(そりゃあ死体のツギハギで美男子が出来るとは思えない。)

この墓を掘り起こして、死体をつなぎ合わせるという所が、
そのままマジックの《Frankenstein’s Monster》の能力になっている。
「《Frankenstein’s Monster》が場に出るに際し、墓地のクリーチャーを追放」
の部分が、そのまま、墓暴きをして死体を手に入れるくだり部分。
そして、追放したクリーチャー1体につき、
+2/+0、+1/+1、+0/+2カウンターを選べるという能力も、
「ツギハギの体」
を演出したものだろう。
このあたりにも製作者のセンスがうかがえる1枚だ。
+2/+0、+1/+1、+0/+2カウンターを選べるカードは、
1万種類以上あるマジックのカードでも、
今のところ(2012年8月現在)これだけである。
また、追放したクリーチャーカードが多ければ、
小説のごとく「普通以上の腕力、体力を持った人造人間」が出来上がる。

小説の科学者フランケンシュタインは、
この醜い人造人間をドイツで作った後、
あまりに醜いその容姿が気に入らず、
人造人間に名前1つ付けずに、
人造人間を捨てて自分だけスイスに帰ってしまう。
(なんて無責任な。)
人造人間のほうは知性も心も持っているため、
フランケンシュタインを追いかける。
人造人間はその後、フランケンシュタインに
「伴侶が欲しい。女性の人造人間を作ってくれ。」
と願い出るが、フランケンシュタインはこれを拒否。
(人造人間も結婚したいんだな。)

その後、人造人間はフランケンシュタインの態度に絶望し、
フランケンシュタインの友人や家族を片っ端から殺してしまった。
フランケンシュタインと人造人間は互いを憎悪する関係となり、
最後はフランケンシュタインは死に、
人造人間は自ら死ぬために北極海に向かうという、
とても救われないストーリー。
(どう考えてもフランケンシュタインが悪いと思うのだが。)

勝手な人間の都合で勝手に作られ、
名前もつけてもらえないどころか、
生まれると同時に見捨てられ、
その上、容姿は醜く、伴侶も作ってもらえない。
人造人間はただの被害者である。
なお、フランケンシュタインが伴侶作成を拒否した理由は、
「こんな醜い人造人間が子供を作って繁殖するのは嫌だ」
という、
これまた随分と乱暴な理由だった。
解釈を別の方向にすれば、
死体のツギハギで生殖能力がある生物を作り出せるという事になる。
フランケンシュタインは科学者としての才能はあったのだろう。
生殖能力が無い異性の人造人間を作る事も出来たはず。
にも関わらず拒否したという見方もある。
それほど自分の作った人造人間に生理的嫌悪感を抱いていたのかもしれない。
さらに解釈を進めると、
フランケンシュタインが、
子供を作って繁殖するのが嫌だという理由で拒否しているとなると、
名も無き人造人間には生殖能力があったという事になる。
この人造人間は繁殖を望んでいたのか、
それとも単純に伴侶が欲しかったのか。
小説にもそのあたりは語られていないらしい。

こんな風に非常に悲しいストーリーの《Frankenstein’s Monster》。
せめてマジックの中では活躍をしてもらいたいところだが、
上記のように、似たカードと比べても下位のカードであり、
使われそうな気もしてこない。
これを読んでいる人、
もしそれでも使ってあげたいと思ったのなら、
Cardshop Serraから《Frankenstein’s Monster》を購入してあげましょう。
EDHなら少しくらいは活躍してくれる…かも。
Let’s play Frankenstein’s Monster!

余談だが、科学者フランケンシュタインのフルネームは、
ヴィクター・フランケンシュタイン(Victor Frankenstein)。
カプコンの格闘ゲーム、ヴァンパイアシリーズに出てくる、
人造人間ビクトル(Victor)の名はここから来ている。
こちらの人造人間はビクトルという名をもらっているだけでなく、
エミリーという女性の人造人間も出てくる。
そしてフランケンシュタイン役の科学者がビクトル製作時に死んでしまう。
これらの設定は小説に対するオマージュのようなものだろう。

ではまた。



記事作成日:2012/08/21



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