ずべら

MTG始めてそれほど時間の経っていないプレイヤーには、
何のことだかわからないカードかもしれません。

2012年7月現在で、
神河ブロックにだけ存在するクリーチャータイプで、
神河物語には
灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera
よだれ舌のずべら/Dripping-Tongue Zubera
燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera
浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera
沈黙の歌のずべら/Silent-Chant Zubera
の5種がいます。

神河救済には
燃える眼のずべら/Burning-Eye Zubera
寄せる潮のずべら/Rushing-Tide Zubera
の2種がいますが、
こちらは上記5種に比べて使われません。

今は多相というクリーチャーが沢山いるため、
実質ずべらクリーチャーが増えました。
神河物語のずべらは、

◯◯のずべらが死亡したとき、
このターンに死亡したずべら(Zubera)1つにつき、◯◯をする。

という能力を持っていて、
白:死んだずべら数×2点ライフ
青:死んだずべら数の分ドロー
黒:死んだずべら数の分手札破壊
赤:死んだずべら数の分、対象にダメージ
緑:死んだずべら数の分、1/1無色のスピリットを出す。
と、各色の特徴の能力が誘発します。
同じ神河物語の下記のカードと組み合わせると同時誘発します。

貪る強欲/Devouring Greed
コスト:2黒黒
ソーサリー 秘儀(Arcane)
貪る強欲を唱えるための追加コストとして、
好きな数のスピリット(Spirit)を生け贄に捧げてもよい。
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、
これにより生け贄に捧げられたスピリット1つにつきさらに2点のライフを失う。
あなたはその点数に等しい点数のライフを得る。
コモン

仮に各色1体ずつのずべらが場にあり、
この《貪る強欲》で5体全て生贄に捧げた場合、
10ライフを得て、
5枚カードを引き、
対象の対戦相手は5枚手札を捨て、
対象のクリーチャーかプレイヤーは5点ダメージを受け、
5体の1/1無色スピリットトークンが場に出て、
さらに貪る強欲の効果で、対象のプレイヤーは10ライフ失い、
あなたは10ライフ得ます。

何故このカードがこらむに上がるのかと言えば、
それには少し事情があります。

何年も前のこと、
ちょうどこのカードたちがスタンダードにあった頃、
私の友人のE君がこれをよく好んで使っていました。
私の開くスタンダードにもずべらデッキで挑んでいました。
スタンダードは親和全盛の時代です。
当たり前の話ですが、ずべらではまず親和には勝てませんでした。
親和の対抗馬と言えば、歯と爪デッキでしたが、
こちらも強さが問答無用な強さだったため、
ずべらでは太刀打ち出来ない状態でした。

それでもE君はずっとずべらデッキを使っていました。
大会のたびに負けようともずべらデッキでした。
そのデッキがとても気に入っていたのだと思います。
ある時の大会の日、
そのずべらデッキが劇的な勝利をする日が来ました。
夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》と、
数体のずべらを並べ、《貪る強欲》で全て生贄に捧げ、
赤ずべらの能力、黒瘴の能力、貪る強欲のドレインの3つで、
相手のライフを一瞬で全て削り切りました。
E君は大喜び、
周囲も大騒ぎする程の状況でした。
対戦相手も
「一瞬でライフ0まで持っていかれると思わなかった」
と笑っていました。

「親和VS歯と爪」としか言えないほどのスタンダード環境で、
このデッキが勝てた事は非常に衝撃的で、
この日、私は特別賞を出した程でした。

その後、E君はお泊りまじっくにも参加してくれ
私や私の友人達と仲良くマジックをしていました。

ところが、お泊りまじっくからそれほど時間が経っていない頃から、
E君は私達の前から姿を消してしまいました。
大会にも来ず、連絡もとれなくなってしまいました。
どうしたんだろう?と思いながら、
3ヶ月以上の時間が過ぎました。

3ヶ月以上の時間が過ぎたある日の事、
E君の携帯番号から電話がありました。
電話はE君のお母さんからでした。
「Eは亡くなりました。」
突然の訃報でした。
私は驚き、急いで友人とともに彼の家に行きました。
その時に初めて知りましたが、
彼は白血病にかかっていました。
私も友人たちも誰も知りませんでした。
E君のお母さんから、
「Eはマジックの仲間をとても大切にしていました。
 自分が病気というハンデを背負っている事を知られたくないと言っていました。
 だから皆様には最期まで言わなかったんです。
 お泊りまじっくに参加させてもらった際も、
 つらくても一緒にいたいと言って参加しました。
 学校も休みがちだったもので、
 マジックの友人が一番の友達だったんだと思います。」
こんな言葉を聞きました。
E君は自分が余命幾ばくも無い事を知っていたのかもしれません。
E君は白血病で大会などに顔が出せない程に体調が悪化した時も、
マジックをしたいと言っていたそうです。
もう話す事も出来なくなってしまったE君のそばに、
そのずべらデッキが置いてありました。

E君のお母さんから、
「このカードは良かったら持って行って下さい。」
と言われましたが
「それはE君のカードです。
 お棺の中に入れてあげてください。」
とお断りしました。

E君は17歳、あまりにも早過ぎる死でした。
中学の時の自然教室で体調を崩し、早退したそうです。
検査した時には白血病がかなり進んでいたと聞きました。
中学の時の自然教室が仮に2年生の時だとしたら、
そこからたったの3年です。
白血病という病気の進行はこんなにも早いものかと思いました。
私がE君とお付き合い出来た時間は3年ありませんでした。
もしかしたら、
E君にとってお泊りまじっくは、
やむなく早退した自然教室のやり直しという一面もあったかもしれません。

私は先日、E君のお墓参りに行ってきました。
E君の自宅にも行きました。
天国にいるE君が、
このパックで新しいデッキが組めるようにという気持ちを込めて、
お仏壇にパックをお供えさせていただきました。

私はE君が亡くなって何年も経った今も、
ずべらを見るたびにE君の事を思い出します。
E君は知られたくない気持ちだったとはいえ、
知っていたら、1度でも多くマジックをしたかった。
お見舞いに行きたかった。
そんな気持ちが今も残ります。

今回のこらむは、
E君のお墓参りに行った事で、
E君の事を忘れずにここに書き留めておきたいと思い、
文章におこしました。

私の思い出話でしかないものですが、
読んで下さった方ありがとうございます。

最後に。
ずべらというクリーチャータイプが、
今後出るかどうかわかりませんが、
もし出る事があったら、
E君の墓前に添えてあげられたらと思っています。

ではまた。



記事作成日:2012/07/11