ヴィンテージのススメ2020
記事作成日:2020/05/15 執筆:加藤英宝
ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。
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最近復帰してスタンダード、モダン、レガシーと楽しく遊んでおり、
これはヴィンテージに手を出そうと決心したのですが
ヴィンテージ参入に際してオススメのデッキ等ありますでしょうか。
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素晴らしい。
この質問者の方、
各あるレギュレーションを網羅しそうな勢いでプレイされている。
ヴィンテージはレガシー同様に、
持っている資産次第でどのように参入していくかが、
ある程度が決まる難しいレギュレーション。
この質問者の方が何を持っているかで参入出来るものが決まる。
ある程度持っているのなら、
「好きな色でGO!」
の一言で済むのだけれども。
ひとまず質問者の方の資産はわからないので、
店主の考えを勝手気ままに書いていく事にする。
これからヴィンテージをと思う人は自分がどこに該当する見てみるのもいいかもしれない。
●レガシーは出来るけど、ヴィンテージ特有カードはほぼ持っていない。
レガシーのデッキをちょっと工夫して作ろう。
ちょっと1枚制限のデッキを加えて見るだけでも、
思った以上に戦えるので心配はいらない。
困ったら《意志の力/Force of Will》があればどうにかなる。
困ったら《不毛の大地/Wasteland》があればどうにかなる。
この2つはヴィンテージでも大活躍出来る。
もっと言うとこの2種が4枚あればあとは工夫次第で戦える。
●《Bazaar of Baghdad》を4枚持っている。
とりあえず発掘と書いてあるカードを探して、
《ナルコメーバ/Narcomoeba》やら、
《黄泉からの橋/Bridge from Below》やら、
《血清の粉末/Serum Powder》やらを4枚入れて、
適当に60枚にして、
《Bazaar of Baghdad》が来るまでマリガンしよう。
《Bazaar of Baghdad》の良いところは、
これさえ4枚買えばヴィンテージに参入出来る事。
最近では土地単のようなデッキを含め、活躍の場が多いのも魅力的。
そしてドレッジデッキもタイプが多いので色々なデッキタイプを試せる事もポイントが高い。
●《Mishra’s Workshop》を4枚とMoxシリーズ5枚は持っている。
制限されているアーティファクトを片っ端からデッキに採用し、
MUDと呼ばれるデッキを作ろう。
別に《Black Lotus》なんて無くてもOK。
《Mishra’s Workshop》というカードは、
毎ターン使える《Black Lotus》みたいなものなので、
《Black Lotus》が1枚無いだけで作れないようなデッキではない。
モックスが1枚くらい足りなくてもOK。
毎ターン《Mishra’s Workshop》を使う快感に目覚めよ。
このアーティファクト単のデッキも多種多様な作り方があるのでなかなか飽きない事がとにかく大きい。
かけたお金の分だけ楽しめるとも言える店主イチオシのデッキタイプ。
このワクショと略される土地の素晴らしいところは、
「新エキスパンションが出るたびにアーティファクトが増えて、
その分だけこのカードの可能性に期待出来ること。」
に尽きる。
●パワー9を持っているが上記2種の土地が無い。
《修繕/Tinker》と《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》を採用したり、
《Time Vault》や《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》を採用したり。
《僧院の導師/Monastery Mentor》や《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》を採用したり。
結構なんでもやりたい放題に近い。
お好きな方向にどうぞ。
上記2種の土地が無くとも大会での優勝を狙える資産。
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》を使ったデッキもアリ。
江村さん(《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》)
Mr.セブンペイ(《グリセルブランド/Griselbrand》)
で相手を圧倒しよう。
このあたりまで資産があると相当な自由度がある。
最近では
「パワー9+デュアルランド+フェッチランド+1枚制限カード+適当にプレインズウォーカー入れて60枚」
という適当構築でもおっそろしく強い。
●パワー9も上記2種の土地もある。
宝石も土地も花も時間も知恵もあるあなた。
(上記の単語が何の事なのかはもうわかるはず。)
あなたは俗に言うブルジョワ層。
好きなだけ好きなデッキを組んで!
れっつえんじょい、まじっく!
《適者生存/Survival of the Fittest》を使い、
《Bazaar of Baghdad》+パワー9を投入した、
相当にお金のかかるデッキすら組めるのであれば、
最早言う事はない。
デッキという名の札束で人を殴る権利がある層。
同じ層の方々とコレクションの品評会をやるもよし!
ただただ眺めてにやにやするもよし!
●上記で挙げた全てのデッキを構築可能で、
デッキを作るのに迷う程にカード資産がある。
よし、わかった。
オールドスクールとアルファ40もやろう。
どちらも純正でも良いし、
オールドスクールはCFBルール、
アルファ40ならUnlimitedまで解禁したCSSルールでも良い。
ここまで来られた人なら迷う事はない。
MTG人生を全力で謳歌していただきたい。
この資産を持てる人はおそらく
「MTGアクティブプレイヤー数の上位5%」
の立ち位置までいると思われる。
ここまで来られたのなら、
貴方のMTG人生はほぼ勝ち組だ。
だから
オールドスクールとアルファ40もやろう。
カモン、クレイジー(褒め言葉)な世界へ。
と、ここまで書いて、
読んでいる人達にまず知っておいて欲しい事が1つ。
ヴィンテージやレガシーのプレイヤーの人達は、
誰も彼もがデュアルランドを40枚持っていたり、
《意志の力/Force of Will》を4枚持っていたりするわけではない。
何もかも余裕でデッキ構築可能なんて人は、
全体の1割もいない。
ほぼ全てのカードを持っている人というのはまずいない。
それ程にカードの種類がある。
限りなくそれに近い人は全体の0.1%くらいはいるかもしれない。
そういう貴族な人はたぶんこんな条件。
・デュアルランドは10種40枚揃っている。
・レガシーorヴィンテージの主要パーツの大半はある。
・それほどお財布が困窮していないので、
欲しいと思った足りないカードを買い足す事が可能。
これを満たせる人が全レガシーorヴィンテージプレイヤーの0.1%程度だと思う。
「買い足したいと思ったら買える財力。」
というのは案外と難しい条件だ。
Cardshop Serraのレガシーに来る人や、
各地のレガシーの方に質問をした事があるのだが、
デュアルランドを40枚綺麗に持っている人は案外いなかった。
他のカードでも同様で、
・白単(デス&タックス系)しか持っていない。
・ジャンドしか組めない。
・赤単しか持っていない。
・ショーテルか青赤デルバーしか組めない。
・グリクシスしか組めない。
など、様々だ。
何が言いたいかと言えば、
「みんなそんなもんだから、
気楽にレガシーやヴィンテージの世界に飛び込んでみよう!」
という事。
レガシーやヴィンテージをやった事の無い人へもう1つ。
スタンダードやモダンしかやった事が無い人、
当然にMTGが好きなはず。
当然にMTGを楽しんでいるはず。
そのMTGの一番広くて深い世界がレガシーとヴィンテージ。
好きで、楽しんでいるMTGの、
一番広くて深い世界がつまらない世界なわけがない。
確かに広くて深い世界に飛び込むには、
お金と勇気が足りない人は多いだろうけれども、
それでも貴方の好きなMTGの世界なのだから、
意を決して飛び込んでみてほしい。
必ずそこには後悔しない世界が待っているはず。
ではまた。