Wizzとは。

ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。

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WIZZ の新刊予定と聞きましたが、
どのような本か分からないので買いたくなるような宣伝をお願いします

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Wizz No.087

Wizzという本は、
日本のMtG黎明期に刊行されたMtGの同人誌。
まだインターネットが普及していない時代で、
携帯電話も
「学生が持っていて当たり前。」
なんて言えない程の時代。
その頃にMtGの情報を仕入れるのは難しい中、
MtGの楽しみ方を教えてくれる数少ない方法の1つがWizzだった。
この頃はMtGの取り扱いは、
ホビージャパンという会社が販売代理店をやっていて、
このホビージャパンがRPGマガジンという雑誌でMtGを紹介していた。
RPGマガジンはその後雑誌名をゲームぎゃざに変える程に、
MtGをメインに扱っていく事になる。
このRPGマガジン以外では、
MtGの情報を得る術があまり無かった中、
有志が集まって作られたのがWizzだった。

このWizzを店主が知ったのはいつだっただろう。
東京に行ってMtGのショップに行った時だった事は間違いない。
何号から買ったかも覚えていないけれども、
新宿のトライソフトというお店でよくWizzを買っていた。
最初に読んだ時からこのWizzが好きになり、
見つかる限りのバックナンバーを買っていたが、
今をもって全号は揃わなかった。
(お客様の中で全号を持っている猛者が一人だけいた。
 あれはすごいと思った。)
ただ、
Wizzは続き物の漫画のような記事は無いので、
どの号から読んでも全く問題無しだったおかげで、
持っていない号から買って楽しんでいた。
東京でその本を買って、
電車の中で読めばいいのだが、
なんだかもったいなくて電車の中では読まず、
家に帰ってじっくり読む程にWizzが大好きだった。
MtG仲間にもWizzはかなり広めて、
その当時のMtG仲間のかなりの割合がWizzを読んでいた。

中には
「お前が東京行くなら俺の分も買ってきて。」
という人もいた程だ。


とにかく、
公式のRPGマガジン以外でMtG情報を得られる事が大きく、
また、インターネット以外での情報という意味でも、
Wizzの存在は当時のプレイヤーにとって重要な存在だった。

後で知った事だったが、
Wizzは取扱店舗が50を超え、
結構全国展開をしていたのだそうだ。
同人誌とは思えない異例の人気があったという事だろう。
インターネットの普及がまだまだの時代に、
一同人誌が全国に売られるという事は結構すごい事だ。
さらに、
時折、地方のMtG大会に賞品を提供したり、
イベントを開催したりと、
MtGへの貢献度は想像以上のものだった。
Wizz無くして、現在の日本のMtGは無いのではというくらいに、
Wizzは黎明期のMtGに貢献したと言えるだろう。

そんなWizzは85号が出た所で一時休刊。
この背景には、

・当時のMtGが低迷してしまった。
・その低迷のあおりを受けて取扱店が減った。
・海外からの輸入ボックスに制限がかかり、
 その影響でいくつかのショップがMtGから手を引いた。


といった事があった。
特に輸入に関する事は影響が大きかったはず。
これは当時を知らない人が多いかもしれない。

このWizzが最初に刊行されていた頃、
海外からボックスを輸入する業者、個人が多かった。
なにせ海外からボックスを仕入れると、
当時は間違いなく日本の問屋さんより安かったのだ。
言語は英語版に限定されていたが、
安さは重要だった。
そのため、安さに飛びついたこの頃のプレイヤーは、
ほとんどの人が英語版が読める人に成長していった。
しかし、あまりにも個人輸入や業者の輸入が横行したため、
Wizards of the Coast社はこれに制限をかけた。
ボックスについているバーコードで、
「このボックスはどこから流れてきたか。」
がわかるようにしたそうだ。
そして、下手に海外へ輸出した事がバレると、
そのショップはWizards of the Coast社との取引を停止させると言い出した。
当然、取引停止をされたくないショップは、
軒並み海外への輸出をストップした。
個人も業者もほとんど自力でボックスを輸入出来なくなった。
英語版が日本で廃れる(売れなくっていく)原因の1つになった。

これの一番の打撃は、
「英語版が読めないプレイヤーが増える。」
だった。

実際に案外と日本人で英語版が読めないユーザーは増えた。
英語版が読めなくてもそれほどに支障は無くなってきている世界だが、
ある時にレベル1ジャッジ試験を受けようとしている人が英語版のカードを読めず、
「英語版なんて別に読めなくてもいいでしょ。
 わかんなきゃスマホで調べりゃいいんだし。」
と堂々と言った時には衝撃を受けた。
さすがにジャッジを目指す人の発言ではないなと思った。
もちろん商売を考えれば、
Wizards of the Coast社の判断は間違っていなかったと思うものの、
ユーザー視点ではコミュニケーションツールに制限がかかってしまった感はあった。

そういえば当時、ショップでボックスを買った時に、
別のボックスに入れ替えてブースターを受け取った事もあったし、
箱のバーコードだけが切られているボックスを買った事もあった。
とにかくバレないために業者も色々な工夫をしたのが感じとれる。
危ない橋を渡るショップもあったが、
それよりは撤退を選択するショップのほうが多かった。
さもありなんと言ったところだ。

それから少しの時間が経過したところで、
Wizzの編集者であった方達は、
Cardshop Serra主催のお泊りまじっくで店主と出会った。
出会った時はこの方達がWizzの編集をしていたなんて、
全く考えもしないというか、
想像の範囲の外だった。
2度目だったか3度目だったか、
お泊りまじっくに何度か来てくださった時にそれを聞き、
とても驚いたのを今でも覚えている。

その出会いからさらに10年、
その編集の方達はWizzを復活させる事になった。
どうして10年もの時間から復活させる事になったか、
その理由を聞いてみたら、


「天野喜孝先生のリリアナ見たら、

 なんか降ってきた。」



と。
灯争大戦のあのリリアナが、
「やれ!」
と言ったような気がしたんだそうだ(笑)
恐るべし、天野リリアナパワー。
こんな所でも人の心を動かしてしまうとは。

加えて、
「英宝さんの記事を本にしたい。」
という事も言ってもらえた。

この一言はとても嬉しかった。
MtG歴一桁年の時代の頃、
友達と回し読みをした本の編集者から、
「記事を書いて欲しい。」
なんて言われるとは思わなかった。
店主にとってWizzは憧れと尊敬の本だったので、
まさか自分がその本のライターのところに名を連ねるなんて想像もしなかった。
しかも記事を2本以上書いてくれと頼まれた。
「もうこちらとしては5本でも10本でも!」
と思う気持ちで大喜びで記事を書く事に。
編集者の方に、
「原稿料いらないから書かせて下さい!」
と言った程だ。
MtGで長年こらむを書き続けて来た事は
こんなところでも役に立ったのかな?と思った瞬間だった。

Wizzは競技的な記事よりも、
「MtGをどれだけ楽しめるか。」
という事に重点を置いている。
各ライターさんの色々な視点でMtGを語ってくれているものなので、
知らなかった事を沢山知るツールの1つと考えて差し支えない。
そして、
MtG黎明期から存在しているという、
由緒正しいと言っても過言ではない本。
自分がライター側にいるからこの本を推すのではなく、
Wizzは純粋に大好きだったから推したい一冊。

たとえ、加藤英宝の記事なんぞ興味がないと思っていても、
(そもそもそう思っている人はこのこらむ読んでいない気もするが。)
他のライターさんの記事を読む価値は十分にある。
Wizzを昔から知っているよ!という人も、
Wizzなんて全く知らなかったという人も、
是非とも復活Wizzを読んでいただきたい。

なお、Wizzの最新刊、87巻は当店でも販売中。

購入はこちら。


ではまた。



記事作成日:2019/11/01



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