まじっく日本昔話。

ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。

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現在中学生です。
店主さんは学生時代にMTGをプレイする上でどのようにお金をやりくりしていましたか?
高額なカードも多く手が出ないデッキもある中で、
当時どのように遊んでいたのかが気になります。

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学生時代。
懐かしい。
店主がまだ店主ではなかった頃、
そもそも高額カードという考えがあんまりなかった。
価値基準がよくわかっていなかったと言えばいいだろうか。
シングルカードショップが全然無かった時代で、
本当に皆どこに行ってもトレードしていた。
学生も社会人も無関係。
皆それぞれにカードを持ち歩いて、
大会の会場で
「トレードできますか?」
と知らない人に話しかけるのは当たり前。
こんな時代だとレートも何も結構ぐちゃぐちゃ。
全くレートが無かったわけでもないのだが、
やっぱりわかっていない人のほうが多い。
皆、自分が欲しいカードといらないカードに折り合いがついていればOKだった。
時々明らかにレートのおかしな事をしている人がいたが、
大人が案外と注意してくれたり、
そういう人がグループから外されたり。
平和な時代だったように感じる。

実は、店主は見知らぬ誰かとの最初のトレード相手は、
今月のKでお馴染みのK。

K「あの日本語版の《巨大化/Giant Growth》4枚欲しいんですけどあります?」
Kが店主に敬語で話しているあたりが、
非常に初々しい。
店主「あ、持ってます。《大地の怒り/Force of Nature》ありますか?」


Giant Growth and Force of Nature

コモン4枚とレア1枚のトレード。
当時でこれがぼったくりなのか、
それともそうでないのか、
それさえわからなかった。

ちなみに現在レートでは、
日本語版第四版《巨大化》150円
日本語版第四版《大地の怒り》300円
4対1でトレードすると店主が損をする事になるらしい。

Kはこのあと、《稲妻/Lightning Bolt》も欲しいと言っていたのを覚えている。
どうトレードしたかは忘れてしまった。

今でこそ高額カードになってしまったものもあるが、
当時は高額カードといってもそれほど無かった。
まずシングルカードショップがほとんど無いので、
パワー9だとか《Moat》を見る機会などまるで無い。
時々デュアルランドを持っている人がいるくらい。

このあたりから少し経つと、
日本にイタリア語Revisedが出回るようになり、
1パック450円でイタリア語Revisedが結構そこらじゅうで買えた。
これが結構考えてみると悪くないバクチだった。

Revisedはレアが121種。
当たりレアは当時で、
デュアルランド10種
ハルマゲドン/Armageddon
不吉の月/Bad Moon
極楽鳥/Birds of Paradise
Braingeyser
十字軍/Crusade
Fork
Copy Artifact
地震/Earthquake
ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk
サバンナ・ライオン/Savannah Lions
Sedge Troll
セレンディブのイフリート/Serendib Efreet
シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon
停滞/Stasis
Wheel of Fortune
冬の宝珠/Winter Orb
神の怒り/Wrath of God

当時と現在でレートや人気がかなり違うが、
当時の人気カードはこんなところ。
27/121。
5~6パック開封すれば、
何かしら出るというくらいの確率。
当時確率など考えもせず、
イタリア語でも構わないから、
とにかくデュアルランド40枚がほしかったので、
他のセットを無視してでもイタリア語Revisedを買った。
トレードでもデュアルランドを入手する事がメイン。

イタリア語で40枚揃ったら、
今度はトレードで英語版を探すようになった。
気がついた頃にはデュアルランドは英語版40枚になった。

MTGのカードがそれほど高くなかった時代という背景もあるし、
カードショップというものもあまり無かったという事もあって、
今と全く違う様相だった。
今はカードショップの多くはトレードを禁止している。
おおむねはトラブルの防止という事が名目となっているが、
実際のところは、

・トレードばかりがショップで成立するとシングルが売れない。
・トレードと称して売買をする個人事業主でもない人を防ぐ。

という2点のほうが理由としては大きいと思う。
(2019年4月の時点でCardshop Serraは店内でトレードを禁止していません。
 金銭トレードは禁止しています。)
もちろんトラブルの防止も理由の1つである事は否定しない。

トレーディングカードゲームが、
換金可能なアイテムであるという認識が生まれていない時代から、
こうして換金可能であるという認識の出来る時代に変化した証明だ。
トレードによるコミュニケーションの発生機会が減った事は少々残念だが、
トレーディングカードゲームが世界的に認められた文化になった事は喜ばしい。

さて、お話を質問のほうへ戻すと、
「高額なカードも多く手が出ないデッキもある中で、
 当時どのように遊んでいたのかが気になります。」
とのことだが、
このような背景で遊んでいると、
高額カードという認識がそもそも無かった。
Black Lotus》は2万5000円くらいだった。
けれども、通販で買う以外に方法も無く、
かといってプレイする環境も無かった。
静岡県はちょっと特殊で、
Type1.5(現在はレガシーと呼ばれる)を普通に遊べる環境だったので、
デュアルランドを集めても遊ぶ環境があった。
で、
このデュアルランドですら別に高くないのだ。
イタリア語だと1000~1500円くらい。
しかも別に《Underground Sea》でも《Plateau》でも値段が変わらない。
どれもほとんど一律1500円くらい。
神の怒り》や《地震》とトレードできてしまう時代だった。
今では考えられない。

それから、流行りのデッキだとか全然考えていない黎明期なので、
みんな思い思いのデッキをそのまま組んで大会に特攻。
サイドボードなんてデタラメな人がいっぱい。
白いデッキの人なんて、

5_CoP

3《白の防御円/Circle of Protection: White
3《青の防御円/Circle of Protection: Blue
3《黒の防御円/Circle of Protection: Black
3《赤の防御円/Circle of Protection: Red
3《緑の防御円/Circle of Protection: Green
というサイドボードの人が結構いた。
「お前はもうちょっと考えようと思わんのか。」
とツッコミたくなるサイドボードだ。
なお、この防御円シリーズを全部メインデッキに4枚ずつ入れて大会に出る人もいた。
「誰もが通る道だよね。」
と話題になるのだが、誰一人大会で上位には行けないデッキだった。

と、こんな感じで、
少ない小遣いとトレードで案外と遊べた。
あと一応アルバイトをした時期もあったので、
そのお金でパックを買っていた。

この質問をくれた中学生の方は、
今どんな環境で遊んでいるかわからないけれども、
これから先10年以上も遊ぶ趣味であるのなら、
焦らずゆっくりとカードを集めていくと良い。
いつかそうやってやりくりした事には意味が出るし、
集めたカードもうまくすれば高額カードに化けている。
そして、
いつかお金に余裕ができた時は、
もっと古くて魅力的なカード達に手を出して、
一生MTGを楽しんでほしい。

ではまた。



記事作成日:2019/02/20



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