コレクター道10
記事作成日:2015/01/29 執筆:加藤英宝
前回に引き続き、コレクター用のお話。
ベータほどではないが、
2014年の間にSerraの店主はまたしても怪しげなボックスに手を出した。
このボックスはアンティキティ。
コレクター道9のお話に出てきた外国人から購入。
全くこの外国人はよくもこんな不思議なボックスを手に入られるものだ。
アンティキティのパックも非常に値上がりし、
これが最後のチャンスかもしれないと思い、購入を決断。
アンティキティのパックは現在1パック3万円もするのだ。
アンティキティは1994年3月に発売。
時折他のセットでも出てくる、
ミシュラとウルザという2人の魔道士の兄弟の戦争が題材。
収録されているカードにも
「ミシュラの」「ウルザの」
と名のついたカードもいくつかある。
「MTG史上一番最初のアーティファクト中心のカードセット」
でもある。
MTG史上において、
アーティファクト中心のカードセット=一部のカードが強すぎて失敗と言えば失敗、成功と言えば成功。
という不文律とも言えるものを作り出した最初のセット。
以降、
ウルザズ・サーガブロック
ミラディンブロック
ミラディンの傷跡ブロック
の3つにその傾向は受け継がれる。
この3つのブロックとアンティキティのカードには、
必ず何処かのレギュレーションで制限や禁止を食らっているカードが存在する。
そして、必ずヴィンテージに何らかの影響を与えている。
これらのセットの影響力のあったカードたちは、
時に製作者から
「あれは失敗だった。」
と公式コメントが出たほどである。
製作者が今後をどう考えているかは知らないが、
何処かのカードショップの店主はアーティファクトが大好きなので、
これからもこういうセットが出る事には大歓迎である。
是非とも今後も強すぎて制限や禁止になるカードを作り、
おおいに失敗していただきたい。
弱いカードが出てきて新エキスパンションが売れないよりよほどマシである。
お前の事だよ、プロフェシー。
「スポイラー(発売前公開情報カードリスト)見て、
買うのやめました。」
って言葉を何人のお客様から聞いたと思ってんだ。
このセットだけは製作者の脳を疑った。
さて、今回の話題のアンティキティは
一等:《Mishra’s Workshop》
二等:《Candelabra of Tawnos》
三等:《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》(冬)
という3つがパックから出てくる人気トップ3。
三等の時点で元はとれないのが欠点だが、
この三等はとても絵が綺麗で、
非常に人気のある《ミシュラの工廠》だ。
《ミシュラの工廠》は春の絵だけがコモン。
こちらは値段は比較的安いがこれまた綺麗な絵だ。
4枚とも春にしているプレイヤーもいる。
説明は不要と思うが、4季節1枚ずつ集める人は多い。
上記3種以外では、
《Power Artifact》
《Transmute Artifact》
というアーティファクトに関する青いカードが人気がある。
この2つは他のセットで再録されておらず、
アンティキティにしかない強カード。
EDHやレガシーでの需要が主だ。
このセットはカードの種類が少ないうえに、レアが存在しない。
言うまでもないが、この時代には神話レアも存在しない。
出やすいアンコモン
出にくいアンコモン
出やすいコモン
出にくいコモン
といった感じのレアリティしか存在しないため、
当たりカードがそれほど出ないものでもない。
アンティキティは1パック8枚入りで、
アンコモン2枚
コモン6枚
が入っている。
具体的に書くと、
アンコモン1
アンコモン2
アンコモン3
3段階があり、
コモンは
コモン1
コモン4
コモン5
コモン6
の4段階がある。
数値が小さいほど出にくく、
数値が大きいほど出やすい。
余談にはなるが、アンヒンジドに下記のようなカードがある。
《Rare-B-Gone》
コスト:2黒赤
ソーサリー
各プレイヤーはすべてのレアのパーマネントを生け贄に捧げ、
その後自分の手札を公開してすべてのレアカードを捨てる。
レア
このカードの裁定には、
・神話レアも通常のレアと同様に影響を受ける。
・レアが無いエキスパンションはアンコモン1をレアとして扱う。
というものが存在する。
この2つのレアリティについては裁定が下っているが、
タイムシフト枠のカードには特に何も無いところを見ると、
タイムシフト枠はレア扱いしないようだ。
アンティキティはレアが存在しないエキスパンションなので、
このアンコモン1をレアとして扱う。
つまりはアンコモン1とはそのくらいには出にくいカードですよ、というお話。
なお、《ミシュラの工廠》の春以外は
アンコモン3という扱いになっているが、
これはある意味で本当であり、
ある意味で嘘である。
種明かしをすると、
夏、秋、冬の3種を1つの《ミシュラの工廠》とした場合、
アンコモン3であるというレアリティ。
別々のカードとして認識した場合はアンコモン1である。
《Rare-B-Gone》を撃ち、《ミシュラの工廠》夏、秋、冬が壊れるかどうかは知らない。
厳密なルールにのっとった場合、
「この3種の《ミシュラの工廠》はレアリティ上アンコモン3なので壊れない。」
というものが正解と思われる。
間違いなく言える事は《ミシュラの工廠》春だけは壊れない。
似たような状況として、
初版から第4版などのアンコモンの《セラの天使/Serra Angel》は《Rare-B-Gone》が効かない。
が、第7版~第10版には効く。
そもそも公式大会では使えないアンヒンジドのカードゆえ、
カジュアルに楽しむなら「春以外はアンコモン1扱い=レア扱い。」で良いとは思う。
そもそもこの《Rare-B-Gone》撃った事ある人がいるかどうか。
アンティキティの
アンコモンの種類は61種(絵違いを含む)
コモンの種類は41種(柄違い含む)
出にくい、出やすいの差はあるが、
1箱60パックから120枚のアンコモンが出てくる。
出にくいものでもだいたい1~3枚は出るのである。
平均的に出れば1箱開けると1コンプリートは作れる。
現在の時点でコンプリート目的で1箱開ける人はいないだろうが。
大昔に自分は1パックだけ開けた時に、
見事《Mishra’s Workshop》を引き当てている。
その後PSA鑑定にかけ、PSA10がついた品がそれだ。
さらに、コレクター道5のこらむで、
残る目標は
・アラビアンナイトブースターボックス
・英語版レジェンドブースターボックス
・アンティキティブースターボックス
・ベータコンプリート
・アルファコンプリート
・アラビアンナイトコンプリート
・パワー9全部PSA10
・ベータのデュアルランド10種全部PSA鑑定済みで4枚。
・《Time Walk》原画
と書いた。
3年の時間をかけて少しだけコレクションが前に進んだ。
手に入れたものは、
・英語版レジェンドブースターボックス
・アンティキティブースターボックス
・アラビアンナイトコンプリート
の3つ。
アラビアンナイトはもともとほとんどコンプリートしていて、
足りないものを調べたらたった1枚だけ持っていなかった。
そのカードとは、
《踊る円月刀/Dancing Scimitar》
という4マナ1/5飛行のアーティファクト・クリーチャー。
能力は飛行以外なんにもない。
昔と違って、
今はクリーチャータイプ・スピリット(Spirit)がついている。
言うまでもなく弱いカードだ。
なんでこんなカードを今まで持っていなかったのか。
これで残る目標が
・アラビアンナイトブースターボックス
・ベータコンプリート
・アルファコンプリート
・ベータのパワー9全部PSA10
・ベータのデュアルランド10種全部PSA鑑定済みで4枚。
・《Time Walk》原画
と少し減った。
残るハードルが高すぎて減った気がしないけれども。
アラビアンナイトのボックスはそもそも売っている事があるのだろうか。
アルファのコンプリートやベータのパワー9全部PSA10なんて、
一生かかっても無理かもしれない。
どこに転がっているんだろう、そんなアイテム。
《Time Walk》の原画だけはそもそも無理だろう。
たしかWotC社に置いてあると聞いたことがある。
3年後はどんなコレクションになっているだろう。
ではまた。