最高点ダメージ記録
記事作成日:2018/04/03 執筆:加藤英宝
ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。
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店長がEDHで見てきた中で、
有限の戦闘ダメージ(無限パンチなどは除く)で一番大きかったのは何ですか?
どういうギミックだったかも教えていただけると嬉しいです。
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この質問。
数字だけだったら文字制限に引っかからなかったのだが、
ギミックを書こうと思うと文字制限に引っかかるので、
こらむで少々書いてみることに。
まず、数字。
一体のクリーチャーだけの攻撃で、
4722366482869645213696点ダメージ。
この数字の羅列だけ見て、
「何兆何億何千万ですね。」
と一瞬で発音出来る事は無いであろう桁数。
桁数は22桁。
発音しやすく書くと、
47垓2236京6482兆8696億4521万3696。
クリーチャーのパワー/タフネスで
47垓2236京6482兆8696億4521万3696/47垓2236京6482兆8696億4521万3696
というわけのわからない事を本当にやった事がある。
ちなみにこの時、
合計戦闘ダメージはこの数字ではない。
合計戦闘ダメージでは、
47垓2236京6482兆8696億4521万3696
+
47垓2236京6482兆8696億4521万3675
+
15。
合計ダメージなら、
94垓4473京2965兆7392億9042万7386。
ひらがなで発音すると、
「きゅうじゅうよんがい
よんせんよんひゃくななじゅうさんけい
にせんきゅうひゃくろくじゅうごちょう
ななせんさんびゃくきゅうじゅうにおく
きゅうせんよんじゅうにまん
ななせんさんびゃくはちじゅうろく。」
発音するだけで疲れそう。
なんで2体も謎の数字が出てるの?とか、
最後の15って何?とツッコミたくなる数字だろうと思う。
こんなわけのわからない数字を出したあたりで、
ジェネラルは想像がつく人もいるだろう。
《野生の心、セルヴァラ/Selvala, Heart of the Wilds》である。
手順は下記のように行われた。
《野生の心、セルヴァラ》が召喚酔いからとけている状態。
《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》をプレイ。
《野生の心、セルヴァラ》の能力で1ドローとマナ能力で12マナを得る。
《ファイレクシアン・ドレッドノート》はその後墓地へ。
12マナから《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》をプレイ。
1ドローと残り8マナ。
この時点で《カメレオンの巨像》4/4。
強化能力を2回起動して4/4が8/8→16/16。
《みなぎる活力/Vitalize》で《野生の心、セルヴァラ》アンタップ。
マナ能力起動で16マナを得る。
(他にもマナ・クリーチャーはいたので16マナが出ている。)
16マナは全て《カメレオンの巨像》の強化に使う。
すると、
16→32→64→128→256となり、
256/256の《カメレオンの巨像》が出来上がる。
《賦活/Instill Energy》を《野生の心、セルヴァラ》につける。
《賦活》の能力で《野生の心、セルヴァラ》をアンタップして、
マナ能力起動で256マナを得る。
256マナは全て《カメレオンの巨像》の強化に。
回数にして、64回。
数字の合計にして、
2の72乗の数字に到達。
それが先程の数字、
47垓2236京6482兆8696億4521万3696。
この時、一応《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》がいたので、
《クウィリーオン・レインジャー》の能力起動から、
さらに《野生の心、セルヴァラ》からマナを出し、
47垓2236京6482兆8696億4521万3696マナ。
《威厳の魔力/Regal Force》
《マナの座、オムナス/Omnath, Locus of Mana》
《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》
《調和の中心/Concordant Crossroads》
の4枚をプレイ。
これらをプレイしたので、少しだけマナが減って、
47垓2236京6482兆8696億4521万3675マナ。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》さんでブロッカーは消し飛び、
全員に速攻が付与されたので、
5/5の可愛い《威厳の魔力》さんと、
10/10の可愛い《絶え間ない飢餓、ウラモグ》さんが、
プレイヤーAをパンチ。
47垓2236京6482兆8696億4521万3675/47垓2236京6482兆8696億4521万3675
の《マナの座、オムナス》さんがプレイヤーBをパンチ。
47垓2236京6482兆8696億4521万3696/47垓2236京6482兆8696億4521万3696
の《カメレオンの巨像》さんがプレイヤーCをパンチ。
《マナの座、オムナス》のおかげで戦闘フェイズに入ってもマナが消えないので、
《カメレオンの巨像》さんはまだまだ強化が出来たのだが、
ひとまず倒せる数字なのでこれでパンチ。
「無限じゃないダメージでこんなパンチくらった事ない。」
と対戦相手はひたすら笑っていた。
前述の
47垓2236京6482兆8696億4521万3696
+
47垓2236京6482兆8696億4521万3675
+
15。
この数字がどうやって起きたか理解出来ただろうか。
言うまでもないが、
プレイヤーAさんは一番展開が遅れているプレイヤーで、
この攻撃で唯一生き残りはするものの、
次のターンに確定の死が待っている状態である。
やろうと思えば、残っているマナで簡単に、
𥝱(じょ) (機種依存文字なので表示されない可能性があります。字は「禾予」。のぎへんに「予」)
穣(じょう)
溝(こう)
澗(かん)
正(せい)
載(さい)
極(ごく)
恒河沙(こうがしゃ)
阿僧祇(あそうぎ)
那由多(なゆた)
不可思議(ふかしぎ)
無量大数(むりょうたいすう)
という単位まで持っていく事は出来た。
このあたりのは話は実は一度、
EDHデッキ紹介その86(Selvala, Heart of the Wilds/野生の心、セルヴァラ)
の時にも書いている。
その時は理論上の数値のような書き方で、
《カメレオンの巨像》の能力を1000回起動した数字を載せている。
あれは理論上でもなんでもなく、
実際に可能な事なのだ。
たぶん《野生の心、セルヴァラ》を使って、
100回勝利する間に1度くらいは決まる。
同じデッキを使い、
同じ事をやれば誰でも出来る事なのだが、
ここまでの数字を計算してプレイした事のある人は、
なかなかいないはず。
とにかく《野生の心、セルヴァラ》というカードは、
想像もしない事が出来てしまうジェネラルなのだ。
だいたいMTGの世界に出てくる数字で、
無限以外の状況で億の桁よりも上を使う事はとても稀だ。
億という単位ですら、
「《Black Lotus》の原画だったら億単位行くんじゃない?」
といったプレイとは関係の無い数字のはずだ。
その億も通り越して、
経済の世界でも縁がない「垓」という桁。
自分でもこの時は、
「長いMTG歴で有限の数字でこんな事やるとは思わなかったなぁ。」
と思いながらプレイをした事を記憶している。
2の累乗計算なので、
計算そのものはそれほど難しくないのだが、
桁がおかしくなってくるとさすがに電卓では出せない数字になってくる。
ちなみにこれを実現した時、まだ4ターン目の出来事である。
《野生の心、セルヴァラ》がどれだけ邪悪なジェネラルであるかわかるだろう。
《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》と並ぶ、
店主の三大お気に入りジェネラルの一人である。
三人目は《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》。
こっちも相当ぶっとんだ能力なので大好きなジェネラル。
三大、と言っておきながら、
セルヴァラの名が2回も出てくる程、
どっちのセルヴァラも強く、そして飽きない楽しさがある。
最後に。
質問者の方も想像しないダメージ数だったのではないでしょうか。
こういう変わった質問は、
回答する側もとても楽しいので、
これからもどんどん質問してください。
楽しい質問お待ちしております!
ではまた。