Summer Magic
Summer Magic。
聞いたことありますか?
長年プレイヤーをやっている人でさえ、この名を知らない人もいる事でしょう。
では、ブルーハリケーンなら聞いたことありますか?
ブルーハリケーン、青嵐、エラーカードの王様など呼び方は様々ですが。
ブルーハリケーンなら知っているという人はいると思います。
《Hurricane/ハリケーン》
コスト:X緑
ソーサリー
ハリケーンはすべての飛行を持つクリーチャーとすべてのプレイヤーに、X点のダメージを与える。
アンコモン
本来緑のはずのカードの枠が青く(コストの部分は緑)印刷されているということで、
「Blue Hurricane」。
このブルーハリケーンはSummer Magicのカードです。
さて、このSummer Magicというものは、
簡単に言ってしまうと、ただの英語版Revised(第三版)です。
ただの、と言ってしまうと語弊がありそうですが。
普通見ることのできる英語版Revisedのカードと言えば、
白枠が特徴的でちょっとかっこいい薄めの印刷のカード。
Summer Magicは全然かっこよくない4thのような印刷のRevised。
え?わざわざかっこよくないカードの話なんて聞きたくない?
そう言わずに最後まで聞いてやってください。
で、このかっこよくないRevisedと言われたSummer、何故印刷まで違うかというと、
SummerはRevisedの再版バージョンなのです。
マジックのカードに限らず、書籍などもそうですが、
初刷発行のものと第二刷発行以降のものがありますね。
Summerは第二刷発行のRevisedだと考えてください。
しかし、印刷の段階で誤植、印刷の質の悪さなどが目立ち、
出荷の取りやめを決定しました。
が、その一部がイギリスへ流れてしまったのです。
イギリスに流れたBox数は24ボックスだけとも言われていますが、
その正確な数字は不明です。
(他にも24カートンだったという説もあります。)
このイギリスに流れたとされる再版Revised、これがSummerです。
Summerの名前の由来は、
クリーチャーカードの昔の記述「Summon ○○」(○の中はクリーチャータイプ)
というものが誤植でSummerになったという伝説がありますが、
筆者はいまだにそのSummerと書かれたカードは見たことがありません。
これは一種の都市伝説ではないかと思っていますが、
本当だったら是非ともそのカードが欲しいものです。
もう1つの由来として、再販される時期が夏だったからというものがあります。
こちらのほうが信憑性が高そうです。
また、印刷所の名前をとってエドガーと呼ばれる事もあります。
ブルーハリケーンはその再版Revisedにのみ存在する、印刷ミスエラーカードなのです。
マジック界の中で最も高価なカード、
エラーカードの王様、
など色々な異名を持つカードですが、この世に30枚は存在しないと言われている事もあり、
現在でも入手したいコレクターは数多くいます。
(レアで約10枚程度、アンコモンは約30枚程度と言われています。)
24ボックスが流通した正確な数字かどうかはともかくとして、
流通した全体枚数が極端に少ないのは事実です。
ですので、コモンや基本地形でさえ$50(日本円で5000円程度)なんてこともざらです。
アンコモンやレアにいたってはもっと激しく、
人気カードともなると$1000以上(日本円で10万円以上)になります。
とびぬけて高価なカードは、
《ハリケーン》
《Serendib Efreet》
《セラの天使/Serra Angel》
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
上記に加えてデュアルランド10種と言ったところでしょうか。
《Serendib Efreet》は英語Revised初版でのエラーが直っているので、
それが人気の1つになっているということです。
また、《悪魔の教示者/Demonic Tutor》は悪魔が手に本を持っている絵で、
Alpha版からRevised版までは悪魔の額に逆五芒星が描かれていましたが、
Summer版では額の五芒星は消えています。
消えた理由は逆五芒星は悪魔崇拝を意味するという宗教的な不吉さからだと言われています。
同様にしてRevised版までは《邪悪なる力/Unholy Strength》も逆五芒星が描かれていましたが、
これもSummer版の時点で消えています。
マジックは他のカードゲームと違って、こんな逸話や珍しいカードがいくつも存在します。
全てを集める事は無理でも、そのひとかけらに手を出してみると、
普段とは違った楽しみが見出せるかもしれません。
ではまた。
追記。
昨今の相場変動などによって、
上記カード以外では、
《太陽の指輪/Sol Ring》や《稲妻/Lightning Bolt》もとてつもない金額に上がっているようです。
現存枚数の少ないカードは単純に希少価値だけで値段が変わります。
これから先も上がり続けるのかもしれません。