再録禁止リストについて。

ツイッター質問箱より、

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「再録禁止についてはどのようなお考えをお持ちですか?
店側と、いちユーザーとしてのご意見を頂けると嬉しいです。」

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という質問をいただいた。

まず、店主は、
お店として見ても、
個人として見ても、
回答は変わらない。

最初に言う事としては、

「再録禁止リストは、
 追加をするならともかく、
 絶対に減らす事はやってはならない。」

と考えている。

再録禁止リストのカードの中には、
頭痛がするほど弱いカードも確かにある。
「別に再録されなくても困らんよ、これ。」
という50円レアはあまり問題にもならないというか、
この話題に適さないと言ったほうがいいだろう。
再録禁止リストの問題、話題になるカードというものは、
強くて皆が欲しがるようなカードだ。

Black Lotus
わかりやすく言ってその筆頭はもちろんこのカード。
こういった強くて皆が欲しがるようなカード達は、
当然高額で、希少度も需要も高い。

MTG歴が浅い人から見れば、
「昔のカード高くて手が出せないから再録してよ。」
という気持ちになるのは無理もない。
自分のMTG歴が20年ではなく2年だったら、
同じ気持ちになった事だろう。
「え?《Black Lotus》に100万円?
 いやいや、待ってよ、
 そんな金額ちょっとやそっとじゃ払えないよ。」
という気持ちになる。

しかし、再録禁止リストとはとても重要なものだと思う。
再録されないからこそ、
保障されている価値というものがある。

これは前こらむ等でも書いているが、
MTG歴の長いプレイヤーほど、
「いざという時にお金にかえられる紙」
だと思ってMTGプレイヤーを続けている。
この保障されている価値はとても大切だ。

もしWizards of the Coast社(以下WotC)が、
それを忘れて、再録禁止リストを再録してしまったら、
今まで築いてきた資産がダメになってしまう可能性がある。
それは一歩間違えば多くのプレイヤーを引退に追い込む。

まさかそれを、WotC社も
「そんなんでMTGをやめる奴は、
 どうせ別の理由で結局はやめる。
 知った事ではない。」
と言い切る事はしないはず。
古くからのプレイヤーを大切にしてきたからこそ、
今のMTGとWotC社があるはずなのだ。
(それでも両面カードだけは刷るのをやめて欲しいんだが。)

こういう話題の時に引き合いに出る、
某お遊戯カードゲームと比べてみて、
今回の質問の具体的な回答としたい。

某お遊戯カードゲームは、

・禁止、制限の連発
・ユーザー離れを起こしかねない大胆過ぎるルール変更
・環境トップレアをレアリティを落として再録


といった事をやっている。
もっともそれでも生き残っているのが驚きなのだが、
それでも明らかにその某お遊戯カードゲームの引退者と、
MTGの引退者には明確な違いを感じている。

まず、その某お遊戯カードゲームの引退者がよく言う言葉1つ目。

「ゲーム性が単調で飽きた。」

つまり、これは卒業である。
子供の頃に遊んだいくつかのおもちゃを卒業して大人になるように、
このカードゲームを卒業する形だ。
この一言はMTG引退者がまず言わない。
MTGはゲームシステムが素晴らしく、
飽きる人があまりいないという事がよくわかる。

某お遊戯ゲームを卒業してMTGに入学する人は結構いる。
しかし、MTGを卒業して某お遊戯ゲームに入学する人は多くないだろう。

2つ目。

「ルール改正で嫌になった。」

これはMTG引退者にもある。
このルール改正は色々な意味がある。
某お遊戯のほうにもMTGにも。

某お遊戯のほうはある日、公式から


「次の改正で、日本語版以外のカードは、

公式大会で使用不可だからよろしくネ♪」



というすんごいルールを出したらしい。
さすがにこれは引退者が出るのもわかる。
ちなみに英語版だけ取り扱っていたお店は即潰れたらしい。
日本語版以外をコレクションしていた人の気持ちを聞いてみたいところだ。

某お遊戯のほうの別のルール改正の時は、
あまり具体的に書くと長くなりすぎるので比喩表現にしてしまうが、
「今までは、
 投げられたボールをバットという棒で打ち返すゲームだったけど、
 明日からは棒使用禁止、手使用禁止で、
 網にボールを蹴り込むルールになったからよろしくネ♪」

というくらいにルールを捻じ曲げたらしい。
店主はこのルール変更で潰れたお店を知っている。

MTGでも過去に結構なルール変更があったが、
ここまで極端なルール変更はさすがに無い。
個人的に「やらんでええよ、この変更」と思ったものはあったが。

MTG引退者の中でルール変更で引退する人は、

「ルール変更でややこしくなって嫌になった。」
「キーワード能力増えすぎて嫌になった。」


というものが多い。
こういう引退理由は
「MTG好きなんだけど、世界観も好きなんだけど、
 ついていけなくなっちゃったよ。」
という感じなのだとわかる。

この引退理由にも某お遊戯との違いはかなり差を感じる。
MTGのキーワード能力増やしすぎはかなり長い間言われているが、
WotCはどうもそこについては改善する気は無いようだ。
プレイヤーと会社の気持ちの隔たりが大きくならない事を望むばかりだ。

3つ目。

「新セットが出るごとに上位互換や強すぎるカードが出て、
 過去に買ったものたちが競技で通用しなくなるのが嫌になった。」


この引退理由はMTGにはほとんど見られない。
クリーチャーカードは上位互換が出るものの、
最強をうたわれる昔のカード達、
それこそ再録禁止リストの強いカード達の上位互換はほとんど生まれないので、
この理由でMTGを引退する人はかなり少ない。

4つ目。

「新セットで再録連発どころか、レアリティまで落とされて、
 自分のカード資産の価値がどんどんゴミになるのが嫌になった。」


これが前述の
・環境トップレアをレアリティを落として再録
の影響。
環境トップレアが1枚5000円だったとしても、
新セットでコモンで再録されて50円。
さすがに5000円払った人はいい気分ではいられないだろう。
しかし、この再録方法、
喜ぶ人がこの世にいるのだ。

喜ぶ人とは学生である。
学生は当然のごとく自分の自由になるお金が少ないので、
強力なカードがコモンで出れば大喜びする。

しかし、大人は喜ばない人が多い。
自分が数千円、下手をすれば数万円払ったカードなのに、
それをコモンで再録されて誰もが持つようになり、
価格が大暴落されたら、
「なんで自分はこのカードにこんな金額払わなきゃいけなかったの?」
という気持ちになってしまう。
当たり前の話だが、
当然そこまで大暴落してしまえば、
カードショップに売り払っても二束三文もいいところ。
価格の下落の仕方次第では、
買取価格がかけたお金の5%未満にまで落ちる事になる。

MTGにだって暴落するカードはある。
買取に出してプラスになる事は多くない。
レアリティが変化するカードもある。
それでも
WotCは環境トップレアをレアリティを落として再録なんて事はしていない。
(環境が変わって価格が下落するのは世の常なので話が別。)
MTGは
「いざという時にお金にかえられる紙」
というくらいには保障されている部分がある。

その保障の一番下の部分を支えているものが再録禁止リストだと思っている。
これがなくなってしまったら、
某お遊戯の引退理由と同じものがMTGプレイヤーにも出てきてしまうだろう。
それはTCGの王として君臨するMTGがすべきではない。
余談になるが、某お遊戯の会社は、
「自社コンテンツを自らの手で殺しにかかるのはいつもの事。」
とユーザーに言われる程、運営が良くないらしい。

某お遊戯とMTGを比べてみると、
こうして再録禁止リストの大切さがわかるのではないだろうか。

店主が知る人の中には、

「この素晴らしいゲームを、
 自分が死んだ時に遺産として息子に遺したい。」

と言った人もいる。

この一言はとても色々な意味を持っている。

まず、この人はMTGを「素晴らしいゲーム」と評している。
そして自分が死んだ時の事を考え、
遺産として遺せるだけの価値のものであり、
遺すべきもの(作品)であると言っている。
MTGをそのように大切に思い、
自身の死後、つまり後世にも残ってくれと願っていると、
この一言から読み取って間違い無いだろう。
少なくとも店主はそう読み取り、
そして同感である。

しかし、これが再録連発、ルール変更や禁止連発で、
いくつものカード達の価値が大暴落して、
「素晴らしいゲーム」
と評されなくなってしまったらお終いだ。
その時はCardshop Serraもお終いだ。

再録禁止リストというものは、
確かに再録に対して、WotC社にとってもプレイヤーにとっても枷ではあると思う。
ただ、その枷があるからこそ、
MTGが生き残っているのも間違い無いと店主は思っている。
そのため、
最初にも言った、

「再録禁止リストは、
 追加をするならともかく、
 減らす事は絶対にやってはならない。」


であってほしい。
WotC社さん、MTGを100年後、200年後でも残る作品にするため、
再録禁止リストは絶対に守って下さい。

ではまた。



記事作成日:2018/03/01



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