《病めるもの》2
記事作成日:2017/12/22 執筆:加藤英宝
このお話は
こらむ:《病めるもの》
の続き。
単純にMTGを楽しみたいだけの人にはとっても無縁。
時間としては店主が倒れた9月9日より少々さかのぼる9月のアタマ、
店主の右腕に針を刺すような激痛が走るようになった。
もともと5月から右腕に筋肉痛のような痛みが続いていた。
ところが9月に入ってからは痛みが針を刺すような痛みに変化。
《突き刺す苦痛/Stabbing Pain》である。
なんだかカード名を出すと途端に冗談話のように思う人もいるだろうが、
これがかなりひどいもので、マウスのクリックが痛くて出来ない程。
痛みは手の甲から肘まで。
時間によって手の甲だけ痛かったり、腕だけ痛かったり。
痛みで眠る事もままならない日もあった。
整形外科に行ってレントゲンを撮るも
「骨に異常無し。」
と言われて湿布を出されておしまい。
痛みが全く引かないので、
別の整形外科に行ってみたが、
全く同じ処置をされておしまい。
もちろんその間もただひたすら痛みは続き、
仕方なく3つ目、4つ目と病院を転々とする事になったが、
どこに行っても言われる事は同じ。
・骨に異常無し。
・湿布出しますね。
・痛み止め出しますね。
こればかりで全く改善しない。
さらに困った事に右腕だけだった痛みは、
10月には両腕に広がってしまい、
日常生活に支障をきたすレベルになってしまった。
どの医者もお決まりパターンでロキソニンや湿布の処方ばかり。
たまにはロクソドンでも出してみやがれと悪態をつきたくなる。
が、
「ロクソドンを出せええええ!」
などと言おうものなら、
鎖のついた病棟にご招待されるに違いない。
だいたい、鎮痛剤はCardshop Serraでも取扱いがあるのだ。
《鎮痛剤/Soothing Balm》
なんてカードがある事、誰も覚えておるめえ。
《鎮痛剤》
コスト:(1)(白)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは5点のライフを得る。
コモン
プレイヤー1人に5ライフあげるだけのコモンカードだ。
こんなもんが効くなら苦労しねえってえんだ、べらぼうめ。
紙きれと現実の薬の区別もついてねえなら病院に行けだと?
おうおう、だから病院行ってんだ、
そんでもってつける薬がねえんだ。
つける薬があったらがぶ飲みしてるとこよ。
さて、江戸弁混じりの話からもとに戻そう。
この痛みに加えて厄介だったのが喘息だ。
もともと季節的に9月や10月は喘息が出やすい時期なのだが、
今年は特にひどくて、毎日喘息のお薬のお世話になる程だった。
例年ではこれ程ひどい状態になる事は稀で、
ここまでひどい喘息は10年ぶりくらいだろう。
ここに拍車をかける事になったのは整形外科で処方された湿布だ。
塗り薬系の湿布だろうが、貼るタイプの湿布だろうが、
使ったが最後、喘息が悪化する。
一概に喘息と言っても人によってかなりの個人差がある。
店主と同じように湿布系が苦手な人は少なくないはずだ。
さすがに喘息が悪化するのはまずいのもあるが、
そもそも湿布をしても一切痛みの軽減にならなかったので、
湿布は早い段階で使うのをやめた。
喘息の苦しみを知る人ならわかるだろうが、
湿布ごときで喘息になってしまってはたまったものではない。
喘息は喘息で別の病院のお世話になり、
腕の痛みは病院を転々、
9月から10月の間、
病院に行かない週は一度も無かった。
(ちなみに2017年の病院に行った回数は50回を超えている。)
あまりに整形外科がお話にならないので、
この痛みを診てくれる医者を他の方法で調べた。
そこで見つかった病院がペインクリニック。
痛みを軽減する事を1つの専門とする病院。
この病院にかかってやっと自分の病名が判明する。
ここの先生は店主の症状を聞き、
ちょっと首や腕を触っただけで、
「君の場合は首の6番目の骨が神経を圧迫して、
それが腕の痛みになっているんだ。
姿勢の問題も大きいから職業病とも言えるね。
首のギックリ腰だと思えばわかりやすい。」
とズバっと言ってのけた。
瞬時に「首の6番目の骨。」と答えられる事に驚いた。
首のギックリ腰とはまた随分と大変そうな感じだ。
病名を聞いてみると、
「一般的には頸肩腕症候群と呼ばれる事が多いだろうけれども、
君の病名は頚椎症性神経根症が正式な名だよ。
整形外科医では普通腕のレントゲン撮るだろうから仕方ないね。
本当は首のMRIを撮ると正確な診察が可能になるんだけれど。」
頚椎症性神経根症、初めて聞く名だ。
ネットで調べた際に頸肩腕症候群は知っていたが、
頚椎症性神経根症のほうは全く知らなかった。
こういった事を詳しく言ってもらって、
5つ目のお医者さんでやっと当たりと言える人に出会えたと感じた。
少しはこの痛みから開放されるかもしれないという希望も持てた。
頚椎症性神経根症とは、
頚椎(首の骨)の部分の変化によって、
腕や肩につながる神経根が圧迫されたり刺激されたりして、
腕、手、指、肩、首に激痛が走るという症状。
首を回す、首をそらせる、首を前にするなどすると、
悪化する事も多く、歩行時の自然な首の体制が最も安全で、
予防と治療にウォーキングのような軽い運動が適切。
特効薬は無く、
痛みの軽減のために鎮痛剤を飲む程度しか出来ない。
首を温める、身体にあった布団と枕を使う、
パソコン作業や激しい運動は全て控える、
といった予防的な事以外はほぼ出来ない。
症状が悪化すると自立神経失調症からうつ病になる事もあるらしい。
治るまでに数ヶ月以上かかる事も多く、
最悪のケースでは手術もありえる。
かかる比率では男性が女性に比べて2倍と言われている。
これは労働者、特にパソコン作業の労働者が女性よりも男性のほうが多い事に起因すると思われる。
店主の場合は、
パソコン操作ばかりやっていれば首に疲れが来る。
(正確には同じ姿勢で居続ける事が良くないらしい。)
それがこの頚椎症性神経根症になってしまう。
原因がわからず湿布を使う。
喘息の状態を湿布が悪化させる。
喘息というものは苦しくなると、
座っている状態で両腕を床についた姿勢をとる事が多い。
人によっては
「orz」
と全く同じ姿勢になる。
自分の場合はあぐらをかいて両腕を床につける姿勢になる。
どちらの姿勢であろうとも、
首には負担がかかり、
当然、頚椎症性神経根症が治らない。
そして、
腕の痛みで眠れないような状況になると、
当然体力が回復せず、肩こりやめまいにもつながり、
喘息にもなりやすくなる。
悪循環である。
さて、ここまで書いて、一度店主の状況(病状)を見直してみよう。
・めまい
・治らない肩こり
・両腕の激痛(頚椎症性神経根症)
・首の激痛(頚椎症性神経根症)
・喘息
・睡眠不足から来る疲労感
・原因不明の止まらない鼻水
・偏頭痛
なんだか身体の悪くないところを探すほうが難しいくらいだ。
めまい、肩こり、疲労感、鼻水は、
自立神経失調症の疑いがあるらしい。
一言で表現するなら、
「何も出来ません。」
パソコンがダメなのは言うまでもないが、
困った事にMTGのパックの開封すら出来ない。
MTGのパックを開封する際の
あの袋をバリッと開ける仕草すら、
腕にかなりの痛みが走る。
食事、トイレ、お風呂以外はほぼ出来ないくらい。
介護が必要な病人に近いかもしれない。
これほど体調を崩したなんておそらく人生初だ。
ちなみに処方されたロキソニンはほとんど効かない。
《鋭い痛み/Flaring Pain》というカードと、
《割れるような頭痛/Splitting Headache》というカードは、
この状況では見たくもないカードランキング上位である。
部屋で《のたうつウンパス/Thrashing Wumpus》くらいに、
ただのたうつだけの時間が一日に何度もある。
全くもって店主はヤクタターズと化した。
どのくらいヤクタターズかというと、
《さまようもの/Wandering Ones》よりヤクタターズ。
ドラフトの15手目くらいに使えない。
それでもなんとか3マナ2/2生物くらいにはなりたいと思い、
前述のペインクリニックに通う事になった。
《苦しい闘い/Uphill Battle》の始まりである。
続く。
ではまた。